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希望
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物凄く早く寝付けるのだが、体調不良により寝て、魘され、目を覚まし、寝て、魘され、目を覚ましを数回繰り返した。体調不良の時は寝付くまでが大変だが、この枕は本当に素早く眠れるから助かる。
ようやく魘されることが無くなったのは、そのループが十を越えた後だった。
ババアから貰った枕と布、解呪ポーションの空き瓶には本当に助けられた。鑑定が強くなれば枕を鑑定できるのかな......
これが無ければ完治するまでまだまだ時間が掛かっている気がする......何者かわかんないけど、ババアには本当に感謝しなきゃな。
「......完治までもう少しかな。こんな場所でゆっくり休めるってのは貴重だし、体調不良な状態を残したまま進むのは悪手か。よし、このままもう一眠りしよう」
こうして彼は眠る事を選択した。ここまでかなり生き急いでいた彼の精神は休息を欲していたのだろうか......
彼はこの後丸々二日眠り続けた。
◆◆◆◆◆
都内某所~代替エネルギー研究所~
「所長!! 探索者がダンジョンから魔石の解析が遂に終了しましたので報告させていただきます」
「ご苦労様です。で、どうでした?」
「火力発電所ダンジョンのモンスターの魔石からは火、水力発電所ダンジョンのモンスターからは水、風力発電所のモンスターからは風が起こせる事がわかりました。ですが、10体に1個程度の割合でしか出現せず、モンスターも強くて入り口付近の雑魚しか倒せません。魔石のエネルギー量も極僅かで、ほぼ無いに等しい量しか抽出できません」
「なるほど、そうなればダンジョン化した重要施設のモンスターはその場所に準じたエネルギーを内包している......と、これは期待しても良さそうだな。しかしゲームやライトノベルなどは馬鹿にしていたが、まさかアレらにヒントが隠されていようとは夢にも思わなかったな......」
「この説を言い出したオタク文化に詳しい政治家は最初、他の政治家から親の仇かってくらい叩かれたそうですからね......」
融合時に起きた地震で、文明はほとんど壊れてしまったが、人々は家庭用の発電機やソーラーパネルといった物などを修理し、電気を再び得る事に成功していた。
だが、それだけではオール電化に侵されていた人類は納得しない、できない。
人々の欲望は文明の復興に向かい始め、驚くべきスピードで新らしくなった世界の整備を進めていた。
そして......人々は気付く。現代ファンタジーやローファンタジーと呼ばれるような創作物が、この変わった世界攻略のヒントになり得るという事に。
「ああいった文明からヒントを得られるとは世も末だと思うが......いや、もう本当に世も末だが......今となっては馬鹿には出来んな。私も読んでおけばよかったな......」
「まぁ私たちはそういうのとは縁遠い人種でしたからね。それに、私たちはどう足掻いても肉体労働はできません。ステータスという物を得て戦う力を得られようとも、戦いには向きませんから......
さて、新たな方針を打ち立てるのは専門家共に任せて、我々はこの結果を元に新たなエネルギー源をどうするかの研究に打ち込みましょう」
「そうだな......ははは。また元の世界のように生活したいから頑張ろうか」
「この研究が一段落すれば家族と会えますからね」
その後、新たな希望になり得る物を発見した事が公表された。それは人々をより一層ダンジョンに向かわせるには十分な理由になり、この公表から数日後には、ダンジョンに挑む探索者の数が激増した。
◆◆◆◆◆
都内某所~探索者組合~
「さて、後輩探索者諸君が順調に育ってくれていて俺は嬉しいぞ。これならもう俺らが面倒を見なくても勝手に育っていける......そう、俺は信じている」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「これから我らのクラン『旭日』は今日よりこの都市のダンジョン攻略に本格的に乗り出そうと思っている。我らによって鍛えられたお前らが都市で悪さしたりしたと聞いたら殺してやるからな。お前らがこの都市の犯罪の抑止力になれよ!!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「よし、帰ってきたらお前らの成長を見るからな。励めよ」
「「「「「はいっ!!」」」」」
組合の依頼により、増えた探索者の育成を頼まれて一時攻略を休み、後発の育成に注力してきた彼らだったが、独り立ちの目処が立ったので、本日より攻略再開となる。
ㅤこのような依頼が出されたのは、ダンジョン発生直後に無秩序にダンジョンに流れ込んだ無鉄砲共の所為だ。
彼ら『旭日』は特殊部隊、自衛隊等の中から選りすぐられたエリート集団。
中にはレアなスキルを持つ者もおり、高い身体能力、戦闘技術を持つ民衆の憧れや希望とも言える集団である。
そんな彼等が本格的にダンジョン攻略に向かうと聞いた民衆は、不遇の時代の終わりは近いと沸き立った。
暗いニュースばかりの今、これらのニュースは人々の間を駆け巡り、希望を抱かせる事となる。
探索者を目指す者はひたむきに訓練を行い、復興に力を入れる者たちは徐々にだが住環境を整えていく。
前を向きつつも暗いムードが漂っていたこの都市は、この日を境に一気に復興が進み『絆の都市』と呼ばれることになった
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残92.4L
不死血鳥
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv7
投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv3
病気耐性Lv4
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍×2
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高1290
──────────────────────────────
ようやく魘されることが無くなったのは、そのループが十を越えた後だった。
ババアから貰った枕と布、解呪ポーションの空き瓶には本当に助けられた。鑑定が強くなれば枕を鑑定できるのかな......
これが無ければ完治するまでまだまだ時間が掛かっている気がする......何者かわかんないけど、ババアには本当に感謝しなきゃな。
「......完治までもう少しかな。こんな場所でゆっくり休めるってのは貴重だし、体調不良な状態を残したまま進むのは悪手か。よし、このままもう一眠りしよう」
こうして彼は眠る事を選択した。ここまでかなり生き急いでいた彼の精神は休息を欲していたのだろうか......
彼はこの後丸々二日眠り続けた。
◆◆◆◆◆
都内某所~代替エネルギー研究所~
「所長!! 探索者がダンジョンから魔石の解析が遂に終了しましたので報告させていただきます」
「ご苦労様です。で、どうでした?」
「火力発電所ダンジョンのモンスターの魔石からは火、水力発電所ダンジョンのモンスターからは水、風力発電所のモンスターからは風が起こせる事がわかりました。ですが、10体に1個程度の割合でしか出現せず、モンスターも強くて入り口付近の雑魚しか倒せません。魔石のエネルギー量も極僅かで、ほぼ無いに等しい量しか抽出できません」
「なるほど、そうなればダンジョン化した重要施設のモンスターはその場所に準じたエネルギーを内包している......と、これは期待しても良さそうだな。しかしゲームやライトノベルなどは馬鹿にしていたが、まさかアレらにヒントが隠されていようとは夢にも思わなかったな......」
「この説を言い出したオタク文化に詳しい政治家は最初、他の政治家から親の仇かってくらい叩かれたそうですからね......」
融合時に起きた地震で、文明はほとんど壊れてしまったが、人々は家庭用の発電機やソーラーパネルといった物などを修理し、電気を再び得る事に成功していた。
だが、それだけではオール電化に侵されていた人類は納得しない、できない。
人々の欲望は文明の復興に向かい始め、驚くべきスピードで新らしくなった世界の整備を進めていた。
そして......人々は気付く。現代ファンタジーやローファンタジーと呼ばれるような創作物が、この変わった世界攻略のヒントになり得るという事に。
「ああいった文明からヒントを得られるとは世も末だと思うが......いや、もう本当に世も末だが......今となっては馬鹿には出来んな。私も読んでおけばよかったな......」
「まぁ私たちはそういうのとは縁遠い人種でしたからね。それに、私たちはどう足掻いても肉体労働はできません。ステータスという物を得て戦う力を得られようとも、戦いには向きませんから......
さて、新たな方針を打ち立てるのは専門家共に任せて、我々はこの結果を元に新たなエネルギー源をどうするかの研究に打ち込みましょう」
「そうだな......ははは。また元の世界のように生活したいから頑張ろうか」
「この研究が一段落すれば家族と会えますからね」
その後、新たな希望になり得る物を発見した事が公表された。それは人々をより一層ダンジョンに向かわせるには十分な理由になり、この公表から数日後には、ダンジョンに挑む探索者の数が激増した。
◆◆◆◆◆
都内某所~探索者組合~
「さて、後輩探索者諸君が順調に育ってくれていて俺は嬉しいぞ。これならもう俺らが面倒を見なくても勝手に育っていける......そう、俺は信じている」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「これから我らのクラン『旭日』は今日よりこの都市のダンジョン攻略に本格的に乗り出そうと思っている。我らによって鍛えられたお前らが都市で悪さしたりしたと聞いたら殺してやるからな。お前らがこの都市の犯罪の抑止力になれよ!!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「よし、帰ってきたらお前らの成長を見るからな。励めよ」
「「「「「はいっ!!」」」」」
組合の依頼により、増えた探索者の育成を頼まれて一時攻略を休み、後発の育成に注力してきた彼らだったが、独り立ちの目処が立ったので、本日より攻略再開となる。
ㅤこのような依頼が出されたのは、ダンジョン発生直後に無秩序にダンジョンに流れ込んだ無鉄砲共の所為だ。
彼ら『旭日』は特殊部隊、自衛隊等の中から選りすぐられたエリート集団。
中にはレアなスキルを持つ者もおり、高い身体能力、戦闘技術を持つ民衆の憧れや希望とも言える集団である。
そんな彼等が本格的にダンジョン攻略に向かうと聞いた民衆は、不遇の時代の終わりは近いと沸き立った。
暗いニュースばかりの今、これらのニュースは人々の間を駆け巡り、希望を抱かせる事となる。
探索者を目指す者はひたむきに訓練を行い、復興に力を入れる者たちは徐々にだが住環境を整えていく。
前を向きつつも暗いムードが漂っていたこの都市は、この日を境に一気に復興が進み『絆の都市』と呼ばれることになった
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吉持ㅤ匠
闘人
Lv:44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残92.4L
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状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
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投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv3
病気耐性Lv4
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装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍×2
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高1290
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