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貴女の悲しみの記憶…胸が痛くて苦しくて…

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 夏輝side

 夏輝『…… それって、冴多くんが私の想いを聞いてくれるって事?』

 心紀『……それって、俺に夏輝さんの想いを話してくれるって事?』

 わ、 私ってば何言っちゃってるのっ

 夏輝「 ご、ごめんねっ。今の忘れてっ」

 心紀「何でですか?」

 夏輝「迷惑でしょ?」

 心紀「迷惑な訳無いよ。好きな人の想い聞けるかもしれないんだもの」

 夏輝「冗談はやめてっ」

 心紀「冗談は言ってないです。夏輝さん」

 そうよね。冴多くんは人の気持ちに真剣に向き合う人だもの……

 話てみようかな……

 夏輝「 私の家は、転勤族だったの。 保育園卒園半年前に引っ越して……小学校は二回、 中学も一回転校をしたわ」

 心紀「辛いね……」

 夏輝「 私は人見知りだった。小3の時、ようやく学校に慣れて、クラスメイトとも仲良くなった時に転校が決まって……悲しかった。 転校生を物珍しそうに構まってくるのは最初の一週間くらいで。人との距離を縮められずに、上手く返せ無い人間は…… からかいの対象になりやすいんだと思う…… 気付いたら、なんとなく入れてもらったグループの人達から無視されてた……」

 その時ふと感じた違和感が、確信に変わった時の絶望感を思い出して涙が溢れて来て

 ハンカチで涙を拭うため 慌てて後ろ向いて 、ズボンのポケットから取り出そうとした瞬間

 心紀「はい」

 自分のハンカチを差し出した冴多くん
 何でこんなに優しいの
 何でこんなに優しくしてくれるの……

 夏輝「ありがとう…… そのグループの人達に、言葉での暴力とか、物を隠される……いじめられたの…… 次第に周りのクラスメートからも無視されて…… 次の小学校でも その次も……中学でも……」

 心紀「夏輝さん……もう……」

 夏輝「 高校に入った時、一人のクラスメイトがいじめの対象になってしまった。私は一緒にいる事を選んだの。リーダー的存在の女子の指示を無視した形になった私もいじめられたわ。けど『ハブにするように』とか。そんな卑怯な、酷い事をしろ。なんて事、その女子に決められる筋合いは無いもの。そうでしょ? 冴多くん?」

 心紀「うん……」

 夏輝「何で冴多くんが泣いているの?」

 心紀「夏輝さん……だって……」

 夏輝「 ありがとう冴多くん ……私の為に泣いてくれて…… 私はその子と友達になったの。けれど、どんどんエスカレートするいじめに耐えきれなくなって ……自ら命を絶ってしまったの…… 助けてあげる事が出来なかった…… 本当に悲しくて悔しかった。私の様な想いをする子供達がいなくなればいいと…… 辛い想いをしている子供達の声を聞いてあげたいと思った。だからこの仕事を選んだの」

 今まで誰も言えず苦しかった事を 、冴多くんは涙しながら聞いてくれて

 その温かさに私は救われたの

 ──
 夏輝さんの悲しみの記憶
 胸が痛くて苦しくて……








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