Ruby キミの涙 ~初恋と宝石~Ⅴ

桜花(sakura)

文字の大きさ
88 / 133

貴女の悲しみの記憶…胸が痛くて苦しくて…

しおりを挟む
 夏輝side

 夏輝『…… それって、冴多くんが私の想いを聞いてくれるって事?』

 心紀『……それって、俺に夏輝さんの想いを話してくれるって事?』

 わ、 私ってば何言っちゃってるのっ

 夏輝「 ご、ごめんねっ。今の忘れてっ」

 心紀「何でですか?」

 夏輝「迷惑でしょ?」

 心紀「迷惑な訳無いよ。好きな人の想い聞けるかもしれないんだもの」

 夏輝「冗談はやめてっ」

 心紀「冗談は言ってないです。夏輝さん」

 そうよね。冴多くんは人の気持ちに真剣に向き合う人だもの……

 話てみようかな……

 夏輝「 私の家は、転勤族だったの。 保育園卒園半年前に引っ越して……小学校は二回、 中学も一回転校をしたわ」

 心紀「辛いね……」

 夏輝「 私は人見知りだった。小3の時、ようやく学校に慣れて、クラスメイトとも仲良くなった時に転校が決まって……悲しかった。 転校生を物珍しそうに構まってくるのは最初の一週間くらいで。人との距離を縮められずに、上手く返せ無い人間は…… からかいの対象になりやすいんだと思う…… 気付いたら、なんとなく入れてもらったグループの人達から無視されてた……」

 その時ふと感じた違和感が、確信に変わった時の絶望感を思い出して涙が溢れて来て

 ハンカチで涙を拭うため 慌てて後ろ向いて 、ズボンのポケットから取り出そうとした瞬間

 心紀「はい」

 自分のハンカチを差し出した冴多くん
 何でこんなに優しいの
 何でこんなに優しくしてくれるの……

 夏輝「ありがとう…… そのグループの人達に、言葉での暴力とか、物を隠される……いじめられたの…… 次第に周りのクラスメートからも無視されて…… 次の小学校でも その次も……中学でも……」

 心紀「夏輝さん……もう……」

 夏輝「 高校に入った時、一人のクラスメイトがいじめの対象になってしまった。私は一緒にいる事を選んだの。リーダー的存在の女子の指示を無視した形になった私もいじめられたわ。けど『ハブにするように』とか。そんな卑怯な、酷い事をしろ。なんて事、その女子に決められる筋合いは無いもの。そうでしょ? 冴多くん?」

 心紀「うん……」

 夏輝「何で冴多くんが泣いているの?」

 心紀「夏輝さん……だって……」

 夏輝「 ありがとう冴多くん ……私の為に泣いてくれて…… 私はその子と友達になったの。けれど、どんどんエスカレートするいじめに耐えきれなくなって ……自ら命を絶ってしまったの…… 助けてあげる事が出来なかった…… 本当に悲しくて悔しかった。私の様な想いをする子供達がいなくなればいいと…… 辛い想いをしている子供達の声を聞いてあげたいと思った。だからこの仕事を選んだの」

 今まで誰も言えず苦しかった事を 、冴多くんは涙しながら聞いてくれて

 その温かさに私は救われたの

 ──
 夏輝さんの悲しみの記憶
 胸が痛くて苦しくて……








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

処理中です...