傍観者を希望

静流

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「アルフ?」

「いえ、隠す必要のない関係だと、ご理解頂ければ宜しいかと存じます」

「私が幻滅する可能性も、考慮して欲しいですね。…心配せずとも、これくらいで見捨てませんから、そんな目で見ないでくれませんか?」

「あ、いや。そう言っても、白けたような目をされるとな」

陛下がいつの間にか、此方に聴き耳を立てていたとみえ、縋るような視線を向けていた。ただの愚痴にまで過剰反応されては、おちおち口も開けない。
溜息混じりの言葉に、宰相殿も苦笑を浮かべ頷き、同意を示していた。

「セイ様でなくとも、呆れて当然の事をされてる、ご自覚はないのですか?そもそも、幻滅するだけの威厳がお有りですか?」

これまた、かなり辛辣に責めていて、日頃の鬱憤を此処で晴らしてないか、と疑念が湧いてくる。結局は、似た者同士なのだろう。

「そう言った話題は、お2人だけの時にして下さい。無駄に振り回されては、いい迷惑です」

「何でしたら、再度席を外しましょうか?どんどん脱線し、話が支離滅裂です」

アルフレッドも、自分達が居るからなら、退がるとまで申し出ている。

「陛下、悪巫山戯が過ぎたようです。セイ様のお陰で、道筋は見えましたから、後は詰めるだけです。長居をして、申し訳ありません」

宰相殿が居住いを正し詫びてきた。アルフレッドに知られたくはないが、再度退出をさせるのも、気が咎めるようだ。

「詳細は此方で詰めるが、結果は後日改めて報告させて貰う。その頃なら、裏で暗躍している貴族も割り出せているだろうからな」

最後に、宰相殿へ視線を向け、確認を取っているようだった。

「陛下、勝手に安請け合いはしないで下さい。最善は尽くしますが、相手が炙り出される確率は半々ですから、私も責任は負いかねます」

「だそうだ…勝算が、もう少し上だとは思うのだが、相手の出方次第では、時間がかかりそうだな」

「漏れ聴く話からして、非常に用心深い者のようです。上手く罠に嵌ってくれると、いいのですがね」

「敢えて、疑心暗鬼になりそうな噂を流してみるのも、1つの手ですよ。アルフ達なら、どの騎士団を重点的に狙う?」

「申し上げ難いですが、近衛騎士及び王都勤務の騎士です。慣習という悪癖で、癒着が罷り通ってます」

アルフレッドが、陛下の顔色を窺うように述べれば、やはり渋面にはなったが、意外と落ち着いて見えた。だが、手は白くなるほど握りしめられ、激情の片鱗を示している。

「そろそろ、綱紀粛正が本格的に必要なようだな。組織の膿は、この事態と併せて出しきれ」

「畏まりました。その様に、通達を出して置きます」

「その命令は、何の意味があるので?現在の総長に命じても、中身に変化は出ませんよ。精々、捏造された罪で、意に沿わない騎士を、排除する口実に利用されるだけです」

冤罪を生むと言えば、嫌な顔をしたが、内容に関する反論もない。
結局、命令は内部調査した後に、出す事で纏まった。
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