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採掘結果
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......俺は何をしていたんだろうか。
こう、壁をカツンカツンして鉱石を手に入れたかったはずなのに。
もういいや......
今俺の前には大まかに四種類の色の鉱石がある。
鼠色で光沢の無い鉱石。
薄緑色と水色のグラデーションが綺麗で、艶がある鉱石。
乳白色で薄く光っている鉱石。
真っ黒なのに透き通って見える訳わからん鉱石で、親指の爪くらいのサイズ。
......この黒いヤツからなんか感じるものがある。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
さ、さて、何に使えるかわからないけど綺麗だから一応鑑定して、良さげな物なら持っておこうかね。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
鑑定さんお願いしますよー。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
▼ヘヴィミスリル
堅くて重いミスリルの派生品
大盾や篭手、砦や城壁等を作成する際に使用するのがオススメ▼
▼シルフの涙の原石
エルフの国で王族が好む宝石の原石
風属性との相性が抜群で、威力が増し、消費魔力を抑える効果を持つ▼
▼ヴァルキリーフローライト
戦乙女が纏う鎧のような美しい色の大変珍しい石
熱に弱く、一定以上の温度になると弾ける
特殊な効果は無いが、この石を加工した品は芸術の域▼
▼魔王の卵
物騒な名前のブラックサファイア
『何色にも染まらない存在の確立』と云う効果を持ち主に与える▼
ヘヴィミスリルだけで一軒家が建てられそうなくらい採れている。
必要な分だけ確保しておいて、残りはアラクネさんたちにあげよう。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
エルフの涙は綺麗なんだけど実用性が皆無。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そこそこな量があるけど、とりあえず収納の肥やしになっておいてもらおう。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ヴァルキリーフローライト......これでお嬢様とピノちゃんの置物を作って貰おう。
お家が出来たら寝室に飾る!!
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
魔王の卵はね、ほんとに物騒ですよ。
特殊効果は......なんだこれ、どういう意味なんだ?ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
感じるものがあったし、加工できそうならネックレスにしよう。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
......俺が絶望しきった時に特殊イベントが発生するなんて事は無いよね?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
この場に何か気になる物が無いかをお嬢様とピノちゃんに確認し、無いようなので採掘イベントはおしまい。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
簡単な食事をしてから洞窟探索を再開。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
洞窟の奥へと進んでいく。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤ五分程歩いたところで急にピノちゃんが立ち止まり、脇道に弱い反応がたくさんあるけどどうする?と俺に聞いてきた。
弱い生き物を驚かせちゃったら悪いと思いつつも、どんなヤツがいるのか、もし可愛い生物だったら見逃すのが勿体ないと思い、乱入する事に決める。
「気になるから行ってみよう!」
俺がそう伝えると、わかった!じゃあ行こう!とノリノリなピノちゃんだった。
......この子たちがテンション高く進んで行動していく時は、これまでの経験上、結構めんどくさそうな事が起きている。
俺らの基準ってより、特にあんこやピノちゃんの基準だと、だいたいの生物が弱い生き物認定されるからねぇ......
選択肢をミスったかなぁ......と後悔しながら、ピノちゃんの後を着いていく。
可愛い生物が居てくれますように!!
もふもふを司る神か、可愛い生物を司る神よ!俺に癒しを下さい!!
着いていったその先は行き止まりで、人が四つん這いでようやく通れそうな穴が空いている場所だった。
お嬢様装備を外さないといけなくて少しテンションが下がる......
しかし先に進んでいってしまったピノちゃんが心配なので、仕方なくあんこを下ろして穴の中に入っていく。
お嬢様のお尻を見ながら穴の中を進むが、すぐに出口が見えてきた。
弱い生き物の避難場所なのかね。どんなヤツがいるんだろうか......
穴を抜けてすぐにお嬢様を装備し直す。ピノちゃんは先行しないで出口で待っててくれていた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
一緒に進んでくれてありがとう。お待たせいたしました。
さぁ行こう。俺たちの戦いはこれからだ!
眼前に広がる光景はザ・ファンタジーの一言。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
色とりどりの生物が肌を寄せ合い集団生活をしている。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
洞窟の中という環境なのに、水場があり、草木もあり......
生物が生活するのに何不自由の無い穏やかな環境だった。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
平和な暮らしをしていたであろうその生物たちは、突然の乱入者に警戒心を顕にする者、怯えて物陰に隠れる者、家族友人恋人を......どれかはわからないが、守ろうとする者など。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
多種多様な行動を一斉に始め、こちらの次に起こす行動を探っていた。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
......まぁアレだね。
この感動をどう表していいのか。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
こっちに飛ばされてから、だいたい半年くらい経過したと思う。
詳しくはもう覚えてないから適当だけど。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
うん......ようやくだ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
異世界に来て半年......それだけ経ってようやく出会えた。
スライムさぁぁぁぁぁぁん!!!
ファンタジー世界の王であり、雑魚モンスター筆頭。
しかし......しかしだ!
主人公の仲間になって魔改造された凶悪モンスターになったり、魔王になって魔物達の王になったりもできる不思議な生物。
ただ経験値の為に狩られる存在では無い......などと、キャラ付けされていたりするソイツらが、俺の目の前にわんさか居る。
これを見てテンション上がらず、冷静でいられる人はきっといないはず。
ただ残念な事にド〇クエみたいなスライムではなかった。
球体タイプでコアの無い半透明なスライム。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ブルー、レッド、グリーン、イエロー、ブラウン、ホワイト、ブラック、ピュア、パープル、シルバー......
スライム達をザッと鑑定してみたけど、見たまんまの色がそのままスライムの前に付いていた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
多分だけど使う魔法の属性とか、餌の影響なんだと思う。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
無色なのはスライムではなくピュアスライムだった。
こいつが一番数が少なくて、百は余裕で越えているこのコロニーで二匹しか確認できなかった。
......まぁ考察はこれくらいにして、どうしよう。
今のところ襲ってくる気配は無いけど、気を許しているという訳でも無く、めっちゃ気を張っていらっしゃる。
知性や仲間意識がしっかりとあるスライムさんたち。
とりあえずめっちゃ触ってみたい。
どんな感触なのかを思う存分味わいたい。
どうにかしてこちらが敵対行動をする気は無いって理解して欲しい。
ただ不思議生物を触りたいだけなんだ。
......話し掛けてみるか。
言葉が通じなかったら餌で釣ってみよう。
「えーっと、スライムの皆さん。急に君たちの棲み家に踏み込んできちゃってごめんね?
敵対行動をする気は無いから、そこまで警戒しないでほしいなー......なんて思ってるんですよー」
............はい。
俺が話し出した瞬間、皆一斉にビクッてして警戒心が強まりました。
ここまで警戒されると餌で釣るとか無理ゲー。
さっきよりも距離感が開きましたよ。
心が折れそう......悲しい......
先っちょだけ、先っちょだけでいいからッッ!!もうすこーしだけ歩み寄ってきてほしいなぁ......あははははは......
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
お互い硬直状態が解けないまま時間だけが進んでいく。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
どんどん表情が死んでいく俺を見てピノちゃんが溜め息を吐いた。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
やめてっ!そんなダメなおっさんを見るような目で見ないでッッ!!
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
もうやだよ......装備しているあんこだけが俺の味方だ......
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
あんこの表情は絶対に確認しない。
もし呆れた顔をしていたら立ち直れないから。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ダメな野郎と、そのダメな野郎に抱かれているわんこを無視して、スライムの群れのいる方向へピノちゃんが動いた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ちょっと何するつもりなのかなー?
......えっと、殲滅とかバイオレンスなのはしちゃダメだからね。
こう、壁をカツンカツンして鉱石を手に入れたかったはずなのに。
もういいや......
今俺の前には大まかに四種類の色の鉱石がある。
鼠色で光沢の無い鉱石。
薄緑色と水色のグラデーションが綺麗で、艶がある鉱石。
乳白色で薄く光っている鉱石。
真っ黒なのに透き通って見える訳わからん鉱石で、親指の爪くらいのサイズ。
......この黒いヤツからなんか感じるものがある。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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さ、さて、何に使えるかわからないけど綺麗だから一応鑑定して、良さげな物なら持っておこうかね。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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鑑定さんお願いしますよー。
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▼ヘヴィミスリル
堅くて重いミスリルの派生品
大盾や篭手、砦や城壁等を作成する際に使用するのがオススメ▼
▼シルフの涙の原石
エルフの国で王族が好む宝石の原石
風属性との相性が抜群で、威力が増し、消費魔力を抑える効果を持つ▼
▼ヴァルキリーフローライト
戦乙女が纏う鎧のような美しい色の大変珍しい石
熱に弱く、一定以上の温度になると弾ける
特殊な効果は無いが、この石を加工した品は芸術の域▼
▼魔王の卵
物騒な名前のブラックサファイア
『何色にも染まらない存在の確立』と云う効果を持ち主に与える▼
ヘヴィミスリルだけで一軒家が建てられそうなくらい採れている。
必要な分だけ確保しておいて、残りはアラクネさんたちにあげよう。
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エルフの涙は綺麗なんだけど実用性が皆無。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そこそこな量があるけど、とりあえず収納の肥やしになっておいてもらおう。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ヴァルキリーフローライト......これでお嬢様とピノちゃんの置物を作って貰おう。
お家が出来たら寝室に飾る!!
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
魔王の卵はね、ほんとに物騒ですよ。
特殊効果は......なんだこれ、どういう意味なんだ?ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
感じるものがあったし、加工できそうならネックレスにしよう。
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......俺が絶望しきった時に特殊イベントが発生するなんて事は無いよね?
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この場に何か気になる物が無いかをお嬢様とピノちゃんに確認し、無いようなので採掘イベントはおしまい。
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簡単な食事をしてから洞窟探索を再開。
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洞窟の奥へと進んでいく。
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ㅤ五分程歩いたところで急にピノちゃんが立ち止まり、脇道に弱い反応がたくさんあるけどどうする?と俺に聞いてきた。
弱い生き物を驚かせちゃったら悪いと思いつつも、どんなヤツがいるのか、もし可愛い生物だったら見逃すのが勿体ないと思い、乱入する事に決める。
「気になるから行ってみよう!」
俺がそう伝えると、わかった!じゃあ行こう!とノリノリなピノちゃんだった。
......この子たちがテンション高く進んで行動していく時は、これまでの経験上、結構めんどくさそうな事が起きている。
俺らの基準ってより、特にあんこやピノちゃんの基準だと、だいたいの生物が弱い生き物認定されるからねぇ......
選択肢をミスったかなぁ......と後悔しながら、ピノちゃんの後を着いていく。
可愛い生物が居てくれますように!!
もふもふを司る神か、可愛い生物を司る神よ!俺に癒しを下さい!!
着いていったその先は行き止まりで、人が四つん這いでようやく通れそうな穴が空いている場所だった。
お嬢様装備を外さないといけなくて少しテンションが下がる......
しかし先に進んでいってしまったピノちゃんが心配なので、仕方なくあんこを下ろして穴の中に入っていく。
お嬢様のお尻を見ながら穴の中を進むが、すぐに出口が見えてきた。
弱い生き物の避難場所なのかね。どんなヤツがいるんだろうか......
穴を抜けてすぐにお嬢様を装備し直す。ピノちゃんは先行しないで出口で待っててくれていた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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一緒に進んでくれてありがとう。お待たせいたしました。
さぁ行こう。俺たちの戦いはこれからだ!
眼前に広がる光景はザ・ファンタジーの一言。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
色とりどりの生物が肌を寄せ合い集団生活をしている。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
洞窟の中という環境なのに、水場があり、草木もあり......
生物が生活するのに何不自由の無い穏やかな環境だった。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
平和な暮らしをしていたであろうその生物たちは、突然の乱入者に警戒心を顕にする者、怯えて物陰に隠れる者、家族友人恋人を......どれかはわからないが、守ろうとする者など。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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多種多様な行動を一斉に始め、こちらの次に起こす行動を探っていた。
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......まぁアレだね。
この感動をどう表していいのか。
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こっちに飛ばされてから、だいたい半年くらい経過したと思う。
詳しくはもう覚えてないから適当だけど。
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うん......ようやくだ。
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異世界に来て半年......それだけ経ってようやく出会えた。
スライムさぁぁぁぁぁぁん!!!
ファンタジー世界の王であり、雑魚モンスター筆頭。
しかし......しかしだ!
主人公の仲間になって魔改造された凶悪モンスターになったり、魔王になって魔物達の王になったりもできる不思議な生物。
ただ経験値の為に狩られる存在では無い......などと、キャラ付けされていたりするソイツらが、俺の目の前にわんさか居る。
これを見てテンション上がらず、冷静でいられる人はきっといないはず。
ただ残念な事にド〇クエみたいなスライムではなかった。
球体タイプでコアの無い半透明なスライム。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ブルー、レッド、グリーン、イエロー、ブラウン、ホワイト、ブラック、ピュア、パープル、シルバー......
スライム達をザッと鑑定してみたけど、見たまんまの色がそのままスライムの前に付いていた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
多分だけど使う魔法の属性とか、餌の影響なんだと思う。
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無色なのはスライムではなくピュアスライムだった。
こいつが一番数が少なくて、百は余裕で越えているこのコロニーで二匹しか確認できなかった。
......まぁ考察はこれくらいにして、どうしよう。
今のところ襲ってくる気配は無いけど、気を許しているという訳でも無く、めっちゃ気を張っていらっしゃる。
知性や仲間意識がしっかりとあるスライムさんたち。
とりあえずめっちゃ触ってみたい。
どんな感触なのかを思う存分味わいたい。
どうにかしてこちらが敵対行動をする気は無いって理解して欲しい。
ただ不思議生物を触りたいだけなんだ。
......話し掛けてみるか。
言葉が通じなかったら餌で釣ってみよう。
「えーっと、スライムの皆さん。急に君たちの棲み家に踏み込んできちゃってごめんね?
敵対行動をする気は無いから、そこまで警戒しないでほしいなー......なんて思ってるんですよー」
............はい。
俺が話し出した瞬間、皆一斉にビクッてして警戒心が強まりました。
ここまで警戒されると餌で釣るとか無理ゲー。
さっきよりも距離感が開きましたよ。
心が折れそう......悲しい......
先っちょだけ、先っちょだけでいいからッッ!!もうすこーしだけ歩み寄ってきてほしいなぁ......あははははは......
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お互い硬直状態が解けないまま時間だけが進んでいく。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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どんどん表情が死んでいく俺を見てピノちゃんが溜め息を吐いた。
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やめてっ!そんなダメなおっさんを見るような目で見ないでッッ!!
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もうやだよ......装備しているあんこだけが俺の味方だ......
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あんこの表情は絶対に確認しない。
もし呆れた顔をしていたら立ち直れないから。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ダメな野郎と、そのダメな野郎に抱かれているわんこを無視して、スライムの群れのいる方向へピノちゃんが動いた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ちょっと何するつもりなのかなー?
......えっと、殲滅とかバイオレンスなのはしちゃダメだからね。
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