異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
8 / 183

スペック

しおりを挟む
 熟睡していたみたいで、目を覚ますと辺りは暗くなっていた。
 やっぱり慣れない事をすると、この身体でも疲労が溜まるみたいだ。


 あんこは正面から俺に抱きつき、俺の肩に顎を乗せた状態で寛いで寝ていた。かわいいし嬉しい。

 寝てる間には、特にトラブルもなかったみたいで一安心。


 気持ちのいい目覚めで気分がいい。あんこが俺に抱きついて寝てくれているのがポイント高い。


 目が覚めちゃったし、作って貰った服を確認してみる......

 抱きつかれたままなので、ローブに手だけを突っ込んでみた。


 うぉぉ!アラクネが作ってくれたローブの感触凄いな......なんだこれ。

 適温をキープしてるし、肌触りも堪らない。いつまでも触っていられる。


 ......よし、今度はブランケットを渡して再現してもらうとしよう。あとタオルと靴下も。

 甚平とか浴衣とかも欲しいな。マイホームを手に入れたら頼もうっと!

 俺がゴソゴソしていたらあんこを起こしてしまったので、申し訳なく思いつつも水を出してもらって体を洗った。




 体がさっぱりしたので、もらったばかり衣類を着用していこう。

 まずはこのシンプルな黒のアラクネボクサーを装着ぅ......



 ......

 ............

 ..................


 な、なんだこれは!

 ......肌に吸い付くような生地でありながら、ボクサー特有の適度な締め付け感がありつつ、なのに何もつけていないような開放感もある......


 何なんだこの謎のフィット感は!!
 これを着ていればポジションに迷うことは未来永劫ありえないだろう。宇宙の神秘を見た気分だぜ......


 二度と手放せません。あと4着あるけど、どれもデザインが違うのがまたいい。

 シャツも着てみよう......


 あっ、しゅごいよこれもぉ......


 この上からローブも......



 ......ふぅ。



 報酬をたっぷり用意して色々作って貰おう。もう手放せないメイドインアラクネ!


 あんこが腹の方から入ってきてシャツの開いた胸元からヒョコッと顔を出してくる。いつみてもらぶりーだなぁ!んもう甘えんぼうな小悪魔さんめ!

 これはすごく萌えるシチュエーションだった。地肌に当たるふわもこの毛の感触と体温が気持ちいい。




 ......よし。この流れでちょっと刀も見てみようかな。鑑定さんにも頑張って貰おう。





 収納から取り出してみたはいいけど、確実に妖刀だわコレ。

 まだ鞘に収まってるのに妖艶な気配が凄いもん。

 妖刀に魅せられた人斬りの伝説ってガチだったんだろうな......

 名前、見てみよう......


 ▼妖呪刀ㅤ骨喰ようじゅとうㅤほねばみ


 名前からしてやばい。......鞘から抜いたら呪われたりしないよね?
 でも抜いてみて刀身を見てみたい。


 よし骨喰さんを抜いてみよう。なんか敬称を付けなくてはいけない気分になってしまう不思議。


 おぉぉぉ!刃紋も刀身も綺麗だ......ん?

 刃紋が揺らめ......いてないね、気のせいさ。


 武骨な感じも素敵だわぁ......
 刃が魔力と合わさって脈動してるようにも見えるけど、これも気のせいであろう。


 浮き彫りの龍と、不動明王がまるで生きているように物凄い躍動感と威圧感を放っている。
 え?不動明王さんと目があった......



 ......気がしただけだよね。そうだよ。うん。




 胸元に収まっているあんこの存在が俺の心を落ち着けてくれる。ずっと一緒だよ!



 気を持ち直せたので今度はしっかり鑑定してみよう。名前以外も。



 ▼妖呪刀  骨喰    
 召喚時に骨喰藤四郎が召喚主の魔力と思いに応え、異世界に適応し進化した
 振れば空間を斬り裂き、敵の肉を断ち骨を喰らい呪う
 魔力を糧とし、例え折れても魔力で修復する
 元が薙刀なので薙刀としても扱える
 浮き彫りの龍と不動明王を顕現させる事も可能
 手入れする必要はないのだが、手入れをして欲しいと思っている

【自己修復】【空断】【魔刃】【呪骨喰】【龍顕現】【明王顕現】▼



 ......おぉっと......刀も龍も不動明王も意思あるんだね。


 収納に死蔵しとこう......


 ......なんて思ってないよ。だからお願い、カタカタしないで。怖いから。


 でもこの刀を使って素振りとかできないよね?離れた場所にいる人に被害を出しそう。


 練習中は大人しくできるかな?


 ......本当に出来る?練習中には絶対!絶対!大人しくしてね。これはフリじゃないよ。


 えーっと......それで、お手入れってどうすればいいのかな?本格的なやり方なんて俺にはわからないんだけど。


 魔力を込めた布で拭いてくれればいい?

 うん、それならできそうだ。


 わかった。ちょっと今から知り合い呼ぶから待っててね。専用の布を作ってもらうから。


 喚び出す前に賄賂を準備しておこうか。先払いして断れなくしないとだな......

 そして賄賂と言えば最中だろう!下に小判は敷き詰めないけど。

 よし!準備完了。


 メイドさーんお願いしますぅぅぅ!!


 あ、短いスパンで喚びだしてごめんね。今平気だった?お願いがあるんだけど......

 ん?なんで震えてるの?



 禍々しい威圧感を出しているその武器はなんですかだって?俺の愛刀です。キレイな子でしょ?

 ......あ、喜んだ。

 この子が刀身を拭く布を欲しがってるから呼んだんだけど、大至急お願いしていいかな?

 ......意思?あるよ。


 刀身を......こう挟んで拭ける感じの布を......出来る?魔力を纏わせて拭きたいんだけど......

 うん。王女さんに糸もお願いしたくて......


 あ、これつまらない物ですがお納めください。最中というお菓子です。



 30分くらい経ったらまた呼べばいいのね?無理言ってごめんね。頼みます!






 さて30分も時間があるし、この機会に龍と明王を顕現させてみよう。



【龍顕現】【明王顕現】!!



 おぉぉ!浮き彫りがスパークしてきたぞ......そして黒い煙が出てきて形を作っていく。




 黒い龍  と  黒い不動明王  が  あらわれた▽



 かっこいいよ。凄くかっこいい。


 けどさ、どっちもでけぇんだわ!!

 シェ〇ロン呼んだ時みたいな絵面になってるし、明王さんは明王さんで四メートルくらいあるし......


 そして刀身の浮き彫りからは意志を感じられなくなっている。付喪神的な存在なのか?
 とりあえず聞きたい事が出来たので質問をぶつけてみる。


 えーっと、君たちの大きさって固定なのかな?......あぁそう。固定なのね。


 じゃあ戦いの時か誰も居ない場所じゃないと呼べないか。......必要な時は任せろ?うん、よろしく頼むね。

 普段はそれで平気だから、ちゃんと拭いてくれればいい?わかった!任せてくれ。
 戦えそうな時は呼ぶからお願いね。


 あとは......えっと、骨喰さん薙刀フォルムになってもらえる?


 おおっ!鞘が柄になるのか。
 刀の時は妖艶だけど、薙刀の時は荒々しい雰囲気なんだな。
 無双シリーズみたいな事ができたりしたら燃えるな。



 だが悲しい事に俺は薙刀の使い方わからない......
 槍術とかを習えばイケるかな?


 ......え?使い方はイメージを送るからそれを真似してくれ......と。


 ウチの子ってみんなハイスペックすぎひん?
 龍と明王は楽しそうに、薙刀を振るう俺を眺めている。

 あんこは龍に興味があるようで近付いているが、サイズが違いすぎて心配になる。


 しばらく振っていたら感覚が掴めてきたのでスキルが生えたんだろう。


 いい感じに時間が過ぎたしメイドさん呼ぼう。



 あ、どーも。

『きゃぁぁぁぁぁぁ!!!』......あ、龍と明王出しっぱなしだった......ごめんね?怖くないよ。ほんとほんと。


 落ち着いたかな?
 うん。この子達もウチの子だから安心していいよ。大丈夫大丈夫。


 布は出来たかな?そう、ありがとうね。


 骨喰さん、一旦刀に戻って。

 えーっと、こんな感じの布でどうかな?

 ......あ、気に入ったみたい。助かったよ、ありがとう!


 この刀の彫り物と似ていますね?そうそう、よく気付いたね。この彫り物から顕現したのがこの子達だよ。

 そろそろ帰らなきゃ?うん、忙しい中ありがとうね。


 落ち着いたらまたお茶しようね。もらった服の着心地は素晴らしくて大満足だよって王女さんともう一人のメイドさんに伝えといてね。うん。ありがとう!じゃあまたねー!



 ふぅ、君たちは今日はそのまま出とく?

 あ、戻るのね。了解!


 ちょっと聞きたいんだけど、龍さんは俺らを乗せて飛んでって言ったら乗せてくれたりは......?

ㅤあ、嫌じゃない......?ありがとう!!

 森ばっかりで飽きたから、明日森から出るまでの距離だけどお願いするからね。

 じゃあ戻って。そしたら拭くから!



 新しい布で拭いてあげたらめっちゃ喜んでたので、布を作ってもらって良かったと思う。これからよろしくね。


 今日は色々あったし、まだ本調子じゃないから早めに寝て明日に備えよう。

 トラップを張って、横に骨喰さんを置いた。よし!あんこ姫を抱きしめて寝るとしましょう。





 ───────────────────────────────────
 
明日も四話更新します。よろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...