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ゆっくりと意識が覚醒していく。
これまでにない程ゆっくり寝れたらしく、眠気や疲れが全く感じられない。
寝起きで上手く頭が回らない中で体を起こすと、体から何かが落ちる感覚があった。
何かと思って落ちたモノに目を向けると、見た事がある布があった。
「これはババァが品物を並べていた布......だよね? なんでここに......」
状況証拠的には、寝てる自分にババァが布をかけてくれた......でいいのかな。
あぁ......こんな自分でも優しくしてくれる存在が居たのか......!?
ババァはもうここには居ないから真相はわからないまま。
初回サービスで誰にでもやるのか、次回来店時に請求するのか、サービスしたんだから次回までには金になる物を集めて来いって事なのか......
ただの善意な可能性が一番高いと思いたいけど、素直にそれを信じる事が出来ない自分が情けない。
でも、次に会った時に真相を聞くまでは......その時までは善意でかけてくれたのかなぁ。
......だめだ......ちょっと気持ちの整理がつかない。なんなんだろうこの気持ち。こんなの知らない。
あぁ......暴れたいなぁ。
よくわからない気持ちは、暴れて忘れよう。
体調は問題ない、荷物は全部リュックに入れた。武器も良し。
さぁ行こう......
◇◆原初ノ迷宮第十一層◆◇
気持ちが荒れていようが、戦いに酔おうが、どんな状況になっても冷静さは忘れてはならない。
この事だけを徹底して意識していれば、致命的な状態にはならないはずだ。
折角新調したのだから、なるべく服を破らないようにしなきゃ......
あぁ、考える事が多くて気持ち悪い......
あ、モンスター発見。
──────────────────────────────
ナイトトロル
レベル:65
──────────────────────────────
──────────────────────────────
ナイトトロル
レベル:66
──────────────────────────────
──────────────────────────────
ナイトトロル
レベル:64
──────────────────────────────
──────────────────────────────
ナイトトロル
レベル:65
──────────────────────────────
相手の装備は全員一緒で、棘が付いている硬そうな木の棍棒のみ。服はおろか布らしいモノも纏っていない。
そう、完全な全裸だったのだ。
相手の格好について若干の気持ち悪さがあったが、ババァの店で服を手に入れる前までは自分も大して変わらない格好だったのを思い出したので、トロル達の格好については自分は何も文句は言えないだろう。
それにしても、あのトロルにナイトの要素はどこにあるんだろうか。さっぱりわからない。
「アハハッ......大層な名前を持っていても殴り合いしかできそうにないな。単純すぎるが故にきっと相手は厄介なはずだ......うん、勝てそうになければ一体ずつ釣って、一対一の連戦を四回してもらおう......」
これはノーダメージは無理だと結論付ける。
前言は即座に撤回......服を全て脱いで荷物を置き、全裸に金砕棒とナイフという相手に合わせた格好になる。
攻撃を食らうのは確定、一撃食らえば買ったばかりの服は弾け飛ぶだろう。それならば服など最初から装備せずに挑めばいい。丈夫な服で物防に+1程度追加されても焼け石に水なので。
乱戦になるのはどうしようが避けられないので、先手必勝とばかりに群れの中の一匹目掛けて走り出す。
自分とトロルの間に大分レベルに開きがあるので、出し惜しみせずに最初から全力で襲いかかった。
昂る気持ちを抑え、笑わないように細心の注意を払って放った不意打ちは、目論見通りトロルの頭部を砕いて絶命させた。
難易度の上がったエリア、出てくるモンスターとのレベル差や体格差があろうとも、防御を捨てた自分の身体能力ならば全く問題はない。これが通用しないとなると逃げ出すしかないので助かった。
さて、トロルの残りは三体......油断せずに一体ずつ減らしていこう。
あ、あれ......?
残りは三体......のはず、なんだけど......目の前には二体しかいない......さっきまでは確実に全て視界に捉えていたのに......
違和感に気付いた時にはもう手遅れで、さっきまでは何も感じなかった自分の背後から、強烈なプレッシャーを感じた......
「アハハッ......これはヤバいなぁ......脳筋相手だと思っていたけど、コイツは特殊なスキルか魔法を使う相手だったのか......」
頭部に強い衝撃を受けたと思ったら、肉が潰れる音と水風船が破裂する音が響く......そして電源が切れるようにプツンと視界が真っ黒に染まると、その瞬間に自分の意識が途切れた......
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
Lv:53
HP:100%
MP:100%
物攻:40
物防:1
魔攻:10
魔防:1
敏捷:40
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残41.9L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv4
鈍器Lv4
簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ
丈夫なズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
丈夫なリュック
鱗皮のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高135
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これまでにない程ゆっくり寝れたらしく、眠気や疲れが全く感じられない。
寝起きで上手く頭が回らない中で体を起こすと、体から何かが落ちる感覚があった。
何かと思って落ちたモノに目を向けると、見た事がある布があった。
「これはババァが品物を並べていた布......だよね? なんでここに......」
状況証拠的には、寝てる自分にババァが布をかけてくれた......でいいのかな。
あぁ......こんな自分でも優しくしてくれる存在が居たのか......!?
ババァはもうここには居ないから真相はわからないまま。
初回サービスで誰にでもやるのか、次回来店時に請求するのか、サービスしたんだから次回までには金になる物を集めて来いって事なのか......
ただの善意な可能性が一番高いと思いたいけど、素直にそれを信じる事が出来ない自分が情けない。
でも、次に会った時に真相を聞くまでは......その時までは善意でかけてくれたのかなぁ。
......だめだ......ちょっと気持ちの整理がつかない。なんなんだろうこの気持ち。こんなの知らない。
あぁ......暴れたいなぁ。
よくわからない気持ちは、暴れて忘れよう。
体調は問題ない、荷物は全部リュックに入れた。武器も良し。
さぁ行こう......
◇◆原初ノ迷宮第十一層◆◇
気持ちが荒れていようが、戦いに酔おうが、どんな状況になっても冷静さは忘れてはならない。
この事だけを徹底して意識していれば、致命的な状態にはならないはずだ。
折角新調したのだから、なるべく服を破らないようにしなきゃ......
あぁ、考える事が多くて気持ち悪い......
あ、モンスター発見。
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ナイトトロル
レベル:65
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ナイトトロル
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ナイトトロル
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ナイトトロル
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相手の装備は全員一緒で、棘が付いている硬そうな木の棍棒のみ。服はおろか布らしいモノも纏っていない。
そう、完全な全裸だったのだ。
相手の格好について若干の気持ち悪さがあったが、ババァの店で服を手に入れる前までは自分も大して変わらない格好だったのを思い出したので、トロル達の格好については自分は何も文句は言えないだろう。
それにしても、あのトロルにナイトの要素はどこにあるんだろうか。さっぱりわからない。
「アハハッ......大層な名前を持っていても殴り合いしかできそうにないな。単純すぎるが故にきっと相手は厄介なはずだ......うん、勝てそうになければ一体ずつ釣って、一対一の連戦を四回してもらおう......」
これはノーダメージは無理だと結論付ける。
前言は即座に撤回......服を全て脱いで荷物を置き、全裸に金砕棒とナイフという相手に合わせた格好になる。
攻撃を食らうのは確定、一撃食らえば買ったばかりの服は弾け飛ぶだろう。それならば服など最初から装備せずに挑めばいい。丈夫な服で物防に+1程度追加されても焼け石に水なので。
乱戦になるのはどうしようが避けられないので、先手必勝とばかりに群れの中の一匹目掛けて走り出す。
自分とトロルの間に大分レベルに開きがあるので、出し惜しみせずに最初から全力で襲いかかった。
昂る気持ちを抑え、笑わないように細心の注意を払って放った不意打ちは、目論見通りトロルの頭部を砕いて絶命させた。
難易度の上がったエリア、出てくるモンスターとのレベル差や体格差があろうとも、防御を捨てた自分の身体能力ならば全く問題はない。これが通用しないとなると逃げ出すしかないので助かった。
さて、トロルの残りは三体......油断せずに一体ずつ減らしていこう。
あ、あれ......?
残りは三体......のはず、なんだけど......目の前には二体しかいない......さっきまでは確実に全て視界に捉えていたのに......
違和感に気付いた時にはもう手遅れで、さっきまでは何も感じなかった自分の背後から、強烈なプレッシャーを感じた......
「アハハッ......これはヤバいなぁ......脳筋相手だと思っていたけど、コイツは特殊なスキルか魔法を使う相手だったのか......」
頭部に強い衝撃を受けたと思ったら、肉が潰れる音と水風船が破裂する音が響く......そして電源が切れるようにプツンと視界が真っ黒に染まると、その瞬間に自分の意識が途切れた......
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吉持ㅤ匠
Lv:53
HP:100%
MP:100%
物攻:40
物防:1
魔攻:10
魔防:1
敏捷:40
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残41.9L
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簡易鑑定
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ
丈夫なズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
丈夫なリュック
鱗皮のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高135
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