異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
182 / 183

エクス〇リバー

しおりを挟む
 7という数字は、縁起のいい物という認識があると思う。777とかはと大当たりの象徴だしね。

 だから、なーんとなーくだけどこの77階層は普段の階層と全く違う演出な事にワクワクしてしまう。
 ......これはもう、ボーナスエリアとかボーナスステージとか......それ系のお部屋だから期待しててね☆って言ってるよね。

 よっしゃ、行くどー!!






「「「ヒーッヒッヒッヒッヒ」」」

 ............。

 ............開けた扉をソッと閉じた。

 おーけー。ちょっとこれは見てはいけない物を見てしまった感じがする。

 なんだコレは......

 ザ・魔女って感じのバァさんが三体、でっかい鉄鍋でナニカを煮ていた。怪しい笑い声付きで。


「......疲れてるんだな俺は。うふふふふ......あーもう、皆すっごく可愛いよ。よーしよしよし」

 全身全霊で目を背けた。

 サカり山羊野郎の時くらい衝撃的な光景を見せられて辛い。なんで77階層で出るんだよ。
 こういうのは66階層とかだろがいっ!!

 せめて、せめて......こういうのはドジっ子な若い魔女とか、のじゃロリ魔女か、バインバインで妖艶な魔女が相場だと思うの。
 魔法老女なんて、需要はほとんど無いんだよよよよよよよよ......

「......あーもっふもっふしててすっごく気持ちいーなー。皆、今日は疲れたよね......温泉にゆっくり浸かって休もう。そうしよう」

 現実から目を背けて、愛しのふわもこに手を伸ばす。
 本日はもう休む事を選択をしたシアンくん一歳。

 素早くテントを張り、大きな浴槽を出してそこに温泉を注ぎ入れる。

「気持ち悪いエリアを進んできたから、今日はもう終わりにしようねー。お風呂に入って体をキレイキレイしましょーねー」

 湿地帯のような場所を進んできたので、いつもより念入りに洗って気分を無理矢理アゲる。
 実際にグチョグチョな地面に触れていたのはワラビしかいないけど、全員の全身を隈無く全て洗った。ごめん嘘、デリケートな部分以外は全部洗った。

 あんこの肉球の隙間や、ツキミちゃんとダイフクの羽角の付け根とかを洗ってあげたらトローンとして可愛かった。温泉に入って蕩けるのって贅沢だよねー。



 ◇◇◇



 新しい朝が来た。朝ごはんを食べ終わり、もういつ出発してもオーケーな状態になっている。

 だけど、これから魔法老女との戦いになると思うと物凄く陰鬱な気持ちになってしまい、お外に出たくない気持ちでいっぱいで体が動く事を拒否する。今は愛する家族に囲まれていて、とても幸せなのに......

 もふもふしてて気持ちいいなぁ......もうお家まで帰ってもいい気がする。



 あ、はい。行きます......行きますから......急かさないでください。すみません......

 両サイドをおっきくなったあんことワラビに押さえられ、後ろからはダイフクが突っつく。観念した俺はウイちゃんとツキミちゃんを抱っこして歩き出した。

 憂鬱だけど行きますかぁ......VS魔法ババァですよー。


 扉を開けると、昨日と同じく鍋を混ぜ混ぜしている老婆が三体。
 これ、俺らが中に入らないとイベント進まないんだろうな。お前らは一体いつからソレを混ぜているんだい?

 観念して中に入ったら、薬品か何かの臭いが凄く、ワラビ以外は全員俺のローブの中に避難してきた。

 俺も隠れたいデース。

「「「เหจวเขขจาลมชา่จบอเจ」」」

 どうやら俺らが中に入った事でイベントが進んだようだ。よくわからない言語で何かを唱え始めるババァ達。釜を中心に魔法陣が発生して光り出すのが凄い不気味。

 釜の中からSAN値がアレするようなヤツが出てこない事を祈るばかりでございます。

 一応ヤツらを鑑定しておこうか......

 ▼マチュアウィッチ
 77階層の番人▼

 ▼ウィザーウィッチ
 77階層の番人▼

 ▼エルダーウィッチ
 77階層の番人▼

 うん、コイツらがウィッチってことくらいしかわからない。エルダーウィッチが一番偉いのかな?

 ▼贄の大釜
 供物や贄を釜に入れ、呪いを込めると何かが起こるとされている
 過去に大悪魔を呼び出し、一国を滅ぼした事もあるらしい▼

 ふむ......やばそうですね。この世の全ての悪とか、それっぽいのを喚び出せたりするのかな?

「ねぇ......コイツら、もう倒しちゃってもいいのかな?  面倒な事になりそうだし殺っちゃおうか」

 時間が掛かりそうなのでヤツらを殺す事を提案すると、全員が賛成した。
 この臭いがとても嫌なようです。

「もう少しだけ我慢しててね。あー......時間掛かりそうだし付き合ってらんないから殺すよ。お疲れ様でした」

 糸を使って首と胴体を切り離して討伐完了。終わったから進もう......

 そう思っていたが、魔法陣の発光は止まらず......なんか物凄く釜がブクブクしてきた。
 床に転がったババァの首は、心臓が弱い方は見ない方がいいって注釈の付きそうな形相で大釜を睨んでいる。

「これ、消し飛ばした方がいいよね......ダイフクさんダイフクさん。俺が骨喰さんを使ってでっかい斬撃を飛ばすから、その斬撃に光のエフェクトを付けてもらってもよろしいでしょうか?」

『いいけど......悪ふざけ?』

「ふざけてはいないよ。お約束なだけですぅぅ」

『はぁ......』

 一度はやってみたくなる時があるよね。あの作品の必殺技っぽいの。
 ダイフクも了承してくれた事だし、早いところアレを壊してしまおう。

「骨喰さん、アレを消滅させられるくらいの斬撃をよろしくね。魔力は幾らでも持っていっていいから」

 収納から出した骨喰さんにそう伝えると、久しぶりの出番に興奮していらっしゃるのか、めちゃくちゃカタカタしている。
 シュウノウニシマウナーだって?  ごめん、ちょっと何言ってるかわからない。

「準備はいい?  じゃあ行くよー!!」

 返事は無かったけど、俺の体からギュンギュン魔力が吸われていっているから、ドデカいのを撃とうとしてくれているらしい。
 ダイフクも隙間から顔を出して準備万端。

「エクスッ............カ〇バァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 物凄く邪悪で禍々しいオーラを纏った骨喰さんを振り下ろすと、バカデカい漆黒の斬撃が大釜に向かって飛んでいく。
 大きさが想定外だったのか、ダイフクがそこからワンテンポ遅れて光で斬撃を覆う。

 ......間に合ってよかったね。


 超高密度な力の奔流に晒された大釜は、喚び出そうとしていたモノごと飲み込まれて消えていった。

「......フッ、悪は滅びた」

 斬撃が消えて煙が晴れたその場に残されていた物は、何かの角、擂鉢っぽい何か、宝箱と下に降りる階段だった。

 階段だけはどう足掻いても壊せる気がしない。どうなっているんだろう。
 ちょっとだけ皆に白い目で見られているような気がしなくもないけど、気にしていたらダメな気がする。

「......よし、次に進もー!!」

 ほら行くのよ。ワラビ、ゴー!!

 尚もこっちも見ているワラビのケツを叩いたら、やっと歩き出した。
 はい、キリキリ歩け。ほら行くよ。

 こうして俺らは78階層へと進んだ。


 78階層はワンフロアで、モンスターが犇めき合っている所だった。

 モンスターハウスだ!!

 きっとそういったログが出ている事だろう。

 身体中にカミナリを纏ったワラビが、危なげなくフロア中のモンスターを蹂躙して回った。お疲れ様。

 79階層も同じモンスターハウスだった。
 このフロアの敵と相対したのはウイちゃん。エンジェリックアザラシボイスの可愛さに耐えきれずに昇天していった。全く......コイツらは心が汚れすぎだ。

 先程の階層と同じく、モンスターハウスの中に散らばった肉だけを回収して階段を下りた。そろそろワラビの進化条件を満たしてあげたい。

 後は何が足りないんだろう。

 そうして迎えた80階層。目の前に現れたのはボス部屋の扉だった。

 77階層にボス部屋があったから、次のボス部屋は88階層かもと思っていたから助かった。

 出てきたボスは下半身が馬じゃない別の動物のケンタウロス。ケンタウロスと言っていいのかわからないけど、とりあえずケンタウロスとしておく。

 ボス部屋に入ってソイツの姿を見たワラビが、突如バチバチしだした。因縁の相手とかなのかな?

「ワラビ......もしかしてアイツを殺りたいの?」

『ヤル』

 おっけー、んじゃ任せた。

「じゃあ行っておいで、無傷で勝つんだよー」

 気合いが漲っているワラビに声を掛けてから送り出した。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...