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レベル35 性職者カナミ 非処女 淫祭服 鈍く光るイヤリング 亀頭の杖 ステ:薄情 暗所恐怖症 状態異常:ピンク髪 淫紋 金45000JEM
ザザリアーク邪教会編⑤終「裏切りと活路」微Ⓗ(おはようフェラ、ぶっかけ、騎乗位未遂)
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「ちゅぱっ、ちゅぷっ、ねろれろッ、ずちゅっ、ぁむッ……ちゅぅ゛ぅ゛ぅ゛ッッ、はぁっ、カリ高ハンサムおちんぽ様、硬くて、ひょっぱくて、おいしぃッ……ちゅるるるっっ♥」
ザザリアークの性職者となり、正式に活動を始めることになった翌日の朝。
カーテンの隙間から穏やかな光が差し込むベッドの上でカナミは、朝勃ちしたリボーンの肉棒にかいがいしく奉仕していた。
「む……? 朝も早くから熱心ですね」
「あはっ♥ おはようございま~すっ! 司教様、お寝坊さんれしゅ……じゅる、ぺろぺろ……くちゅっ。おちんぽ様の方はぁ、こ~んなに早起きなのにぃ……ぁむぅ、ぴちゅ……ちゅっちゅっ」
肉棒の根元から竿に向かってねっとりと舌を這わせ、やがてたどり着いた先端に小鳥がついばむようなキスを行う。
「ぁぁんっ。やっぱり司教様のおちんぽ様、ステキぃっ♥ 側近の方のも立派ですけどぉ、コレは硬さも大きさもぉ……そして、すんすんすんっ、匂いも段違いッ……」
唾液のまとわりついた黒光りする肉棒に顔を近づけ、強い精臭を鼻いっぱいに吸引するカナミ。
「んはぁぁあぁぁあっ♥ 蒸れた雄の匂い好きぃぃっ、頭がクラクラしちゃうっ」
「あなたのおかげでミサは大成功。優秀な性職者が入信したとなれば遠方にもそのウワサが広まり、ますます多くのお布施が望めそうです。いずれあなたにも相応のご褒美を与えなくてはなりませんね」
「あ、ありがとうございまふ……。れも、あたし、その……お金なんかよりも、こっちの方が……」
熱い吐息が触れ、ビクビクと震える亀頭を愛おしそうに指先でツンツンするカナミの顔は、もはや堕落しきった雌そのものだ。
「おや。たしかあなたは空間転移魔法が欲しくてお金を稼ぎたかったはずでは?」
「そんなこと、もうどうでもいいじゃないですかっ。あたしが今見てるのはぁ……ちゅる、じゅるっ……リボーン司教様の逞しいおちんぽ様だけ……」
「ふふふ。良いでしょう。あなたの心がけとひたむきな奉仕精神を称え、そのみっともない雌顔に私の一番搾りをぶっかけてあげましょう」
「ひゃぁんっ!? おひんぽ様、ビクビクってひたぁっ♥」
「出るっ、出ますよっ!」
「ぁっ……」
リボーンはイく寸前、カナミの口から強引に肉棒を引き抜いた。
びゅぐっ、どぴゅっどぴゅっ! びゅるるるッッ!!
「きゃはぁあぁあっ! ご褒美せーしきたぁ♥ スゥー……くんくんくんっ、んはぁあぁッ……アツくて、とってもイイ匂いっ。脳が蕩けて……おまんこがきゅんきゅん疼いてきちゃ、ぅ゛ッ……んん!」
「ほぉ、命じたわけでもないのに、顔に精液を擦りつけるなんて嬉しいことをしてくれますね」
「うふふふっ。らってぇ、こうすれば、いつでも司教様とつながってる感じがしてぇ、ステキじゃないですかぁ」
「……あなたは本当に可愛い娘だ。本来、司教として平等を貫かなくてはならない掟を破り、我先に孕ませて独占してやりたい衝動に駆られてしまいます」
「は、孕ませ――? し、シてくださいっ! 司教様の力強い濃厚精液で、私の子宮を完全征服して……司教様専用にしちゃってくださぁいっっ!!」
「慌ててはダメですよ。物事には順序と言うものがあるんですから」
「司教様の赤ちゃんっ! 赤ちゃん孕みたいっ! あたしの赤ちゃん部屋にたっくさん精液注いでほしいのおッ♥」
「そんなに孕みたいんですか? しかたがありませんね……では、このまま朝の儀式と行きましょうか」
たった今出したばかりだと言うのに、依然雄々しくそそり立つ肉棒がカナミの面前で揺れ動く。
「あなたが上になってください。たっぷりおまんこしてあげますよ」
「ああっ、嬉しいっ♥」
ベッドの上で中腰となったカナミの膣口はすでにトロトロ。
やがて重力に従って滴り落ちた愛液が、亀頭の先端を妖しく濡らす。
「じゃあ、失礼しますね~ぇ」
そしてゆっくりと腰を下ろし、性器同士がいよいよ触れる……と思った、次の瞬間――。
◇◆◇
ドン!!
突如、どこからかすさまじい爆発音が響いた。
「んあっ! な、なんだ? 地震か!」
カナミの惨状から目を背けるように眠りについていた俺は、その尋常でない音に飛び起き慌てて辺りを見渡す。
しかし、部屋の中は何ひとつ変わった様子はない。となると原因は明白。正面のモニターだ。
(……?)
一瞬、起き掛けで視界がぼやけているのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
何度瞬きさせて見ても、画面の中に薄いモヤのようなものがかかっていた。
その中心には抱き合うふたりの影……カナミとリボーン。
(クッ!! こ、こいつら、朝っぱらからいったい何を……ん?)
いや、ただ抱き合っているわけではない。どちらかと言えば、リボーンがカナミをかばっているようにも見える。
この状況はいったい――?
◇◆◇
「司教様! ハッ、お、お取込み中大変申し訳ございませんっ……」
「どうしたのですか? 騒々しい」
「しゅ、襲撃です! 教会が賊に襲撃されました!!」
「な、なんですって? では、この煙は……」
「放たれた火が原因のようです。早く地下通路からお逃げください!」
「分かりました!」
「あ、あの司教様。いったい何が――」
「いつまで掴まっているんですか。いい加減離しなさい!」
「きゃあっ!」
リボーンはしがみついていたカナミの身体を引きはがし、床に強く叩きつける。
「こういうときにこそ役に立つのが家畜と言うもの。私の逃亡にために、お前が囮になりなさい!」
「そ、そんな! 司教様、あたし……司教様とずっと一緒に……孕ませてくれるって言ったのに……」
「ごちゃごちゃうるさい!! 家畜の分際で私に指図をするな!!」
「ひぃっ……」
常に穏やかで冷静であったリボーンが初めて見せる鬼のような形相と、激しい怒号。
「司教様、煙が充満してきました! 早くこちらへ!」
「今行きます!」
「あっ……」
祭服を翻し立ち去るリボーンの非情な背中を、ただ目で追うことしかできないカナミ。
ひとり部屋に取り残され呆然としている間にも徐々に火の手は広がり、逃げ場が刻一刻と奪われていく。
「こほっ、ごほごほッ」
また、奪われるのは逃げ場だけじゃない。
呼吸も苦しくなり、身体の自由や思考能力も衰え始める。
(やだ……死にたくない。逃げなきゃ、逃げなきゃ……)
しかし、思考が衰えれば衰えるほど無駄な考えは消去され、死への恐怖と生への執着だけが頭の中を渦巻くようになり――。
「イヤだイヤだ!!」
気付けばカナミは、床に転がっていた蠢く亀頭の杖を振りかざしドアガラスに向け突き立てていた。
ガリ、ガリガリ……。
酸欠でただでさえ力が入らない状況。
弱弱しい刺突ではヒビが入るくらいが関の山ではあったが、一点集中することでしだいに割れ目が蜘蛛の巣のように広がっていく。
「も、もう少し……」
そして、何度目か分からぬほどの打撃の後、ついに――。
ガチャン!
「開いた!」
ここが一階であったことも幸いし、カナミはカーテンに包まれる形で窓からずり落ち、命からがら外に脱出することに成功する。
「あ、ああ……」
初めてここに来た時に感じた、黒くまがまがしい瘴気が今や炎で真っ赤に染まり、教会は瞬く間に原型を失っていった。
その周りでは助けを求める悲痛な叫びと野蛮な笑い声が交互に響き、やがて何かが砕けるような重く鈍い音が続く。
それらの音どれもが、きっとよくないものであることは本能的に分かった。
煙やススで視界がおぼつかないからこそ際立つ恐怖にカナミは震え上がる。
(捕まったら、きっと殺される……)
逃げなくちゃとは思っていても、肝心の身体がついてこない。
それでも這うようにして何とか茂みの中に隠れると、大きく胸をなでおろした――。
◇◆◇
まるで映画かドラマのワンシーンのような展開に、俺は生唾を飲み込んだ。
焼け落ちていく建物と、簡単に奪われていく尊い命。
しかし賊たちはまだまだ暴れたりないと言った様子で、周りの木々を斧でいたずらに伐り倒し始める。
その行動範囲はじわじわと広がり、気付けばカナミが休んでいる大樹の近くへと及んでいた。
このままではカナミも――。
危険を感じた俺は、身を乗り出すようにしてモニターに呼びかける。
『カナミ、聞こえるか!』
「……? タク、ヤ? タクヤなの?」
『ああ。とにかくその場から去るんだ……って、お前、その髪……』
「えっ」
まさに生か死かの状況で、そこまで気が回っていなかったのだろう。
改めてカナミの姿を見ると、なんと彼女の髪の毛がピンク色から元の茶色に戻っていたのだ。
それだけではない。
まとったボロボロのカーテンから垣間見える、身体に描かれていた淫字やお腹の淫紋も、キレイさっぱり消えてなくなっている。
肌はススで黒く染まっているものの、モニターの中のカナミは、俺の知るいつものカナミへと変貌を遂げていた。
『まさか、正気に……』
「ご、ごめんなさい。あたし、今までタクヤにひどいことを……自我はあったの。でも、逆らえなくて……くっ、頭、痛っ」
おそらく、リボーンがカナミを手放したことによって、施した淫紋魔法の効果も切れたと言うことだろう。
『分かってる。とにかく今は逃げるのが先だ。立てるか?』
「な、なんとか」
『左手に開けた道があるだろ。まずそこへ出ろ』
「うん。あ、この道って、馬車で通った……」
『すぐそこまで賊が迫ってる。急いで距離を空けるんだ』
「……分かった」
カナミが弱弱しく返事をしたわけは、疲れのせいだけではない。
なんせ、この道をたどった先にはオータムカンバスがあるのだ。
ザザリアーク教会に出発する際に見たベルーガの形相を思い出すと、とてもじゃないが足を踏み入れられる状況ではない。
それでも生きるためにと何とか歩みを進め、数十分経った頃、カナミの耳元に、ざざざ……と言う心地よい音が聴こえてくる。
「これ、波の音かな。かすかに……潮の香りもする」
『海が近いってことか』
トリニティ・ワールド・オンラインでは大陸と大陸を渡る手段として陸路の他に海路も用意されている。
うまく船を使うことができれば、比較的安心で治安もいい場所へ逃げられるかもしれない。
『もしかすると船が出ているかもな。魔物と遭遇する危険性のある林道を歩くよりもよっぽど安全そうだ。行ってみる価値はありそうだぞ』
「うん」
安全そう。
思い付きで放ったその言葉が、まさかカナミを再び絶望の淵に追いやることになろうとは、俺は夢にも思っていなかった――。
ザザリアークの性職者となり、正式に活動を始めることになった翌日の朝。
カーテンの隙間から穏やかな光が差し込むベッドの上でカナミは、朝勃ちしたリボーンの肉棒にかいがいしく奉仕していた。
「む……? 朝も早くから熱心ですね」
「あはっ♥ おはようございま~すっ! 司教様、お寝坊さんれしゅ……じゅる、ぺろぺろ……くちゅっ。おちんぽ様の方はぁ、こ~んなに早起きなのにぃ……ぁむぅ、ぴちゅ……ちゅっちゅっ」
肉棒の根元から竿に向かってねっとりと舌を這わせ、やがてたどり着いた先端に小鳥がついばむようなキスを行う。
「ぁぁんっ。やっぱり司教様のおちんぽ様、ステキぃっ♥ 側近の方のも立派ですけどぉ、コレは硬さも大きさもぉ……そして、すんすんすんっ、匂いも段違いッ……」
唾液のまとわりついた黒光りする肉棒に顔を近づけ、強い精臭を鼻いっぱいに吸引するカナミ。
「んはぁぁあぁぁあっ♥ 蒸れた雄の匂い好きぃぃっ、頭がクラクラしちゃうっ」
「あなたのおかげでミサは大成功。優秀な性職者が入信したとなれば遠方にもそのウワサが広まり、ますます多くのお布施が望めそうです。いずれあなたにも相応のご褒美を与えなくてはなりませんね」
「あ、ありがとうございまふ……。れも、あたし、その……お金なんかよりも、こっちの方が……」
熱い吐息が触れ、ビクビクと震える亀頭を愛おしそうに指先でツンツンするカナミの顔は、もはや堕落しきった雌そのものだ。
「おや。たしかあなたは空間転移魔法が欲しくてお金を稼ぎたかったはずでは?」
「そんなこと、もうどうでもいいじゃないですかっ。あたしが今見てるのはぁ……ちゅる、じゅるっ……リボーン司教様の逞しいおちんぽ様だけ……」
「ふふふ。良いでしょう。あなたの心がけとひたむきな奉仕精神を称え、そのみっともない雌顔に私の一番搾りをぶっかけてあげましょう」
「ひゃぁんっ!? おひんぽ様、ビクビクってひたぁっ♥」
「出るっ、出ますよっ!」
「ぁっ……」
リボーンはイく寸前、カナミの口から強引に肉棒を引き抜いた。
びゅぐっ、どぴゅっどぴゅっ! びゅるるるッッ!!
「きゃはぁあぁあっ! ご褒美せーしきたぁ♥ スゥー……くんくんくんっ、んはぁあぁッ……アツくて、とってもイイ匂いっ。脳が蕩けて……おまんこがきゅんきゅん疼いてきちゃ、ぅ゛ッ……んん!」
「ほぉ、命じたわけでもないのに、顔に精液を擦りつけるなんて嬉しいことをしてくれますね」
「うふふふっ。らってぇ、こうすれば、いつでも司教様とつながってる感じがしてぇ、ステキじゃないですかぁ」
「……あなたは本当に可愛い娘だ。本来、司教として平等を貫かなくてはならない掟を破り、我先に孕ませて独占してやりたい衝動に駆られてしまいます」
「は、孕ませ――? し、シてくださいっ! 司教様の力強い濃厚精液で、私の子宮を完全征服して……司教様専用にしちゃってくださぁいっっ!!」
「慌ててはダメですよ。物事には順序と言うものがあるんですから」
「司教様の赤ちゃんっ! 赤ちゃん孕みたいっ! あたしの赤ちゃん部屋にたっくさん精液注いでほしいのおッ♥」
「そんなに孕みたいんですか? しかたがありませんね……では、このまま朝の儀式と行きましょうか」
たった今出したばかりだと言うのに、依然雄々しくそそり立つ肉棒がカナミの面前で揺れ動く。
「あなたが上になってください。たっぷりおまんこしてあげますよ」
「ああっ、嬉しいっ♥」
ベッドの上で中腰となったカナミの膣口はすでにトロトロ。
やがて重力に従って滴り落ちた愛液が、亀頭の先端を妖しく濡らす。
「じゃあ、失礼しますね~ぇ」
そしてゆっくりと腰を下ろし、性器同士がいよいよ触れる……と思った、次の瞬間――。
◇◆◇
ドン!!
突如、どこからかすさまじい爆発音が響いた。
「んあっ! な、なんだ? 地震か!」
カナミの惨状から目を背けるように眠りについていた俺は、その尋常でない音に飛び起き慌てて辺りを見渡す。
しかし、部屋の中は何ひとつ変わった様子はない。となると原因は明白。正面のモニターだ。
(……?)
一瞬、起き掛けで視界がぼやけているのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
何度瞬きさせて見ても、画面の中に薄いモヤのようなものがかかっていた。
その中心には抱き合うふたりの影……カナミとリボーン。
(クッ!! こ、こいつら、朝っぱらからいったい何を……ん?)
いや、ただ抱き合っているわけではない。どちらかと言えば、リボーンがカナミをかばっているようにも見える。
この状況はいったい――?
◇◆◇
「司教様! ハッ、お、お取込み中大変申し訳ございませんっ……」
「どうしたのですか? 騒々しい」
「しゅ、襲撃です! 教会が賊に襲撃されました!!」
「な、なんですって? では、この煙は……」
「放たれた火が原因のようです。早く地下通路からお逃げください!」
「分かりました!」
「あ、あの司教様。いったい何が――」
「いつまで掴まっているんですか。いい加減離しなさい!」
「きゃあっ!」
リボーンはしがみついていたカナミの身体を引きはがし、床に強く叩きつける。
「こういうときにこそ役に立つのが家畜と言うもの。私の逃亡にために、お前が囮になりなさい!」
「そ、そんな! 司教様、あたし……司教様とずっと一緒に……孕ませてくれるって言ったのに……」
「ごちゃごちゃうるさい!! 家畜の分際で私に指図をするな!!」
「ひぃっ……」
常に穏やかで冷静であったリボーンが初めて見せる鬼のような形相と、激しい怒号。
「司教様、煙が充満してきました! 早くこちらへ!」
「今行きます!」
「あっ……」
祭服を翻し立ち去るリボーンの非情な背中を、ただ目で追うことしかできないカナミ。
ひとり部屋に取り残され呆然としている間にも徐々に火の手は広がり、逃げ場が刻一刻と奪われていく。
「こほっ、ごほごほッ」
また、奪われるのは逃げ場だけじゃない。
呼吸も苦しくなり、身体の自由や思考能力も衰え始める。
(やだ……死にたくない。逃げなきゃ、逃げなきゃ……)
しかし、思考が衰えれば衰えるほど無駄な考えは消去され、死への恐怖と生への執着だけが頭の中を渦巻くようになり――。
「イヤだイヤだ!!」
気付けばカナミは、床に転がっていた蠢く亀頭の杖を振りかざしドアガラスに向け突き立てていた。
ガリ、ガリガリ……。
酸欠でただでさえ力が入らない状況。
弱弱しい刺突ではヒビが入るくらいが関の山ではあったが、一点集中することでしだいに割れ目が蜘蛛の巣のように広がっていく。
「も、もう少し……」
そして、何度目か分からぬほどの打撃の後、ついに――。
ガチャン!
「開いた!」
ここが一階であったことも幸いし、カナミはカーテンに包まれる形で窓からずり落ち、命からがら外に脱出することに成功する。
「あ、ああ……」
初めてここに来た時に感じた、黒くまがまがしい瘴気が今や炎で真っ赤に染まり、教会は瞬く間に原型を失っていった。
その周りでは助けを求める悲痛な叫びと野蛮な笑い声が交互に響き、やがて何かが砕けるような重く鈍い音が続く。
それらの音どれもが、きっとよくないものであることは本能的に分かった。
煙やススで視界がおぼつかないからこそ際立つ恐怖にカナミは震え上がる。
(捕まったら、きっと殺される……)
逃げなくちゃとは思っていても、肝心の身体がついてこない。
それでも這うようにして何とか茂みの中に隠れると、大きく胸をなでおろした――。
◇◆◇
まるで映画かドラマのワンシーンのような展開に、俺は生唾を飲み込んだ。
焼け落ちていく建物と、簡単に奪われていく尊い命。
しかし賊たちはまだまだ暴れたりないと言った様子で、周りの木々を斧でいたずらに伐り倒し始める。
その行動範囲はじわじわと広がり、気付けばカナミが休んでいる大樹の近くへと及んでいた。
このままではカナミも――。
危険を感じた俺は、身を乗り出すようにしてモニターに呼びかける。
『カナミ、聞こえるか!』
「……? タク、ヤ? タクヤなの?」
『ああ。とにかくその場から去るんだ……って、お前、その髪……』
「えっ」
まさに生か死かの状況で、そこまで気が回っていなかったのだろう。
改めてカナミの姿を見ると、なんと彼女の髪の毛がピンク色から元の茶色に戻っていたのだ。
それだけではない。
まとったボロボロのカーテンから垣間見える、身体に描かれていた淫字やお腹の淫紋も、キレイさっぱり消えてなくなっている。
肌はススで黒く染まっているものの、モニターの中のカナミは、俺の知るいつものカナミへと変貌を遂げていた。
『まさか、正気に……』
「ご、ごめんなさい。あたし、今までタクヤにひどいことを……自我はあったの。でも、逆らえなくて……くっ、頭、痛っ」
おそらく、リボーンがカナミを手放したことによって、施した淫紋魔法の効果も切れたと言うことだろう。
『分かってる。とにかく今は逃げるのが先だ。立てるか?』
「な、なんとか」
『左手に開けた道があるだろ。まずそこへ出ろ』
「うん。あ、この道って、馬車で通った……」
『すぐそこまで賊が迫ってる。急いで距離を空けるんだ』
「……分かった」
カナミが弱弱しく返事をしたわけは、疲れのせいだけではない。
なんせ、この道をたどった先にはオータムカンバスがあるのだ。
ザザリアーク教会に出発する際に見たベルーガの形相を思い出すと、とてもじゃないが足を踏み入れられる状況ではない。
それでも生きるためにと何とか歩みを進め、数十分経った頃、カナミの耳元に、ざざざ……と言う心地よい音が聴こえてくる。
「これ、波の音かな。かすかに……潮の香りもする」
『海が近いってことか』
トリニティ・ワールド・オンラインでは大陸と大陸を渡る手段として陸路の他に海路も用意されている。
うまく船を使うことができれば、比較的安心で治安もいい場所へ逃げられるかもしれない。
『もしかすると船が出ているかもな。魔物と遭遇する危険性のある林道を歩くよりもよっぽど安全そうだ。行ってみる価値はありそうだぞ』
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思い付きで放ったその言葉が、まさかカナミを再び絶望の淵に追いやることになろうとは、俺は夢にも思っていなかった――。
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