せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我

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初めての依頼『ミーストフラワーの採取』⑤

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 2体ずつ2方向に分かれたブルル。
 注意が割かれるとどうしても攻撃を避けきれず、こちらの攻撃も当てることが出来ない。
 だから、マジックバッグからあるアイテムを取り出した。
 距離を置くことをやめて、ブルルの攻撃に備える。
 瞬間。両方向から4体のブルルが同時に体当たりをするため、走り出した。
 俺はそれを合図に取り出したアイテムを地面にたたきつける。
「うらっ!!」
 ボン!っと音を立て、バチバチバチ!!!と火花をあげる。そして地面には現在の時刻が現れる。
 火花が散ったことで4体のブルルは同時にひるんだ。そのうちの1方向へ飛び込み2体同時に剣を横に薙ぎ、倒す。
 そう、俺が投げたのは、今日この森で拾った素材、アイテムの一つ〈クロックストーン〉だ。
 やはりモンスターとはいえ、前いた世界にいた動物と似たような性質を持っていた。
 それは、強い光や火花などを恐れるということ。
 使ったことはなかったが、クレハが会話の中で、投げると火花を散らして大まかな時刻が分かる。と説明してくれたから、その火花を利用してみた。それが、何とか功を制したみたいだ。
 残りは2体。残りのブルルはまた距離をとろうとする。が、俺はそれをさせないよう距離を詰めた。
 距離をとることで攻撃しづらくなり、向こうの助走距離を作らせてしまう。ということにようやく気付いたからだ。
 だから、距離をとらせず、即座に飛び込んだ。
「ううぁぁぁああ!!」
 そのまま、剣で切りつけさらに1体を仕留めることが出来た。
「ブ……ブ……ブモォォォォオオオオ!!!!!!」
 残り1体、と思ったところで、最後のブルルに異変が起こり始めた。
「な……なんだ!?」
 急に雄たけびを上げ、ブルルの体が青い光で輝き始めた。
「ま……マズい!!!リョウト!逃げて!!」
「ブモォォォォ!!」
 クレハが、叫んだ時には俺の体は、宙を舞っていた。
「えっ…………」
 視界が反転し上が地面になる。
 視界の端で雄たけびを上げたブルルの姿が一瞬見えるが、すぐに体にまた激痛が走る。
「ブブブモォォォォ!!」
 耳がマヒし、視界がぼやけ、体の自由が利かなくなる。
 ドゴォォォォン!!
「だ…大丈夫!?リョウト!」
 どうやら俺は、ブルルに体当たりされ、一度宙に投げ飛ばされた後、再度体当たりされて、後方にいたクレハのところまでぶっ飛ばされたみたいだ。
 そして、クレハが、身体で受け止めてくれた。
「な、なんとか……生きてる…な……何が起こって…………」
 俺を支えたままブルルへ注意を向けるクレハに、何が起こったのか聞く。
「最後に残ったブルルは、さっきまで集団の先頭にいリーダー格だったみたい。自分の部下が全てやられ多ことをきっかけに、怒りか喪失感かの変化によってブルルが進化したのよ。〈ブルーブルル〉へ。ブルーブルルのモンスターとしてのランクはDランク。今のリョウトじゃ難しいわ!だから、休んでて!私とバトンタッチよ!」
 そう言って、クレハが俺を座らせてくれ、剣を構える。
 ブルーブルルは、ブルルの時に比べ体が一回り大きくなり、ピンク色だった身体は青に変わっていた。
 あれがDランクモンスター、レベルが違いすぎる…………。
 それにモンスターが進化するなんて……。
「次は私が相手よ!」
 クレハは、果敢にもブルーブルルのもとへ飛び込んだ。
 ズ…………カーン…!!!
 ブルーブルルもクレハへ向け突進をし、クレハを上空へ弾き飛ばした。
 だが、クレハは剣で衝撃を受け流して自ら上空へ弾かれた様子で、空中で器用に回転し、ブルーブルルへ向けて剣を構える。
「ブルルルッォオォォ!!」
「〈ヘビースマッシュ〉!!!」
 上空からの下降スピードも乗せブルーブルルの脳天へ剣を振り下ろした。
 その大きな衝撃でブルーブルルは地面に衝撃波とともに叩きつけられ、倒れる。
「ふうぅ、リョウト!大丈夫!?」
 クレハは俺のところに駆け寄り、心配してくれる。
 こ…………これが、俺が次に目指すべきDランク冒険者の強さ。
 ブルーブルルにやられかけてしまうレベルじゃだめだ。
 俺は、なんて弱いんだ。
 心配するクレハをよそに、異世界といってもあくまで楽しいことしかない場所なんて甘く考えていた俺には、自分のふがいなさと見積もりの甘さに反省をするしかなかった。
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