せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我

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初めての依頼『ミーストフラワーの採取』④

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 このミーストフラワーの採取の依頼自体は報酬金が少ないので、道すがら売れそうなものはマジックバッグに入れて持って帰り、売ることにした。
 今のところ売れそうなのは、ブルルの折れた角とブルルの肉くらい。
「なぁ、クレハ。この森には他に売れそうな素材はないのか?」
「まだ、ミーストフラワーさえ見つけてないのに、他のものも探そうっていうの?…それも面白そうじゃない!ついでだし、依頼の素材以外にも持って帰って売ってもいいと思うわ!リョウトは一文無しだし!」
 自分で思うのはいいけど、他人に一文無しといわれるのはなんか嫌だな。まぁ、本当のことだしどうしようもないけれど。
「うーん、ブルルを倒して手に入れるもの以外だと、クロックストーンとか?あとは、ホットサンフラワーとかかな!」
「それはどんな効果のある素材なんだ?」
「えーっとね…。〈クロックストーン〉は時計の針のような模様のある石なんだけど、地面にたたきつけると火花を散らして現在の大まかな時刻がわかる石だよ。それと、〈ホットサンフラワー〉は、その花の茎を水につけると水を温水に変えることのできる花なんだ。どっちも高値ではないけど、ギルドでも買取してくれたりするんだよ」
「そういえば、ギルドでも素材は売れるんだな」
「うん、ギルドでもいらない素材は買い取ってくれたりするし、ちょうどその素材の採取を求めている依頼があれば、買取じゃなくて依頼達成としての報酬金をくれたりするんだよ」
 なるほど、じゃあとりあえず使えそうなものはマジックバッグに入れておいた方がいいってことなんだな。
 それからは、ミーストフラワーを探しながら、売れそうな素材のようなものがあればマジックバッグに入れておいた。

 歩き続けていると、道が開けて湖が見えてきた。
「あっ!リョウト!あったよ!あれがミーストフラワーだよ!」
 少し離れた湖のそばに花がたくさん咲いている場所があり、その中に3本だけ背の高い花が生えていた。クレハが言うにはどうやらその3本がミーストフラワーの目印らしい。
 ただ……。その花の周りには5体のブルルがいた。
「すぐにでもミーストフラワーを採取したいけど、ブルルが5体もいるんじゃ私も手伝った方がいいよね!」
 クレハが、ブルルとの戦闘の手助けを申し出てくれる。が、俺は数秒考えその提案を断ることにした。
「クレハ、ありがとう。でも、大丈夫。せっかくこんなにサポートしていろいろ教えてもらいながらここまでこれたのに、最後も手伝ってもらったんじゃあせっかく冒険者になれたのに、何にもしていないみたいになるから。俺に戦わせてくれないか?それに俺の赤いマジックバッグに体当たりしてくるんだから、俺が全部相手して倒してみせるよ」
 俺は、剣を抜きブルルの集団に向けて構える。
 幸い、まだブルルたちは俺たちの存在に気づいていない。このまま近づいて、せめて1体か2体は倒しておきたい。
 俺はクレハにここで見ててもらえるようお願いをし、慎重に気配を消してブルルの背後に周り近づく。
 10m手前まで来た。
 俺の剣は長さが1mくらい、距離を考えると2メートル手前まで近づけば余裕で切り払える可能性が高い。
 8m……5m……音を立てないよう息を落ち着けながら近づく。
 4m……!!
 その時、一番奥のブルル。先頭に立つリーダー格が耳をしきりに動かし…こっちを振り向いた。
 まだ距離は、3mはある。他のブルルも振り向き始めている。
 俺は意を決して、剣を横薙ぎしながらブルルの集団へ飛び込む。
『ブモォォ……』
 手前にいた1体がこちらを振り向く前に何とか薙ぎ倒すことが出来たが、他の4体は俺から距離をとる。
 距離をとった後、俺の腰のマジックバッグを視界にとらえ4体一斉に体当たりをしてきた。
 ズドッ!!ズド!!
「ゔあっ……!!」
 連鎖的に受けた衝撃で後方へ弾き飛ばされる。
 1体体当たりであれば、たいしたダメージもなく踏みとどまれたのだけれど、4体同時だと痛みも強く受け止めきれない。
 俺は転がり、4体のブルルはまた距離をとる。
 次の攻撃に備えて、痛みを我慢しながら立ち上がる。
 4体の体当たりといっても、正直動けなくなるとか、立ち上がれなくなるとかそういうことはない。
 だけど、このままだと倒せない。
 俺は剣を構えて、さっきと同じようにマジックバッグに向かってくるのを直前でとらえて倒す方法をとることにした。
 ブルルが飛び込んでくる。
 俺はそれに合わせて剣を振り下ろす!捕らえた!!
 ズドッズドドッッ!!
「ゔゔっ……」
 捕らえたはずだったが、別方向からの体当たりで空振ってしまった。
 どうやら、1体が別方向から飛び込んできたみたいだ。
 正面から体当たりしてきたのは3体だけ……。
 そして、弾き飛ばされた俺が立ち上がるころには、ブルルたちは距離をとっている。
 数が増えるだけでこんなに、こんなに強くなるなんて……。
 そして、よく見ると今度は2体ずつ少し離れて位置をとっていた。
「リョウト!大丈夫!?手伝おうか?」
 クレハが、心配してくれる。
 でも、こんな状況くらい一人で打開出来ないと、冒険者なんて名乗れない。クレハと一緒に依頼を受けるには足手まといだ
「大丈夫!!なんとかしてみせる!!」
 俺は距離を縮めないよう、注意を払いながら、この状況の打開策を考える。
 ここから、どうすれば、4体のブルルを倒すことが出来る……!?
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