攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

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第十六話 ゲーム内で食事

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 レベ上げを終え、僕たちは街に戻っていた。
 ツキナはレベル70に、トモはレベルが15になったらしい。さっきまでいたフィールドはトモとツキナにとっては絶好のレベ上げスポットだ。
 遠距離射撃をすることができれば、無傷でレベ上げをできるのだから……。

「ヒビト! トモ! 言うの忘れてたけど一週間後にゲームが始まってから初めてのイベントがあるみたいよ!」
「それ俺も知ってる! 昨日、運営から連絡あったよね?」
「そうよ! まだ詳細ははっきりしていないみたいだけど……」

 ツキナとトモが僕の知らない情報を話している。
 ゲームを始める前にアカウントを作るために、個人情報を入力した。
 その際にメールも登録したので運営からメールが来ているはずなのだが、基本的にメールは見ずに消去してしまうので全く気づかなかった。
 そんな連絡が来るならゲームのメールだけは取っとかないと……。僕は密かに決意した。

「ヒビトも知っていたでしょ?」
「いや……初耳だ!」

 ツキナに質問されたので、嘘偽りなく答えた。

「メール見なかったの?」
「ヒビトはメールを見ずに消す習慣があるからな!」

 僕が答えるより先にトモが答えた。
 僕がメールを消す癖がいるということをどこで知ったのか……。

「そうなの?」
「そうです!」

 僕は胸を張って、言葉を発した。

「ヒビト! マジで消去してるの?」

 トモは目をパチクリさせている。
 どうやら僕がメールを消去していることは知らなかったみたいだ。
 (なら何であんなことをはっきり言えた)と突っ込みたくなったが、とりあえず本当かどうか探りを入れてみた。
 
「知ってたんじゃないの?」
「いやいや、人のスマホ勝手に覗き見したりしないし! 当てずっぽう」
「当てずっぽうかい!」
 
 僕はツキナに胸を張って言い放ったことを恥じつつ、何の根拠もなく発言をしたトモに突っ込んだ。
 そんな話をしながら歩いていると向こう側からこっちに向かって美人女性プレイヤーが歩いてきた。
 嫌な予感がするんだけど……。
 トモは美人女性プレイヤーが来たことに気づいたようだ。
 トモは女性プレイヤーの元へ駆け寄っていく。

「俺と付き合ってください!」
「やっぱりか……」

 僕は呆れてしまい、本音を漏らしてしまった。嫌な予感は見事に的中し、現実のものとなった。
 トモに急に告白された女性プレイヤーはまるっきり放心状態になっており、ぽかんと口を開けている。さらに拒絶したかのように数歩、後退した。
 当然の反応である。いきなりあんなことを言われれば誰だってああなる。
 
「トモっていつもあんな感じなの?」

 ツキナが僕にだけ聞こえるボリュームで質問してきた。

「あんな感じだな」
「現実世界では会いたくないわね」

 僕とツキナは微笑み合う。

「ちょっと行ってくる!」

 ツキナにそう言い残すと困っている女性プレイヤーを助けるためにトモに近づいていく。
 
「こいつがご迷惑をかけました!」

 女性プレイヤーに一言、謝罪をして服の襟を引っ張って女性プレイヤーから強制的に離す。

「返事をぉぉぉ‼︎」

 トモは引きずられながら女性プレイヤーに訴えかけていた。
 女性プレイヤーはそんなトモを完全に無視して、どっかに行ってしまった。
 振られたトモにドンマイと心の中で言いつつ、ツキナが居るところまで引っ張っていた。
 
「ただいま!」
「おかえり! 強引に連れて来たわね!」
「そうしないと止まらないからな!」
「それもそうね!」

 僕とツキナは軽い会話をした後、笑い合った。

「あのぅ……そろそろ離してくれないか?」
「ごめん、ごめん」

 僕はトモの襟を離す。
 トモはすぐに起き上がり、僕たちが街に戻ってきた本来の目的を切り出してきた。

「飯、食べに行こうぜ!」
「切り替え早!」

 今さっき振られたばっかりなのに、落ち込む様子も一切なくいつも通りの元気なトモが目の前にいた。
 どんなメンタルしてるんだ……。

「振られてしまったのはヒビトのせいだ! もう少しだったのに……」
「全然もう少しではなかったからね!」
 
 僕の言葉にツキナも首を縦に振る。

「そうかなぁ……いけそうだと思ったけど……」

 トモは腕を組み、首を傾げていた。
 (どこからその自信が出てくるんだ)と言いたかったが、そこを指摘してもトモが自信をもっているわけだから効果はないだろう。

「着いたわよ!」

 ツキナがそう言うので、僕とトモは店の方に顔を向ける。
 店はマンションみたいな建物の五階にあり、外の景色が一望できるようにガラス張りになっていた。
 ガラス張りにしているくらいなので店から見える景色は綺麗なのだろう。
 建物の中に入っていくと、五つに区画分けされ、恒星のように自ら光を発している円状の物体が出現した。

「何だ! あれ?」
「あれは転移系の魔法陣よ! あの中に入れば瞬時に場所移動ができるわよ!」
「そんな凄いものが……」

 僕は思わず、転移魔法陣を二度見してしまう。
 魔法陣の中に入るだけで、場所が移動できるなんて……。
 僕たちは五階に転移することができる魔法陣の上に立ち、ツキナがオススメするお店へと向かった。
 転移が完了して、視界がはっきりしてきた。

「これが転移か……」

 初めての経験だったので、心を動かさずにいられなかった。
 僕たちは店の中に入っていき、四人掛けのテーブルに着席する。
 店の中は多くのプレイヤーで賑わっていたここは誰もが一回でも行きたいと思える人気店だったらしい。
 僕たちはたまたま窓際に座ることができたので、外の景色がはっきりと見える。
 窓から見えた景色はピンク色の桜が一本道のようにずらっと並んでいた。
 桜を上から見る事は今までなかったのでとても新鮮な感覚になった。

「今日は私が奢るわ! 遠慮しないで頼んで!」
「あざーす!」

 僕とトモは同時に感謝を言う。
 僕には昨日奢ってくれると言っていたのでいいとして、トモにも奢ってあげるなんてさすがトップランカーだ。
 どれだけ稼いでするのだろうか……。
 僕とトモは奢ってくれると言っている人には遠慮する事は失礼に値するので、この店で一番高いメニューを頼んだ。
 ゲーム内なので、頼んだメニューは一分もかからずにテーブルに運ばれてくる。

「いただきます!」

 僕はツキナに感謝しつつ、ゲーム内の食べ物はどんな味がするのか気になったのですぐに箸を手に取り食べ始めた。トモとツキナも食べ始めた。

「これはうまい!」

 ゲーム内だとは思えないでこんな味が出せるのかと思うほど美味しかった。
 箸がどんどん進むみ、五分もかからずに平らげてしまった。
 現実世界でもこんなスピードでご飯を食べたことがなかったので、自己ベストを更新してしまった。

【幸福を獲得しました‼︎】

「何か、スキルゲットしたんだけど……」
「俺も!」
「私も! 前来たときは手に入らなかったんだけど……」
「どんなスキルだった?」

 僕がトモとツキナに確認を取ると二人は見せてくれた。
 どうやら全員同じスキルを手に入れているみたいだ。
 三人でスキルの説明を見ることにした。

【幸福、日替わりでメリット効果を付与する。効果内容はランダム 獲得条件ゲーム内で食事を食べた際に幸福を感じること(パーティー内で一人でも良い)】

「このスキル強くね? それよりも誰だ、ゲーム内の飯で幸福を感じたのは?」

 トモがそんなことを言ってくる。

「強いわね! 幸福を感じたのは私じゃないわよ!」
「なら……」

 ツキナとトモは僕の方に視線を向けて来た。
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