異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

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断罪

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 とりあえずこれで、本日の主役は揃った。

 コイツらを連れてきてくれた冒険者達が、この光景に困惑しているので報酬を渡した後に事情を説明。
 そういう事なら......と納得してもらえたので事が終わるまでは外に出るのを待っててもらう。

 完全に死んだと思い込んでいた俺が生きていたって事に驚いているクソ共に目を移す。攻撃を仕掛けようと隙を伺っている雰囲気だった。
 まぁ、攻撃しようとこちらへ向かってきたら、その瞬間細切れにしてやるから別にいいんだけれども。

 ここで再度周囲に謝罪をしておく。

「えー...まずは無関係の方につきましては、本当にごめんなさい。後でしっかりとお詫びを致しますので、今しばらくこの茶番にお付き合いをお願いします」

 そう話をしてから、ゴミ共へ話し出す。感情を排して、冷酷に話始める。

「お前らの協力者、関係者はこの場にいるか?一人ずつ聞いていくから、聞かれたら協力者を指差せ。名前を言われても、俺にはわからないからな。
 無関係な人を指差したら地獄を見せてやるから慎重に考えてからやれよ?真偽がわかる魔道具がこっちにはあるから騙し通せるとは思うなよ......そして、後で使う真偽がわかるというその魔道具は、曖昧な返答や黙秘、そして嘘は許さないからそのつもりで」


 魔道具の説明をした途端ピタッと動きが止まった。余裕ぶっていたカス共が一斉に静止したのはちょっと面白かった。

 そんじゃやりますか。

「じゃあ1番端のゴリラAからよろしく」



◇◇◇


 一通りの指名が終わった。
 三巡指名を回したら、もう他に出てこなくなる
 その結果冒険者から三人、ギルド側から四人が指名されクズゴミ球団への入団がほぼ確定になる。

 指名途中でゴリラが一匹、ウホッて襲いかかってきたので、バラバラになるという悲しい事件があったこと以外は順調に事が運んだ。

 入団拒否も有り得るかもしれない。
 だが......まぁ多分逆指名していて他球団へは入団しない契約になっているヤツらだろう。
 後は真実か虚偽か......だ。真実はいつも一つ!という事で、天秤を取り出す。

 .........あれ?髪の毛無いヤツにはどうやって天秤使えばいいんだろう。
 ゴリラ共にスキンヘッドが二人いるんだけど......まぁいいや。ヤツらは体毛を使ってみよう。

 今度は右端からいってみようか。


 天秤に魔力を注ぎ込み、被疑者の毛髪を1本乗せて準備完了。

「じゃあ今度は副マスのおっさんから聞いていくね。信じるか信じないかは貴方次第だけど......嘘を吐いたり、誤魔化そうとしたり、黙秘したりしたら死ぬからそのつもりでよろしくね」

 ギャラリーがザワついたが、気にせず続ける。

「じゃあ質問だ。ギルド関係者で現在ここに拘束されているお前ら以外に、この案件に関わっている人はいるのか?」

「いない!!」


 やや食い気味にそう答えた副マスのおっさんが崩れ落ちた。

 天秤には心臓が乗っている。新鮮なハツがビクンビクン動いていて、ちょっと気持ち悪かった。
 ギャラリーは呆気に取られている。俺も初めて見たのでビックリしている。

「はぁ......初っ端から嘘吐くなよ......まぁコレで、この魔道具が本物だと君達に伝わったと思うからいいか。
 じゃあ次はおばさんに聞くね。さっき指名された7人は当事者ですかね?もし違う人が居るならその人を教えてください」


「......全員関係者です」


 ......うん。本当だったみたい。

 肩で息をして、安堵するおばはん。生き延びれてよかったね。
 指名されたヤツらは入団交渉が上手く纏まり、入団する事が決まったので拘束した。

「じゃあ次はインテリメガネに質問。ギルド関係者はあと何人この件に関わっている?」


「......二人だ」


 死ななかった。あと二人だけなのが確定しました。早くそいつらを拘束して他の人は解放しよう。

「じゃあ次は彼氏くん。その関係者の二人は誰なのかな?本当に知らない場合は知らないでいいよ」

「...経理の主任と副主任です」

 生きてるって事はホントなのね。なんで副マスが経理を庇うんだろう?

 ......あ、裏金か。
 クソ野郎球団の今季の補強は新規入団七名、FA移籍二名。

「ズブズブの関係だったからコイツらを庇ったんだね、副マスのおっさんは。
 はい、それでは!今呼ばれた経理の主任と副主任さんこちらへどーぞー!
 来てくれないと無関係の人達の事を解放する事ができないので早く来てくださーい」

 俺がそう言うと、この件に無関係の人達の視線が一斉に一箇所へ集まった。
 その視線の先を見てみると、青褪めたおっさんが二人いるじゃないですか。

 近くにいる冒険者にアレがそうなのか聞いてみたら、アレです。と返ってきたので確定。即座に拘束して、ごみ溜めへ転がす。

 ギャラリーにもう少しだけ待っていてと伝えてゴミを引きずってギルマス部屋へ向かう。ヤツらの衣類、装備を剥ぎ、下着だけにしてからギルマス部屋の中に押し込んだ。しばらくそこで芋虫しててくれ。

 ロビーへ戻り、茶番に付き合わせた事を改めて謝罪する。
 一人につき金貨二枚を渡していく。
 大盤振る舞いに見えるだろうけど、ギルマスの個人資産だから何も痛くはない。

 だけど、俺だけ何もしないってのも落ち着かないので、詫び金に加えてダンジョンで手に入れた〇〇小アップ系の装飾品をおまけに付けることにした。

 これに冒険者達が物凄く食いついた。金貨よりも。


 微アップ、極小アップ以外の装飾品は深めの階層でしか出ず、装備品と違い複数個を装着できるのでかなり貴重なんだそう。

 ステータスアップ系の装備品は浅い階層でも出るが、ダサい、使いにくい、そのくせ性能がそこまでよくないみたいなので人気がなく、装飾品がとても人気。

 見た目まで悪けりゃ人気なんて出ないだろうね。俺もモン〇ンでは見た目重視の装備だったし。


 ......一応収納には中アップもそれなりにあるけどしまっておこう。大アップは一度も出なかった。
 最後の方のポーション祭りが無ければ出たのだろうかね?


 俺の所業に不満を持っていたであろうヤツらの不満は完全に消えたみたい。現金なヤツらだこと。
 そしていきなり馴れ馴れしくなってきてうざい。

 どんな感じで置き去りにされたのかを聞いてきたりと鬱陶しかったけど、ボイレコからヤツらの発言を聞かせてあげる為に再生してあげる。

 聞かせている間に罠を解除したので、外に出れるようになっている。


『戦っても勝てないだろう?それに、あまり被害を大きくすると責任問題になる!だからソロのお前がここに残って皆の為に時間を稼いでくれ!
 その装備たちは惜しいですが...私達の為に役に立ってください』

『ごめんねーアレは手に負えないわ』

『これで俺らは助かる!わりぃな!』

『お前のそのいい装備俺らが欲しかったぜ!』

『貴方のおかげで私達は助かりますよ。ありがとうございます。
 ソロの冒険者は死んでも悲しむ人は少ないですし、ギルドが推してきたのでメンバーに加えましたが、ここまで大して役に立っていないですし最後に役に立ってください』


 これらを聞かせたところ、事情説明するより効果があったようで、俺に対して同情的になった。味方が大勢できましたー。
 最初から聞かせておけばよかったぜ......


 ギルドの職員達には、あの無修正書類を見せてあげる。無表情でソレを読んでいく彼ら。後任のマトモな人事を早く選んでおいてねと伝える。


 こちらで裁かせて貰えませんか?と聞かれたけど、どんな処分を下すのかわからないし、ヌルい解決など絶対にさせたくないのでお断リックスした。
 微妙な顔をされるも、これだけは絶対に譲れない。

「俺の大事な子......ついでに俺も、未確認のモンスターから逃げる為の囮にして、何も起きずに依頼を終えていた場合は秘密裏に消そうと考えるようなヤツらを生かしておけない。ヌルい処分を下して早々に自由になり、同じような事を繰り返した場合にはお前らはどう責任をとるつもり?
 あんたは許せるのか?命より大事に思える子をそんな目に遭わされても」

 ちょっと怒気を孕ませながらそう伝えたら、諦めたように「後処理だけはしっかりお願いします...」と言われた。物わかりのいい人は嫌いじゃないよ。

 今回の事件は本部のお偉いさんに伝わると思うので......

 ・目的さえ達成すれば、お前らには何もしないから俺に干渉してくるな

 ・今回の件はお前らの管理の杜撰さが生んだんだから、しっかり現場を管理しろ

 ・手を出してきたら潰す

 という感じの伝言を頼んでおいた。
 泣きそうになっていたが諦めてくれ。すまんな。

 ギルマスの部屋には事が終わるまで近付かないでね。と伝えてその場は解散。
 ギルド職員方へ「御協力ありがとうございました。金貨3枚を置いて行くので皆でおいしい飯でも食ってください」と言ってその場を離れる。


 もっと色々入り交じって大事になると思っていたけど......案外アイツら嫌われていたんだなぁ。
 今から殺るお前が言うな状態だろうけど、殺人が黙認される世界って怖いわぁ。

 ギルマスの部屋に到着するまでは無駄に足音を立てながら歩いていった。処刑人が近付いてるよってアピール。
 部屋の前に到着し、ヤツらの不安を煽るために少し溜めてから入室。


 芋虫状態でガクブルなゴミ共が待っていた。大人しく待っていてくれてありがとう。

 さぁ断罪のお時間でございます。

 まずは経理の二人からにしよう。あわよくば逃げ切れると思ってただろうから、コイツらに対しての見せしめも兼ねて。

「俺を嵌めて殺そうとした皆様。短い余生は楽しめたかな?ゴリラ達はダンジョンで殺られていた方が幸せだったかもしれないけど、今まで甘い汁を沢山吸っていた報いと思って諦めてね」

 威圧を強めながら続ける。

「ではまずは経理の御二方から。いっぱい溜め込んでるんだよね?資産の隠し場所を教えてくださいな」

 主任のおっさんは嫌だ、やめろ、俺は関係ない!としか喋らないので侵食で砂に変えてやった。
 そんな光景を目の当たりにした副主任を目で促すと、全てを諦めたようにフーッと天を仰ぎながら息を吐き、隠し場所を教えてくれた。後で回収しよう。

 そいつには掌底を打ち込んで、内部を破壊して殺した。


 あーうん。本当の意味で手を掛けた最初の人間になっちゃった。
 今までは魔法や、飛ばした斬撃などだったから。今回もやっぱり何も感じなかったので、シリアルキラーにはならないように気をつけよう。


 副主任がこの件へ加担した理由は、金の為と、今までの悪事の露呈を危惧して......との事。

 あー......悪事に片足突っ込んだ瞬間からズブズブと沈んでいくだけだからね。抜け出せる訳が無いわな。

 偉い人が関わる悪事ほど底なし沼へと引きずり込まれ、泥水に慣れていき、何も思わなくなる。その沼の場所は秘密にされていて安全だから余計にタチが悪い。

 俺は沼の水全部抜く掃除屋って事になる。


 はぁ......残りを片付けていこう。


 ババア、女、彼氏、インテリメガネに目標を移す。
 シンプルにやった理由を聞く。

 ババアは金の為、メガネも金の為、女は嫉妬、彼氏は女の付き合い。

 嫉妬ってなんだよと思ったら、若い男と楽しそうにしていた受付嬢にムカついたそうだ。

 呆れてモノも言えない。彼氏いるくせに何考えてんだよ......
 その八つ当たりに付き合うこの男もアホだ。

 ここでやっと気付いたんだけど、俺を担当していたヤツは休みなのかな?
 
......なんでギルドに居ないんだろう。

 聞くしかないな。


「なぁ女さん。俺の担当をしていた女はどこにいるんだ?」


 そう質問をすると全員が静止した――
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