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ルールと価値
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『ドウシタ、ハヤククルガイイ』
突然話しかけられて困惑する自分を無視してこっちへ来いと促す老婆。
どうするのが正解かわからないのでこの場は素直に指示に従い近付く。
『スワルモノナドナイガ、マァソコニスワリナ。セツメイシテヤル』
「......わかりました」
警戒を強めて座らずにいたら老婆から警戒など無意味とばかりにプレッシャーが放たれる。現時点では絶対に敵わないと悟り、大人しく座る。
『サイショカラスナオニスワッテレバイイモノヲ......サテ、ココハタダノ”ミセ“ジャ。”ババァノミセ“トデモオモッテオクガヨイ』
「......はぁ」
自分でババァと言っていたから、今後はババァって呼ぼう。
大人しく聞く姿勢になったのを確認したババァは、店のルールなどの説明を始めた。
◆◆◆
多分このババァはこのダンジョン十階層にまで来れた人に対するご褒美的な存在なんだと思う。
ババァから聞けた説明は、今の自分にはとても有難い物だった。
・ダンジョンで入手したモノで必要ないモノを此処で売却し、その時その時で必要だと思うモノを購入する場所である
・ダンジョンには金などは無く、金の代わりになるモノはババァが用意する
・ババァはこちらが売るモノは何でも買うし、布の上にあるモノなら何でも売る
・盗みを働いたり、ババァを害そうとすればダンジョンの全てが敵になり、生き残るのは不可能になるから変な気は起こすなと......詳しくは説明してくれなかった
・出現するのはババァの気が向いた時に下りる階段の前に出現し、確定で出現するのはボス戦後
・ここで休むことは可能だが何かを買ってから、初回の今回に限り休んでも良し
・金など持っていてもダンジョン攻略の邪魔になるだけなので、支出が記録できる特殊な加工が施されたプレートを初回は無料で支給
・次回利用時にプレートを不所持な場合は店の利用は不可、プレートの代金を払えば再発行できるが中身は0になる
入る度に中の構造が変わる不思議な感じのするダンジョンにある店みたいなモノと思えばいいのかな......アレと違って、泥棒なんてしまった暁には、ダンジョンから脱出しない限り延々とこちらを殺しに来るだろう。
もしやったとしても、この部屋から一歩出た瞬間に殺される。そこまで愚かな事はする必要はない。その事を説明してる最中に殺気を出された時は普通に死を覚悟した。
『ワカッタカボウズ。ホラコレガプレートダ。ナクスナヨ』
そして次に、そう言われて投げ渡されたこのプレートについて。
持たされたらわかる事が多かった。
先ず、これが無いと利用不可という理由......
ババァの並べた商品はこれを持っていないと値段が読めない。持っていないヤツとはプレートを買うか買わないかの会話しかしないと追加情報をくれた。
次に、このプレートを持っているとダンジョン内で手に入れたアイテムの大体の値段がわかるようになるらしい。取捨選択して必要なのを持ち運べって言われた。
最後に、無くした場合......落としたまま階層移動した場合は、ババァが回収して金を抜くとの事。文句は言うなよとプレッシャー付きで言われた。
なんでこれはさっき説明しなかったか聞くと、実際に持ってからでないと納得しない奴が多かったって文句を言っていた。
「ババァも色々大変だったんだな」
ついこんな事を言ってしまい、馬鹿にするな小僧って言われて壁まで吹き飛ばされた。
無駄にダメージを負てしまったが、説明を終えたババァが不用品の買取りをしてくれた。
ゴーレムコアが500、変な小石が一律10であった物全てを売ってプレートに680と記載された。
それと不死血鳥の尾羽や食肉ナイフの価値を知りたくて聞いてみたが、コアや石と違って買い取り金額を教えてくれなかった。
知りたいなら1000払えば教えてやると言われて諦めた。ガメついババァだ。
一応レアモンスターから出たアイテム。貴重で役に立つモノと認識して引き下がってババァの商品を物色した。
150で服三枚、200で中型の丈夫なリュック、100で頑丈な水筒、100で丈夫なズボンを購入。即座に着替えて、脱いだボロボロの要らないものは売却......〆て5となった。
これで残高は135。パンツとかも欲しかったけど、すぐ破損するので今回は我慢した。
他にも欲しいモノはあったが、高くて諦めたモノがチラホラ。いつか金が溜まったら買いたいモノを覚えておいた。
〈中位鑑定の使い切りスクロール〉2000
〈解呪の使い切りスクロール〉5000
〈ババァの呼び鈴〉20000
今回の商品で欲しいと思ったモノはコレら。
呪いの品物などがあると確定したから気をつけようと思った。
この中でも特に破格なババァの呼び鈴は、鳴らせばババァが即座にやって来て店を開くというアイテム。その際はババァが部屋の中のモンスターを全て掃除するというオマケ付き。いつか買いたいと思う。
買い物を終えた自分は、ババァに休んでもいいか聞いて許可された所で寝転がる。
『マイドアリ、ボウズガイキテタラマタアオウ』
寝付けそうになった所でそんな声が聞こえた。ありがとうババァ。おやすみ。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
Lv:53
HP:100%
MP:100%
物攻:40
物防:1
魔攻:10
魔防:1
敏捷:40
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残41.9L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv4
鈍器Lv4
簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ
丈夫なズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
丈夫なリュック
鱗皮のナイフホルダー
ババァの店の会員証
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突然話しかけられて困惑する自分を無視してこっちへ来いと促す老婆。
どうするのが正解かわからないのでこの場は素直に指示に従い近付く。
『スワルモノナドナイガ、マァソコニスワリナ。セツメイシテヤル』
「......わかりました」
警戒を強めて座らずにいたら老婆から警戒など無意味とばかりにプレッシャーが放たれる。現時点では絶対に敵わないと悟り、大人しく座る。
『サイショカラスナオニスワッテレバイイモノヲ......サテ、ココハタダノ”ミセ“ジャ。”ババァノミセ“トデモオモッテオクガヨイ』
「......はぁ」
自分でババァと言っていたから、今後はババァって呼ぼう。
大人しく聞く姿勢になったのを確認したババァは、店のルールなどの説明を始めた。
◆◆◆
多分このババァはこのダンジョン十階層にまで来れた人に対するご褒美的な存在なんだと思う。
ババァから聞けた説明は、今の自分にはとても有難い物だった。
・ダンジョンで入手したモノで必要ないモノを此処で売却し、その時その時で必要だと思うモノを購入する場所である
・ダンジョンには金などは無く、金の代わりになるモノはババァが用意する
・ババァはこちらが売るモノは何でも買うし、布の上にあるモノなら何でも売る
・盗みを働いたり、ババァを害そうとすればダンジョンの全てが敵になり、生き残るのは不可能になるから変な気は起こすなと......詳しくは説明してくれなかった
・出現するのはババァの気が向いた時に下りる階段の前に出現し、確定で出現するのはボス戦後
・ここで休むことは可能だが何かを買ってから、初回の今回に限り休んでも良し
・金など持っていてもダンジョン攻略の邪魔になるだけなので、支出が記録できる特殊な加工が施されたプレートを初回は無料で支給
・次回利用時にプレートを不所持な場合は店の利用は不可、プレートの代金を払えば再発行できるが中身は0になる
入る度に中の構造が変わる不思議な感じのするダンジョンにある店みたいなモノと思えばいいのかな......アレと違って、泥棒なんてしまった暁には、ダンジョンから脱出しない限り延々とこちらを殺しに来るだろう。
もしやったとしても、この部屋から一歩出た瞬間に殺される。そこまで愚かな事はする必要はない。その事を説明してる最中に殺気を出された時は普通に死を覚悟した。
『ワカッタカボウズ。ホラコレガプレートダ。ナクスナヨ』
そして次に、そう言われて投げ渡されたこのプレートについて。
持たされたらわかる事が多かった。
先ず、これが無いと利用不可という理由......
ババァの並べた商品はこれを持っていないと値段が読めない。持っていないヤツとはプレートを買うか買わないかの会話しかしないと追加情報をくれた。
次に、このプレートを持っているとダンジョン内で手に入れたアイテムの大体の値段がわかるようになるらしい。取捨選択して必要なのを持ち運べって言われた。
最後に、無くした場合......落としたまま階層移動した場合は、ババァが回収して金を抜くとの事。文句は言うなよとプレッシャー付きで言われた。
なんでこれはさっき説明しなかったか聞くと、実際に持ってからでないと納得しない奴が多かったって文句を言っていた。
「ババァも色々大変だったんだな」
ついこんな事を言ってしまい、馬鹿にするな小僧って言われて壁まで吹き飛ばされた。
無駄にダメージを負てしまったが、説明を終えたババァが不用品の買取りをしてくれた。
ゴーレムコアが500、変な小石が一律10であった物全てを売ってプレートに680と記載された。
それと不死血鳥の尾羽や食肉ナイフの価値を知りたくて聞いてみたが、コアや石と違って買い取り金額を教えてくれなかった。
知りたいなら1000払えば教えてやると言われて諦めた。ガメついババァだ。
一応レアモンスターから出たアイテム。貴重で役に立つモノと認識して引き下がってババァの商品を物色した。
150で服三枚、200で中型の丈夫なリュック、100で頑丈な水筒、100で丈夫なズボンを購入。即座に着替えて、脱いだボロボロの要らないものは売却......〆て5となった。
これで残高は135。パンツとかも欲しかったけど、すぐ破損するので今回は我慢した。
他にも欲しいモノはあったが、高くて諦めたモノがチラホラ。いつか金が溜まったら買いたいモノを覚えておいた。
〈中位鑑定の使い切りスクロール〉2000
〈解呪の使い切りスクロール〉5000
〈ババァの呼び鈴〉20000
今回の商品で欲しいと思ったモノはコレら。
呪いの品物などがあると確定したから気をつけようと思った。
この中でも特に破格なババァの呼び鈴は、鳴らせばババァが即座にやって来て店を開くというアイテム。その際はババァが部屋の中のモンスターを全て掃除するというオマケ付き。いつか買いたいと思う。
買い物を終えた自分は、ババァに休んでもいいか聞いて許可された所で寝転がる。
『マイドアリ、ボウズガイキテタラマタアオウ』
寝付けそうになった所でそんな声が聞こえた。ありがとうババァ。おやすみ。
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吉持ㅤ匠
Lv:53
HP:100%
MP:100%
物攻:40
物防:1
魔攻:10
魔防:1
敏捷:40
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残41.9L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv4
鈍器Lv4
簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ
丈夫なズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
丈夫なリュック
鱗皮のナイフホルダー
ババァの店の会員証
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