せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね？ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジンスの本音①

　ソラン都の決闘の後。
　城のほとんどの人たちに俺の実力も認めてもらうことが出来、普通に生活をするだけで親しく声をかけてもらえるようになった。
　決闘から数日は城での生活をゆっくりと送るが出来て、あぁ、こんなにゆっくりと1日1日を過ごせるなんて、ずっと求めていたことがだけど、なんて幸せな事だろうとかみしめていた。
　クレハに城の中を案内してもらったり、魔族の文化や常識を教えてもらったりと、ゆったりした時間の中でなかなかに充実した日々を3日ほど過ごした。
　だが、あと2人。ソランは城からいなくなったのでクリアしたということで、あと2人。
　ソリティアさんとジンスだ。
　ソリティアさんはどうすれば俺とクレハのこと………。というか俺のことを認めてもらえるのかわからないけど、ジンスは1日一緒に門番の仕事をすればいいみたいだ。
　ただ、ジンスは今遠征中らしくてこの城にいない。
　まぁ、だからここ数日ゆっくりと過ごせたわけだけど。
　俺も今は城の中を散歩中だし。
　ワープゾーンを適当に飛びまくっていたら迷子になるという散歩中だ。
　そういえば、ソリティアさんも最近見ていないな。
　クレハは、今この城の城主にして魔王軍幹部のアテクさん治める領土の視察に行っているし。
　あぁ、暇だ。
　あ、そういえば、昨日食べたステーキ美味しかったなぁ。〈アラスバード〉っていう寿命が90年もある鳥のステーキだったんだけど、口の中に入れた瞬間美味しすぎて飲み込んでしまうほど美味しかったなぁ。やっぱり、お城のコックさんが作ってくれるだけある。ソースの数種類あって、味にも飽きないし、配慮がすごいんだよなぁ。
　なんか魔王とかどうこう抜きにしても、この城に住み続けれたらいいなぁ。
　できれば、何もせずに居座りたい。
　その時、近くのワープゾーンから、クレハと細身だが強そうなオーラをまとった男がいきなり現れた。
「あ！リョウト！ちょうどよかった。紹介するね！この人がジンスだよ！」
　ジンス………俺が認めさせなと行けない3人目の人。
「初めまして、リョウトです。よろしくお願いします」
「あぁ、君がリョウトだね。クレハから話は聞いているよ。よろしくね」
　そう言って、笑顔で握手をしてくれるジンスさんはすごくいい人の様だ。
「あ、さっそくなんだけど、僕と門番の仕事を1日一緒にやってほしいっていう件。明日でもいいかな？」
「あ、明日ですか？全然いいですよ！よろしくお願いします」
　現れてすぐ、とんとん拍子で話を決められてしまった。
　気づいた時には、クレハは別のワープゾーンから食堂に向かっていた。