60 / 183
真実の愛
しおりを挟む
出勤前の大事な時間。思いっきり一緒の時間を楽しみ、触れ合う。
あんこは最近、甘噛みなんていう小技を覚えて、カプカプとしてくる事が増えてとても興奮する。
今まではチューチューしてくるだけだったんだけど、カプカプとしながら吸ったりしてくるから鼻血出そうなほど可愛い。
サイズを大型犬くらいにしてからやってくれてもいいんだよ......フフフフフフフ
子犬が甘噛みをしてくる理由......それは構ってほしい、甘えたいという意思表示でもあるらしい。
甘噛みは甘え噛みと表現する事もあるくらいの愛情表現。どんな時でも君が最優先だからいつでも甘えていらっしゃい。
しかしこの行動は、噛みグセが付いてしまう恐れもあるので、しっかり躾をしなくてはいけない諸刃の剣だ。全国の飼い主さん達はきっと、血涙を流しながら甘噛みに対しての躾をしているだろう。
親犬がいれば噛む力を指導してくれるので、そこまで問題は起きないけど、すぐ親犬と離された子犬には人間がしっかりと教えてあげなくてはいけない。
噛めば何かしらのリアクションしてもらえると理解しちゃうからね。
痛いから止めてと言ったとしても、言葉は伝わらないし、反応してもらえて嬉しい!となるから、躾る際にはご注意を。
というのは日本での話だ。
この異世界では噛みグセが付いてしまうなんて事を危惧する必要などない!!
この世界最強クラスの物理防御が猛威を奮う限り、例え殺意を孕んだガチ噛みをされたとしても俺にとっては甘噛みされる感覚。
こんなのは絶対に起こらないと思うし、起こってしまったら死を選ぶけれども。
それにこの子は賢いから、止めて欲しいことは言えば理解するし、他人にはほとんど興味を示さないから迷惑などかけない。
だから街中での突然の愛犬ご乱心→訴訟なんて起こり得ない。
でも、一応注意だけしておく。
俺とピノちゃん以外はカプカプしちゃダメだよと。
ちょっと強めに噛まれた。痛くないけど心が痛い......悲しい。
好きな人にしかしないもん!!とフォローされて即復活したけど。
俺もうこの子と結婚するわ。可愛すぎてやばい。娘みたいなポジションだけどいいよね。相思相愛ならちょっと種族が違っても関係ないと思うの。
ネット環境をくれ!
わんこㅤ結婚ㅤ方法で検索をさせろぉぉぉぉ!!知恵袋さん教えてくれぇぇぇぇ!!
俺も大好きだよーと、全力で撫でる。
後ろからハグをして、首元に顔を埋めながらわしゃわしゃ。
途中で二人の世界を醸し出されている事を寂しく感じたらしいピノちゃんも乱入してきたので喜んで迎え入れる。
寝るまでずっと触れ合って、家族の絆を育んでいった。
◇◇◇
はい。そんな倖時間を過ごし、深夜でございます。
本日あの子たちが起きていた時間はとても少ないけど、ぐっすり眠っている。よく寝られて羨ましい。
逆に俺は、時間という呪縛から解き放たれたはずなのに、日本に居た頃よりも生活リズムが規則正しくなっている不思議な現象に悩まされている。
日が出てる時間にお外に出よう......なんて事は仕事以外に思わなかったのに。
あの子達はその気になれば一週間くらい寝続けられるそうだから、寝すぎて体調を損なう心配はないらしい。
だけど俺が寂しいから、一日一回は起きてきてねとは言ってある。
うん。
何故今こんな事を思っているのかと言うと、異世界に来てから結構経ったが、本格的に単独行動をするのは初めてなので、少しだけ心細い。
さっきまでガッツリとスキンシップをしていたので、余計に感情の落差がやばい。
涙を堪えて外へ出る準備を終わらせ、部屋の中に罠を仕掛けてこの子たちの安眠を守る。
行ってきますと声を掛けて、窓から飛び出しす。
ダンジョンで縦穴から飛び降りるのを経験してから、高所でも玉ヒュンしなくなったのでこんな事も余裕。
だけど龍さんの背中に乗る時くらいの高度はまだ怖い。
まずはゴリラの飼育員な貴族のお宅へ訪問。闇御津羽の力で、より高性能になった犯人スーツを発動し、夜の王都を走る。
ウィスト家という貴族で、爵位は男爵。
ゴリラなんかを飼うくらいだし、飼い主もまぁ碌でもない。
現在のバカが三代目で、初代は戦争で武功を挙げたとかで貴族になったらしい。一代限りの貴族にしなかった王族へ責任を問いたい。
今は初代の功績を、自分のモノのように勘違いして偉ぶっているカスだ。
やっている事といえば、威張り散らしてやりたい放題。金遣いが荒く、弱者からの搾取で荒稼ぎ。
武功で貴族になったくらいなので、私兵だけは誇れるらしい。
おさがりの貴族地位と私兵団で偉そうにしているとか恥ずかしいわ。
きっとバナナの消費量が貴族一多い私兵団だろう。
居なくなった方が世の為になる貴族ですねぇ......
この世界にはマトモな人間もいるのもわかったんだけど、クソ野郎が圧倒的に多いよ。
こんなのがのうのうと貴族としてやっていけているのなら、こんな国家滅んでしまった方がいいのかもしれない。
ここからよく見える移動だけで筋肉痛になりそうな城の中で、ぬくぬくと温室で育ってる王族を消しても誰も困らなそう。
そんな事を考えていたら貴族のお宅に到着。無駄に豪華で趣味が悪いお家だ。
家紋を確認。ここが目的地で間違いないな......とりあえずサクっと終わらせよ。
まだ十分程度しか経っていないけど、もう既にあの子たちから離れて行動するのは嫌になっているので予定を大幅に変更。二度手間な作戦は止め、本日中にこの世から消す。
糸で鍵を開けて侵入。バールのようなものでこじ開けてもよかったが、音でバレそうだから今回はやめておく。
中に入り、コソコソ進む。
まぁメガネを掛けた蝶ネクタイ装着の半ズボン少年が居ない限り、俺の正体がバレる事は無いと思うけど、念の為にバレないようにコソコソする。
異世界だからそれらしい格好をしたガキンチョは居そうだ......とちょっと思ってしまった。
屋敷内を探知してみるも、目標がどれだか全然わからない。
詳細な探知に必要性を感じていなかった今までを反省。こういう時に不便すぎるので、個体判別が出来るように要改善。
とりあえず一番広い部屋を目指して進んでいくと、悪趣味な扉の前に到着した。これを誇れるセンスは俺にはない。
中に入ると中心のデカいベッドでオークが寝ていた。事後の女を添えて。
......うん、まぁコイツで確定かな。万が一人違いだったとしてもきっと心は痛まない。
最近あまり使ってあげられなかった骨喰さんを抜き、オークの首を撥ねる。
もっと出番をよこせ!!!という意思が三つ飛んできたが、使うのはその時のテンション次第なので、善処致しますと返事しておいた。
オークの体はブラックホールで消滅させておいた。
ボスゴリラの首とオークの首を棚に飾ってミッションコンプリート。
最後はちょっと雑になったけど、予定変更した影響。こんだけでも周囲の人間にある程度の効果はあるっしょ。
これ見よがしに置いてあった金庫を開けて、中身を押収してからオークハウスを脱出。
貴族の屋敷の割に警備がザルい。
私兵団に絶対の自信でも持ってるか、警備代をケチってるかだろうけど。
次の標的は、斧の持ち主のアスホルって貴族で、爵位は子爵。
表向きは真っ当な貴族を装っているが、裏では相当悪どい事をしている。
典型的な選民思想の貴族で、平民の事は雑草と同じくらいに思っているのだろう。
いくらでも生えてくるし、邪魔なら刈り取ればいい的な。そんなんでも真っ当な貴族に見られるこの世の中は狂ってやがる。
女と薬をメインに扱っていて、女の調達はマッチポンプ形式。いやー悪どい。
受付嬢ヤク漬けレ〇プは、コイツが居たから開催されたんだろうなぁ。
ちょっと気分を変える為に、犯人から畜生なペンギンにフォルムチェンジ。
能力が強化されてかなり自由度が広がった。
この姿はただの悪ふざけ。
邸宅へ到着し、ヌルッと侵入。
隠密行動はかなりの精度になったみたいで危なさが全然ない。
インペル〇ウンでも余裕で侵入と脱獄出来そう。
探知を発動してみると、屋敷内に人の反応が殆どない。
その変わりに地下で大人数が蠢いている反応がある。
この時点で嫌な予感しかしてこない。嫌だなー怖いなー......
地下室への階段のギミックを破壊して、階段を剥き出しにしたそれを降りていくと、喘ぎ声と叫び声が聞こえてきた。
やっぱりそうだったか......なんかもう展開がわかりやすすぎて......
扉を少し開けて中を覗いてみると、どっかの山羊野郎の時に似た光景だった。
合わせて100人程の男女が入り乱れている。屋敷の地下にこんな大規模隠し部屋......隠し部屋と言っていいんだろうか?この倍の数でも余裕で収納できそうな空間。
こんなもんを作っているアホ貴族に呆れる。セーフハウスみたいのを持っておけばいいのに。
なんかもう色々と汚らしい野郎共を速攻で拘束し、お色気シーンによくある不自然な光や湯気みたいな感じで体の大部分を隠した。
不快感が軽減されたので、流れ作業のように男と女を分けていく。
ゴブリンとオークが何やら騒いでいるのが煩いので、威圧を浴びせて黙らせてから口も拘束。
そこそこ暗い部屋で、着ぐるみ特有の無の表情と目で睨まれて威圧されたらきっとチビる。俺はピエロとか着ぐるみ系の目が苦手だ。
それから闇壁を作って隔離。とりあえず不快なモノの処分は後回しかな。
魔法を解除してペンギンから人間へと戻り、女達へ問いかける。
ヤクを抜いて自由になりたいか、ここで死んで楽になるかと。
本来なら助ける義理も義務もないけど、今回は俺の自己満足に付き合ってもらおう。
あの受付嬢が殺されたって事が、何故か俺の精神にキているので......なんだろ?罪滅ぼしみたいな感じかな。
罪悪感だけは突破してくるのだろうか......この精神耐性は。
本当に薬が抜けて自由になれるのなら、お願いしたいと言う女が六割、死を願う女が三割、ぶっ壊れている女が一割くらいだった。
思ってたより生きたい女の人が多かった。
死を願う女性と、壊されてしまっている女性は真っ暗な空間に隔離してから葬った。
自分が死んだという感覚も無く逝けたと思う。
来世は馬鹿な男に捕まらずに生きてね。
さて、目の前には三十人程の女がいる。
ヤクがキマっているようで時々ヤバい表情や目付きになったりするけど、ちゃんと話はできる。
話してみると、ここにいる女達は商家の娘や、平民の娘が殆どだった。
両親がクソ貴族に騙されて借金を抱えさせられ、その後は借金のカタとしてクソ貴族へ売られたらしい。
この子達はココへ連れてこられてからまだ日が浅いらしく、まだ無事な部類だった。
それでも希望は無く、どうせ死ぬなら早い方がいいかな......と考え出していたってさ。
自由になった後のアテはあるのか聞いてみたが、失う物は何も無いからそれぞれの得意分野を活かして頑張って生きて行くと言い切った。
腹を括った女の人は強いねぇ。
ヤクだけ抜いてお別れのつもりだったけど、ちょっと応援したくなった。
これも罪悪感が影響してんのかね。普段の俺では考えられない行動だわ。
まぁいいや。人生をリスタートする彼女たちへ、何かちょっとした物を贈らせてもらおう。
......おっとその前にヤク抜きだ。数分置きに顔がヤバくなるのは見てられない。
これに耐えられれば、これから大体の事は耐えられるようになるくらいすっげぇ苦いけど、よく効くお薬だからちゃんと飲むんだよ。
そう伝えてから、とある葉っぱを一枚ずつと、水を一杯ずつ渡した。
▼魔樹の葉
樹木が魔力をゆっくり長い間取り込み続け変質した物の葉
万病に効く万能薬で恐ろしい程の即効性を誇る
しかしこの世の物とは思えない苦味が数時間続く▼
どれだけの苦味かは俺にはわからない。
しかしあの実の味を思えば、きっとこっちも相当なヤバさなんだろう。
......良薬口に苦しと言うしね。苦いだけで結構なチートだから、それに耐えきれば体はきっと健康体になるはずだよ。
そして今さっきまで起こっていた出来事や、あの葉っぱを食うよりも辛い事なんてそうそう起きないだろうから頑張ってくれ。
ヤクが抜けるかは正直賭けな部分があるけど、依存症とかって病気だろうから多分治るはずだ。ショック療法みたいになる可能性もあるし。
女性達が葉っぱのモンスターと戦闘を繰り広げている間に、クズ共に絶望を味わってもらいましょう。
畜生なペンギンを再び身に纏い、クズ共が隔離されている方へと向かっていった。
あんこは最近、甘噛みなんていう小技を覚えて、カプカプとしてくる事が増えてとても興奮する。
今まではチューチューしてくるだけだったんだけど、カプカプとしながら吸ったりしてくるから鼻血出そうなほど可愛い。
サイズを大型犬くらいにしてからやってくれてもいいんだよ......フフフフフフフ
子犬が甘噛みをしてくる理由......それは構ってほしい、甘えたいという意思表示でもあるらしい。
甘噛みは甘え噛みと表現する事もあるくらいの愛情表現。どんな時でも君が最優先だからいつでも甘えていらっしゃい。
しかしこの行動は、噛みグセが付いてしまう恐れもあるので、しっかり躾をしなくてはいけない諸刃の剣だ。全国の飼い主さん達はきっと、血涙を流しながら甘噛みに対しての躾をしているだろう。
親犬がいれば噛む力を指導してくれるので、そこまで問題は起きないけど、すぐ親犬と離された子犬には人間がしっかりと教えてあげなくてはいけない。
噛めば何かしらのリアクションしてもらえると理解しちゃうからね。
痛いから止めてと言ったとしても、言葉は伝わらないし、反応してもらえて嬉しい!となるから、躾る際にはご注意を。
というのは日本での話だ。
この異世界では噛みグセが付いてしまうなんて事を危惧する必要などない!!
この世界最強クラスの物理防御が猛威を奮う限り、例え殺意を孕んだガチ噛みをされたとしても俺にとっては甘噛みされる感覚。
こんなのは絶対に起こらないと思うし、起こってしまったら死を選ぶけれども。
それにこの子は賢いから、止めて欲しいことは言えば理解するし、他人にはほとんど興味を示さないから迷惑などかけない。
だから街中での突然の愛犬ご乱心→訴訟なんて起こり得ない。
でも、一応注意だけしておく。
俺とピノちゃん以外はカプカプしちゃダメだよと。
ちょっと強めに噛まれた。痛くないけど心が痛い......悲しい。
好きな人にしかしないもん!!とフォローされて即復活したけど。
俺もうこの子と結婚するわ。可愛すぎてやばい。娘みたいなポジションだけどいいよね。相思相愛ならちょっと種族が違っても関係ないと思うの。
ネット環境をくれ!
わんこㅤ結婚ㅤ方法で検索をさせろぉぉぉぉ!!知恵袋さん教えてくれぇぇぇぇ!!
俺も大好きだよーと、全力で撫でる。
後ろからハグをして、首元に顔を埋めながらわしゃわしゃ。
途中で二人の世界を醸し出されている事を寂しく感じたらしいピノちゃんも乱入してきたので喜んで迎え入れる。
寝るまでずっと触れ合って、家族の絆を育んでいった。
◇◇◇
はい。そんな倖時間を過ごし、深夜でございます。
本日あの子たちが起きていた時間はとても少ないけど、ぐっすり眠っている。よく寝られて羨ましい。
逆に俺は、時間という呪縛から解き放たれたはずなのに、日本に居た頃よりも生活リズムが規則正しくなっている不思議な現象に悩まされている。
日が出てる時間にお外に出よう......なんて事は仕事以外に思わなかったのに。
あの子達はその気になれば一週間くらい寝続けられるそうだから、寝すぎて体調を損なう心配はないらしい。
だけど俺が寂しいから、一日一回は起きてきてねとは言ってある。
うん。
何故今こんな事を思っているのかと言うと、異世界に来てから結構経ったが、本格的に単独行動をするのは初めてなので、少しだけ心細い。
さっきまでガッツリとスキンシップをしていたので、余計に感情の落差がやばい。
涙を堪えて外へ出る準備を終わらせ、部屋の中に罠を仕掛けてこの子たちの安眠を守る。
行ってきますと声を掛けて、窓から飛び出しす。
ダンジョンで縦穴から飛び降りるのを経験してから、高所でも玉ヒュンしなくなったのでこんな事も余裕。
だけど龍さんの背中に乗る時くらいの高度はまだ怖い。
まずはゴリラの飼育員な貴族のお宅へ訪問。闇御津羽の力で、より高性能になった犯人スーツを発動し、夜の王都を走る。
ウィスト家という貴族で、爵位は男爵。
ゴリラなんかを飼うくらいだし、飼い主もまぁ碌でもない。
現在のバカが三代目で、初代は戦争で武功を挙げたとかで貴族になったらしい。一代限りの貴族にしなかった王族へ責任を問いたい。
今は初代の功績を、自分のモノのように勘違いして偉ぶっているカスだ。
やっている事といえば、威張り散らしてやりたい放題。金遣いが荒く、弱者からの搾取で荒稼ぎ。
武功で貴族になったくらいなので、私兵だけは誇れるらしい。
おさがりの貴族地位と私兵団で偉そうにしているとか恥ずかしいわ。
きっとバナナの消費量が貴族一多い私兵団だろう。
居なくなった方が世の為になる貴族ですねぇ......
この世界にはマトモな人間もいるのもわかったんだけど、クソ野郎が圧倒的に多いよ。
こんなのがのうのうと貴族としてやっていけているのなら、こんな国家滅んでしまった方がいいのかもしれない。
ここからよく見える移動だけで筋肉痛になりそうな城の中で、ぬくぬくと温室で育ってる王族を消しても誰も困らなそう。
そんな事を考えていたら貴族のお宅に到着。無駄に豪華で趣味が悪いお家だ。
家紋を確認。ここが目的地で間違いないな......とりあえずサクっと終わらせよ。
まだ十分程度しか経っていないけど、もう既にあの子たちから離れて行動するのは嫌になっているので予定を大幅に変更。二度手間な作戦は止め、本日中にこの世から消す。
糸で鍵を開けて侵入。バールのようなものでこじ開けてもよかったが、音でバレそうだから今回はやめておく。
中に入り、コソコソ進む。
まぁメガネを掛けた蝶ネクタイ装着の半ズボン少年が居ない限り、俺の正体がバレる事は無いと思うけど、念の為にバレないようにコソコソする。
異世界だからそれらしい格好をしたガキンチョは居そうだ......とちょっと思ってしまった。
屋敷内を探知してみるも、目標がどれだか全然わからない。
詳細な探知に必要性を感じていなかった今までを反省。こういう時に不便すぎるので、個体判別が出来るように要改善。
とりあえず一番広い部屋を目指して進んでいくと、悪趣味な扉の前に到着した。これを誇れるセンスは俺にはない。
中に入ると中心のデカいベッドでオークが寝ていた。事後の女を添えて。
......うん、まぁコイツで確定かな。万が一人違いだったとしてもきっと心は痛まない。
最近あまり使ってあげられなかった骨喰さんを抜き、オークの首を撥ねる。
もっと出番をよこせ!!!という意思が三つ飛んできたが、使うのはその時のテンション次第なので、善処致しますと返事しておいた。
オークの体はブラックホールで消滅させておいた。
ボスゴリラの首とオークの首を棚に飾ってミッションコンプリート。
最後はちょっと雑になったけど、予定変更した影響。こんだけでも周囲の人間にある程度の効果はあるっしょ。
これ見よがしに置いてあった金庫を開けて、中身を押収してからオークハウスを脱出。
貴族の屋敷の割に警備がザルい。
私兵団に絶対の自信でも持ってるか、警備代をケチってるかだろうけど。
次の標的は、斧の持ち主のアスホルって貴族で、爵位は子爵。
表向きは真っ当な貴族を装っているが、裏では相当悪どい事をしている。
典型的な選民思想の貴族で、平民の事は雑草と同じくらいに思っているのだろう。
いくらでも生えてくるし、邪魔なら刈り取ればいい的な。そんなんでも真っ当な貴族に見られるこの世の中は狂ってやがる。
女と薬をメインに扱っていて、女の調達はマッチポンプ形式。いやー悪どい。
受付嬢ヤク漬けレ〇プは、コイツが居たから開催されたんだろうなぁ。
ちょっと気分を変える為に、犯人から畜生なペンギンにフォルムチェンジ。
能力が強化されてかなり自由度が広がった。
この姿はただの悪ふざけ。
邸宅へ到着し、ヌルッと侵入。
隠密行動はかなりの精度になったみたいで危なさが全然ない。
インペル〇ウンでも余裕で侵入と脱獄出来そう。
探知を発動してみると、屋敷内に人の反応が殆どない。
その変わりに地下で大人数が蠢いている反応がある。
この時点で嫌な予感しかしてこない。嫌だなー怖いなー......
地下室への階段のギミックを破壊して、階段を剥き出しにしたそれを降りていくと、喘ぎ声と叫び声が聞こえてきた。
やっぱりそうだったか......なんかもう展開がわかりやすすぎて......
扉を少し開けて中を覗いてみると、どっかの山羊野郎の時に似た光景だった。
合わせて100人程の男女が入り乱れている。屋敷の地下にこんな大規模隠し部屋......隠し部屋と言っていいんだろうか?この倍の数でも余裕で収納できそうな空間。
こんなもんを作っているアホ貴族に呆れる。セーフハウスみたいのを持っておけばいいのに。
なんかもう色々と汚らしい野郎共を速攻で拘束し、お色気シーンによくある不自然な光や湯気みたいな感じで体の大部分を隠した。
不快感が軽減されたので、流れ作業のように男と女を分けていく。
ゴブリンとオークが何やら騒いでいるのが煩いので、威圧を浴びせて黙らせてから口も拘束。
そこそこ暗い部屋で、着ぐるみ特有の無の表情と目で睨まれて威圧されたらきっとチビる。俺はピエロとか着ぐるみ系の目が苦手だ。
それから闇壁を作って隔離。とりあえず不快なモノの処分は後回しかな。
魔法を解除してペンギンから人間へと戻り、女達へ問いかける。
ヤクを抜いて自由になりたいか、ここで死んで楽になるかと。
本来なら助ける義理も義務もないけど、今回は俺の自己満足に付き合ってもらおう。
あの受付嬢が殺されたって事が、何故か俺の精神にキているので......なんだろ?罪滅ぼしみたいな感じかな。
罪悪感だけは突破してくるのだろうか......この精神耐性は。
本当に薬が抜けて自由になれるのなら、お願いしたいと言う女が六割、死を願う女が三割、ぶっ壊れている女が一割くらいだった。
思ってたより生きたい女の人が多かった。
死を願う女性と、壊されてしまっている女性は真っ暗な空間に隔離してから葬った。
自分が死んだという感覚も無く逝けたと思う。
来世は馬鹿な男に捕まらずに生きてね。
さて、目の前には三十人程の女がいる。
ヤクがキマっているようで時々ヤバい表情や目付きになったりするけど、ちゃんと話はできる。
話してみると、ここにいる女達は商家の娘や、平民の娘が殆どだった。
両親がクソ貴族に騙されて借金を抱えさせられ、その後は借金のカタとしてクソ貴族へ売られたらしい。
この子達はココへ連れてこられてからまだ日が浅いらしく、まだ無事な部類だった。
それでも希望は無く、どうせ死ぬなら早い方がいいかな......と考え出していたってさ。
自由になった後のアテはあるのか聞いてみたが、失う物は何も無いからそれぞれの得意分野を活かして頑張って生きて行くと言い切った。
腹を括った女の人は強いねぇ。
ヤクだけ抜いてお別れのつもりだったけど、ちょっと応援したくなった。
これも罪悪感が影響してんのかね。普段の俺では考えられない行動だわ。
まぁいいや。人生をリスタートする彼女たちへ、何かちょっとした物を贈らせてもらおう。
......おっとその前にヤク抜きだ。数分置きに顔がヤバくなるのは見てられない。
これに耐えられれば、これから大体の事は耐えられるようになるくらいすっげぇ苦いけど、よく効くお薬だからちゃんと飲むんだよ。
そう伝えてから、とある葉っぱを一枚ずつと、水を一杯ずつ渡した。
▼魔樹の葉
樹木が魔力をゆっくり長い間取り込み続け変質した物の葉
万病に効く万能薬で恐ろしい程の即効性を誇る
しかしこの世の物とは思えない苦味が数時間続く▼
どれだけの苦味かは俺にはわからない。
しかしあの実の味を思えば、きっとこっちも相当なヤバさなんだろう。
......良薬口に苦しと言うしね。苦いだけで結構なチートだから、それに耐えきれば体はきっと健康体になるはずだよ。
そして今さっきまで起こっていた出来事や、あの葉っぱを食うよりも辛い事なんてそうそう起きないだろうから頑張ってくれ。
ヤクが抜けるかは正直賭けな部分があるけど、依存症とかって病気だろうから多分治るはずだ。ショック療法みたいになる可能性もあるし。
女性達が葉っぱのモンスターと戦闘を繰り広げている間に、クズ共に絶望を味わってもらいましょう。
畜生なペンギンを再び身に纏い、クズ共が隔離されている方へと向かっていった。
28
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる