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最終話

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「ぐーれーんー、準備できたよー」

「あぁ、今行く」

庭の落ち葉をあるだけ集める。
どうやら焚き火をする様だ。

「えっ、グレンそれ……」

「こんな物騒なもの、取っておいても仕方がないからな」

彼は両手で火花を散らせると、ローブに火を灯して落ち葉の山へと投げ入れる。

「……えへへ」

「どうした?」

「いや、グレンはそっちの魔法の方が似合ってるなって」

「……どういう事だ?」

「グレンは本当は暖かくて、みんなのヒーローだもんね」

グレンの手を握る

「……アルク、恋人スカーレットとお前には辛い思いをさせてしまったようだが」

そのままグレンは俺の手を持ったまま俺の前で跪く。
そして手の甲にキスをする。

「それでも私にはお前が必要だ、これからも共にいてくれると助かる」

「えっ…あっ…えぇっ?」

びっくりして変な声が出てしまった。
グレンは温かい赤い瞳でこちらを見つめている。

「それでは、炎が燃え広がらないように見ておいてくれ」

「……はっ」

「ちょっ…グレン!!俺も!グレンってばー!」

グレンは何事もなかった様に屋敷の中へと戻って行ってしまう。

「グレンーーーー!!!俺もグレンの事が大好きだからなーーーーー!」

思い切り叫ぶ、今まで言えなかった分、屋敷へと逃げるグレンの背中に叩き込む。
グレンは悪そうな顔で少しだけこちらを向き、屋敷に入っていってしまった。

「まったく、言い逃げなんて許さないからな!!」



とある街には、小さくて可愛らしい黒の魔術師と、とても恐ろしい白の魔術師がいたそうです。
黒の魔術師は実は男であるとか、白の魔術師と目があったら殺されてしまうという噂が流れてはいますが、街の人は誰も正体を教えてはくれません。

「はいよ、エッグトーストサンドおまち!」

「えへ、これこれ」

「ふぁぁ……まったく、早く人形パペットの自動操作くらいしてもらいたいのだが」

「影でいふぉーふぇきるひょうになったんだからいいでしょ!」

「アルク、朝食でも外ではマナーは必要だ」

「んぐっ…ふぁい」



街は、今日も平和なようです。


END
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