異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

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エクス〇リバー

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 7という数字は、縁起のいい物という認識があると思う。777とかはと大当たりの象徴だしね。

 だから、なーんとなーくだけどこの77階層は普段の階層と全く違う演出な事にワクワクしてしまう。
 ......これはもう、ボーナスエリアとかボーナスステージとか......それ系のお部屋だから期待しててね☆って言ってるよね。

 よっしゃ、行くどー!!






「「「ヒーッヒッヒッヒッヒ」」」

 ............。

 ............開けた扉をソッと閉じた。

 おーけー。ちょっとこれは見てはいけない物を見てしまった感じがする。

 なんだコレは......

 ザ・魔女って感じのバァさんが三体、でっかい鉄鍋でナニカを煮ていた。怪しい笑い声付きで。


「......疲れてるんだな俺は。うふふふふ......あーもう、皆すっごく可愛いよ。よーしよしよし」

 全身全霊で目を背けた。

 サカり山羊野郎の時くらい衝撃的な光景を見せられて辛い。なんで77階層で出るんだよ。
 こういうのは66階層とかだろがいっ!!

 せめて、せめて......こういうのはドジっ子な若い魔女とか、のじゃロリ魔女か、バインバインで妖艶な魔女が相場だと思うの。
 魔法老女なんて、需要はほとんど無いんだよよよよよよよよ......

「......あーもっふもっふしててすっごく気持ちいーなー。皆、今日は疲れたよね......温泉にゆっくり浸かって休もう。そうしよう」

 現実から目を背けて、愛しのふわもこに手を伸ばす。
 本日はもう休む事を選択をしたシアンくん一歳。

 素早くテントを張り、大きな浴槽を出してそこに温泉を注ぎ入れる。

「気持ち悪いエリアを進んできたから、今日はもう終わりにしようねー。お風呂に入って体をキレイキレイしましょーねー」

 湿地帯のような場所を進んできたので、いつもより念入りに洗って気分を無理矢理アゲる。
 実際にグチョグチョな地面に触れていたのはワラビしかいないけど、全員の全身を隈無く全て洗った。ごめん嘘、デリケートな部分以外は全部洗った。

 あんこの肉球の隙間や、ツキミちゃんとダイフクの羽角の付け根とかを洗ってあげたらトローンとして可愛かった。温泉に入って蕩けるのって贅沢だよねー。



 ◇◇◇



 新しい朝が来た。朝ごはんを食べ終わり、もういつ出発してもオーケーな状態になっている。

 だけど、これから魔法老女との戦いになると思うと物凄く陰鬱な気持ちになってしまい、お外に出たくない気持ちでいっぱいで体が動く事を拒否する。今は愛する家族に囲まれていて、とても幸せなのに......

 もふもふしてて気持ちいいなぁ......もうお家まで帰ってもいい気がする。



 あ、はい。行きます......行きますから......急かさないでください。すみません......

 両サイドをおっきくなったあんことワラビに押さえられ、後ろからはダイフクが突っつく。観念した俺はウイちゃんとツキミちゃんを抱っこして歩き出した。

 憂鬱だけど行きますかぁ......VS魔法ババァですよー。


 扉を開けると、昨日と同じく鍋を混ぜ混ぜしている老婆が三体。
 これ、俺らが中に入らないとイベント進まないんだろうな。お前らは一体いつからソレを混ぜているんだい?

 観念して中に入ったら、薬品か何かの臭いが凄く、ワラビ以外は全員俺のローブの中に避難してきた。

 俺も隠れたいデース。

「「「เหจวเขขจาลมชา่จบอเจ」」」

 どうやら俺らが中に入った事でイベントが進んだようだ。よくわからない言語で何かを唱え始めるババァ達。釜を中心に魔法陣が発生して光り出すのが凄い不気味。

 釜の中からSAN値がアレするようなヤツが出てこない事を祈るばかりでございます。

 一応ヤツらを鑑定しておこうか......

 ▼マチュアウィッチ
 77階層の番人▼

 ▼ウィザーウィッチ
 77階層の番人▼

 ▼エルダーウィッチ
 77階層の番人▼

 うん、コイツらがウィッチってことくらいしかわからない。エルダーウィッチが一番偉いのかな?

 ▼贄の大釜
 供物や贄を釜に入れ、呪いを込めると何かが起こるとされている
 過去に大悪魔を呼び出し、一国を滅ぼした事もあるらしい▼

 ふむ......やばそうですね。この世の全ての悪とか、それっぽいのを喚び出せたりするのかな?

「ねぇ......コイツら、もう倒しちゃってもいいのかな?  面倒な事になりそうだし殺っちゃおうか」

 時間が掛かりそうなのでヤツらを殺す事を提案すると、全員が賛成した。
 この臭いがとても嫌なようです。

「もう少しだけ我慢しててね。あー......時間掛かりそうだし付き合ってらんないから殺すよ。お疲れ様でした」

 糸を使って首と胴体を切り離して討伐完了。終わったから進もう......

 そう思っていたが、魔法陣の発光は止まらず......なんか物凄く釜がブクブクしてきた。
 床に転がったババァの首は、心臓が弱い方は見ない方がいいって注釈の付きそうな形相で大釜を睨んでいる。

「これ、消し飛ばした方がいいよね......ダイフクさんダイフクさん。俺が骨喰さんを使ってでっかい斬撃を飛ばすから、その斬撃に光のエフェクトを付けてもらってもよろしいでしょうか?」

『いいけど......悪ふざけ?』

「ふざけてはいないよ。お約束なだけですぅぅ」

『はぁ......』

 一度はやってみたくなる時があるよね。あの作品の必殺技っぽいの。
 ダイフクも了承してくれた事だし、早いところアレを壊してしまおう。

「骨喰さん、アレを消滅させられるくらいの斬撃をよろしくね。魔力は幾らでも持っていっていいから」

 収納から出した骨喰さんにそう伝えると、久しぶりの出番に興奮していらっしゃるのか、めちゃくちゃカタカタしている。
 シュウノウニシマウナーだって?  ごめん、ちょっと何言ってるかわからない。

「準備はいい?  じゃあ行くよー!!」

 返事は無かったけど、俺の体からギュンギュン魔力が吸われていっているから、ドデカいのを撃とうとしてくれているらしい。
 ダイフクも隙間から顔を出して準備万端。

「エクスッ............カ〇バァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 物凄く邪悪で禍々しいオーラを纏った骨喰さんを振り下ろすと、バカデカい漆黒の斬撃が大釜に向かって飛んでいく。
 大きさが想定外だったのか、ダイフクがそこからワンテンポ遅れて光で斬撃を覆う。

 ......間に合ってよかったね。


 超高密度な力の奔流に晒された大釜は、喚び出そうとしていたモノごと飲み込まれて消えていった。

「......フッ、悪は滅びた」

 斬撃が消えて煙が晴れたその場に残されていた物は、何かの角、擂鉢っぽい何か、宝箱と下に降りる階段だった。

 階段だけはどう足掻いても壊せる気がしない。どうなっているんだろう。
 ちょっとだけ皆に白い目で見られているような気がしなくもないけど、気にしていたらダメな気がする。

「......よし、次に進もー!!」

 ほら行くのよ。ワラビ、ゴー!!

 尚もこっちも見ているワラビのケツを叩いたら、やっと歩き出した。
 はい、キリキリ歩け。ほら行くよ。

 こうして俺らは78階層へと進んだ。


 78階層はワンフロアで、モンスターが犇めき合っている所だった。

 モンスターハウスだ!!

 きっとそういったログが出ている事だろう。

 身体中にカミナリを纏ったワラビが、危なげなくフロア中のモンスターを蹂躙して回った。お疲れ様。

 79階層も同じモンスターハウスだった。
 このフロアの敵と相対したのはウイちゃん。エンジェリックアザラシボイスの可愛さに耐えきれずに昇天していった。全く......コイツらは心が汚れすぎだ。

 先程の階層と同じく、モンスターハウスの中に散らばった肉だけを回収して階段を下りた。そろそろワラビの進化条件を満たしてあげたい。

 後は何が足りないんだろう。

 そうして迎えた80階層。目の前に現れたのはボス部屋の扉だった。

 77階層にボス部屋があったから、次のボス部屋は88階層かもと思っていたから助かった。

 出てきたボスは下半身が馬じゃない別の動物のケンタウロス。ケンタウロスと言っていいのかわからないけど、とりあえずケンタウロスとしておく。

 ボス部屋に入ってソイツの姿を見たワラビが、突如バチバチしだした。因縁の相手とかなのかな?

「ワラビ......もしかしてアイツを殺りたいの?」

『ヤル』

 おっけー、んじゃ任せた。

「じゃあ行っておいで、無傷で勝つんだよー」

 気合いが漲っているワラビに声を掛けてから送り出した。
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