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第八十一話 サバイバル迷路 五
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同じような景色なのだが、出口が見当たらない。一つ、気になることがあるとすれば空間の中央に天井から滝のように流れているマグマがあるという事だ。
プレイヤー達がマグマのダメージを受けないように着地地点を石レンガのようなもので、囲んでいる。さらに着地地点ではマグマ池が出来上がっていた。天井からマグマが止まる事なく流れているのに溢れていないことが不思議だ。
「何も無いですね……」
幽霊が消滅した事で元気を取り戻したムサシが呟く。先程から辺りを見渡しているのに何も無いのだ。「ゴボゴボ」というマグマの音だけが、耳に入ってくる。
「ようこそ! 私が作った地下迷宮へ!」
僕の背の高さから一メートル高い場所から声が聞こえてきた。僕は声がする方に顔を向ける。
マグマの滝の間からモニターが出現していた。リアルタイムで見ているとは考えにくいので、撮影したものなのだろうか。それともライブなのか。
「今からニ、三問、クイズを出すから答えてね! 正解したら報酬を渡すよ! 失敗したら罰ゲームね! じゃあ、始めるよ!」
ずかずかと話が進んでいく。クイズに正解すると報酬がもらえるのなら、やるしかない。それに今はこの方法でしか先に進むことができないと思っている。みんなもそのつもりのようでやる気を出しているように見える。(よし! みんなには負けねぇ!)なんて思っている。結局のところは協力するとは思うが……。
「じゃあ、始めるよ! 一問目はこれだよ!」
女性はそう言うと紙を見せてきた。
「直接、問題を出すんじゃないのか!」
質問を出す雰囲気を出しといて、紙を出した女性に突っ込んでしまった。
「出さないよ! だって恥ずかしいもん!」
女性は照れ笑いを浮かべている。女性の反応を見る限り、ライブの可能性が高いと思われる。プレイヤーがここに来ると通知が来るようになっているのか……。
「いやいや、さっきは初対面の人に堂々と話していたよね⁉︎」
「それとこれとは別! それよりもクイズの答えは?」
(一緒だろ!)と言いたくなったが、とりあえずクイズの答えを考えることにする。女性が出した紙には〔太陽系が属する銀河の名称は何?〕と書いてあった。中学生で習った理科の問題である。
よく考えてみれば、変化の間で出されたクイズのほとんどが理科の問題だったような気がする。地下迷宮を作った女性は理科が好きなのだろうか。アサガオには少し難しい問題かもしれない。戦国兄弟は現役中学生なので、答えてくれると嬉しい。
太陽系が属する銀河系。習ったことがある気がするのだが、なかなか出てこないものである。織姫と彦星が出てくる七夕の話に銀河系の答えがあったような気がするのだが……。
「分かりました!」
「おっ! 早いね! そこの君、答えをどうぞ!」
最初に手を挙げたのはアサガオだった。中学生レベルの問題をこんな短時間で答えが分かるなんて、予想もしていなかった。
「天の川銀河です!」
「お見事! 正解だよ! 報酬を渡すね!」
中学生レベルの問題に正解してしまったアサガオ。どうやらアサガオは頭がいい小学生だったらしい。一ヶ月近く一緒に遊んでいる中で初めて知った。
「アサガオ! すごいね! どうして分かったの?」
リリがすぐにアサガオを抱きしめ、褒める。
「えへへ……お星様が好きだったから分かったんだよ!」
アサガオは会心の笑顔を見せる。星のことをお星様と言うところもまたかわいい。そんなことを考えながら報酬を待つが、一向に通知が来ない。どうやら答えた本人にだけ報酬が入るパターンらしい。ギルドメンバー対抗のクイズ対決だ。(次は絶対に僕が答えてやる!)と闘志を燃やしていた。
「続いて第二問! 冬の大三角形を形成する明るい星はペテルギウス、ブロキオン、あと一つは何?」
「紙で問題出さないのかい!」
「あぁ……面倒くさいでいいや!」
「恥ずかしいんじゃないのか!」
「あれ! 嘘だよ!」
「嘘かい!」
僕は女性とそんなやり取りをして、手を上げる。女性が言っていない星座と言ったら、あれしかない。
「はい! そこの君!」
「シリウスです!」
超有名な星座なので、すぐに答えが出てきた。
「正解! 報酬を渡すよ!」
女性がそう言うと、僕の目の前に【防御の金石を二つ獲得しました‼】と表示された。【防御の金石】と言えば防御力を上昇させるものだ。これは最大五つまで装備することができ、今僕は二つ装備している。手に入れた【防御の金石】を装備すれば、ニ十パーセント軽減になるので、すぐに装備することにする。
「ではでは、次がラスト問題だよ!」
女性は明るい口調で言う。次がラスト問題、(もう一回、報酬を手に入れてやる!)と思いながらラスト問題を待つ。
「夏の大三角形を形成する星座の名前は何?」
夏の大三角形を形成する星座でこと座とはくちょう座は出てくるのだが、あと一つの星座の名前が出てこない。マイナーではないとは思うが、なんだったかな……。僕が頭をひねっているとムサシが手を上げる。
「はい! そこ!」
「こと座、はくちょう座、わし座です!」
「大正解! 報酬を受け取って! これでクイズ終了、そこから上の入り口に跳べるよ!」
女性がそう言うとモニターの電源が切れ、マグマの滝が上昇していきジャンプ台が出現する。そして僕たちの五メートル上に床が出現し、奥に扉がある。僕達はジャンプ台で五メートル上の床に飛んでいく。やっぱり地下迷宮のギミックは面白い。全員が床に着地したのを確認し、僕は扉を開けて中に入っていく。
「わぁ……すげぇ~」
僕は目の前に広がる光景に目を奪われてしまった。ジャングルのような巨樹が立ち並ぶ森林地帯。そしてかすかにしか見えないが、煙を噴き上げている火山がある。この景色、見たことがあるような……。
「これって……恐竜時代にある木じゃないんですか?」
ムサシがそんなことを言う。言われてみればそんなような気がする。幼い頃に恐竜の映画を一度だけ見たことがあったので、見覚えがあったのだろう。となると付近には見当たらないが、恐竜が存在していることになる。
「その可能性が高いわね!」
ツキナもムサシの意見に賛同する。もしここが恐竜の出てくる場所ならば、当然肉食恐竜も存在しているはず。できるだけ会いたくはないが、どうなるのだろうか……。
「じゃあ、気を引き締めて進もう!」
僕はみんなにそう言うと歩き出す。どんな試練が待っているのかを楽しみだ。
プレイヤー達がマグマのダメージを受けないように着地地点を石レンガのようなもので、囲んでいる。さらに着地地点ではマグマ池が出来上がっていた。天井からマグマが止まる事なく流れているのに溢れていないことが不思議だ。
「何も無いですね……」
幽霊が消滅した事で元気を取り戻したムサシが呟く。先程から辺りを見渡しているのに何も無いのだ。「ゴボゴボ」というマグマの音だけが、耳に入ってくる。
「ようこそ! 私が作った地下迷宮へ!」
僕の背の高さから一メートル高い場所から声が聞こえてきた。僕は声がする方に顔を向ける。
マグマの滝の間からモニターが出現していた。リアルタイムで見ているとは考えにくいので、撮影したものなのだろうか。それともライブなのか。
「今からニ、三問、クイズを出すから答えてね! 正解したら報酬を渡すよ! 失敗したら罰ゲームね! じゃあ、始めるよ!」
ずかずかと話が進んでいく。クイズに正解すると報酬がもらえるのなら、やるしかない。それに今はこの方法でしか先に進むことができないと思っている。みんなもそのつもりのようでやる気を出しているように見える。(よし! みんなには負けねぇ!)なんて思っている。結局のところは協力するとは思うが……。
「じゃあ、始めるよ! 一問目はこれだよ!」
女性はそう言うと紙を見せてきた。
「直接、問題を出すんじゃないのか!」
質問を出す雰囲気を出しといて、紙を出した女性に突っ込んでしまった。
「出さないよ! だって恥ずかしいもん!」
女性は照れ笑いを浮かべている。女性の反応を見る限り、ライブの可能性が高いと思われる。プレイヤーがここに来ると通知が来るようになっているのか……。
「いやいや、さっきは初対面の人に堂々と話していたよね⁉︎」
「それとこれとは別! それよりもクイズの答えは?」
(一緒だろ!)と言いたくなったが、とりあえずクイズの答えを考えることにする。女性が出した紙には〔太陽系が属する銀河の名称は何?〕と書いてあった。中学生で習った理科の問題である。
よく考えてみれば、変化の間で出されたクイズのほとんどが理科の問題だったような気がする。地下迷宮を作った女性は理科が好きなのだろうか。アサガオには少し難しい問題かもしれない。戦国兄弟は現役中学生なので、答えてくれると嬉しい。
太陽系が属する銀河系。習ったことがある気がするのだが、なかなか出てこないものである。織姫と彦星が出てくる七夕の話に銀河系の答えがあったような気がするのだが……。
「分かりました!」
「おっ! 早いね! そこの君、答えをどうぞ!」
最初に手を挙げたのはアサガオだった。中学生レベルの問題をこんな短時間で答えが分かるなんて、予想もしていなかった。
「天の川銀河です!」
「お見事! 正解だよ! 報酬を渡すね!」
中学生レベルの問題に正解してしまったアサガオ。どうやらアサガオは頭がいい小学生だったらしい。一ヶ月近く一緒に遊んでいる中で初めて知った。
「アサガオ! すごいね! どうして分かったの?」
リリがすぐにアサガオを抱きしめ、褒める。
「えへへ……お星様が好きだったから分かったんだよ!」
アサガオは会心の笑顔を見せる。星のことをお星様と言うところもまたかわいい。そんなことを考えながら報酬を待つが、一向に通知が来ない。どうやら答えた本人にだけ報酬が入るパターンらしい。ギルドメンバー対抗のクイズ対決だ。(次は絶対に僕が答えてやる!)と闘志を燃やしていた。
「続いて第二問! 冬の大三角形を形成する明るい星はペテルギウス、ブロキオン、あと一つは何?」
「紙で問題出さないのかい!」
「あぁ……面倒くさいでいいや!」
「恥ずかしいんじゃないのか!」
「あれ! 嘘だよ!」
「嘘かい!」
僕は女性とそんなやり取りをして、手を上げる。女性が言っていない星座と言ったら、あれしかない。
「はい! そこの君!」
「シリウスです!」
超有名な星座なので、すぐに答えが出てきた。
「正解! 報酬を渡すよ!」
女性がそう言うと、僕の目の前に【防御の金石を二つ獲得しました‼】と表示された。【防御の金石】と言えば防御力を上昇させるものだ。これは最大五つまで装備することができ、今僕は二つ装備している。手に入れた【防御の金石】を装備すれば、ニ十パーセント軽減になるので、すぐに装備することにする。
「ではでは、次がラスト問題だよ!」
女性は明るい口調で言う。次がラスト問題、(もう一回、報酬を手に入れてやる!)と思いながらラスト問題を待つ。
「夏の大三角形を形成する星座の名前は何?」
夏の大三角形を形成する星座でこと座とはくちょう座は出てくるのだが、あと一つの星座の名前が出てこない。マイナーではないとは思うが、なんだったかな……。僕が頭をひねっているとムサシが手を上げる。
「はい! そこ!」
「こと座、はくちょう座、わし座です!」
「大正解! 報酬を受け取って! これでクイズ終了、そこから上の入り口に跳べるよ!」
女性がそう言うとモニターの電源が切れ、マグマの滝が上昇していきジャンプ台が出現する。そして僕たちの五メートル上に床が出現し、奥に扉がある。僕達はジャンプ台で五メートル上の床に飛んでいく。やっぱり地下迷宮のギミックは面白い。全員が床に着地したのを確認し、僕は扉を開けて中に入っていく。
「わぁ……すげぇ~」
僕は目の前に広がる光景に目を奪われてしまった。ジャングルのような巨樹が立ち並ぶ森林地帯。そしてかすかにしか見えないが、煙を噴き上げている火山がある。この景色、見たことがあるような……。
「これって……恐竜時代にある木じゃないんですか?」
ムサシがそんなことを言う。言われてみればそんなような気がする。幼い頃に恐竜の映画を一度だけ見たことがあったので、見覚えがあったのだろう。となると付近には見当たらないが、恐竜が存在していることになる。
「その可能性が高いわね!」
ツキナもムサシの意見に賛同する。もしここが恐竜の出てくる場所ならば、当然肉食恐竜も存在しているはず。できるだけ会いたくはないが、どうなるのだろうか……。
「じゃあ、気を引き締めて進もう!」
僕はみんなにそう言うと歩き出す。どんな試練が待っているのかを楽しみだ。
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