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愛されて幸せな楓禾姫

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  「私には、稜禾詠ノ国を治める桜家の者としての責任があります。この先は、この瑠璃ノ島を治める者としての人生を歩んで行く事に決めました」

 私と詠史殿と稜弥様の、三人の形や想いを伝え合い、確かめ合って安堵して。 もう一つ大切な事を伝えたのだけど。



 詠史殿も稜弥様も、返事とかの反応を示さなくて。

(え? どうしよう……)


「詠史も稜弥も、楓禾姫が瑠璃ノ島にて暮らして行くのなら、長として統治する事になるんだろうな。島民も望んでいるのを感じるし。そう思っているから反応が薄いのだよ」


(昨日の今日で…… この二日間で 感じ取ったというの?)


「楓禾姫は湖紗若様を担ぎ、再び野心を抱く者が現れるやもしれぬ事を強く懸念して。湖紗若と鈴様の関係を壊してはならないと考えて、瑠璃ノ島に移住する事にしたのを稜弥様も詠史殿も分かっていますよ」


(確かに。稜弥様には言われたけれど……詠史殿も分かっていたのね)

「詠史殿も稜弥様も、何でもお見通しなのね。朝に海辺で貴方達と話した事を、お母上様とお父上様にお伝えした時に、私は瑠璃ノ島の統治を打診されたですけどね。知らぬは本人ばかりなり。詠史殿と稜弥様も本当に怖いわ……  いえ。漠然と感じてたのを。決めなくては。と思って悩んでいたのを、皆に背中を押してもらって。ようやく覚悟が決まりました。詠史殿と稜弥様とこの先の事を話す事で、怖くて、不安から逃げ出したいのを払拭したくて。 勇気が欲しくて。 どうぞ、この先も。怖さや不安から逃げ出したくなって、迷ったり悩んでしまう弱虫な私を支えて下ださいね。詠史殿、稜弥様」


 私は、頭を下げて詠史殿と稜弥様にお願いをしたの。

「はい。頭をお上げ下さい。楓禾姫」

「はい。頭をお上げ下さい。楓禾姫様」


 私が頭を下げたから焦ってる。でも……二人が傍にいてくれたら、こんなに心強い事はないわ。


 改めて、お父上様がお造りになった『幸せの国』を。お母上様の暮らした『幸せの国』を。 お母上様を支えるために、稜禾詠ノ国より移住した島民達を。 愛して。守り。幸せにすると誓ったの。



「楓禾姫は『様々な事に恵まれて周りの人を和ませる事が出来るような人』『色彩豊かな実りある人生.大きな広い心で人々を導き羽ばたく人』稜弥様は『穏やかで人の和を大切にする人』『何かしらの際立った才能を持った人』詠史殿は『周りの人を先導出来る人物』『文学や芸術に関心や才能がある人』そこに湖紗若の『 繊細な感性を持ち雅《みやび》な気品ある人』 『 心豊かに広い心で人を優しく包み込むよう人』が加わったら……」


 お母上様の言葉に。

「瑠璃ノ島は 、天下無敵になりますね。今度、瑠璃の名前の由来を聞かなくては」

 お父上様が返して。


 この六年間も繋がりが合ったとはいえ、少し違った形だった訳で『久しぶり』のやり取りだとは感じさせない。


「運命の恋人って凄いんですね」

 急に言ったのに。

「私と楓禾姫様も運命の恋人ですからね。見つめ合うだけで相手の思っている事が分かるようになりますよ」

「私と楓禾姫も運命の恋人ですから。見つめ合うだけで相手の思っている事が分かるようになりますよ」


「……」


(何なの?)


「なんで私は、詠史殿と稜弥様は二人の想いを知るのに、不安とか迷いとか。 色んな感情が湧いてくるのに。二人には迷いがないのですか? それに……お母上様と父上様の前で 恥ずかしい事言わないでちょうだい!」


「「はぁ」」

「「アハハハハ!」」


「男は、未来を夢見て」

「女は、今を生きてますからね」



「楓禾姫は、詠史殿と稜弥様の想いも分かっているけど」

「慎重に見つめ直すから悩むんだな。楓禾姫は。詠史と稜弥は、想いを届けたい必死さで大胆になっている」

「楓禾姫は、こんなにも 詠史殿と稜弥様に愛されて幸せね」


(私だけ、取り残されてる)




 私だけ、取り残されてる。そんな顔をされてる楓禾姫。可愛いなと思う。

 これから、新たな道を決意された楓禾姫を支え、永遠に愛すると強く決心したんだ。


 私だけ、取り残されてる。そんな顔をされてますね楓禾姫様。可愛いなと思う。

 これから、新たな道を決意された楓禾姫様を支え、永遠に愛すると強く誓ったんだ。






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