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15章 神域戦線
王国の戦力
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バルドリンガ王都にある城の中。謁見の間にある玉座の上でハルクエルはふんぞり返る。
彼の眼前には地に膝をつき首を垂れる家臣の姿。これから彼らは、先に控える大戦へ向けての軍事会議を開こうとしていた。
軍事会議と言っても特別難しい話をするわけではない。そもそも会議とは名ばかりで、その本質は王の命を黙って受ける『拝命の儀』と言ってもいい。だからここには椅子も無ければ机も無く、王城周辺の見取り図すらおいていない。
「良く集まってくれた。我が軍の精鋭たちよ。これより、定例軍事会議を開く」
玉座に座るハルクエルを上として、近い所から王の側近ジェイク、三人の猛将、その猛将に仕える精鋭部隊と続き、更にその後方には、今回の進軍で主力となる巨鎧兵団の操者たちが並ぶ。
皆一様に礼装用の鎧を着こみ、任命の時を待ちわびていた。彼らは王の宣言を聞くと、下げていた頭を上げ、雄々しく立ち上がる。
会議の開始と同時に、ジェイクがハルクエルの下まで近寄る。それから一枚の用紙を取り出し、王に向けて献上した。
ここまでの一連の流れは、これまでの軍事会議と何ら変わらない。唯この先少しだけ、何時もと様変わりをすることになる。
「ふむ……ほう……? 漸く軍の強化がひと段落したか。巨鎧兵数は……千機に及ぶ、と。一年で三百だったことを考えれば、上等ではないか?ジェイクよ」
「はっ、仰る通りでございます」
順調に進む軍事強化の報せに、気を良くするハルクエル。顔に笑みをこぼしながら、手にとる報告書を流し見る。
最後の一文字まで目を通すと、そのまま拝命の儀へと移り変わった。
「よし、では予定通りと行くとしよう。森に起きた奇妙な降水が終わり次第、三将が一人パシウスは、自身の持つ部隊と八百の巨鎧兵を率い、あの森へと出向け。よもやあの巨木周辺にいるとも思えんが、もし見つけたら皆殺しだ。巨木まで進んでそれらしき影が無ければ、そのまま森を抜け探索、発見次第戦闘に移れ」
「はっ! 承りました!」
「「御心のままに!」」
パシウスは右手を胸に当て、王の命を受ける。これに続き、彼の直属の兵士たちも同様の仕草を取って声を張り上げた。
ハルクエルは動きの整った完璧な部隊を見て満足そうに頷くと、次の部隊へ指示を出す。
「巨鎧兵団は先も言った通り、八百を反乱軍の鎮圧に、残りの二百を王都の防衛に充てる。強化の施された新たな巨鎧兵を使い、存分に暴れまわってくると良い!」
「お任せください王よ! お望みの結果となることでしょう!」
王の声に答えたのは、巨鎧兵団の団長クロヴァトだ。仕草はパシウスと同様だが、その口元には不敵な笑みを湛えている。
王国が定めた今回の進軍予定事項では。ハルクエルは同行しない事になっている。巷では、反乱軍の力を恐れ臆病風に吹かれたとも噂されたが、森での出来事を体感した兵士たちの中では、それも仕方なしと同意する声が多かった。
この状況でやきもきしていたのが、パシウス以外の三将だ。私ならばあっという間に決着を付けられるのに。そう思いながら、王に命じられるのを今か今かと待ち続けた。
一人は老獪な槍騎士。名を“ゴルゾーン”と言い、その神速の突きは、一度に三か所を穿つといわれている。波打つ緑の長髪を後ろで束ねた、無頼漢風の男である。
もう一人は対照的な女剣士。名を“アンティラ”と言い、軽い身の熟しを駆使した、妖艶な戦いぶりが注目されている。金の髪が示すように、希少とされる光属性魔法をも使い熟す魔法剣士であり、魔法の力だけを見ても本職が舌を巻く程の実力を持つ。
彼らも今回の軍事会議に参加しており、心の内では、いよいよその時が来たと歓喜した。しかし……
謁見の間にある四つの部隊の内、二つの部隊が拝命を追え、残すは三将の指揮する二つの部隊となった。王はこの隊にも、大事な任を任せることにする。
「残った三将、ゴルゾーンとアンティラの部隊は、二百の巨鎧兵と同様。王都の防衛に着け。反乱軍の巨鎧兵に乗っていた奴から聞き出した情報では、隙を見てこちらを狙っているらしいからな。お前たち二人がいてくれたら、私の身も安全だろう」
「任せて貰おう」
「畏まりました。尽力して事に当たります」
二人の男女は、それぞれ落ち着いた口調で任を受け、パシウス同様腕を胸に置く。願いと違う任務であることは、彼ら本人にしか分からないが、落胆する思いをおくびにも出さず頷く辺り、よく訓練されていると言えるだろう。
部屋にいる全ての部隊の任命が終わった。彼らは一時解散し、後は森を濡らす大雨が止む瞬間を待つばかりである。
それから数日して、革命軍、バルドリンガ両軍は、一通りの戦争の準備を終えた。これに呼応するかのように、突如として大雨が止み始める。
この報せは両軍の指揮官に伝えられ、三月ぶりに顔を出した太陽が、開戦の時を報せた。
「そうか止まったか! くははは! いよいよ目障りな奴らを葬ることが出来る! 進軍だ! 進軍開始ぃ!」
ハルクエルの狂気地味た声を受け、バルドリンガ軍は進軍を開始する。
両軍が接触するまであと少し。
彼の眼前には地に膝をつき首を垂れる家臣の姿。これから彼らは、先に控える大戦へ向けての軍事会議を開こうとしていた。
軍事会議と言っても特別難しい話をするわけではない。そもそも会議とは名ばかりで、その本質は王の命を黙って受ける『拝命の儀』と言ってもいい。だからここには椅子も無ければ机も無く、王城周辺の見取り図すらおいていない。
「良く集まってくれた。我が軍の精鋭たちよ。これより、定例軍事会議を開く」
玉座に座るハルクエルを上として、近い所から王の側近ジェイク、三人の猛将、その猛将に仕える精鋭部隊と続き、更にその後方には、今回の進軍で主力となる巨鎧兵団の操者たちが並ぶ。
皆一様に礼装用の鎧を着こみ、任命の時を待ちわびていた。彼らは王の宣言を聞くと、下げていた頭を上げ、雄々しく立ち上がる。
会議の開始と同時に、ジェイクがハルクエルの下まで近寄る。それから一枚の用紙を取り出し、王に向けて献上した。
ここまでの一連の流れは、これまでの軍事会議と何ら変わらない。唯この先少しだけ、何時もと様変わりをすることになる。
「ふむ……ほう……? 漸く軍の強化がひと段落したか。巨鎧兵数は……千機に及ぶ、と。一年で三百だったことを考えれば、上等ではないか?ジェイクよ」
「はっ、仰る通りでございます」
順調に進む軍事強化の報せに、気を良くするハルクエル。顔に笑みをこぼしながら、手にとる報告書を流し見る。
最後の一文字まで目を通すと、そのまま拝命の儀へと移り変わった。
「よし、では予定通りと行くとしよう。森に起きた奇妙な降水が終わり次第、三将が一人パシウスは、自身の持つ部隊と八百の巨鎧兵を率い、あの森へと出向け。よもやあの巨木周辺にいるとも思えんが、もし見つけたら皆殺しだ。巨木まで進んでそれらしき影が無ければ、そのまま森を抜け探索、発見次第戦闘に移れ」
「はっ! 承りました!」
「「御心のままに!」」
パシウスは右手を胸に当て、王の命を受ける。これに続き、彼の直属の兵士たちも同様の仕草を取って声を張り上げた。
ハルクエルは動きの整った完璧な部隊を見て満足そうに頷くと、次の部隊へ指示を出す。
「巨鎧兵団は先も言った通り、八百を反乱軍の鎮圧に、残りの二百を王都の防衛に充てる。強化の施された新たな巨鎧兵を使い、存分に暴れまわってくると良い!」
「お任せください王よ! お望みの結果となることでしょう!」
王の声に答えたのは、巨鎧兵団の団長クロヴァトだ。仕草はパシウスと同様だが、その口元には不敵な笑みを湛えている。
王国が定めた今回の進軍予定事項では。ハルクエルは同行しない事になっている。巷では、反乱軍の力を恐れ臆病風に吹かれたとも噂されたが、森での出来事を体感した兵士たちの中では、それも仕方なしと同意する声が多かった。
この状況でやきもきしていたのが、パシウス以外の三将だ。私ならばあっという間に決着を付けられるのに。そう思いながら、王に命じられるのを今か今かと待ち続けた。
一人は老獪な槍騎士。名を“ゴルゾーン”と言い、その神速の突きは、一度に三か所を穿つといわれている。波打つ緑の長髪を後ろで束ねた、無頼漢風の男である。
もう一人は対照的な女剣士。名を“アンティラ”と言い、軽い身の熟しを駆使した、妖艶な戦いぶりが注目されている。金の髪が示すように、希少とされる光属性魔法をも使い熟す魔法剣士であり、魔法の力だけを見ても本職が舌を巻く程の実力を持つ。
彼らも今回の軍事会議に参加しており、心の内では、いよいよその時が来たと歓喜した。しかし……
謁見の間にある四つの部隊の内、二つの部隊が拝命を追え、残すは三将の指揮する二つの部隊となった。王はこの隊にも、大事な任を任せることにする。
「残った三将、ゴルゾーンとアンティラの部隊は、二百の巨鎧兵と同様。王都の防衛に着け。反乱軍の巨鎧兵に乗っていた奴から聞き出した情報では、隙を見てこちらを狙っているらしいからな。お前たち二人がいてくれたら、私の身も安全だろう」
「任せて貰おう」
「畏まりました。尽力して事に当たります」
二人の男女は、それぞれ落ち着いた口調で任を受け、パシウス同様腕を胸に置く。願いと違う任務であることは、彼ら本人にしか分からないが、落胆する思いをおくびにも出さず頷く辺り、よく訓練されていると言えるだろう。
部屋にいる全ての部隊の任命が終わった。彼らは一時解散し、後は森を濡らす大雨が止む瞬間を待つばかりである。
それから数日して、革命軍、バルドリンガ両軍は、一通りの戦争の準備を終えた。これに呼応するかのように、突如として大雨が止み始める。
この報せは両軍の指揮官に伝えられ、三月ぶりに顔を出した太陽が、開戦の時を報せた。
「そうか止まったか! くははは! いよいよ目障りな奴らを葬ることが出来る! 進軍だ! 進軍開始ぃ!」
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両軍が接触するまであと少し。
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