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混戦
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◆◇原初ノ迷宮第四十一層◇◆
広さは二十階層代よりも若干広がった程度で、三十階層代のめちゃくちゃな広さではなくなった事に安堵する。
広すぎる階層ではないが、一筋縄ではいかないのがダンジョンというもの。基本的には人を効率良く追い詰めて狩るものだ。
人を突き動かすモノは欲望。
強さの果てに得られる名声や地位だったり、希少なアイテム、武器防具、装飾品などを手に入れたり、莫大な富を得たり、いい女やいい男と恋愛関係になったり......など。
危険ばっかりならば人は誰もダンジョンに入ったりはしないだろう。だが、何故人は危険とわかっても向かうのか。
それは『エサ』
ダンジョンという名の巨大で凶悪な食虫植物が、人の心を揺さぶるエサをその巨大な口の中に隠し持っているから。
欲望を刺激して呼び寄せ、手に入るエサで人の自制心を狂わせ......奥に誘導し、食らいつく。
人はモチベーションが上がれば、普段よりも良いパフォーマンスを発揮する、出来るようになる現金な生き物。
強くなったと勘違いしたり、累積している疲労感を見誤ったり、引き際を見誤ったり。
ダンジョンは射幸心を煽るガチャであるとも言える。ベットするのは金ではなく、己や他人の命や人生だが......
そんなダンジョンを進む一人の狂人がいた。最高難易度のダンジョンを、たった一人で、一度も外へ出ることなく。
四十階層までを一人で進み、まだ人の形を保てている。
目は鋭く異様な狂気を宿し、口元には薄らと笑みが浮かび、平凡だが精悍さと狂気を感じさせる顔付きなっている。手には赤黒く変色した凶悪な武器を持つそんな青年が、大量のモンスターと対峙して嗤う。
人の形を保っているだけのモンスター
誰かがその姿を見たら、きっとそのような事を言うであろう。
◆◆◆
「モンスターの数が多い......いいね、最ッ高だよ。今までにないくらいテンションが高いしモンスターも多いから血は諦めよう。残ってたらいいなくらいで......アハハハハッ」
片手に金砕棒、片手に短槍のスタイルになり、荷物を入り口に置いて駆け出した。
モンスターの密度はざっと見、二十階層代の三倍以上。今回は投擲はせずに密集している箇所に飛び込んでいった。
「アハハハハァァァァアッッ!!」
初撃は深く踏み込み、大振りの横薙ぎ。
「ウガァァ......ッッァァァァア!!」
ミノタウロスと思われる牛頭亜人が素早く反応し、味方の盾になるような位置取りで金砕棒を受け止めようとした。
──────────────────────────────
クレイジーミノタウロス
レベル:58
──────────────────────────────
名前の割にジェントルな行動を取るミノタウロスに驚くが、敵なので容赦なく殴る。
ミノタウロスの抵抗虚しく、手に持っていた岩石製の棍棒は簡単に砕け、胴体を陥没させながら吹き飛び味方を巻き込む。
倒れ込んでいるミノタウロスの頭に短槍を突き入れ、一体ずつしっかり息の根を止めて回る。
「ッッ......クソがっ!」
息の根を止めていると、流石に時間が足りなかった。残り二匹という所でハリネズミとかヤマアラシとかそこらへんのモンスターが背後から体当たりしてきた。
金砕棒を持った手で腰の辺りを払い除けると、体の一部を潰した感覚と手に突き刺さる針の痛み。肝心の本体は抜けた針をこちらの体に残しながら吹き飛び、痙攣しながら床に転がる。
──────────────────────────────
ステルスパーキュパイン
レベル:55
──────────────────────────────
「......名前から何かは判断出来ないな。針を抜く暇は無いけど幸いコレは細い針だから動くのに支障はない......それに蜘蛛足よりは全然楽でいい」
背面に刺さったままの棘は無視し、拳に刺さった棘だけは抜いた。
拳の針をこちらに掛けてきている中でも体が小さめな奴らに向かって、手首のスナップだけを使って投げる。
伍を組んでいるのか、この階層にいる敵は大体が五体ワンセット。たまにハリネズミのようなイレギュラーが単体でいたり、ミノタウロスのようにもっと多かったり。
投げた針は凶悪になったコボルトのようなモノに突き刺さり、三体に致命的な傷を与え、二体に軽くない傷を与えた。
──────────────────────────────
アークコボルトリッパー
レベル:58
──────────────────────────────
──────────────────────────────
アークコボルトリーダー
レベル:59
──────────────────────────────
残ったのはリーダーとリッパー。この階層からは単体はほとんど出現せずにワンパーティでの出現なのだろう。
切り裂き魔とそれを従えるリーダーとか怖すぎる。
「後であのハリネズミから針を回収しよう。かなり軽いクセに強度は十分で威力は証明済だからね......アハハ、楽しいなァ」
増えに増えた独り言を口にしていると、生き残りがこちらへだいぶ近付いてきていた。リーダーがこちらの目を引き付けている間にリッパーが背後に回っているようだ。
ハリネズミは感知出来なくて不意打ちを受けてしまったけど、リッパーは問題なく感知出来ているので問題はない。
その他のモンスターもそろそろ集結するのでここから先は小細工無しの大混戦。
「死ねオラァ!!」
背後のリッパーに回し蹴り、前方のリーダーは短槍で腹を貫き仕留めて迫り来るモンスターに向けて挑発を。
「アハハ、さぁ、どんどん来いやァ!!!」
楽しい時間はまだ終わらない――
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残90.6L
不死血鳥
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv7
投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv3
病気耐性Lv4
解体・解剖
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍×2
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高1290
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広さは二十階層代よりも若干広がった程度で、三十階層代のめちゃくちゃな広さではなくなった事に安堵する。
広すぎる階層ではないが、一筋縄ではいかないのがダンジョンというもの。基本的には人を効率良く追い詰めて狩るものだ。
人を突き動かすモノは欲望。
強さの果てに得られる名声や地位だったり、希少なアイテム、武器防具、装飾品などを手に入れたり、莫大な富を得たり、いい女やいい男と恋愛関係になったり......など。
危険ばっかりならば人は誰もダンジョンに入ったりはしないだろう。だが、何故人は危険とわかっても向かうのか。
それは『エサ』
ダンジョンという名の巨大で凶悪な食虫植物が、人の心を揺さぶるエサをその巨大な口の中に隠し持っているから。
欲望を刺激して呼び寄せ、手に入るエサで人の自制心を狂わせ......奥に誘導し、食らいつく。
人はモチベーションが上がれば、普段よりも良いパフォーマンスを発揮する、出来るようになる現金な生き物。
強くなったと勘違いしたり、累積している疲労感を見誤ったり、引き際を見誤ったり。
ダンジョンは射幸心を煽るガチャであるとも言える。ベットするのは金ではなく、己や他人の命や人生だが......
そんなダンジョンを進む一人の狂人がいた。最高難易度のダンジョンを、たった一人で、一度も外へ出ることなく。
四十階層までを一人で進み、まだ人の形を保てている。
目は鋭く異様な狂気を宿し、口元には薄らと笑みが浮かび、平凡だが精悍さと狂気を感じさせる顔付きなっている。手には赤黒く変色した凶悪な武器を持つそんな青年が、大量のモンスターと対峙して嗤う。
人の形を保っているだけのモンスター
誰かがその姿を見たら、きっとそのような事を言うであろう。
◆◆◆
「モンスターの数が多い......いいね、最ッ高だよ。今までにないくらいテンションが高いしモンスターも多いから血は諦めよう。残ってたらいいなくらいで......アハハハハッ」
片手に金砕棒、片手に短槍のスタイルになり、荷物を入り口に置いて駆け出した。
モンスターの密度はざっと見、二十階層代の三倍以上。今回は投擲はせずに密集している箇所に飛び込んでいった。
「アハハハハァァァァアッッ!!」
初撃は深く踏み込み、大振りの横薙ぎ。
「ウガァァ......ッッァァァァア!!」
ミノタウロスと思われる牛頭亜人が素早く反応し、味方の盾になるような位置取りで金砕棒を受け止めようとした。
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クレイジーミノタウロス
レベル:58
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名前の割にジェントルな行動を取るミノタウロスに驚くが、敵なので容赦なく殴る。
ミノタウロスの抵抗虚しく、手に持っていた岩石製の棍棒は簡単に砕け、胴体を陥没させながら吹き飛び味方を巻き込む。
倒れ込んでいるミノタウロスの頭に短槍を突き入れ、一体ずつしっかり息の根を止めて回る。
「ッッ......クソがっ!」
息の根を止めていると、流石に時間が足りなかった。残り二匹という所でハリネズミとかヤマアラシとかそこらへんのモンスターが背後から体当たりしてきた。
金砕棒を持った手で腰の辺りを払い除けると、体の一部を潰した感覚と手に突き刺さる針の痛み。肝心の本体は抜けた針をこちらの体に残しながら吹き飛び、痙攣しながら床に転がる。
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ステルスパーキュパイン
レベル:55
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「......名前から何かは判断出来ないな。針を抜く暇は無いけど幸いコレは細い針だから動くのに支障はない......それに蜘蛛足よりは全然楽でいい」
背面に刺さったままの棘は無視し、拳に刺さった棘だけは抜いた。
拳の針をこちらに掛けてきている中でも体が小さめな奴らに向かって、手首のスナップだけを使って投げる。
伍を組んでいるのか、この階層にいる敵は大体が五体ワンセット。たまにハリネズミのようなイレギュラーが単体でいたり、ミノタウロスのようにもっと多かったり。
投げた針は凶悪になったコボルトのようなモノに突き刺さり、三体に致命的な傷を与え、二体に軽くない傷を与えた。
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アークコボルトリッパー
レベル:58
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アークコボルトリーダー
レベル:59
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残ったのはリーダーとリッパー。この階層からは単体はほとんど出現せずにワンパーティでの出現なのだろう。
切り裂き魔とそれを従えるリーダーとか怖すぎる。
「後であのハリネズミから針を回収しよう。かなり軽いクセに強度は十分で威力は証明済だからね......アハハ、楽しいなァ」
増えに増えた独り言を口にしていると、生き残りがこちらへだいぶ近付いてきていた。リーダーがこちらの目を引き付けている間にリッパーが背後に回っているようだ。
ハリネズミは感知出来なくて不意打ちを受けてしまったけど、リッパーは問題なく感知出来ているので問題はない。
その他のモンスターもそろそろ集結するのでここから先は小細工無しの大混戦。
「死ねオラァ!!」
背後のリッパーに回し蹴り、前方のリーダーは短槍で腹を貫き仕留めて迫り来るモンスターに向けて挑発を。
「アハハ、さぁ、どんどん来いやァ!!!」
楽しい時間はまだ終わらない――
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残90.6L
不死血鳥
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv7
投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv3
病気耐性Lv4
解体・解剖
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍×2
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
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