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「小鳥の囀りが、煩わしいなら、手を打ったらどうだ?」
「いえ、稀に役に立つので、それは失礼というものです。意外と、いい情報網を構築してますからね」
侍女達の情報網を、甘くみてはいけない、と真顔で諭されるとは思わなかった。
どうやら、1番の情報通は侍女のようだが、どんな顔をして聞いているのか、想像するとおかしくなってきた。
「それは、知らないとはいえ、失礼した。だが、一体どうやって聞き出しているのだ?そう簡単に、ペラペラ話さないと思うのだがな」
「それは当然です。そうそう、口を滑らす者は居ませんよ」
アルフレッドが、妙に誇らしげに応じてくる。
よく考えれば、宮司長の立場なら、その反応も納得でき、二足の草鞋も大変だ、と他人事のように思っていた。
「宮司長なら、余計に難しくないか?普通なら、警戒対象だ」
「それは言い過ぎですよ。上役とは、煙たい存在ですがね。この立場も、使いようによっては、情報収集にピッタリです。なにしろ、相談という名目がたちます」
「それって…職務規定に犯しないか?」
「もちろん抵触しません。王宮勤務の、円滑な履行を補助しているだけです」
半ば詭弁込みな気がし、ジーと見据えたのだが、和かに微笑まれただけだった。
「あまり聞いていると、空恐ろしくなりそうだ。グレンは、何処まで採りに行ったのだ?随分と遅くないか」
突いていい事はない、と話題を変えがてら、尋ねたのだが、アルフレッドも首を傾げている。
「そうですね。庭園に向かったにしては、おかしいですな」
探しますか?と目で問うてくるが、流石にそれは大袈裟な対応だろう。
グレンならば、純朴とはいえ、立場的に絡まれる恐れもない。
「薔薇といっても、品種が多種多様だからな。何か、拘りがあるのかもしれない。もう少し、待ってからで構わない」
「お茶が、完全に冷めてしまいましたね。グレンは、本質を見落とし、何を考えているのやら。私の指導不足で申し訳ありません」
本末転倒な状態に、詫びてくるが、我儘を言った結果だけに、苦笑いする以外の返答を思いつかない。
「グレンは、アレでいいのではないか?侍従ではないのだから、そう怒ることではないと思うがな」
「確かに、侍従と騎士の違いはございますが、側仕えには変わりありません。最低限の規約は存在します」
アルフレッドの言葉で、それなりの決まりが有った、と初めて知った。
だが、本人の意向だとしても、騎士がせっせと茶を入れるのも、違和感があるのだ。
「いえ、稀に役に立つので、それは失礼というものです。意外と、いい情報網を構築してますからね」
侍女達の情報網を、甘くみてはいけない、と真顔で諭されるとは思わなかった。
どうやら、1番の情報通は侍女のようだが、どんな顔をして聞いているのか、想像するとおかしくなってきた。
「それは、知らないとはいえ、失礼した。だが、一体どうやって聞き出しているのだ?そう簡単に、ペラペラ話さないと思うのだがな」
「それは当然です。そうそう、口を滑らす者は居ませんよ」
アルフレッドが、妙に誇らしげに応じてくる。
よく考えれば、宮司長の立場なら、その反応も納得でき、二足の草鞋も大変だ、と他人事のように思っていた。
「宮司長なら、余計に難しくないか?普通なら、警戒対象だ」
「それは言い過ぎですよ。上役とは、煙たい存在ですがね。この立場も、使いようによっては、情報収集にピッタリです。なにしろ、相談という名目がたちます」
「それって…職務規定に犯しないか?」
「もちろん抵触しません。王宮勤務の、円滑な履行を補助しているだけです」
半ば詭弁込みな気がし、ジーと見据えたのだが、和かに微笑まれただけだった。
「あまり聞いていると、空恐ろしくなりそうだ。グレンは、何処まで採りに行ったのだ?随分と遅くないか」
突いていい事はない、と話題を変えがてら、尋ねたのだが、アルフレッドも首を傾げている。
「そうですね。庭園に向かったにしては、おかしいですな」
探しますか?と目で問うてくるが、流石にそれは大袈裟な対応だろう。
グレンならば、純朴とはいえ、立場的に絡まれる恐れもない。
「薔薇といっても、品種が多種多様だからな。何か、拘りがあるのかもしれない。もう少し、待ってからで構わない」
「お茶が、完全に冷めてしまいましたね。グレンは、本質を見落とし、何を考えているのやら。私の指導不足で申し訳ありません」
本末転倒な状態に、詫びてくるが、我儘を言った結果だけに、苦笑いする以外の返答を思いつかない。
「グレンは、アレでいいのではないか?侍従ではないのだから、そう怒ることではないと思うがな」
「確かに、侍従と騎士の違いはございますが、側仕えには変わりありません。最低限の規約は存在します」
アルフレッドの言葉で、それなりの決まりが有った、と初めて知った。
だが、本人の意向だとしても、騎士がせっせと茶を入れるのも、違和感があるのだ。
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