戦火は金色の追憶と白銀の剣のうちに

井熊蒼斗

文字の大きさ
44 / 45
第一章 王女救出編

第16話 天使みたいだ

しおりを挟む
 オトゥリアの秘策とは、魔獣の使役テイムであった。
 例えば、冰黒狼ダイアウルフの長である戦狂狼フレンジーウルフを例にとってみると、その魔獣は人を乗せた状態のまま、時速40マイルで数時間は走ることが出来るという。

 迷宮攻略においては、一般的な冒険者の歩行時速は4マイル程度。
 戦狂狼フレンジーウルフ一匹だけで、迷宮の突破速度が10倍にもなるのである。

 オトゥリアが狙うのは、その戦狂狼フレンジーウルフ等のオオカミ系統の種が長い年月を経て研鑽を積んだ上位の存在、白仙狼フェンリルである。
 速さは戦狂狼フレンジーウルフと大して変わらぬものの、持久力や戦闘力は遥かに高いと言われている。

 オオカミ系統の種はどの種であれ、歴戦の群れの長はいずれ白仙狼フェンリルという高みへと到達する。
 そんな群れの長たる戦狂狼フレンジーウルフですら平伏し、崇めるような山の主。

 冒険者ギルドでは、白仙狼フェンリルの討伐に必要なものとして上級冒険者の資格かつ、竜種を相当数倒している実績があげられる。
 上級冒険者であっても、実績が無い限り討伐の許可は降りることがない上、討伐を成功させて帰還した冒険者も少ないという危険な魔獣である。
 使役の難易度は高そうであるが、成功すれば持久力や戦闘力で大いに役立つことは間違いないだろう。

 オトゥリアは、この日のために大金を叩き、使役テイム用のアイテムを2枚購入していた。
 そのアイテムとは、魔法紙スクロール
 魔力を流せば、紙に書かれた魔法陣が発動するという、近年開発された最新鋭の技術の代物である。

 魔法の才がない者でも、魔力を通すだけで魔法が行使できるようになったために、この魔法紙スクロールの技術は未だに開発中の物の中でも革新的なものであった。

 ただし、魔法紙スクロールは致命的な欠点も孕んでいる。
 誰でも魔力を流せば擬似的に魔法が使えるようになる代わりに、発動された魔法紙スクロールは燃え尽きてしまう。

 魔法紙スクロール1枚あたり、使用は1度きり。
 その上、魔法陣を描ける人物しか描けないものであるため値段は高価である。

 今回、オトゥリアが持ってきているのは2枚。それら全ては魔獣を手懐けるための魔法である。
 乗ることができそうな魔獣を探しておけば、ここから先は苦労しない。
 そうして、適当な魔獣は何だろうかと調べた結果、彼女は白仙狼フェンリルという結論に行き着いたのだ。



 アルウィンたちは13層と14層を繋ぐ洞窟の廻廊を下って、14層へ足を運んでいた。
 地底湖のような雄大な景色はなく、あるのは時折ヒカリゴケの光があるだけの洞窟のみである。

 14層は1層と異なり、暗闇から幾度となく魔獣が襲いかかってきていた。
 襲ってくる魔獣の殆どはアルウィンの身ほどありそうな大きさの巨大グモやサソリ、そして、巨大なカエルなどだ。

 それらはアルウィンとオトゥリアの苦戦するような敵ではなかった。
 ただただ剣を振るだけで、クモやサソリの外骨格をいとも容易く斬り裂いていく2人。
 走るように斬り伏せながら、14層の最短ルートを突っ切るのだ。

 けれども、そんなときに。
 天井からぴとんと垂れ下がってきた、一滴の粘液。

「クソっ、何だこれ!
 いくら拭いてもぬめり気がこびりついて取れねぇ」

 アルウィンの鼻先に落ちたそれは、アンモニアのような強烈な臭気を放っていた。
 鼻腔を侵食する苦痛なほどの悪臭に、顔を歪めるアルウィン。

「アルウィン、この手のカエルの粘液には、氷魔法が有効だよ」

 アルウィンから急いで離れたオトゥリアが、彼に対して鼻が詰まったような声でそう伝える。
 更に、彼女の声は僅かに遠くなっていた。
 アルウィンが振り返ると、彼女の立つ位置は、彼から15ヤードほど離れた場所にまで後退していたのである。
 彼女は彼から発せられる堪らない臭気に、鼻を押さえながら急いで距離を取っていた。

「ああクソっ!〝氷結フリーズ〟」

 アルウィンは氷の初級魔法の出力を下げながら鼻先へ吹きかけた。
 途端、粘液は白く凍りついて砕け散る。

 アルウィンがふぅと深いため息をつくと、漸く戻ってきたオトゥリアがお疲れ様と一言。

「近くに居るよね。その粘液の主が」

「そうだな。間違いねぇ」

 アルウィンは剣を片手に周囲を見回した。
 けれど、周辺の魔力の動きも特に異常はない。

「ここの層から19層かけての道のりには、何種類かの巨大カエルがひしめいてるって話なんだけど…
 一番危険なのは、洞蝦蟇ヤーガーグローダだって」

「なんだそれ?聞いたことがないな」

洞蝦蟇ヤーガーグローダはね、エヴィゲゥルド王国には生息していない種なんだ。
 私も戦ったことはない。
 アルウィンが知らないのも無理はないよ」

「えっ、それはどういうこと?
 何で……そんな種がここにいるんだ?」

「恐らく、〝地脈〟の干渉だろうね」

「なるほど……じゃ、この迷宮は……」

「そういう事だよ。
 冒険者たちには洞蝦蟇ヤーガーグローダを攻略法なしじゃ初見で倒せないんだ。
 ただのカエルなら氷魔法で粘膜を凍らせて斬ればいいけど、洞蝦蟇ヤーガーグローダは氷魔法を無効化するんだ。
 あと、知性が高いらしい」

「じゃあ……どうやって倒すんだ?
 普通に剣が通るとか?」

「いや、粘液に阻まれるよ。
 ただ、その粘液は……油分を含んでいて可燃性なんだ」

 彼女の瞳に映るアルウィンの姿は、少しだけ揺らいでいた。

「オレは火魔法に適性がないんだ。その洞蝦蟇ヤーガーグローダに見つかった時はどうするんだよ」

「その時は……唯一粘液に守られていない目を狙うよ」

 オトゥリアのアクアマリンの色を放つ瞳は柔らかく、微笑む唇からはアルウィンを包み込むような温かさが漂っていた。
 その表情には、無言のうちに「大丈夫だよ」と伝えるような確かな信頼が感じられる。

 その表情を汲み取ったアルウィンはというと。

「そっか!行くぞ!」

 勿論、オトゥリアには全幅の信頼を寄せているため、落ち着きを取り戻していた。

 そんな中で。
 ドシンと、洞窟全体に振動が伝わってくる。

 アルウィンが魔力感知を発動させると、存在感を放つのは2体の魔獣。
 2人の声に気付いた周辺の巨大カエルが襲いかかってきていたのだった。
 藍色の皮膚の個体と、赤茶色の皮膚の個体だ。

 すぐさま、2人は駆け出していた。
 先頭はアルウィン。
 そのすぐ後ろをオトゥリアが追う。

 剣を弾くカエルの粘液にアルウィンが氷魔法をかけ、すぐさま真二つに叩き割るオトゥリア。
 2人の間に言葉はない。
 互いを深く理解してるからこその高度な連携である。

 オトゥリアはアルウィンに拳を突き出し、彼もそれに自身のものを合わせた。
 前衛のアルウィンが氷魔法をかけ、後衛のオトゥリアが飛び出しながら叩き割る───そのような連携で、彼らは進んでいく。

 運が良かったのか、14層で洞蝦蟇ヤーガーグローダには出会うことはなかった。
 2人が14層で討伐した巨大カエルは、合計12匹。
 巨大カエルに襲われていたいくつかの冒険者パーティーも救出し、全てオトゥリアの一撃で葬っている。
 その、烈火の如き快進撃に、周辺の冒険者たちは口を大きく開けるだけであった。

「いよっし!14層突破だ!」

 15層の転移盤ワープポイントを踏み抜いたアルウィンが高らかにそう叫ぶ。

「アルウィン、結構魔法を撃ってもらったけど、魔力の方は大丈夫?」

 オトゥリアは上目遣いでアルウィンを眺めていた。
 吸い寄せられるかのような魅力のある長いまつ毛を見、彼は暫くの間は息をすることを忘れていた。
 けれども。
 ハッと正気に戻ったような素振りを見せた彼は、口を開く。

「問題ないな。
 オレの魔力総量は多いし、回復速度も昔に比べれば早くなってるから、初級魔法を一発撃っても30秒くらいでその消費量を回復できるんだ」

 仮に、現在のアルウィンの魔力増量を浴槽の水に例えるならば、初級魔法一発で消費する魔力は一さじ程度の微々たるものである。
 アルウィンの魔力回復の速度も、魔力で永続的に脚力強化をしながらでも少しづつ回復出来るほどの速度にまで達していた。

「流石だね。じゃあ、このまま19層までこんな感じでスピードを上げても魔力は問題なさそうかな?」

「行ける。オレに任せろ」

 アルウィンがそう言った途端であった。
 洞窟の岩の隙間という隙間から、カサコソと嫌な音がしたのである。

 地を這うのは、赤黒い影。
 そしてそれらは、瞬く間にアルウィンとオトゥリアの2人を取り囲んでしまっていた。

 ───サソリだ。

 剣を引き抜いたアルウィンは、すぐさま前方の巨大サソリの群れに突入していった。
 15層に入った途端に囲まれた彼らは、突破口を作るために前方でいちばん薄い箇所を突き抜けていく。

 襲いかかろうとするサソリを5体同時に撃破するアルウィンの鋭い一振り。
 右隣では、オトゥリアの放つ剣閃に吹き飛ばされる十数匹が見えた。

 ───すげぇ膂力だな。オトゥリアって……

 サソリのくすんだ緑の血が、辺り一面に池を作る。
 しかし、サソリたちの連携には目を見張るものがあった。
 薄い場所を抜かれまいと、その箇所を厚くするべくカサコソ蠢いていたのである。
 その連携は、本能に寄るものだろう。
 けれどもそれは、さながら戦場に名軍師でもいるかのような迅速な補填だったのである。

「アルウィン!」

 先に状況に気が付いたのはオトゥリアであった。

「時間の無駄だから、跳んで抜けた方がいいよ。絶対」

 どれだけ進もうと、退路を塞ぐサソリの群れ。
 斬っても斬っても新手が出てくる状況で、キリがない。
 間違いなく、サソリ達は本能的に集団戦法を理解しているような節があった。

「跳ぶしかないな。でも、どうやって距離を稼ぐんだ?」

 サソリの群れは、アルウィンたちを逃すまいと100ヤードほど向こうにまで厚く伸びてしまっていた。
 アルウィンが跳躍で飛べる最大の距離であってもせいぜい60ヤード程度。
 着地したところでサソリに再び囲まれてしまうのだ。

「アルウィン。こうやるんだよ!」

 剣を仕舞ったオトゥリアは、足に魔力を込めて駆け上がった。
 ふわりと、柔らかい金色の長い髪が巻き上がる。
 オトゥリアの飛んだ方向は、真正面でなく斜め右方向だった。

 オトゥリアの飛んだ方向は、右端の洞窟の壁だったのである。

 ───そういう事か!

 そうアルウィンが気付いた途端。
 洞窟の壁の出っ張りに上手に足を乗せて着地したオトゥリアが、その足場から左方向へひらりと舞った。
 広がっていたのは、流れるような金髪とスカート。
 その姿は、〝鈴蘭騎士〟とだけで表現するには物足りないだろう。
 まさに、その姿は。

 ───天使、みたいだ…

 絵本でしか見たことがない天使という存在。
 その羽を伸ばした姿に、優雅に着地するオトゥリアが重なっていた。

「オレって、幸せなんだな…」

 ───口角が上がっていると思う。多分、跳んでいるオレの姿はニヘラ顔なのだろう。
 だけど。
 オトゥリアの背中を見ているだけで何故か幸せだ。
 いつか、追い越してやると思った背中なのに。
 追いかけることが幸せだったのだろうか。
 もし追いついたら、その先に何があるんだろうか。

 着地した途端、「何でニヤけてんの?」と指摘され、耳まで赤く染めてしまったことはアルウィンだけの秘密である。





_____________________

今回の話について、結果的にMy Ha〇r is B〇dの曲みたいなタイトルになってしまったのは内緒です。
偶然、語感が似てしまった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...