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第二十四話 ボス戦と天魔浄玉入手
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僕たちは一定の距離を取って、天魔が攻撃してくるのを待っていた。この作戦を取った理由は情報が全くない天魔の攻撃パターンを確認するためだ。天魔は最高難易度の洞窟のボスなので、無計画で攻めるとあっけなくやられてしまう可能性がある。だが、数秒経ってもボスは一向にその場から動く気配が一切ない。
「全く動かないんだけど……」
僕は呟いた。雷電獣白虎と戦ったときは積極的に攻撃してきていたので何かが違うと思った。
「おかしいわね!」
ツキナもおかしいと思っているようで、僕の言葉に反応してくれた。
「近づいてみようぜ!」
トモは弾んだ声で僕たちに提案してくる。(いつも楽しそうだな)トモの表情を見てそんなことを思う。近づいた瞬間に攻撃をしてこないこと願いながら恐る恐る天魔に近づいていく。
「こいつらは俺がやるから、お前は下がってろ!」
「私がやるからあなたが下がって!」
「…………」
天魔に近づいてみるとおそらくだが、天使の人格と悪魔の人格が口喧嘩していた。
僕たちはこの光景を見て胸を鋭いもので突かれたような衝撃を感じて、言葉が全く出てこなかった。それくらいあり得ない光景が目に入り込んできたのだ。
「これ攻撃のチャンスなのか?」
僕が何とか絞り出した言葉がこれだった。喧嘩をしているのなら攻撃し放題と思ったからだ。
「チャンスかもしれないわね!」
「だよな! ちょっくら攻撃してくるわ!」
僕はツキナたちにそう言い残して、僕はアサとヨルに雷攻撃をしてもらって【窮地】を発動させる。ツキナたちに「今の何?」と聞かれたが「内緒」と答えて、ジャンプしながら脳天に一撃をくらわせるために星斗天雷刃を振り下ろす。
「今、忙しいからあっち行ってろ!」
「今、忙しいからあっち行ってて!」
天魔の天使の人格と悪魔の人格は同時に腹を立て怒鳴り、口にブレスを溜めて僕に向かって放ってきた。ジャンプしてしまっている僕は回避することができない。(やべぇ……死ぬかも……)僕が死を覚悟した。
「シールド‼」
ツキナは大きな声を上げて、僕の体全体をシールドで包み込む。ブレスをまともに受けてしまったがシールドのおかげで無傷で済んだ。だがブレスを受けたときの衝撃で壁に激突してしまう。
「うっ!」
僕のHPは三割ほど持ってかれて減少が止まった。シールドの効果はブレスを受け切ったときにすでに消えていたのでダメージを受けてしまったのだ。ツキナのシールドが消滅するなんてなんて威力のブレスなんだ。シールドは一定ダメージ量を超えると壊れるシステムになっている。シールドがなかったら確実に死んでいた。
「これはダメだ……」
僕はそう呟きながら、ツキナたちの元に戻っていく。
「ごめん……ヒビト! 私のせいでダメージを……」
「気にするな!」
ツキナが申し訳なさそうな表情をするので、励ましの言葉を掛ける。
「ヒビト! これ使って!」
僕がダメージを受けたことを知っているリリが【回復薬】を二つ投げてきた。僕はそれをキャッチしてすぐに口の中に含む。三割くらい減っていたHPが全回復する。
「みんなにも配っとくね!」
リリは全員に【回復薬】を二十個ずつ配った。(洞窟に入る前にちょうだいよ)と思ったが、この洞窟に入る前にいろいろあったのでしょうがないと思う。僕たちは受け取った【回復薬】をアイテムストレージに戻す。アイテムストレージと言うのは名前の通りで、アイテムを収納する倉庫みたいなものだ。
天魔の攻撃を一撃でも真面に受けたら確実に死んでしまうということが分かった。どうやって倒すべきなのか悩んでしまう。
「俺に任せろ!」
僕が吹き飛ばされるのをじっと見ていたトモが自信ありげに言葉を発する。
「ピィアスアローウ‼」
トモは霍公鳥を構え、矢を頭に目掛けて射る。【ピィアスアローウ】には貫通効果があるのでもしかしたら攻撃が通るかもしれない。(ナイス、判断!)と心の中でトモを褒めつつ、攻撃が通るかどうかをドキドキワクワクしながら見守る。
トモの矢は見事に命中して、天魔のHPを少しだけ減らした。
「これだけかよぉぉ!」
「ドンマイ! トモ!」
トモはもう少しHPが減ることを期待していたみたいで、かなりショックを受けている様子だ。僕はトモに励ましの言葉を掛ける。貫通矢は予想した通り、HPを減らすことができたのだが十万あるHPが九万九千九百になっただけだった。雀の涙ほどしかダメージが入っていない。かなり絶望的である。
「邪魔をするんじゃねぇぇ‼」
「邪魔をしないでぇぇ‼」
またしても天魔の天使の人格と悪魔の人格は怒鳴る。完全に八つ当たりである。天魔は人差し指に力を溜め、僕たちに向かってビームを発射してきた。
「回避‼」
僕の指示を聞いたツキナたちは両サイドに分かれて回避してビームを避けた。ビームが当たった地面は深々と亀裂が入っている。
「ひょぇぇ……! 当たったら確実に死ぬわ、これ……!」
トモは地面の亀裂を見て、心の声が表に出てきてしまっているようだ。僕たちもトモの発言に賛同しているので、頭を二回縦に振る。
数秒後、天使の人格と悪魔の人格の口喧嘩が修羅場を迎えていた。怒号が空間中に響き渡る。
「だから下がってろて!」
「いやよ! あなたが下がりなさい!」
「あぁあ! もうめんどくせぇなぁ! どっちがやるか力比べで決めようぜぇ!」
「賛成よ! 私の力を見るがいいわよ!」
「望むところだ!」
天魔は左手と右手に力を溜め、ビームを発射しようとしている。このビームがぶつかったらこの洞窟が崩壊してしまうかもしれない。
「待て、待て、待て! みんな逃げろ!」
僕は慌ててツキナたちに指示を出す。僕たちは同じ方向に走っていき洞窟の端っこを目指す。僕たちが逃げ始めて十秒が経ち、両手からビームが放たれる。
「ツキナ! シールド頼む!」
「分かったわ!」
ツキナは僕たちを囲むようにシールドを展開する。両手から放たれたビームは衝突し、車同士が正面衝突した時よりも大きい音が天魔島中に響き渡る。そして当たった時の衝撃が僕たちを襲う。威力が強すぎてシールドは二十秒くらいで消滅し、僕たちは壁に激突した。全員のHPは人のもよるが半分近くまで減少して止まった。
天魔のHPはゼロになっており、消滅した。自爆で天魔を倒してしまったのである。
(絶対これ、バグでしょ!)僕は心の中でそんなことを思っていた。
【レベルが45になりました‼︎ 神の祝福を獲得しました‼︎ 悪魔の加護を獲得しました‼︎】
また強そうなスキルを手に入れた。船に戻ったら確認してみることにする。
洞窟は今の衝撃にも耐えており崩壊していない。
こうして僕たちは天魔に百ダメージしか与えることなく最高難易度の天魔浄玉を手に入れたのだった。
「全く動かないんだけど……」
僕は呟いた。雷電獣白虎と戦ったときは積極的に攻撃してきていたので何かが違うと思った。
「おかしいわね!」
ツキナもおかしいと思っているようで、僕の言葉に反応してくれた。
「近づいてみようぜ!」
トモは弾んだ声で僕たちに提案してくる。(いつも楽しそうだな)トモの表情を見てそんなことを思う。近づいた瞬間に攻撃をしてこないこと願いながら恐る恐る天魔に近づいていく。
「こいつらは俺がやるから、お前は下がってろ!」
「私がやるからあなたが下がって!」
「…………」
天魔に近づいてみるとおそらくだが、天使の人格と悪魔の人格が口喧嘩していた。
僕たちはこの光景を見て胸を鋭いもので突かれたような衝撃を感じて、言葉が全く出てこなかった。それくらいあり得ない光景が目に入り込んできたのだ。
「これ攻撃のチャンスなのか?」
僕が何とか絞り出した言葉がこれだった。喧嘩をしているのなら攻撃し放題と思ったからだ。
「チャンスかもしれないわね!」
「だよな! ちょっくら攻撃してくるわ!」
僕はツキナたちにそう言い残して、僕はアサとヨルに雷攻撃をしてもらって【窮地】を発動させる。ツキナたちに「今の何?」と聞かれたが「内緒」と答えて、ジャンプしながら脳天に一撃をくらわせるために星斗天雷刃を振り下ろす。
「今、忙しいからあっち行ってろ!」
「今、忙しいからあっち行ってて!」
天魔の天使の人格と悪魔の人格は同時に腹を立て怒鳴り、口にブレスを溜めて僕に向かって放ってきた。ジャンプしてしまっている僕は回避することができない。(やべぇ……死ぬかも……)僕が死を覚悟した。
「シールド‼」
ツキナは大きな声を上げて、僕の体全体をシールドで包み込む。ブレスをまともに受けてしまったがシールドのおかげで無傷で済んだ。だがブレスを受けたときの衝撃で壁に激突してしまう。
「うっ!」
僕のHPは三割ほど持ってかれて減少が止まった。シールドの効果はブレスを受け切ったときにすでに消えていたのでダメージを受けてしまったのだ。ツキナのシールドが消滅するなんてなんて威力のブレスなんだ。シールドは一定ダメージ量を超えると壊れるシステムになっている。シールドがなかったら確実に死んでいた。
「これはダメだ……」
僕はそう呟きながら、ツキナたちの元に戻っていく。
「ごめん……ヒビト! 私のせいでダメージを……」
「気にするな!」
ツキナが申し訳なさそうな表情をするので、励ましの言葉を掛ける。
「ヒビト! これ使って!」
僕がダメージを受けたことを知っているリリが【回復薬】を二つ投げてきた。僕はそれをキャッチしてすぐに口の中に含む。三割くらい減っていたHPが全回復する。
「みんなにも配っとくね!」
リリは全員に【回復薬】を二十個ずつ配った。(洞窟に入る前にちょうだいよ)と思ったが、この洞窟に入る前にいろいろあったのでしょうがないと思う。僕たちは受け取った【回復薬】をアイテムストレージに戻す。アイテムストレージと言うのは名前の通りで、アイテムを収納する倉庫みたいなものだ。
天魔の攻撃を一撃でも真面に受けたら確実に死んでしまうということが分かった。どうやって倒すべきなのか悩んでしまう。
「俺に任せろ!」
僕が吹き飛ばされるのをじっと見ていたトモが自信ありげに言葉を発する。
「ピィアスアローウ‼」
トモは霍公鳥を構え、矢を頭に目掛けて射る。【ピィアスアローウ】には貫通効果があるのでもしかしたら攻撃が通るかもしれない。(ナイス、判断!)と心の中でトモを褒めつつ、攻撃が通るかどうかをドキドキワクワクしながら見守る。
トモの矢は見事に命中して、天魔のHPを少しだけ減らした。
「これだけかよぉぉ!」
「ドンマイ! トモ!」
トモはもう少しHPが減ることを期待していたみたいで、かなりショックを受けている様子だ。僕はトモに励ましの言葉を掛ける。貫通矢は予想した通り、HPを減らすことができたのだが十万あるHPが九万九千九百になっただけだった。雀の涙ほどしかダメージが入っていない。かなり絶望的である。
「邪魔をするんじゃねぇぇ‼」
「邪魔をしないでぇぇ‼」
またしても天魔の天使の人格と悪魔の人格は怒鳴る。完全に八つ当たりである。天魔は人差し指に力を溜め、僕たちに向かってビームを発射してきた。
「回避‼」
僕の指示を聞いたツキナたちは両サイドに分かれて回避してビームを避けた。ビームが当たった地面は深々と亀裂が入っている。
「ひょぇぇ……! 当たったら確実に死ぬわ、これ……!」
トモは地面の亀裂を見て、心の声が表に出てきてしまっているようだ。僕たちもトモの発言に賛同しているので、頭を二回縦に振る。
数秒後、天使の人格と悪魔の人格の口喧嘩が修羅場を迎えていた。怒号が空間中に響き渡る。
「だから下がってろて!」
「いやよ! あなたが下がりなさい!」
「あぁあ! もうめんどくせぇなぁ! どっちがやるか力比べで決めようぜぇ!」
「賛成よ! 私の力を見るがいいわよ!」
「望むところだ!」
天魔は左手と右手に力を溜め、ビームを発射しようとしている。このビームがぶつかったらこの洞窟が崩壊してしまうかもしれない。
「待て、待て、待て! みんな逃げろ!」
僕は慌ててツキナたちに指示を出す。僕たちは同じ方向に走っていき洞窟の端っこを目指す。僕たちが逃げ始めて十秒が経ち、両手からビームが放たれる。
「ツキナ! シールド頼む!」
「分かったわ!」
ツキナは僕たちを囲むようにシールドを展開する。両手から放たれたビームは衝突し、車同士が正面衝突した時よりも大きい音が天魔島中に響き渡る。そして当たった時の衝撃が僕たちを襲う。威力が強すぎてシールドは二十秒くらいで消滅し、僕たちは壁に激突した。全員のHPは人のもよるが半分近くまで減少して止まった。
天魔のHPはゼロになっており、消滅した。自爆で天魔を倒してしまったのである。
(絶対これ、バグでしょ!)僕は心の中でそんなことを思っていた。
【レベルが45になりました‼︎ 神の祝福を獲得しました‼︎ 悪魔の加護を獲得しました‼︎】
また強そうなスキルを手に入れた。船に戻ったら確認してみることにする。
洞窟は今の衝撃にも耐えており崩壊していない。
こうして僕たちは天魔に百ダメージしか与えることなく最高難易度の天魔浄玉を手に入れたのだった。
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