異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
67 / 183

茶色い食卓

しおりを挟む
 昼過ぎまでノンストップで走り続けたお嬢様。俺がダンジョンで感じていた罪悪感はもう感じていない。
 あの時は俺からお願いしたけど、今回はあんこからおねだり。やりたい事はやらせてあげたいし、あんなに嬉しそうなあの子を止めるなんて俺には無理だもの。

 まだまだ走り続けられそうだけど、お昼を過ぎたので一旦休憩をとろうと提案したらすぐに止まってくれた。さすがにちょっとお腹も空いてきた。

 ありがとうね、凄かったよと言って抱きしめる。
 でしょ!と胸を張って得意気にしている。
 これからも頼りにしてるよーと伝えたら嬉しそうに体をこすりつけてくる姿が愛おしい。

 ビーフジャーキーを出して、口まで運んであげるとしっぽを振りながら食べ始める。
 ついでに俺の手もハムハムしてくる。俺の手は美味しいのかなー?


 空いてる方の手を使い、ピノちゃんに煮卵をあげたらすぐに食いついてくる。君もお腹空いてたのね。

 両手に花状態。

 かわいいのぉ......なんかこう、群がられてる感じが幸せ。
 満足するまでいっぱいお食べ。

 ウチの子たちが食べ終わるまで両手をフル活用した。俺の手から直接食べた後は指をぺろぺろしてくれたり、甘噛みしてくる姿は永遠に見ていられる。

 食事を食べ終わったあんこは、大型犬サイズのまま俺の足の間にすっぽり、ピノちゃんはあんこの頭の上。

 なにこの幸せシチュエーション......

 その状態のまま、糸を使ってバターを塗っただけのパンを食べて昼食終了。両手はこの子たちの為に使うんです。
 食後はバックハグ状態からあんこの背中に顔面を埋めて癒される。中毒性があるモフみを存分に味わえて、ヤバいくらい幸せな昼休みだった。

 いやー最近うちのエンジェル達がベタ甘で嬉しいわ。
 そして意思表示もしっかりしてくれるようになっているから、あの子たちが求めているものがわかりやすい。

 ウキウキのまま出発の準備。
 今日の夜何食べようかなーとか考えていたら、お嬢様が早く行こうと急かしてきた。

 すっげぇ元気だなーと、シンプルな感想を抱きつつ了承。ピノちゃんをあんこの上にセットして、俺はソリに乗り込む。
 落ちないようにね、落とさないようにね、と注意し発進。


 俺は大人しくソリに乗っている事以外にやる事が無いので、ソリの代用品について考えることにした。
 最初の方は平気だったけど、長時間乗っていると蓄積ダメージが尻と腰に溜まってくる。
 雪上か砂漠系じゃないとキツいかもしれない。

 あんこは引いてる感が欲しいと思うので、エンジン付きのものは拒否ると思う。

 俺的にはタイヤ付きのモノに乗りたい。サスペンションの効いたもので尻に負担の少ない系。
 車を召喚してバラすか、ソリに高性能のソファとかをどうにかして組み込むか。でも俺に改造系をさせるには絶望的にセンスがない。

 困った時のアラクネさん......これ系の事は出来るのかな?万能メイドと謳うくらいだし多分イケるか。

 近いうちに喚んで聞いてみよう。
 ダメそうだったらダメ元で何か魔改造してみればいいか。
 考えが上手く纏まらないので強制終了。。

 ケツの痛みを誤魔化す為にクッションを追加した。

 .........あれ?なんでこの体にダメージ通ってるんだろう?戦闘や攻撃以外ではスキル効果発揮されないの?
 まさかのパッシブではない疑惑......

 移動中のダメージって結構しんどいんだぞ......もし俺がお尻に爆弾抱えてたり、腰に爆弾を抱えてたらと思うと笑えない。

 ある意味早めに気付けてよかったけど、俺のスキル達は結構不親切な設定多いんだよなぁ......

 こうなるとケツを強化すればダメージ削減、あわよくば無効になるかな?と思い、早速試してみる。




 結果、ダメージは通らず。ダメージは通らないんだけど、振動は防げなかった。

 金属が飛んでくる石を弾くみたいな感覚。慣れてないから若干気持ち悪い。
 今回はもう止めておこう。尻肉のクッション性に頑張って貰う事にします。



 そのまま日が暮れてくるまで進んで、今日の移動は終わり。
 ゆらゆらする椅子を出して、そこに座らせてあげる。この椅子はもうこれからお嬢様専用にして、たまに俺が使わせてもらうくらいでいい気がしてきた。

 ほぼ一日走り続けたお嬢様を労うようにマッサージを。肉球とか、ムチムチのあんよを念入りに揉みこんでいく。

 かわいいあんよだなぁ......肉球はぷにぷに、足はむちむちで揉んでいる俺の方が気持ちいい。
 しっかりと揉むのは初めてかもしれない。いつもは撫でるだけだったけど、これは勿体ない事をしてしまっていた。


 マッサージという名目でまた揉ませて貰おう!これは医療行為だから疚しい気持ちなんてこれっぽっちも無いので健全だ。

 こーして俺はマッサージを楽しんだ。


 至福のマッサージタイムが終わったので、夕飯の準備に取り掛かる。

 用意するのはピザ用のチーズ、赤ウインナー、厚切りハムにキャベツの千切り。
 ちょっと寂しいので玉ねぎの輪切りも追加。

 厚切りハムに切れ目を入れてスライスチーズを挟んだ物を半分、普通のを半分作る。
 表面に塩コショウを振って終わり。

 赤ウインナーは三本ワンセットで楊枝に刺していく。
 タコさんには面倒なのでしない。

 油を熱してる間にバッター液、パン粉を用意して下準備終わり。
 玉ねぎ以外は揚げ時間がほとんど掛からないので、今日大量に揚げておく事にする。
 雨とかで足止めを食らった時に、時間がかかる系の物を作ろう。

 バッター液にくぐらせた赤ウインナーを揚げていく。衣がいい感じの色になれば完成。

 ハムカツも簡単。バッター液にくぐらせた後にパン粉をギチギチに付けてから、パン粉に色が付くまで揚げるだけ。

 赤ウインナーもハムカツもオニオンリングも、衣が厚めの方が好き。

 揚がった赤ウインナーをツマミにしながらビールを飲みつつ揚げ物を続行。

 その隙にオニオンリングを揚げる。こっちはじっくりと揚げる。

 あぁ......赤ウインナーから染み出る体に悪そうな黄色い脂が何故か物凄く美味しい。
 むしろこの脂の為に赤ウインナーを食べているくらいだ。
 焼きやボイルでは絶対に普通のウインナーに敵わないのに、揚げると圧勝できる一点特化型の赤ウインナー選手。

 そうこうしているうちにオニオンリングもいい感じになってくる。


 茶色いメニューに申し訳程度の緑色。

 エクセレント。

 最後にちょっと変化球のメニューをこっそり揚げて晩飯完成。


 お待たせーご飯にするよーと、各々好きな事をしていたあんことピノちゃんを呼ぶ。

 揚げ物が気になるのか、お嬢様はハムカツをクンクンしている。

 お?食べたいのかな?

 チーズ入りとノーマルを味見程度の大きさにして食べさせてみる。
 料理対決の判定を待つ料理人ってこんな気分なんだろうか。すっごいドキドキする。


 ノーマルがお気に召したみたい。
 チーズはクセか臭いがダメだったみたいで、チーズ入りを食べた時はしっぽが垂れてしまっていた......

 なので、ノーマルのハムカツとジャーキーを夕飯にあげる。


 ピノちゃんにはコレを......

 そう、揚げ煮卵だ。バッター液を薄く塗ってサッと揚げたもの。

 俺用には半熟煮卵で作ってある。
 余計な一手間と言われるか、お気に召すか......どうだろ?


 あーダメだったみたい......悲しい。

 せめて黄身トロットロが好みならきっと刺さったハズなのに......
 半熟の黄身の美味しさをどうにかしてわかってほしい。

 仕方ない。残りは俺が食べよう。
 これはこれで美味しいし。口内の水分を根こそぎ持っていかれるけど。

 余計な事をしてごめんねと謝ってから、いつもの煮卵をあげた。


 さて、俺も食べましょう。ご飯と言うよりはツマミと言った方が正しいのだろうけど。


 先ずはハムカツを四等分にして、そのままひとくち。

 サクサクの衣とバッター液の層にハムの三層構造。

 この二層目が大事。
 説明を求められたら上手く説明出来ないけど、この不健康そうな黄色い層が無いと真のハムカツとは言えないと思っている。


 懐かしい味だわ。御中元や御歳暮で貰う塊ハムの思い出。
 結局どこの家庭も最後には持て余して、ハムステーキかハムカツになる運命だろう。

 二口目はカラシをベッタリと付けて食べる。フライにカラシを付ける文化を作った先人に感謝。
 フライとカラシの相性はガチ。すかさずビールを呷る。

 三口目は串カツ用のソースとカラシで。個人的にハムカツはサラサラ系ソースの方が合うと思っている。


 まぁ合わない訳が無いよね。フライを浸す事を前提に作られたソースだもの。
 ソースなのにさっぱりしてるからたくさん食べれてしまう。
 ラストの四口目は七味マヨ。アタリメに添えてあるヤツが余ったので付けてみたらこれがまた美味しかった。七味多めが好き。

 本当にコイツらはビールやハイボール、サワー等をガブガブ飲めてしまう悪魔的な料理だ。


 チーズ入りはサンドイッチ用に揚げたけど、やっぱり普通に美味しい。こちらは何も付けないで食う。

 ハムの塩気と旨味、チーズの塩気とコク、衣の油っこさが暴力的すぎる。
 ジャンクな食べ物は大正義だ。

 ビールを飲まなきゃやってらんない。白米にも米にも合うけど今はビールだ。

 ご飯を食べ終わったあんことピノちゃんは、一緒に椅子に乗って揺れている。うん、とってもほのぼのな光景に心が洗われるようだ。

 揚げ物の連続で疲れてくるが、キャベツの千切りさんが優しく癒してくれる。このセコンドの優秀さでフルラウンド戦い続けられる。


 続きましてはオニオンリング。どんなに大きい輪っかでも一口で食わなければ、衣だけ残ってしまう不具合だけはどうにかして欲しい。

 それならお上品にナイフとフォークを使うとか、カット済みの物を食えと言われるだろうけど、リングでは無くなるから却下だ。


 こちらはハーブソルトとケチャップを添えて。

 揚げた玉ねぎの甘さとトロトロ感に、厚めのカリカリの衣と塩味。フライドポテトばかり注目されるけど、オニオンリングはもうちょっと注目されてもいいと思う。
 ケチャップで食べるのもまた美味しい。


 オニオンリングは日常でも手軽に食いたかったけど、モ〇バーガーかお高いハンバーガー屋とかでしか食えなかったのが残念でならない。

 ちょっと俺の考えが甘かったみたいで、揚げ物オンリーだとキツくなってきた。
 この体は不健康などとは無縁だから揚げ物オンリーでも余裕と思っていたが、箸休めがキャベツの千切りだけでは無謀だった。

 多彩なメニューがある居酒屋の偉大さを理解する。飽きさせない工夫大事。


 さっぱり系や箸休めメニューを追加する。
 しらすおろしと梅きゅうり、白菜の漬物を出して、後半は日本酒を楽しんだ。



 食後、寝る準備を万端にした俺は、一人揚げ物パーティーについての反省をしている。

 調味料で味変はできるけど、基本単調な味の揚げ物オンリーだと後半キツくなってくる。
 スタートダッシュは抜群に上手なんだけど、中盤以降は万能型、後半特化のメニューが欲しくなる。

 今回は漬物とかで凌いだけれど、圧倒的に長く楽しむ為の品数や工夫が足りなかった。
 一番の策はメニューを揃える事だな。シェ夫になる日を作らないと。


 どこかで丸一日使って、食べ物のストックを作る日を作らないといけないという結論に至ったので寝ようと思う。
 さすがに油分を摂取しすぎてモヤモヤしつつも意地で眠りについた。

 あんことピノちゃんは、ご飯の後に乗った椅子の上で爆睡してしまったから寂しい夜だった。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...