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「私が気にしているのは、宰相殿の指摘された点です。なにしろ精霊だけに、人間のように利益に執着もありません。序でに、基本的に自分の欲求を優先します」
「つまり…何が言いたいのだ?」
「暴走すると言っているんです。始めは目標に忠実でも、愉しくなれば助長していきます。念の為に、釘は刺しましたが…いつまで覚えていることか、実に不安です」
「誰か、止めるのではないのか?」
「雇い主に、クビを覚悟で物申すほど、気概があれば良いのですがね」
「…此処で明言するという事は、我国にも飛火する可能性があるのか?」
遠回しに説明すれば、結論を言うよう促され、多少緩和した事を告げたのだが、揃いも揃って渋面になり、確認してくる始末だ。
精霊に自主協力を要請した割に、顔色を変えてくる様はカメレオン並みだ。
「精霊の性格を熟知し、要請したにではないのですか?」
「今は、その話ではない。はぐらかす気か?」
「…陛下、落ち着いて下さい。話は、繋がっています」
「理解もせずに利用すれば、しっぺ返しが来ても可笑しくないでしょう?」
陛下は、ムッと言い返すが、宰相殿は目を半眼に伏せ、続きを促してきた。
だが、続いた言葉には、目を見開き凝視してくる。
此方を見極めるようとしているのか、何時になく鋭い視線だ。
「呼び戻せば、飛火も仕方がないという事なら、彼方で暴走した精霊を制止する、抑えで必要なのですか?」
「最低限の規定は、順守する約束になっているので、違反者を出さない為にも、注視している筈です」
良く出来ましたと、ニッコリと返せば、顔を顰めているが、こんな事態は私も想定外なのだから、責められても迷惑だ。
「一応聞くが、いつ報復を許可したのだ?」
「陛下が、お会いした日ですが?あの後、機嫌が悪いのでガス抜きを兼ねて、制限付きで許し、他の精霊にも後々文句を言われないように、更に制限を追加して許可を通達してあります」
「私が後手に回ったのは解ったが、いやに手回しが早くないか?何も、判明し次第にせずとも良いだろうに」
陛下は頭を抱えているが、それこそ精霊の情報網を軽視している。
瞬時に知れ渡るあの速度では、あれでも遅いくらいだ。
「陛下。精霊が勝手に暴走する前に、手を打ったまでですが?」
暴走をお望みで、と言外で告げれば、ギョッと此方を凝視してくる。
「いや、待て。全員一致ではないのか、確かそう言っていた筈だが?」
「それは、一国全てを破壊する場合です。個別に報復する程度で、国は滅びませんからね?まあ、暫くの間は復興で大変でしょうし、下手をすればそれで衰退しますが、直接の原因が精霊以外ですから、私の管理外です」
「その割に、制限を掛けるのか?矛盾している気がするのだが…」
「私を気に入っているのが、精霊王では被害の程度が甚大で、笑えない状態は確実です。逆にお聞きしますが、同じ目に遭いたいのですか?」
「むろん、謹んで遠慮する。何も、勧んで民に苦難を強いるほど、暴君ではないのだがな」
「でしたら、お分かり頂けえますね?それに、他国から干渉されたくはないでしょう?現在、精霊の子が居るのは此処だけですから、精霊が動けば何か有ったのかと勘繰られますよ」
「何から何まで、世話になったようだな。だが、何だかセイ殿に誘導されているようで、素直に感謝できないのだが…。一体いつから、手を打っていたのか?」
「今回のではなければ、物心ついた後ですが?精霊が怖い事ばかり言うので、恐怖心もありましたからね。その時の気分で、過激な報復を言ったかと思えば、次の瞬間には、別の事を言うくらい移り気ですから」
あっさり教えれば、流石に陛下も口元が引き攣っている。
気分で国を崩壊されては、良い迷惑だろう。
「つまり…何が言いたいのだ?」
「暴走すると言っているんです。始めは目標に忠実でも、愉しくなれば助長していきます。念の為に、釘は刺しましたが…いつまで覚えていることか、実に不安です」
「誰か、止めるのではないのか?」
「雇い主に、クビを覚悟で物申すほど、気概があれば良いのですがね」
「…此処で明言するという事は、我国にも飛火する可能性があるのか?」
遠回しに説明すれば、結論を言うよう促され、多少緩和した事を告げたのだが、揃いも揃って渋面になり、確認してくる始末だ。
精霊に自主協力を要請した割に、顔色を変えてくる様はカメレオン並みだ。
「精霊の性格を熟知し、要請したにではないのですか?」
「今は、その話ではない。はぐらかす気か?」
「…陛下、落ち着いて下さい。話は、繋がっています」
「理解もせずに利用すれば、しっぺ返しが来ても可笑しくないでしょう?」
陛下は、ムッと言い返すが、宰相殿は目を半眼に伏せ、続きを促してきた。
だが、続いた言葉には、目を見開き凝視してくる。
此方を見極めるようとしているのか、何時になく鋭い視線だ。
「呼び戻せば、飛火も仕方がないという事なら、彼方で暴走した精霊を制止する、抑えで必要なのですか?」
「最低限の規定は、順守する約束になっているので、違反者を出さない為にも、注視している筈です」
良く出来ましたと、ニッコリと返せば、顔を顰めているが、こんな事態は私も想定外なのだから、責められても迷惑だ。
「一応聞くが、いつ報復を許可したのだ?」
「陛下が、お会いした日ですが?あの後、機嫌が悪いのでガス抜きを兼ねて、制限付きで許し、他の精霊にも後々文句を言われないように、更に制限を追加して許可を通達してあります」
「私が後手に回ったのは解ったが、いやに手回しが早くないか?何も、判明し次第にせずとも良いだろうに」
陛下は頭を抱えているが、それこそ精霊の情報網を軽視している。
瞬時に知れ渡るあの速度では、あれでも遅いくらいだ。
「陛下。精霊が勝手に暴走する前に、手を打ったまでですが?」
暴走をお望みで、と言外で告げれば、ギョッと此方を凝視してくる。
「いや、待て。全員一致ではないのか、確かそう言っていた筈だが?」
「それは、一国全てを破壊する場合です。個別に報復する程度で、国は滅びませんからね?まあ、暫くの間は復興で大変でしょうし、下手をすればそれで衰退しますが、直接の原因が精霊以外ですから、私の管理外です」
「その割に、制限を掛けるのか?矛盾している気がするのだが…」
「私を気に入っているのが、精霊王では被害の程度が甚大で、笑えない状態は確実です。逆にお聞きしますが、同じ目に遭いたいのですか?」
「むろん、謹んで遠慮する。何も、勧んで民に苦難を強いるほど、暴君ではないのだがな」
「でしたら、お分かり頂けえますね?それに、他国から干渉されたくはないでしょう?現在、精霊の子が居るのは此処だけですから、精霊が動けば何か有ったのかと勘繰られますよ」
「何から何まで、世話になったようだな。だが、何だかセイ殿に誘導されているようで、素直に感謝できないのだが…。一体いつから、手を打っていたのか?」
「今回のではなければ、物心ついた後ですが?精霊が怖い事ばかり言うので、恐怖心もありましたからね。その時の気分で、過激な報復を言ったかと思えば、次の瞬間には、別の事を言うくらい移り気ですから」
あっさり教えれば、流石に陛下も口元が引き攣っている。
気分で国を崩壊されては、良い迷惑だろう。
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