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第参章 深雪×???
第参話 崩壊する世界
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工具室へと入り、金庫の中にある鍵を手に取ると、足首の枷が外れる。
これで彼女の心とこの世界を繋ぎ止めていないため、彼女が死んでも現実世界にはなんの影響も起きない。
後はこの世界で死ねば、現実世界へと戻ることが出来る。
しかし、このままただ還っては、この世界に来た意味が無い。
詩織との決着をつける必要がある。彼女の好きな人、パートナーのことは、すっかり記憶には無くなっていった。
深雪は道具を抱えると、地下に続く階段を探す。
そこは様々な設備が入っているのだが、そこで彼女は水を止めようとしていた。
黒い靄が必ず出るのは、トイレと水呑場。すなわち、水に関係しているものが傍にあるときだ。
あるとすれば設備室のそば、地図上に不自然な空欄がある。
そこを目指して走った先に、化け物が徘徊している。それについては既に対策済みだ。
消火ベルを事前に鳴らし、化け物達はそちらに向かっている。
音がけたたましく鳴るため、ペタペタと深雪が走る際になる足音は特に裸足のため掻き消されていた。
設備室は力付くでドアノブを壊して入り、そこで水を止める。
そして、代わりに今まで水が止まっていた場所に逆流して一気に外へと吹き出した。
それは、学校を覆っている川だ。数々の死体を流していき、校内の化け物達も水に誘われて外へと出ていく。
この水が何を表しているのかというのは、詩織の死因だ。
彼女は雨の日に校舎の傍で、溺死体として見付かった。だからこの40年以上前の校舎を舞台に、雨の中、彼女の死に際の印象に残っていた川が学校を結界の様に覆っていたのだ。
すなわち、詩織にとって川はトラウマで、水は恐怖でしかない。
赤黒い川が外で流れており、詩織はこの学校に閉じ込められた。
化け物達の正体は元この場所で死んだ少女達であると同時に、詩織の恐怖心でもあったのだ。
水がある程度流れて川の水位が下がると、深雪は水の出始めていた場所へと入っていく。
そこは大して高くもない崖下の、たった一ヶ所の水門だった。
水門の中はジメジメとしており、その奥は下水道のようになっていた。
そして下水道を、その酷い臭いに耐えながら進んで行くと、そこには黒い靄に取り付かれた少女の遺体が転がっていた。
取り付かれたというよりも、正確には彼女から黒い靄が出ているというのが正しい。
そして彼女こそ、このお呪いを産み出し、詩織という名前で呪い師を名乗っていた少女、深瀬伊織である。
伊織が死んだ、死んだ伊織ということから安直に死織、そこから当てにならない噂で詩織に名前が変わったようだ。
深雪は伊織の死体をスコップで殴る。そして何度も何度も突くと、その背後から下水道に響き渡る叫び声で苦痛に耐えきれない叫び声がする。
「やめなさい・・・・・・! お前だけは、お前だけは・・・・・・!!」
身体を貫かれ、身体のあちこちが折れた詩織が血を流しながらやって来る。
だが、本体を何度も何度も殴り刺して行くことで、詩織もまた全身から鮮血を吹き出していく。
そして最後に残していた頭部を思いっきり踏み潰すことで、世界の崩壊が始まった。
「お前を、巻き込んで、殺してやるううううううううううう!!!!!」
「そうね、それが良いわ。だって、恋人の居ないこの世界に、生きている価値なんて、ないもの」
そういって、苦痛に助けを求める少女を見捨てた先程の光景を思い出す。
彼女は深雪の恋人だった。誰にも悟られないように、必死に隠れながら付き合っていた彼女。
何度も愛し合っていた記憶は、彼女にしか残ってなくて、それを思い出した時には彼女はもう命を落とした後だった。
詩織の亡骸を後にして、世界が崩壊するのを見届ける。
このまま地獄で彼女に会ったら、謝って、また付き合えるように、信頼を取り戻せるようにしようと心に誓った。
これで彼女の心とこの世界を繋ぎ止めていないため、彼女が死んでも現実世界にはなんの影響も起きない。
後はこの世界で死ねば、現実世界へと戻ることが出来る。
しかし、このままただ還っては、この世界に来た意味が無い。
詩織との決着をつける必要がある。彼女の好きな人、パートナーのことは、すっかり記憶には無くなっていった。
深雪は道具を抱えると、地下に続く階段を探す。
そこは様々な設備が入っているのだが、そこで彼女は水を止めようとしていた。
黒い靄が必ず出るのは、トイレと水呑場。すなわち、水に関係しているものが傍にあるときだ。
あるとすれば設備室のそば、地図上に不自然な空欄がある。
そこを目指して走った先に、化け物が徘徊している。それについては既に対策済みだ。
消火ベルを事前に鳴らし、化け物達はそちらに向かっている。
音がけたたましく鳴るため、ペタペタと深雪が走る際になる足音は特に裸足のため掻き消されていた。
設備室は力付くでドアノブを壊して入り、そこで水を止める。
そして、代わりに今まで水が止まっていた場所に逆流して一気に外へと吹き出した。
それは、学校を覆っている川だ。数々の死体を流していき、校内の化け物達も水に誘われて外へと出ていく。
この水が何を表しているのかというのは、詩織の死因だ。
彼女は雨の日に校舎の傍で、溺死体として見付かった。だからこの40年以上前の校舎を舞台に、雨の中、彼女の死に際の印象に残っていた川が学校を結界の様に覆っていたのだ。
すなわち、詩織にとって川はトラウマで、水は恐怖でしかない。
赤黒い川が外で流れており、詩織はこの学校に閉じ込められた。
化け物達の正体は元この場所で死んだ少女達であると同時に、詩織の恐怖心でもあったのだ。
水がある程度流れて川の水位が下がると、深雪は水の出始めていた場所へと入っていく。
そこは大して高くもない崖下の、たった一ヶ所の水門だった。
水門の中はジメジメとしており、その奥は下水道のようになっていた。
そして下水道を、その酷い臭いに耐えながら進んで行くと、そこには黒い靄に取り付かれた少女の遺体が転がっていた。
取り付かれたというよりも、正確には彼女から黒い靄が出ているというのが正しい。
そして彼女こそ、このお呪いを産み出し、詩織という名前で呪い師を名乗っていた少女、深瀬伊織である。
伊織が死んだ、死んだ伊織ということから安直に死織、そこから当てにならない噂で詩織に名前が変わったようだ。
深雪は伊織の死体をスコップで殴る。そして何度も何度も突くと、その背後から下水道に響き渡る叫び声で苦痛に耐えきれない叫び声がする。
「やめなさい・・・・・・! お前だけは、お前だけは・・・・・・!!」
身体を貫かれ、身体のあちこちが折れた詩織が血を流しながらやって来る。
だが、本体を何度も何度も殴り刺して行くことで、詩織もまた全身から鮮血を吹き出していく。
そして最後に残していた頭部を思いっきり踏み潰すことで、世界の崩壊が始まった。
「お前を、巻き込んで、殺してやるううううううううううう!!!!!」
「そうね、それが良いわ。だって、恋人の居ないこの世界に、生きている価値なんて、ないもの」
そういって、苦痛に助けを求める少女を見捨てた先程の光景を思い出す。
彼女は深雪の恋人だった。誰にも悟られないように、必死に隠れながら付き合っていた彼女。
何度も愛し合っていた記憶は、彼女にしか残ってなくて、それを思い出した時には彼女はもう命を落とした後だった。
詩織の亡骸を後にして、世界が崩壊するのを見届ける。
このまま地獄で彼女に会ったら、謝って、また付き合えるように、信頼を取り戻せるようにしようと心に誓った。
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