54 / 96
詠史の戦い
しおりを挟む
詠史視点
指示して、急ぎ、私は、三の丸にある外喜の屋敷に駆けつけて。
客間を目指す途中。玄関先。廊下。居室前……監視や、見張りと思われる男達が数人伸びている……
(よし。首尾は上々)
外喜の監視の目の届かない、わずかな時間で。サクサクと、見張りを片付けるなど……日頃の鍛練を怠らない御庭番達(普段は庭師)には朝飯前……
(私は、庭師として桜家で働く父親の弟子として奉公にあがったからね。時に庭師の仕事も……)
というより。
外喜側の、監視や見張りの者達は。
(見るからに素人の寄せ集めだし)
まぁ、外喜の所の使用人達は、ほとんどが短期間で辞めてっ行っている……らしいからね。
人望の無い、 使用人を大切にしないという噂の外喜だからな。
色々方法はあるけど。 時間の関係で。みぞおちなどの急所にちょっと拳入れてやって。 中には何かしらの情報持ってる奴もいるかもしれないからね。丁重に殿様の所へ……
鍛え上げている 一人の御庭番は、軽々と二人の男を担ぎ上げて……歩いて行ったし……
(御愁傷様……)
おかげで、私は、何の労力も使わずに客間にたどり着く事が出来て助かったし。
音を立てぬよう、慎重に。人気の無いのを確認してから天井裏に身を隠し。私は気付かれぬように 少しだけ天井板をずらして開け。
中の様子の状況判断をする。
客間の奥の上座に、楓禾姫が。その隣に湖紗若が座られている。
(外喜よ。お二方に、上座をお勧めする。それぐらいの礼儀はわきまえてたみたいだな)
外喜は、下座に座っている。薄ら笑いを浮かべている。
(腹立つ)
斜め後ろに、ゆずな殿と、おゆり殿が控えている…… 二人の前には茶道具が置いてある
( 一番好都合な位置だ)
ゆずな殿は、 状況を見て判断しておゆり殿と共に配置に付いてくれたのか……
(姉上のこずえのようにはさせない……)
姉上の事を思うと心が痛くて……
(姉上、見てて下さい)
ふと障子戸の方を見ると、稜弥様の気配が、確認出来た……
湖紗若は、お可哀想に緊張しているのか…… いつもは健康的で。紅く染めた頬をされているのに。青白い顔色をされていて。
しかし、お小さいながらもキッと外喜に、 鋭い視線を向けておられる。
楓禾姫は、さすがだ…… それと悟られないように…… 視線で、客間の中の人や物の配置を確認され。障子戸の外の稜弥様と。天井裏の私まで確認されたようだ。
「さて。 腹を割って話したいと思いましてね。 今、饅頭とお茶を用意させますゆえ」
外喜の声音がどこか弾んで聞こえて……
(腹が煮え繰りかえるっ)
楓禾姫。
(何を思われているのですか?)
無表情で外喜を見つめておられる。
しかし……私は心の中で。外喜よ。
(お茶の道具を自分から見えない所に置いたのは、間違いじゃないか?)
そんな事を思っていた。
こちら側としては ありがたいけど。
ゆずな殿は、一人分の茶を立てている。
そして。おゆり殿は、音を立てぬよう慎重に。 帯び紐に付けていた巾着を外すと…… 茶壺の中の粉茶を茶ベラにて袋の中に入れて……
( 粉茶を巾着に入れるのは頼んだけど……)
次に竹筒と……竹筒のような入り口の穴が狭い物に入れやすいようにか。一ヶ所三角に尖らせた、変わった形の柄杓みたいな物を取り出すと……
(日頃持ち歩いてるのだろうか?)
竹筒に、残っていた 水分を素早く火鉢に捨てたおゆり殿。
瞬間、 暖められた水が ジュっと…… 一瞬動きを止めた、おゆり殿とゆずな殿……
「 茶はまだか!?」
後ろを振り返る事なく、二人に 声を荒げた外喜。
「 はい。ただいま。申し訳ございません」
謝りながら 小刻みに震えているおゆりを気遣ってか、ゆずな殿が柄杓を取ると、おゆり殿が竹筒を抑えて……
(可哀相に……)
竹筒に茶釜より、湯を移し蓋をして、しっかりと帯に結わえ付けたおゆり。
湯は、熱いから持ち出さなくていい。なるべくゆっくりとお茶を立てて、時間を稼いでくれたら頃合いを見計らって。私が合図を送るから。と伝えていたのだが……
巾着に粉茶を入れるのは、外喜の視界にお茶道具が無い時だけとも約束して。
頼んだ事以上の事をしてくれた。おゆり殿とゆずな殿。
ありがたかった。
外喜よ。 自分の後ろで行われている動きを一度たりとも確認しないで……
振り返えったなら、 こちらを窮地に追い込める事が行われているのに……
ゆずな殿が、饅頭を一つ懐に入れたぞ。外喜。
そして、おゆり殿は、お茶と饅頭の乗った皿を外喜の前に置いて。
楓禾姫と、湖紗若の前には、 用意周到過ぎだよ。おゆり殿は、部屋より持参して来たのだろね。安全な饅頭を一つ皿に乗せて置いたし。
その様子を微かに微笑みながら見つめていた 楓禾姫は。
「外喜様。ご一緒に頂きませんか?」
「い、いや、私は今は」
そんなに焦ったら怪しいぞ。
私が心の中で突っ込んでいると。
(え?)
凛実の方?
外喜が、 入って来た襖の外にの凛実の方の姿が……
外喜は…… 気付く余裕などないようだ。
気付いた稜弥様が、障子戸を、顔を確認出来るまで開けて。
『凛実の方が』
って、口を動かして。
楓禾姫にお伝えてしている……
そして……
二人で見つめ合っておられた楓禾姫様と、湖紗若様……
「フウ ひめしゃ……さま わたしに おおきいほう くだ……さ……い」
湖紗若の言葉に 楓禾姫は、湖紗若をじっと見つめている……
「そうですね……」
楓禾姫がそう答えられた瞬間。私は、 事を起こすべく あるものを手に取った……
指示して、急ぎ、私は、三の丸にある外喜の屋敷に駆けつけて。
客間を目指す途中。玄関先。廊下。居室前……監視や、見張りと思われる男達が数人伸びている……
(よし。首尾は上々)
外喜の監視の目の届かない、わずかな時間で。サクサクと、見張りを片付けるなど……日頃の鍛練を怠らない御庭番達(普段は庭師)には朝飯前……
(私は、庭師として桜家で働く父親の弟子として奉公にあがったからね。時に庭師の仕事も……)
というより。
外喜側の、監視や見張りの者達は。
(見るからに素人の寄せ集めだし)
まぁ、外喜の所の使用人達は、ほとんどが短期間で辞めてっ行っている……らしいからね。
人望の無い、 使用人を大切にしないという噂の外喜だからな。
色々方法はあるけど。 時間の関係で。みぞおちなどの急所にちょっと拳入れてやって。 中には何かしらの情報持ってる奴もいるかもしれないからね。丁重に殿様の所へ……
鍛え上げている 一人の御庭番は、軽々と二人の男を担ぎ上げて……歩いて行ったし……
(御愁傷様……)
おかげで、私は、何の労力も使わずに客間にたどり着く事が出来て助かったし。
音を立てぬよう、慎重に。人気の無いのを確認してから天井裏に身を隠し。私は気付かれぬように 少しだけ天井板をずらして開け。
中の様子の状況判断をする。
客間の奥の上座に、楓禾姫が。その隣に湖紗若が座られている。
(外喜よ。お二方に、上座をお勧めする。それぐらいの礼儀はわきまえてたみたいだな)
外喜は、下座に座っている。薄ら笑いを浮かべている。
(腹立つ)
斜め後ろに、ゆずな殿と、おゆり殿が控えている…… 二人の前には茶道具が置いてある
( 一番好都合な位置だ)
ゆずな殿は、 状況を見て判断しておゆり殿と共に配置に付いてくれたのか……
(姉上のこずえのようにはさせない……)
姉上の事を思うと心が痛くて……
(姉上、見てて下さい)
ふと障子戸の方を見ると、稜弥様の気配が、確認出来た……
湖紗若は、お可哀想に緊張しているのか…… いつもは健康的で。紅く染めた頬をされているのに。青白い顔色をされていて。
しかし、お小さいながらもキッと外喜に、 鋭い視線を向けておられる。
楓禾姫は、さすがだ…… それと悟られないように…… 視線で、客間の中の人や物の配置を確認され。障子戸の外の稜弥様と。天井裏の私まで確認されたようだ。
「さて。 腹を割って話したいと思いましてね。 今、饅頭とお茶を用意させますゆえ」
外喜の声音がどこか弾んで聞こえて……
(腹が煮え繰りかえるっ)
楓禾姫。
(何を思われているのですか?)
無表情で外喜を見つめておられる。
しかし……私は心の中で。外喜よ。
(お茶の道具を自分から見えない所に置いたのは、間違いじゃないか?)
そんな事を思っていた。
こちら側としては ありがたいけど。
ゆずな殿は、一人分の茶を立てている。
そして。おゆり殿は、音を立てぬよう慎重に。 帯び紐に付けていた巾着を外すと…… 茶壺の中の粉茶を茶ベラにて袋の中に入れて……
( 粉茶を巾着に入れるのは頼んだけど……)
次に竹筒と……竹筒のような入り口の穴が狭い物に入れやすいようにか。一ヶ所三角に尖らせた、変わった形の柄杓みたいな物を取り出すと……
(日頃持ち歩いてるのだろうか?)
竹筒に、残っていた 水分を素早く火鉢に捨てたおゆり殿。
瞬間、 暖められた水が ジュっと…… 一瞬動きを止めた、おゆり殿とゆずな殿……
「 茶はまだか!?」
後ろを振り返る事なく、二人に 声を荒げた外喜。
「 はい。ただいま。申し訳ございません」
謝りながら 小刻みに震えているおゆりを気遣ってか、ゆずな殿が柄杓を取ると、おゆり殿が竹筒を抑えて……
(可哀相に……)
竹筒に茶釜より、湯を移し蓋をして、しっかりと帯に結わえ付けたおゆり。
湯は、熱いから持ち出さなくていい。なるべくゆっくりとお茶を立てて、時間を稼いでくれたら頃合いを見計らって。私が合図を送るから。と伝えていたのだが……
巾着に粉茶を入れるのは、外喜の視界にお茶道具が無い時だけとも約束して。
頼んだ事以上の事をしてくれた。おゆり殿とゆずな殿。
ありがたかった。
外喜よ。 自分の後ろで行われている動きを一度たりとも確認しないで……
振り返えったなら、 こちらを窮地に追い込める事が行われているのに……
ゆずな殿が、饅頭を一つ懐に入れたぞ。外喜。
そして、おゆり殿は、お茶と饅頭の乗った皿を外喜の前に置いて。
楓禾姫と、湖紗若の前には、 用意周到過ぎだよ。おゆり殿は、部屋より持参して来たのだろね。安全な饅頭を一つ皿に乗せて置いたし。
その様子を微かに微笑みながら見つめていた 楓禾姫は。
「外喜様。ご一緒に頂きませんか?」
「い、いや、私は今は」
そんなに焦ったら怪しいぞ。
私が心の中で突っ込んでいると。
(え?)
凛実の方?
外喜が、 入って来た襖の外にの凛実の方の姿が……
外喜は…… 気付く余裕などないようだ。
気付いた稜弥様が、障子戸を、顔を確認出来るまで開けて。
『凛実の方が』
って、口を動かして。
楓禾姫にお伝えてしている……
そして……
二人で見つめ合っておられた楓禾姫様と、湖紗若様……
「フウ ひめしゃ……さま わたしに おおきいほう くだ……さ……い」
湖紗若の言葉に 楓禾姫は、湖紗若をじっと見つめている……
「そうですね……」
楓禾姫がそう答えられた瞬間。私は、 事を起こすべく あるものを手に取った……
0
あなたにおすすめの小説
元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?
3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。
相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。
あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。
それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。
だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。
その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。
その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。
だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
神楽坂gimmick
涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。
侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり……
若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる