27 / 27
第26話 ミリア - 裏エピローグ -
しおりを挟む
パリン。
小さな音と共に、小さな宝石が割れる。
その宝石は台座の上に設置されており、既に4つの内2つが粉々に割れていた。
一つは、『千本桜』クロエが裏切った瞬間に。
一つは、『千里眼』ハーレスが殺された瞬間に。
「言いたいことは何かあるか?」
「いえ、私は命令に従ったのみですので」
「そうか。じゃぁアタシの命令が悪くて、ハーレスは殺されたって言うのか?」
「奴等の方が一枚上手だった点をさせば、結果的には」
「……イリス、次はお前が行け。レイ以外の味方は全員殺せ」
「承知いたしました」
イリスはそのまま一瞬にして姿を消す。そこに残るのは『老獪』アルベアと、魔王ウェストのみだった。
ウェストは玉座に座り直すと、アルベアを見下ろす。
「イリスで勝てると思うか?」
「恐れながら、彼女でも勝てはしないでしょう。元々魔王軍は対NPC用に作られていますから、PvP等には向いてないですから、彼女達の存在は過剰戦力になります」
「だよなぁ。……じゃぁ、やっぱアタシが直々に行くしかないよなぁ?」
「お供しましょう。唯一私だけが、対等に渡り合えるでしょうから」
ウェストは頷くと、軽快に腰を上げてアルベアの横を通る。
その瞬間、アルベアは手を伸ばし、ウェストの命を吸収しようとする。
しかし、その手がウェストに触れ、力を吸い取ろうとしても、何も吸収されてこない。
それを意味する所は、つまり......。
「満足か?」
「……やはり、貴女と恐らく『色欲の捕食者』レイは、ゲーム故に物体的な命を持たない。私の天敵と言う事になりますね」
「だろうな。いや、レイはどうだろうな。アタシはこのゲームに外から入ってるが、アイツは外の世界に肉体が無い。ならばもうそれは、この世界にしか命が無いってことにならないか?」
「私の能力の命の定義が、NPCかプレイヤーかで別れているのであれば、間違いなく後者は吸えません。私も、他の者達しか相手に出来ないようです」
「あいつのフィールドだが、そこはもうアタシのフィールドに書き換えた。果たして、製作者と改変者、どちらが上になるだろうな?」
そう言って不敵な笑みを浮かべたまま、ウェストはレイの元へと向かう。
レイはこれから、魔王と魔王軍四天王を2人相手しなければならないのだった。
小さな音と共に、小さな宝石が割れる。
その宝石は台座の上に設置されており、既に4つの内2つが粉々に割れていた。
一つは、『千本桜』クロエが裏切った瞬間に。
一つは、『千里眼』ハーレスが殺された瞬間に。
「言いたいことは何かあるか?」
「いえ、私は命令に従ったのみですので」
「そうか。じゃぁアタシの命令が悪くて、ハーレスは殺されたって言うのか?」
「奴等の方が一枚上手だった点をさせば、結果的には」
「……イリス、次はお前が行け。レイ以外の味方は全員殺せ」
「承知いたしました」
イリスはそのまま一瞬にして姿を消す。そこに残るのは『老獪』アルベアと、魔王ウェストのみだった。
ウェストは玉座に座り直すと、アルベアを見下ろす。
「イリスで勝てると思うか?」
「恐れながら、彼女でも勝てはしないでしょう。元々魔王軍は対NPC用に作られていますから、PvP等には向いてないですから、彼女達の存在は過剰戦力になります」
「だよなぁ。……じゃぁ、やっぱアタシが直々に行くしかないよなぁ?」
「お供しましょう。唯一私だけが、対等に渡り合えるでしょうから」
ウェストは頷くと、軽快に腰を上げてアルベアの横を通る。
その瞬間、アルベアは手を伸ばし、ウェストの命を吸収しようとする。
しかし、その手がウェストに触れ、力を吸い取ろうとしても、何も吸収されてこない。
それを意味する所は、つまり......。
「満足か?」
「……やはり、貴女と恐らく『色欲の捕食者』レイは、ゲーム故に物体的な命を持たない。私の天敵と言う事になりますね」
「だろうな。いや、レイはどうだろうな。アタシはこのゲームに外から入ってるが、アイツは外の世界に肉体が無い。ならばもうそれは、この世界にしか命が無いってことにならないか?」
「私の能力の命の定義が、NPCかプレイヤーかで別れているのであれば、間違いなく後者は吸えません。私も、他の者達しか相手に出来ないようです」
「あいつのフィールドだが、そこはもうアタシのフィールドに書き換えた。果たして、製作者と改変者、どちらが上になるだろうな?」
そう言って不敵な笑みを浮かべたまま、ウェストはレイの元へと向かう。
レイはこれから、魔王と魔王軍四天王を2人相手しなければならないのだった。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる