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第七十三話 蜂の巣窟
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「ブ~ン、ブ~ン」という羽音が聞こえる。今回の階層は蜂が出てくるらしい。蟻に続いて蜂。集団で生活する虫が立て続けに出てきた。蟻と同じく出てくる蜂も強化されているようだ。
「今度は蜂かよ……面倒くさいな……」
トモが嫌そうな顔をする。アルメールアントの時に経験したのだが、女王に到達するまでにかなりの数を倒したと記憶している。だからトモの気持ちがよく分かる。コジロウはあいかわらず戦力外だ。
僕達の前方に蜂。名前はアステルビーと言うらしい。蜂の体が辺りを照らすように光を放っている。さらに手は鋭い鎌のようなもので出来ている。触れるだけで怪我をしてしまいそうだ。
アステルビーは尻の先端についている毒針からトゲを飛ばしてくる。僕達はツキナのシールドで身を守る。あのトゲに当たったら毒状態になってしまうだろう。
トゲが治ったので、僕はすかさずアステルビーに攻撃をする。鋭い鎌のような手と僕の剣が衝突する。(レジェンダリーウェポンの武器を止めるとは)どれだけの強度を持っているのだろうか。
「負けねぇよ!」
僕は腕に力を入れ、アステルビーの腕を斬り飛ばす。
「六明神! 炎! ピュアスアローウ!」
僕が腕を斬り飛ばしたアステルビーにトモが追撃をかけ、消滅させた。
アルメールアントと違ってアステルビーは固い。体力と攻撃力を強化しているのだろうか。攻撃力を強化しているのなら、レジェンダリーウェポンの攻撃を受け止めれたことにも合点がいく。残っていたアステルビーはみんなが僕とトモと同じ方法で消滅させる。
一匹一匹が固いので、アルメールアントほどの数は出てこないようだが、女王の部屋に行くまでにかなりの時間を使いそうだ。
しばらくアステルビーを倒しながら歩いていると甘い香りが漂って来た。ここは蜂の巣の中。おそらく蜂蜜を保管している場所だ。
「この匂いがする方に行ってみよう!」
僕は蜂蜜を食べてみたいと思っていたので、そう提案した。
「いいわよ!」
「行ってみましょう!」
みんなも賛成してくれる。僕達は蜂蜜があると思われる部屋に向かって歩いていく。部屋に着くと部屋一面に蜂蜜が広がっていた。取り出しやすいようにきれいに整理整頓されているみたいだ。
「おっ! これは凄いな!」
僕は目の前に広がる蜂蜜部屋を見て感心の声を漏らす。今にも口に含みたいと思えるほどの甘い香りを発生させている。
「アステルビーの蜂蜜は絶品よ!」
ツキナがそんなことを言っている。そこまで言われてしまうと口に含まずにはいられない。僕は蜂蜜を手に取り、口に含む。
「あっ! 一つ言い忘れていたけど、ここで食べると多くのアステルビーが寄ってくるわよ!」
「マジかよ! もっと早く言ってくれよ~! もう食べちゃったじゃん!」
アステルビーが寄ってくることを知らなかった僕はすでに蜂蜜を口に含んでしまっている。
「ごめん……」
ツキナが謝罪する。そしてたくさんのアステルビーが蜂蜜部屋に集まってきた。
「一旦引いたほうが良さそうだね」
リリが蜂の数を数えた後、そんな提案をしてくる。ざっと数えても五十匹以上はいる。こんな数の固いアステルビーを相手にするには非常に不利な状況だ。
「そうですね! 一旦離れましょう!」
アサガオもリリの意見に賛成しているようだ。時には引くことも大事だ。僕達はアステルビーに気づかれないように蜂蜜部屋の外に出て、たまたま空いていた隙間に身を潜める。
身を潜めてから数秒、部屋の中にいたアステルビー達が自分の持ち場へと戻っていく。どうやらばれずにやりすごすことができたみたいだ。
「ツキナ! アステルビーに気づかれずに蜂蜜を取る方法ってあるの?」
「あるわよ! 自身の体を使わずにアイテムを使って取ればいいわ!」
どうしても拠点に持ち帰って、蜂蜜をゆっくりと食べたいので、こんな質問が頭に浮かんだ。ツキナは蜂蜜の取り方を教えてくれる。
アステルビーにばれない蜂蜜の取り方は(それだけ⁉︎)と突っ込みたくなる程、至ってシンプルなものだった。アステルビーがいないことを確認すると僕達は再び蜂蜜部屋の中に入っていく。
監査役は二体くらいしかいなかったので、二体を倒した後に瓶を使って採取する。蜂蜜は集めれるだけ集めた。何度もこの場所に訪れることができないからだ。蜂蜜には状態異常を治す効果とかもあるので、料理以外にもいろいろな使い道があるようだ。
蜂蜜の採取が終了したので、僕達は女王を倒すために先に進む。アステルビーが容赦なく攻撃してくる。
「全然、到達できないですね……」
ムサシが呟く。女王の部屋に到達できないでいたので、ムサシの気持ちも分かる。もう、どれだけアステルビーを倒したのかが分からなくなっていた。
アステルビーが密になっている。ボス部屋に近づいて来たのか。まぁ、進んでみれば分かる事だが……。
「雷の舞! ライトニングウェーブ!」
ツキナが蜜になっているアステルビーに先制攻撃を仕掛ける。攻撃を仕掛けた事で、密になっていたアステルビーが一斉に寄ってくる。
「天眼焔!」
僕はSPを全損せずに、広範囲の攻撃を行えるスキルを選択した。密になっているのならまとめて倒した方が手っ取り早いからだ。寄ってきたアステルビーは全て消滅する。
アステルビーが密になっていたところから宝箱が姿を表す。どうやらアステルビーは女王を守っているのではなく宝箱を守っていたらしい。アステルビーが守っていたのなら中にはレアアイテムが入っているのかもしれない。僕達は宝箱に近づき、開く。
【聖光石《しょうこうせき》を手に入れました‼︎】
「やったー‼︎」
リリが急に大きな声を出す。
「どうしたんだ?」
トモは驚いた顔をしながらリリに質問する。リリが突然、トモの隣で大声を出したからだろう。僕もリリが喜ぶ程のアイテムは何かがすごく気になっている。
「聖光石を手に入れたから嬉しくて、ついね」
リリは眩しいような深い喜びを感じている様子。
「そのアイテムそんなにレアなのか?」
「そうよ! 装飾品の制作ができるようになるの!」
トモの質問にリリはすぐに答えた。装飾品は現在、ドロップでしか手に入らない貴重なアイテムなのである。それを製作するための素材が聖光石だったらしいのだ。リリが喜ぶのも無理はないと理解した。
僕達が手に入れた聖光石は合計で四つ。全ての聖光石をリリに渡した。リリ以外の人では製作できないと思ったからだ。宝箱のアイテムの確認が終わるとすぐに出発する。できるだけ早く女王を見つけたい。
「今度は蜂かよ……面倒くさいな……」
トモが嫌そうな顔をする。アルメールアントの時に経験したのだが、女王に到達するまでにかなりの数を倒したと記憶している。だからトモの気持ちがよく分かる。コジロウはあいかわらず戦力外だ。
僕達の前方に蜂。名前はアステルビーと言うらしい。蜂の体が辺りを照らすように光を放っている。さらに手は鋭い鎌のようなもので出来ている。触れるだけで怪我をしてしまいそうだ。
アステルビーは尻の先端についている毒針からトゲを飛ばしてくる。僕達はツキナのシールドで身を守る。あのトゲに当たったら毒状態になってしまうだろう。
トゲが治ったので、僕はすかさずアステルビーに攻撃をする。鋭い鎌のような手と僕の剣が衝突する。(レジェンダリーウェポンの武器を止めるとは)どれだけの強度を持っているのだろうか。
「負けねぇよ!」
僕は腕に力を入れ、アステルビーの腕を斬り飛ばす。
「六明神! 炎! ピュアスアローウ!」
僕が腕を斬り飛ばしたアステルビーにトモが追撃をかけ、消滅させた。
アルメールアントと違ってアステルビーは固い。体力と攻撃力を強化しているのだろうか。攻撃力を強化しているのなら、レジェンダリーウェポンの攻撃を受け止めれたことにも合点がいく。残っていたアステルビーはみんなが僕とトモと同じ方法で消滅させる。
一匹一匹が固いので、アルメールアントほどの数は出てこないようだが、女王の部屋に行くまでにかなりの時間を使いそうだ。
しばらくアステルビーを倒しながら歩いていると甘い香りが漂って来た。ここは蜂の巣の中。おそらく蜂蜜を保管している場所だ。
「この匂いがする方に行ってみよう!」
僕は蜂蜜を食べてみたいと思っていたので、そう提案した。
「いいわよ!」
「行ってみましょう!」
みんなも賛成してくれる。僕達は蜂蜜があると思われる部屋に向かって歩いていく。部屋に着くと部屋一面に蜂蜜が広がっていた。取り出しやすいようにきれいに整理整頓されているみたいだ。
「おっ! これは凄いな!」
僕は目の前に広がる蜂蜜部屋を見て感心の声を漏らす。今にも口に含みたいと思えるほどの甘い香りを発生させている。
「アステルビーの蜂蜜は絶品よ!」
ツキナがそんなことを言っている。そこまで言われてしまうと口に含まずにはいられない。僕は蜂蜜を手に取り、口に含む。
「あっ! 一つ言い忘れていたけど、ここで食べると多くのアステルビーが寄ってくるわよ!」
「マジかよ! もっと早く言ってくれよ~! もう食べちゃったじゃん!」
アステルビーが寄ってくることを知らなかった僕はすでに蜂蜜を口に含んでしまっている。
「ごめん……」
ツキナが謝罪する。そしてたくさんのアステルビーが蜂蜜部屋に集まってきた。
「一旦引いたほうが良さそうだね」
リリが蜂の数を数えた後、そんな提案をしてくる。ざっと数えても五十匹以上はいる。こんな数の固いアステルビーを相手にするには非常に不利な状況だ。
「そうですね! 一旦離れましょう!」
アサガオもリリの意見に賛成しているようだ。時には引くことも大事だ。僕達はアステルビーに気づかれないように蜂蜜部屋の外に出て、たまたま空いていた隙間に身を潜める。
身を潜めてから数秒、部屋の中にいたアステルビー達が自分の持ち場へと戻っていく。どうやらばれずにやりすごすことができたみたいだ。
「ツキナ! アステルビーに気づかれずに蜂蜜を取る方法ってあるの?」
「あるわよ! 自身の体を使わずにアイテムを使って取ればいいわ!」
どうしても拠点に持ち帰って、蜂蜜をゆっくりと食べたいので、こんな質問が頭に浮かんだ。ツキナは蜂蜜の取り方を教えてくれる。
アステルビーにばれない蜂蜜の取り方は(それだけ⁉︎)と突っ込みたくなる程、至ってシンプルなものだった。アステルビーがいないことを確認すると僕達は再び蜂蜜部屋の中に入っていく。
監査役は二体くらいしかいなかったので、二体を倒した後に瓶を使って採取する。蜂蜜は集めれるだけ集めた。何度もこの場所に訪れることができないからだ。蜂蜜には状態異常を治す効果とかもあるので、料理以外にもいろいろな使い道があるようだ。
蜂蜜の採取が終了したので、僕達は女王を倒すために先に進む。アステルビーが容赦なく攻撃してくる。
「全然、到達できないですね……」
ムサシが呟く。女王の部屋に到達できないでいたので、ムサシの気持ちも分かる。もう、どれだけアステルビーを倒したのかが分からなくなっていた。
アステルビーが密になっている。ボス部屋に近づいて来たのか。まぁ、進んでみれば分かる事だが……。
「雷の舞! ライトニングウェーブ!」
ツキナが蜜になっているアステルビーに先制攻撃を仕掛ける。攻撃を仕掛けた事で、密になっていたアステルビーが一斉に寄ってくる。
「天眼焔!」
僕はSPを全損せずに、広範囲の攻撃を行えるスキルを選択した。密になっているのならまとめて倒した方が手っ取り早いからだ。寄ってきたアステルビーは全て消滅する。
アステルビーが密になっていたところから宝箱が姿を表す。どうやらアステルビーは女王を守っているのではなく宝箱を守っていたらしい。アステルビーが守っていたのなら中にはレアアイテムが入っているのかもしれない。僕達は宝箱に近づき、開く。
【聖光石《しょうこうせき》を手に入れました‼︎】
「やったー‼︎」
リリが急に大きな声を出す。
「どうしたんだ?」
トモは驚いた顔をしながらリリに質問する。リリが突然、トモの隣で大声を出したからだろう。僕もリリが喜ぶ程のアイテムは何かがすごく気になっている。
「聖光石を手に入れたから嬉しくて、ついね」
リリは眩しいような深い喜びを感じている様子。
「そのアイテムそんなにレアなのか?」
「そうよ! 装飾品の制作ができるようになるの!」
トモの質問にリリはすぐに答えた。装飾品は現在、ドロップでしか手に入らない貴重なアイテムなのである。それを製作するための素材が聖光石だったらしいのだ。リリが喜ぶのも無理はないと理解した。
僕達が手に入れた聖光石は合計で四つ。全ての聖光石をリリに渡した。リリ以外の人では製作できないと思ったからだ。宝箱のアイテムの確認が終わるとすぐに出発する。できるだけ早く女王を見つけたい。
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