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運だけはいいみたい②
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グロテリアという街へ向かって歩き出した僕は、森の小道を進んでいた。
運がいいのかモンスターのようなものに出会うことはなかったが、いくら進んでも景色が変わることもなかった。
森は広いみたいでずっと同じような道を進んでいる。途中キラキラしたキノコや淡い光を発する草など見つけることがあったので、何かに使えるかもしれないと一応拾ってはいるものの、本当にこの道を歩いていればグロテリアにつくのかどうか半信半疑になってきた。
「あ、煙が見える!」
歩き出して、初めて人の気配を感じ、つい大声を出してしまった。
森の小道からはそれてしまうが、人に会えるならと煙の出ている方へ向かった。
「おぉ……」
そこには立派な木造の家が建っていた。どうやら誰かがここに住み生活をしているみたいだった。
「すみませーん…。お伺いしたいことがあるんですけどー」
家のドアを恐る恐る開け、誰かいないか声を変えてみると、奥の方からうめき声のようなものがわずかに聞こえる。
「だ、だいじょうぶですかー…。はいりますねー。おじゃましますーー…。」
恐る恐る中に入り、声のする方へ行くと青白い顔で苦しそうにしているおばあちゃんがベッドで横になっていた。額には大粒の汗をかき本当に苦しそうだ。
「どうされたんですか!?大丈夫ですか!?」
おばあちゃんは、こっちに気が付くと少し驚いたような顔をして、だがすぐに苦しそうな顔に戻りゆっくりと口を開く。
「ポケ…ットの光って…いるのはもし…かして…」
そう言い、布団からゆっくりと腕を出して、ポケットから光をもらしているさっき拾った淡い光を発する草を指さす。
「こ、これですか!?これがいるんですか?」
おばあちゃんは、コクンと静かにうなずく。
僕はなんとなく、草を小さくちぎっておばあちゃんの口に持って行ってみる。するとおばあちゃんは口を開けて、草をむしゃむしゃと食べた。
すると、おばあちゃんの体が一瞬光って、青白い顔は変わらなかったが、汗は引き、苦しそうな感じはなくなった。
おばあちゃんは、口を開いた。
「まずはありがとう。君はなぜこんなところに?それに君は誰なんだ?」
そりゃそうか、いきなり家に入ってきて、おまえは誰だともなるよな。でもそんな奴に助けを請わないといけないくらい危なかったってことだけど。
「えぁっと、僕の名前はコタケ。グロテリアという街を目指し歩いてて、人恋しくなったときにこの家を見つけたから誰かいるかなと思って入ったんだ。それにしてもおばあちゃん、何があってそんな苦しそうにしてたの?それにさっきの草は何の役に立ったの?」
「コタケか。改めてありがとね。それにしても、グロテリアなんかにあんたみたいなひ弱そうなのが一人で行くのかい?まぁいいけど、それにしても私が人、おばあちゃん……フフフ。……私が苦しんでいたのは呪いをかけられていたからじゃよ。もう少しで死ぬとこじゃった。それにしても、あの万能薬とも呼ばれる『メトロイア』という薬草をよく持っていたな。あんな貴重なものを私のためなんかに本当にありがとう」
あれ、万能薬だったんだ、まぁおばあちゃんを助けられたしよかった。売ったらどれくらいになったんだろう。
「あ、じゃあついでに他の拾ったものについても教えてもらっても……」
「それにしても、私みたいな魔族を助けてくれるなんてな。しかも人間が。魔族の女王である私を……。感謝してもしつくせぬわ。お礼は何がいい?」
あー、どおりで顔色は青白いままなのかこれが通常色なのね。って……。魔族の女王って……。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
運がいいのかモンスターのようなものに出会うことはなかったが、いくら進んでも景色が変わることもなかった。
森は広いみたいでずっと同じような道を進んでいる。途中キラキラしたキノコや淡い光を発する草など見つけることがあったので、何かに使えるかもしれないと一応拾ってはいるものの、本当にこの道を歩いていればグロテリアにつくのかどうか半信半疑になってきた。
「あ、煙が見える!」
歩き出して、初めて人の気配を感じ、つい大声を出してしまった。
森の小道からはそれてしまうが、人に会えるならと煙の出ている方へ向かった。
「おぉ……」
そこには立派な木造の家が建っていた。どうやら誰かがここに住み生活をしているみたいだった。
「すみませーん…。お伺いしたいことがあるんですけどー」
家のドアを恐る恐る開け、誰かいないか声を変えてみると、奥の方からうめき声のようなものがわずかに聞こえる。
「だ、だいじょうぶですかー…。はいりますねー。おじゃましますーー…。」
恐る恐る中に入り、声のする方へ行くと青白い顔で苦しそうにしているおばあちゃんがベッドで横になっていた。額には大粒の汗をかき本当に苦しそうだ。
「どうされたんですか!?大丈夫ですか!?」
おばあちゃんは、こっちに気が付くと少し驚いたような顔をして、だがすぐに苦しそうな顔に戻りゆっくりと口を開く。
「ポケ…ットの光って…いるのはもし…かして…」
そう言い、布団からゆっくりと腕を出して、ポケットから光をもらしているさっき拾った淡い光を発する草を指さす。
「こ、これですか!?これがいるんですか?」
おばあちゃんは、コクンと静かにうなずく。
僕はなんとなく、草を小さくちぎっておばあちゃんの口に持って行ってみる。するとおばあちゃんは口を開けて、草をむしゃむしゃと食べた。
すると、おばあちゃんの体が一瞬光って、青白い顔は変わらなかったが、汗は引き、苦しそうな感じはなくなった。
おばあちゃんは、口を開いた。
「まずはありがとう。君はなぜこんなところに?それに君は誰なんだ?」
そりゃそうか、いきなり家に入ってきて、おまえは誰だともなるよな。でもそんな奴に助けを請わないといけないくらい危なかったってことだけど。
「えぁっと、僕の名前はコタケ。グロテリアという街を目指し歩いてて、人恋しくなったときにこの家を見つけたから誰かいるかなと思って入ったんだ。それにしてもおばあちゃん、何があってそんな苦しそうにしてたの?それにさっきの草は何の役に立ったの?」
「コタケか。改めてありがとね。それにしても、グロテリアなんかにあんたみたいなひ弱そうなのが一人で行くのかい?まぁいいけど、それにしても私が人、おばあちゃん……フフフ。……私が苦しんでいたのは呪いをかけられていたからじゃよ。もう少しで死ぬとこじゃった。それにしても、あの万能薬とも呼ばれる『メトロイア』という薬草をよく持っていたな。あんな貴重なものを私のためなんかに本当にありがとう」
あれ、万能薬だったんだ、まぁおばあちゃんを助けられたしよかった。売ったらどれくらいになったんだろう。
「あ、じゃあついでに他の拾ったものについても教えてもらっても……」
「それにしても、私みたいな魔族を助けてくれるなんてな。しかも人間が。魔族の女王である私を……。感謝してもしつくせぬわ。お礼は何がいい?」
あー、どおりで顔色は青白いままなのかこれが通常色なのね。って……。魔族の女王って……。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
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