異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
10 / 183

リザルト

しおりを挟む
 さて、これから盗賊と戯れる訳なんだけど......コイツらどうしてやろうかしら。

 俺の近くにいる三人を残すのは確定として、残りの遠いヤツらには、叫び声を上げる暇がある程度に苦しんでから死んでもらいましょうか。

 生き残った盗賊側は恐怖心を煽られていき、俺は実戦経験が積めるwin-winの関係だろう。


 影でヤツらの位置はわかっているし、こっちからわざわざそっちの方まで出向くのはダルいので、闇糸を相手の影から出して足を拘束し、闇魔法で槍を作成。

 後はゆっくり串刺しになっていってもらいましょう。


 おっ、ちゃんと出来ているようだ。

 悲鳴が聞こえてくる。あんことの鬼ごっこでしか試せてなかったので若干不安があったけど、しっかり殺れてるみたいで安心。気分は串刺し公だ。


 俺の心は今のところ全く痛んでいない。
 初の実戦でアドレナリン出てるから......でもなさそうだな。
 ただコイツらを殺ることに対して何も感じていないだけだろう。


 現在の俺はこの世界の現金を持ってないので、倒した盗賊の死体を回収しておいて、後でそこから貰っておこうと思う。


 ここから遠い奴らは全て倒したので、残した三人の方へと意識を切り替えよう。
 もし逃げようとしたら......そん時ゃサクッと殺っちゃえばいいか。


 本当は向かってきてくれないと、直接向き合っても殺せるかの疑問解決と、骨喰さんの初陣が飾れないから困るけど。


 青褪めて震えているエドガー君に指示を出す。助けてくれって叫びなよ......と。

 君がさっき言った理論を、仲間はちゃんと実践してくれてきっと助けに来てくれるはずだから。


 あ、二人逃げだしやがった......くそがっ!



 さっき始末したヤツらと同じで、闇の槍を下からぐさー。


 残りは一人か......しょぼい初陣でごめんなさい。



 残った一人がちゃんと戦闘を仕掛けてきてくれないと困るからなぁ......

 死体を全部取り出しておいて、積み上げておいたら激昂して襲ってきてくれたりするかな?

 それとも絶望しちゃうかな?


 まぁいいや。出しておこう。

 エドガー君の横に13人分の死体を出して積みあげてみる。


 あー泣いちゃった......

 刺激が強すぎたようだけど、人の事をハメようとしていたんだから逆もまた然り。相手が悪かったんだろうけど、存分に絶望してくれたまえよ。


 そんな事をしていたら逃げなかった1人がやってきたので鑑定してみる。


 ▼ザック     
 人族ㅤ37歳
 職業:盗賊▼

 相変わらず必要最低限の鑑定さん。


 あ、なんか興奮してる。ちゃんと人の言葉を喋ってくれよ。

 お前、一応だけど人の形をしてんだから。


 なんか無駄にでかい斧を振りかぶって襲いかかってきたけど、遅すぎるな。

 アラクネトレーニングのおかげだろうな。ありがとー助かってるよ!

 今まではただただ数の暴力で押し勝ってきたのか、悪い頭を絞って策を弄してきただけなのか、それとも運がよかっただけなのか。


 まぁいいや。そんな事。


 この世界のヤツらがどれくらいのもんなのかはある程度わかった。

 あとはエドガー君に、こいつらがどれくらいの強さだったのかを聞いてみれば、平均値がどれくらいかわかるだろう。



 バックステップで一旦距離を取った後、魔力を少し込めて骨喰さんを抜き、【空断】と【呪骨喰】を意識しながら、彼の右腕を狙い振る。


 見えない斬撃がザック君の右腕を吹き飛ばし、断面の骨が黒い蛇みたいなのに群がられた後、断面からソレらが侵入していく。


 アレが【呪骨喰】なのだろう。【空断】と併せて使えばえげつない能力を発揮するんだな骨喰さん。


 数秒でガクガクして動かなくなり、その場に崩れ落ちた後は、バキバキゴリゴリ音がして顔以外が軟体生物の死体になった。

 人は骨が無くなるとこうなるのか......


 骨喰さんに骨抜きにされちゃったね、お疲れ様。



 さて、戦利品を徴収しますかね。

 銀貨が26枚、銅貨が73枚出てきた......価値がわかんないからなんとも言えないけど現金は嬉しいぞ。
 後はコイツらのアジトから、襲撃された事に対する慰謝料をパチるとしよう。


「エドガー君、君にはこれからお前らのアジトに案内してもらう。逃げようとすれば爪の間に熱した釘をねじ込むから気をつけてね」


 もうちょい脅そう。


「嘘をついたら、嘘と判明した時に腹を開いて、そこへザック君の死体を詰めてから縫合してあげるよ」


 猟奇的な事を言ったあと、薄く笑いを浮かべながら続ける。


「さぁ早くアジトに案内しようか。めんどくさかったけど、襲いかかってきた君たちに対応してあげたんだから、責任を持って最期まで俺の事をもてなしてね。
 手足の拘束は解いておいたから」

 自分で言っててアレだけど最低だよね。完全に悪役。

 そして人を目の前で殺っても特に何も思わなかったし、何も感じなかった。
 金剛精神さんのおかげなのかな?それとも元々そんな気質だったのか。



 ガクブルなエドガー君は諦めたらしく、一言「こちらです」とだけ言い、アジトがあるであろう方向に歩き出した。

 こっそり腰に闇糸を付けておいたので、逃げようとしたら二分割される仕様になっている。


 定位置で寝てるあんこを撫でながらこいつらが、どの程度のもんだったのかわからないので尋ねてみた。


「君らの集団はどれくらい強かったの?」


「......罠に掛けてから襲うタイプの盗賊団なので戦闘力自体はそこまで高くないです。一番強かった人で中級冒険者くらいでした」


 なるほどねー......そうなると俺の力は上級クラスでもぶっちぎれそうだな。

 数分歩いたら中に人の反応がある洞窟みたいのが見えてきた。


「ここです...」


「案内ご苦労さま。なんか隠してる事とかはないかな?実はアジトが複数箇所あるとか......中で何人かが待ち伏せしてるとか」


 後半でビクッとした彼の反応から、アジトはここだけなのは確定したかな。
 トラップがあっても糸でどうにかなるだろうし、人は位置が既に割れてるから問題はない。


「じゃあお別れだね。最初に問答した時に素直に立ち去っていればよかったのに......まぁ運が悪かったね」


 糸で首を落とした。バイバイ。


 さてアジトの方に集中しようか。


 入口付近には見張りが二人いるのを見て、碌でもない策を思いつく。

 叫び声を出させる→ヤツら出てくる→出口に糸トラップ→分割される。


 よし、これで問題無いな。これで行こう!早速骨喰さんの【空断】で1人を遠隔狙撃。


 ヘッドショットが無事に決まって見張りの片割れを倒す。

 残った方は片割れの倒れた音で襲撃に気付いたようで、叫び声をあげはじめた。


 話しをしてる最中に、相手の頭がパッカーンして倒れたら叫ぶよね。俺でもそうなると思うよ。


 いい感じに叫んでくれたので両足を落として悲鳴を追加、洞窟の入口に人の胸元くらいの高さでトラップを設置。


 気配を探ると全員がこちらへ向かってきているようだ。捕まっていた人とかはいないらしい。


 数と策で勝ってきたヤツらだからかな?全員がなんの捻りもなく固まって向かってきてる......あ、増援と目が合った。


 誰が一等賞とかは決めないで、全員で仲良くゴールテープで切れる感動の瞬間を見守ってあげようじゃないか。


「テメェェェェ!!何してやがる!お前ら!!全員でかかr......」


 ボトボトと汚い音を立てて、ヤツらの上半分が落ちる。

 下半身は少しだけ、皆で一斉にゴールできた感慨に耽っているようでオーバーランした後に倒れていった。


 向かってくる途中に止まった気配が無いことからトラップは仕掛けられてないだろうと推測し、そのまま中に向かい部屋をひとつずつ探していく。




 ~1時間経過~

 あー疲れた。


 特に何も特殊効果が付いていない宝石やアクセが入った箱が1つ、それにおっきい金貨が1枚、金貨が25枚、銀貨が袋にパンパンなのが1つ。

 銅貨は......ありすぎて邪魔になりそうなので首を落とした盗賊達の死体と一緒に埋めておくとしよう。三途の川の渡し賃にしてくれ。

 ヤツらの首は街まで持っていけば、何かしらいい情報も手に入りそうだし収納しておく。


 めんどくさかっただけで、今回の件で結構な金額が手に入ったと思う。
 色々な疑問点が解消され、この世界で生きていく方向性も決めれたので結果的にはよかったと思える出来事だったな。



 洞窟を崩して死体を埋め、夜のうちに街まで近づいておこうと龍さんを顕現させて、それに乗って飛んでいく。黒いからいい感じに闇に紛れていると思っておこう。


 異世界人の名前は普通に外人みたいな名前だったので、明日は街につくまでにそれっぽい名前を考えておこう。




 考えを纏めながら、街まで2時間くらいの距離の場所で降り、木の根元に寄りかかって今日はこのまま休むことにした。

 あんこは最初に警戒した後はずっと寝ていた。この程度の事で、この子の睡眠時間が削られるなどあってはならない。


 しばらくあんこを撫でたあとは、おつかれって声をかけながら骨喰さんを拭いてその日はもう寝る事にした。


 明日はついに異世界の文化に遭遇できるので、ちょっとだけわくわくしている俺がいる。

 では、おやすみなさい。

しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...