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「あ、いや。コレは話が逸れた結果で、本題には直接関係ない」
「陛下に任せると、終わる仕事も終わらないのでは?」
アルフレッドが呆れて、宰相殿に任せて大丈夫か、と振りたくなるのも解るが、安易に同意する訳にもいかずに、苦笑を浮かべている。
「話は脱線しますが、書類仕事は手早いので、問題ないかと。失礼ながら、どの辺からお聞きでしたか?」
「丁度、陛下が「報告を受けてない」と言い立てたところですが?」
聞いては不味い内容だったのか、と胡乱気な視線が物語っている。
宰相殿は、流石に和かに「そうですか」と返し、それ以上の追求を躱していた。
「グレン。サムに関して、騎士団内の動きはどうだった?」
「賛否両論でしょうか…ただ、一部の騎士が妙に強硬派のようです。裏で糸を引いている貴族が、居そうな感じでした」
茶を運んできていたグレンに話を振れば、即座に応えが返ってきた。
宰相殿と似た情報だが、此方の方が生の雰囲気が感じられる。
「貴族…ね。まあ、妥当な線ですが、探るのは少々骨が折れそうです」
トカゲの尻尾切りが懸念されると、匂わせれば、宰相殿の目がスゥッと細くなり、何やら悪巧みでもしていそうな顔になっている。
「顔が怖いぞ?何を企んでいるのかは訊かないが、程々で頼む」
陛下は、腰が引き気味になりながら、一応は釘を刺していたが、形ばかりのものだ。
「説得力に欠ける態度ですな。陛下、虚勢ぐらい張って下さい。それでは、威厳の欠片もありません」
アルフレッドが、見かねたように苦言を呈しても、陛下は口元を引き攣らせるだけで、蛇に睨まれた蛙の様に固まっていた。
よほど、あの表情を浮かべた宰相殿が、怖いようだ。
当の本人は、今は澄ました顔で、普段通りになっている。
内面を窺い知れないとも言え、宰相の地位に居るだけはあるようだ。
「宰相殿が、それほど怖いのですか?少々露骨ですよ」
「いや…そうではなくてな、悪巧みと言っては語弊があるが、仕掛ける内容を想像すると、自然とこうなっただけだ」
それはそれで如何なんだと思うが、聞かない方が精神的に良い企みを、よく考えつくと呆れてきた。
「それこそ名誉毀損では?私は、職務を遂行しているだけです」
目を眇めて、苦情を言い立てた宰相殿に、陛下が手で宥める様な動作をし、慌てている。本当に、何方が主人なんだかと言いたくなる光景で、呆気にとられていたら、咳払いが聴こえ、振り返ればアルフレッドが首を振っていた。
「何処も似たようなもので、これ位は日常茶飯事です。逆に、何も進言出来ない方が、問題ですから、我国はいい方だと思いませんか?」
間違ってはいないが、こういうのは隠すものだろう、と目配せしたのだが、何故かチェルシャ猫のような目をしていた。
「陛下に任せると、終わる仕事も終わらないのでは?」
アルフレッドが呆れて、宰相殿に任せて大丈夫か、と振りたくなるのも解るが、安易に同意する訳にもいかずに、苦笑を浮かべている。
「話は脱線しますが、書類仕事は手早いので、問題ないかと。失礼ながら、どの辺からお聞きでしたか?」
「丁度、陛下が「報告を受けてない」と言い立てたところですが?」
聞いては不味い内容だったのか、と胡乱気な視線が物語っている。
宰相殿は、流石に和かに「そうですか」と返し、それ以上の追求を躱していた。
「グレン。サムに関して、騎士団内の動きはどうだった?」
「賛否両論でしょうか…ただ、一部の騎士が妙に強硬派のようです。裏で糸を引いている貴族が、居そうな感じでした」
茶を運んできていたグレンに話を振れば、即座に応えが返ってきた。
宰相殿と似た情報だが、此方の方が生の雰囲気が感じられる。
「貴族…ね。まあ、妥当な線ですが、探るのは少々骨が折れそうです」
トカゲの尻尾切りが懸念されると、匂わせれば、宰相殿の目がスゥッと細くなり、何やら悪巧みでもしていそうな顔になっている。
「顔が怖いぞ?何を企んでいるのかは訊かないが、程々で頼む」
陛下は、腰が引き気味になりながら、一応は釘を刺していたが、形ばかりのものだ。
「説得力に欠ける態度ですな。陛下、虚勢ぐらい張って下さい。それでは、威厳の欠片もありません」
アルフレッドが、見かねたように苦言を呈しても、陛下は口元を引き攣らせるだけで、蛇に睨まれた蛙の様に固まっていた。
よほど、あの表情を浮かべた宰相殿が、怖いようだ。
当の本人は、今は澄ました顔で、普段通りになっている。
内面を窺い知れないとも言え、宰相の地位に居るだけはあるようだ。
「宰相殿が、それほど怖いのですか?少々露骨ですよ」
「いや…そうではなくてな、悪巧みと言っては語弊があるが、仕掛ける内容を想像すると、自然とこうなっただけだ」
それはそれで如何なんだと思うが、聞かない方が精神的に良い企みを、よく考えつくと呆れてきた。
「それこそ名誉毀損では?私は、職務を遂行しているだけです」
目を眇めて、苦情を言い立てた宰相殿に、陛下が手で宥める様な動作をし、慌てている。本当に、何方が主人なんだかと言いたくなる光景で、呆気にとられていたら、咳払いが聴こえ、振り返ればアルフレッドが首を振っていた。
「何処も似たようなもので、これ位は日常茶飯事です。逆に、何も進言出来ない方が、問題ですから、我国はいい方だと思いませんか?」
間違ってはいないが、こういうのは隠すものだろう、と目配せしたのだが、何故かチェルシャ猫のような目をしていた。
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