異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
52 / 183

オフ3

しおりを挟む
 酒をチビチビと飲みながら天ぷらを摘みつつ、あんこをモフモフする至福の時間を楽しむ。
 やっぱり人間なんてクソだ。あんなめんどくさい生き物とは関わらなくていいんだと、この子たちが証明してくれている。
 この子たちとの自由な時間だけがあればいいんだ。


 そんな事をしばらく続けていたら結構いい時間になっていた。そろそろお開きにしてあとは寝るだけって状態にしよっか。

 お嬢様を抱き上げて、お風呂の準備。
 お湯どんだけ貯めてたんだろう?しばらく使い続けてるけどまだ使い切らない。

 浴槽を出して、お湯を注ぐ。
 この前楽しそうだったし、今日もバスボムを入れてあげようと決めて、花びらが中から出てくる可愛いヤツを出す。

 俺がバスボムを取り出したことに気付いてソワソワしだすお嬢様。そんなに気に入ってくれたのなら俺は嬉しいよ。ピノちゃんを起こしてお風呂だよと伝える。

 ちょっと眠そうだけどちゃんと起きてくれた。バスボムを口に咥えて投入するのを待っているお嬢様に気付いてから、一気に覚醒してテンションが上がったのは可愛らしかった。

 俺も服を脱ぎ捨てて掛け湯。風呂に入る準備万端になった。
 お嬢様にバスボムを投入して貰って、お湯へと浸かる。

 ボコボコシュワシュワと泡が出ると共に、なんかの花の花びらも浮かんでくる。
 この前のと違って花びらが浮いて来たのに喜んだお嬢様。やっぱり女の子なんだなぁ。
 ピノちゃんは泡と香りが好きみたいですね。泡が当たる感覚が気持ちいいみたい。

 俺にはファンシーすぎてちょっと似合わないお風呂だったけど、うちの子たちが喜んでいればそれだけで満足です。

 こんな事だけで、この子たちをちゃんと労われているだろうかね。ダンジョンではかなりお世話になったし、もうちょい何かしてあげたい。

 毛の柔らかいブラシを喚び出してピノちゃんを優しく擦ってあげる。蛇のお手入れはわからないから、なんとなく思いつきでやってみたけれど、意外にも好評らし気持ちよさそうにしている。

 俺の手のひらに乗り、ダラッとして気持ちよさそうにブラッシングを楽しむピノちゃんが愛おしい。
 今まで撫でるだけだったのはごめんね。


 お嬢様にはブラシと櫛を試してみた。

 毛のお手入れをする必要がなかったからね......こちらも今までやってこなかったのを反省する。
 撫でるのとはまた違った刺激があるらしく、しっぽをユラユラさせながら楽しんでいる。

 どちらも気持ちよさそうにしてたけど、櫛の方が気持ち良さそうな反応。
 明日から色んなタイプの櫛を試そう。この子のお気に入りが見つかるといいな。

 続けていたらあんこがお風呂の気持ち良さと、毛繕いの心地良さでウトウトしだした。そろそろ上がろっか。

 ブルブルして水気を飛ばす余裕も無い程におねむなお嬢様なので、かの有名な四国産のタオルでしっかり拭いてあげてから寝床に運ぶ。
 今日はいっぱいはしゃいでたから仕方ないね。いつもありがとうと、ひと撫でしてその場を離れる。

 珍しくピノちゃんは俺からまだ離れたくないらしい。引っ付いたままなので、そのまま晩酌。

 ちょっとだけ日本酒を分けてあげる。
 前は興味を示さなかったのだが、今日はちっちゃい舌でぺろぺろしだした。

 このまま晩酌に付き合ってくれるとの事なので、すぐさま俺は上機嫌に。
 独り酒する事になると思っていたから嬉しかったんだもん!


 ちょこちょこ注ぎ足してあげながら、静かでゆっくりした時間を楽しむ。
 ちっちゃい体なのに結構飲めるもんだなこの子。ウワバミなんだろうか。

 お猪口で5杯くらい飲んだあたりでお酒に満足したのか、もう飲めないと言われ、俺の肩に乗ってきて顔を擦り付けてきた。もうね、可愛すぎて気が狂いそうですよ!

 丁度いい機会だと思い、肩にいるピノちゃんを撫でながら話しかける。


「仲間になってくれてありがとうね。辛い事いっぱいあっただろうけど、これからは俺やあんこと一緒にこの世界を楽しもうね」

 そう伝えたらすぐにお返事がきた。

『あの時は助けてくれて嬉しかった。最初は凄く怖かったけど、今はすごい楽しい。
 これからも一緒に居て』

 そんな風に言われる。

 どうやらこれを言いたかったらしくて、俺の晩酌に付き合っていたらしい。言い出すタイミングがわからなかったけど、俺が先に言ってくれて助かったんだって!

 どこでそんなテクニック覚えてきたのよ!萌えるじゃないか!!

 話をしたいんだけど話しかけられない......でも向こうから話しかけてきてくれたから、言いたかった事をちゃんと伝えられた......そんなテクニックを使われるとは。この子やりよる。


 まぁそんなふざけた考えはさておき、あの時は怯えながらも、頑張って俺たちに立ち向かって来たんだろうね。
 攻撃しちゃった事を謝って、なでなでをしまくる。

 途中から撫でるのがメインになってしまったけど、蛇肌が凄く気持ちよかったので、これは仕方ない。


 そんな感じの素敵な晩酌タイムを終えた俺らは、この日は家族三人寄り添って眠った。

 君たちの事はこれから先、絶対危険な目に合わせないからね......と安心して眠る子どもたちに向けて小声で呟き、撫でながら目を閉じた。


 ◇◇◇


 木の下で寝ていてよかったわ。


 デカい雨音に叩き起されて、起床。

 今日雨なのかよ.....雨粒すげぇでけぇな。
 王都に行ってヤツらにケジメをつけさせる予定だったんだけどなぁ。自然は気まぐれで困る。
 クソ野郎共!余命が増えてよかったな!

 まぁそんなこと......今はどうでもいい。雨を凌げる場所を探さないとこの子たちが濡れてしまう。

 探知を全開にして雨宿りスポットを探すと、二キロほど離れた所に丁度いい洞窟っぽい穴があったのでそちらへ向かう。

 野営した痕跡を片付け、濡れてもいい服装に着替えて走り出す。あんことピノちゃんの事は起こさずに抱っこ。
 気待よさそうに寝ているのに、たかが降雨如きで起こすなんて出来ないからね。

 あの地獄の直線で揺れない走法覚えててよかったぜ!

 雨粒が顔面に当たるのと、濡れた髪張り付くのがウザかったので、走りながら犯人スーツを着用するば濡れないんじゃないか......思いつきで着てみたんだけど......普通に濡れた。黒くなり損やんけ。

 見た目がなんかラバースーツみたいだから水を弾きそうだったんだもん。騙されたわ。
 大した距離では無く、すぐに洞穴まで到着した。

 先客はいなかったけど、穴の中がちょっと汚かったのでブラックホールで壁面と床を削ってお掃除。
 どうせなら汚い空間より、快適な空間に居させてあげたいじゃん。

 しばらく止みそうにない程に真っ黒な雨雲に変わってきていた。王都はもう無理だね。
 この後はかなり強く雨が振る感じしかしないし。


 本日の予定とやる事が無くなり、快適さ優先に切り替える。

 浸水対策として入口に簡単に土嚢っぽいのを設置し、床に畳を四枚敷いて簡易な居住スペースが完成。
 人間なんて二畳もあれば、快適に過ごせるよね。

 その内の畳一枚の上にブランケットを敷き、お嬢様とピノちゃんを寝かせてあげた。


 最近のこの子達は、ちょっとやそっとの物音や出来事程度では起きなくなっている。
 俺に対しての絶対の信頼なのか、精神が図太くなっているのか知らない。まぁ悪い事ではないからそのまま育ってね。

 朝飯にきんつばを二個食べて、畳の上に寝転がる。
 い草の香りを堪能していたらウトウトしてきたので、入口にトラップを張って、そのまま目を閉じた。


 ◇◇◇


 目が覚めると、外の雨がヤバい。
寝転がったまま伸びをしてから時間を確認したらまだ昼前。

 重みを感じ、そちらに目を移すと、俺の腹に顎を乗せて目を瞑っているお嬢様と、胸の上で伸びているピノちゃん。
 俺が起きるまでは体重をかけないようにしてくれていたっぽい。器用な事をするのな。

 俺が起きたのに気付くと、おはよう!と言いながらすり寄ってくるのが可愛かった。

 愛情たっぷりな寝起きの触れ合いをしてからご飯をあげた。
 起こさないでいてくれた心遣いが嬉しいけど、用意してなくてごめんね。

 ご飯を食べ終わったあんことピノちゃんを呼んで、ダンジョンで入手したガチャチケ......ではなく、スキルクリスタルとボス戦の後の小部屋で見つけた変な宝石っぽいのを収納から出す。

 このクリスタルに魔力を流せばスキルがランダムで一つ手に入るらしいよーと説明して、一個ずつ目の前に置いた。

 本当は昨日やるつもりだったけどね。
 俺が忘れてたのもあるし、あんこがお風呂で撃沈したってのもある。
 ピノちゃんから貰った幸運の御守りは、常に身につけてある。さぁ、是非とも素晴らしいスキルを!!

 では運試しのお時間でござるっっ!!



 魔力を込めるとガチャチケ......クリスタルがサラサラと砂になっていった。

 え?魔力込めすぎた?失敗ですか!?
 こういうのって光り輝いてから、『スキル〇〇を獲得しました』って感じに、謎の声が獲得したスキルを教えてくれたりするのがお決まりのパターンじゃないの?

 ......アナウンスとかは無い。俺がやり方を間違えたんだろうか?心配になる。

 それともステータスを見て勝手に確認しろって事ですかね......確認したくないわぁ。

 あんことピノちゃんはなんか喜んでいるみたい。ガチャチケも同じ様に砂になっているので使い方は間違えてなかったらしい。

 仕方ないね。覚悟をキメよう。何時ぶりかわからないステータスオープン!!


 ▼シアン
 人魔ㅤ21歳
 職業:召喚者

 レベル681ㅤ魔力---/---

 スキル:【鑑定】【闇御津羽】【魔】【神体】【金剛精神】【悪食】【家族愛】【侍】【多重思考】【指先の魔術師】▼


 うん。なんだこれ。


 えぇぇぇぇ......

 あの子たちのも......


 現実は直視するものではない。目を背け、全力で見ないようにするものだ。



 ▼あんこ
 幻魔獣ㅤ0歳

 レベル702ㅤ魔力---/---

 スキル:【氷魔法】【水魔法】【縮地】【威圧】【水氷牢獄】【闇魔法】【穴掘り】

 備考:妹分ができて精神的に成長している
 新しい事をすると褒めてもらえるので、色んな事を試したいと思っている
 主人とピノを心から大事に思っている▼


 ▼ピノ
 煌魔蛇ㅤ1歳

 レベル744ㅤ魔力---/---

 スキル:【炎魔法】【幻影煌石】【隠密】【魔威圧】【輪廻】【天運】【闇魔法】【温度操作】

 備考:主人とあんこに心を許していて、大事に思っている
 主人と姉の愛情を嬉しく思っているが、どう対応すればいいのかわからない
 色々な経験をして日々成長している▼





 おーけー。


 一旦落ち着こう。

 やっぱ無理だ。なんだこれ。
 見直してみたけどさっぱり理解できない。

 いや、脳が理解するのを拒否しているだけか。現実なんかと仲良くしたくないからあの子たちを見て心を鎮めよう。

 君たちが俺の希望だよ......ウフフフフフ
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...