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「アルフ、脅す気か?幾ら何でも言葉が過ぎるぞ」
「いえ、そういう問題ですか。陛下が、本気で改革に取り組めば済む話です。見捨てられないように、努力して下さい」
アルフレッドに、ムッとしながら文句を言うが、宰相殿に諌められて、黙り込んでしまう。だが、何処か不服そうな雰囲気が滲み出ていた。
「アルフ、私より陛下に従うのが、筋ではないのか?直属の主だろう」
「相違ありませんが…私にも、選ぶ権利はあります。あまりにも情けないと、忠誠を誓う気も失せます」
陛下の関心がアルフレッドだと、目星を付けて取り成そうとしたのだが、当の本人は冷ややかな言葉を返してくる。
しかし、その一方で目は、この状況を愉しんでいるかのような煌めきを放っていた。
「セイ様、我ら側仕えにも心はあります。たとえ、給金を頂けなくとも付いていきたい方もいれば、大金を積まれても遠慮したい方もいます。アルフの言い分は、至極当然です」
グレンまで賛同してきては、話が拗れてきそうな流れで、思わずアルフレッドへ視線をやった。
アルフレッドも、グレンが口を挟むのは想定外だったようで、眉尻が下がって困惑しているようだ。目が合えば、微妙に縋るようで、溜息を漏らしそうになる。
このトリオは、結局同じ穴の狢だと、内心散々ボヤきまくりながらも、収拾させる為に口火を切った。
「グレンの言葉は有り難いが、アルフはあくまでも仮定で言っただけだ。そう、本気で取る必要はない。陛下も、そう拗ねないで下さい。陛下に発破をかける為に、敢えて悪役を買って出たアルフを責めては、可哀想ですよ」
「むろん、指摘されずとも承知している。態と怒ったふりをしただけだ」
陛下にも、見栄はあるようで、言い繕ってくる。だが、自分でも無理があるという自覚があるのか、少し口調が早く挙動も怪しげだ。
「そうですよね。大変失礼しました。ただ…側仕えが暴言を吐いたので、気分を害されたのではないか、と気を揉んでしまい無用の口出しをし、申し訳ありません」
さも、納得したように応じつつも、伏線を念の為に張り、口先だけの謝罪を述べた。
三文芝居の茶番劇だが、何事も落とし所が必要で、最低限陛下の威厳を確保し、丸く収まる方向に持っていく。
「いや。セイ殿を思うが故の行為だと解っている。気に病むことはない。第一、此処は無礼講だろう?それ位で、処罰はしないから安心しなさい」
鷹揚に頷きながら、赦しているが、声には棘が感じられ、少し背筋が冷えた。
逆に宰相殿は、ひっそりと安堵の息を零し、此方に頭を微かに下げてくる。
「いえ、そういう問題ですか。陛下が、本気で改革に取り組めば済む話です。見捨てられないように、努力して下さい」
アルフレッドに、ムッとしながら文句を言うが、宰相殿に諌められて、黙り込んでしまう。だが、何処か不服そうな雰囲気が滲み出ていた。
「アルフ、私より陛下に従うのが、筋ではないのか?直属の主だろう」
「相違ありませんが…私にも、選ぶ権利はあります。あまりにも情けないと、忠誠を誓う気も失せます」
陛下の関心がアルフレッドだと、目星を付けて取り成そうとしたのだが、当の本人は冷ややかな言葉を返してくる。
しかし、その一方で目は、この状況を愉しんでいるかのような煌めきを放っていた。
「セイ様、我ら側仕えにも心はあります。たとえ、給金を頂けなくとも付いていきたい方もいれば、大金を積まれても遠慮したい方もいます。アルフの言い分は、至極当然です」
グレンまで賛同してきては、話が拗れてきそうな流れで、思わずアルフレッドへ視線をやった。
アルフレッドも、グレンが口を挟むのは想定外だったようで、眉尻が下がって困惑しているようだ。目が合えば、微妙に縋るようで、溜息を漏らしそうになる。
このトリオは、結局同じ穴の狢だと、内心散々ボヤきまくりながらも、収拾させる為に口火を切った。
「グレンの言葉は有り難いが、アルフはあくまでも仮定で言っただけだ。そう、本気で取る必要はない。陛下も、そう拗ねないで下さい。陛下に発破をかける為に、敢えて悪役を買って出たアルフを責めては、可哀想ですよ」
「むろん、指摘されずとも承知している。態と怒ったふりをしただけだ」
陛下にも、見栄はあるようで、言い繕ってくる。だが、自分でも無理があるという自覚があるのか、少し口調が早く挙動も怪しげだ。
「そうですよね。大変失礼しました。ただ…側仕えが暴言を吐いたので、気分を害されたのではないか、と気を揉んでしまい無用の口出しをし、申し訳ありません」
さも、納得したように応じつつも、伏線を念の為に張り、口先だけの謝罪を述べた。
三文芝居の茶番劇だが、何事も落とし所が必要で、最低限陛下の威厳を確保し、丸く収まる方向に持っていく。
「いや。セイ殿を思うが故の行為だと解っている。気に病むことはない。第一、此処は無礼講だろう?それ位で、処罰はしないから安心しなさい」
鷹揚に頷きながら、赦しているが、声には棘が感じられ、少し背筋が冷えた。
逆に宰相殿は、ひっそりと安堵の息を零し、此方に頭を微かに下げてくる。
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