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平和の礎
忘れられた者達
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酔いどれ亭を出たラインハルトは、一人の女性と町を歩く。
綺麗な青色の長い髪。白を基調とした淑やかな服。手には供え用の花束を抱えており、大きな日傘をさしている。彼女はミシェリアの義母であり、名を‶ポラリア”といった。
ポラリアは隣を歩くラインハルトを見上げると、上品に頭を下げる。
「ごめんなさいね、ラインハルトさん。私の我儘に付き合わせてしまって」
「いや、俺も暇だったんだ。気にしなくていい」
ラインハルトはぶっきらぼうにそう答えると、手に持った荷物を持ち直した。
彼が持っているのはポラリアの私物で、飲み水が入った水筒や、薬の類が入ったバスケットだ。
重くはない。だが当然花束よりは重く、またポラリア自身が花束を持ちたがった為、花束はポラリアが、バスケットはラインハルトが担当することになっていた。
墓参りに向かう二人が目指すは、国の外れにある共同墓地であった。だがこの国には、二つの共同墓地が存在する。
一つは南東の外れにある軍事用慰霊地。軍に順次する兵士が戦死した場合、こちらの墓で弔われる。
もう一つは南西の外れにある住民用慰霊地。皇国の住民の内、軍に関わりのない者が死んだ場合は、こちらで永遠の眠りにつく。
二人が向かうは前者。だから二人は、暑さに耐えながら国の南東を目指した。
歩き始めてから暫くして、ポラリアの歩みが遅くなる。
「……大丈夫か?」
「ごめんなさい。……少しだけ休憩を」
それに気づいたラインハルトは声をかけ、手に持ったバスケットから飲み物が入った水筒を手渡した。
「有難うございます」
「……」
ラインハルトはもともと、人付き合いが上手い方ではない。だが今同行しているポラリアという人間は、ラインハルトが特に苦手とする部類に当てはまる人物であった。
今にも倒れてしまいそうな弱弱しい言動。そして直視も憚られる程に美しい。
常日頃、神経の太い無骨な戦士としか会話しない彼にとって、ポラリアとの会話はどれも新鮮な物であり、また対応に困る物でもあった。
ポラリアは相当体が弱いらしく、短い時間しか歩くことが出来ない。だから二人は、適度に休憩を挟みながら路地を歩き続けた。それを数度繰り返し、二人は漸く墓地に辿り着く。
視界の両側を占領していた壁が無くなり、突如として開けた視界に、夥しい量の墓標が写った。
「これは……」
その数約八千。彼らは、皇国が建国されて以来、国の為に命を投げ出してきた兵士たちである。
初めて訪れた共同墓地。そこを埋め尽くす墓標の数に、ラインハルトは圧倒された。
だが勘違いをしてはいけない。この墓標の数は、皇国が平和である象徴なのだ。皇国が出来てからこれまで、百十余年の月日が経っている。その全ての期間で犠牲になった国兵の数が、僅か八千余りなのだ。他国に起きた同死者数に比べれば、この数は極端に少ない。これは、平和を願い、平和であろうとした皇国の、一つの成果でもあった。
立ち並ぶ墓石の間を通り抜け、ポラリアは愛した男の墓標へと向かう。作りはどれも似たようなもので、ラインハルトには見分けがつかない。だがポラリアは位置を覚えているらしく、一切迷う素振りを見せない。
やがて一つの墓石の前で立ち止まると、後から付いてくるラインハルトへと振り向いた。
「お疲れ様です。ここがそうです」
「ここが?」
ラインハルトは周囲を見渡し、最後に眼前に佇む墓標を見る。
「ゴ……ディ……」
墓標に刻まれた掠れた文字を目で追って呟いた。すると、ポラリアが凛とした声で語る。
「ゴーディー・フロンズ。皇国の為に戦い、皇国の為に死んでいった、勇敢な兵士の名です」
それからポラリアは、墓前に花を添え、乾ききった墓石に水をかけると、手を合わせて祈りを捧げた。
「…………」
彼女が何を思っているのか、それはラインハルトに分からない。
だが彼女の纏う空気が、少しだけ悲しみを湛えたように感じられた。
暫しの沈黙を経て、ポラリアは静かに立ち上がる。それから墓標に視線を落としたまま、ラインハルトへと語り掛けた。
「有難うございました、ラインハルトさん。おかげで今年も、あの人に会うことが出来ました」
背中を向けたまま、彼女は手で頬のあたりを触れる。その際、ラインハルトは幼き頃に失った、父と母を思い出していた。
当時のラインハルトはまだ幼く、周囲の者らにもあらゆる面で余裕が無かった。だから彼の父と母は、死してなお弔われることはなく、墓のような物も作られなかったのだ。それを鑑みれば、墓があるだけ幸せなのかもしれない。そう思ったラインハルトは、ポラリアに向けてこう語った。
「……墓参りが出来る奴も、墓参りをされる奴も、どちらも幸せ者だ」
それを聞いたポラリアは、振り向くとラインハルトの顔を見て切なそうに笑う。
「……そうですね」
それから先、二人の間に会話は無く、揃って帰りの身支度を始めた。
墓地を後にする最中、ポラリアはラインハルトに語り掛けた。
「ラインハルトさんは、皇国の軍に仕える兵士だと聞きました」
「ああ」
相変わらず背を向けたままだが、弱弱しい筈の彼女の声は、不思議とラインハルトの耳によく届いた。
「貴方はこの国が……いえ、この世界が平和になって、本当に良かったと思っていますか?」
その問いかけに、ラインハルトは直ぐに返事が出来なかった。
そもそも彼は、世界が平和になって良かったとは思っていない。なにせ平和になったせいで、彼が英雄になる道は途絶え、師と共に戦場を駆けるというささやかな願いも、叶わなくなってしまったのだ。だが彼は、それを口にすることが出来なかった。皇国の兵士という立場上の問題もある。だがそれに加え彼は、別の気配を感じていたのだ。もし本音をありのまま言ってしまえば最後、目の前にいる女性は、儚く消え去ってしまう、そんな気がしたのだ。
ラインハルトは、ポラリアに傷心を与えぬよう、言葉を探す。だが彼が言葉を見つける前に、彼女が言葉を続けた。
「ふふふ、ラインハルトさんは優しい方なんですね。……私は、平和にならなければ良かったと思っています」
ポラリアが放つ思いもよらぬ言葉に、ラインハルトは困惑した。
皇国に暮らす人々は、今の平和な世界を喜んでいた。安全な旅、安定した治安。経済も順調に成長を遂げ、悪戯に命が奪われることも無くなった。皆、それを望んでいた筈であり、喜んでいた筈である。
だが、今目の前にいる女性は、平和を望んでいないと語った。それはラインハルトの思いと等しい物であり、すなわち、狂人の考えでもある。
ポラリアは続けた。
「あの人は、世界を平和にする為に戦い、死んでいったのだと思います。だから今の世界を見て、あの人は多分喜ぶんでしょう。でも……人々は平和を知ったせいで、かつてあった戦いを忘れつつあります。尤も、それを攻めることなど私にはできません。苦しいこと、嫌なことは、誰も思い出したくありませんもの」
日傘が僅かに動き、彼女が俯いたことが分かった。
前触れも無く、彼女が振り向く。
日傘に隠れ、口から上は見えない。だが彼女の視線が、遠くにある『あの人の墓石』を見つめていることだけは判った。
「何か忘れ物でも?」
ポラリアが何をしようとしているのか、理解できないラインハルトは、そう尋ねるしかできない。
すると彼女は手をあげ、墓地の方を指さし再び口を開いた。
「私は悲しいのです。平和な国に生きる人たちは、かつてあった戦いだけに在らず、国の為に戦った者達を、平和の為に死んでいった者達を、そして……私の愛した人すらも、忘れてしまったんですから」
ラインハルトは指の先を見る。そこで漸く彼は、彼女が伝えようとしていたことを理解できた。
国の繁栄を指し示すように、今も町の中は大きく発展を遂げている。道は綺麗に舗装され、建物も美しい造形で改築が成され、道行く人は幸せに顔を綻ばし、市場では新たな技術の開発が、日夜進んでいる。
だが、ラインハルトが見ている先はどうだろうか。墓標と墓標を繋ぐ道は荒れに荒れ、石に刻まれた名は風化しつつある。供え物も、二人が供えた物だけしか見えない。
ポラリアは言った。
「かつて、世界が平和になる前は、こんなんじゃなかったんです。人々は死んでいった者たちを尊び、心の底から感謝していました。あの人の兄弟も、毎日のように墓前に来て手を合わせていたんです。でも、協定が結ばれてから一年が経ち、二年が経ち、三年も経つ頃には、墓前に来る人もいなくなってしまいました」
その結果が、荒れ果てた共同墓地であると、ポラリアは語った。
ラインハルトは無人の墓地を見て思う。十数年前までは、あの墓標の前で、何千、何万という人間が、死者を思って手を合わせていたのだろうと。彼自身その光景を見てはいないが、想像の中にあるその光景と、今見ている光景を照らし合わせ、諸行無常の儚さを感じた。
「……忘れられた……英霊たちか」
「分かっているんです。皆、忘れたわけじゃないことは。きっと忙しくて、偶々来れないだけなんです。唯……これは私の我儘。平和になる前のあの時に戻れば、またあの人の墓前で手を合わせて泣いてくれる人が現れるんじゃないかって……そう思ったんです」
気が付けばポラリアは、踵を返し歩き始めていた。それに気づいたラインハルトも、彼女を追って帰路につく。
空高く上っていた太陽は傾き始め、僅かに涼しくなり始めていた。
綺麗な青色の長い髪。白を基調とした淑やかな服。手には供え用の花束を抱えており、大きな日傘をさしている。彼女はミシェリアの義母であり、名を‶ポラリア”といった。
ポラリアは隣を歩くラインハルトを見上げると、上品に頭を下げる。
「ごめんなさいね、ラインハルトさん。私の我儘に付き合わせてしまって」
「いや、俺も暇だったんだ。気にしなくていい」
ラインハルトはぶっきらぼうにそう答えると、手に持った荷物を持ち直した。
彼が持っているのはポラリアの私物で、飲み水が入った水筒や、薬の類が入ったバスケットだ。
重くはない。だが当然花束よりは重く、またポラリア自身が花束を持ちたがった為、花束はポラリアが、バスケットはラインハルトが担当することになっていた。
墓参りに向かう二人が目指すは、国の外れにある共同墓地であった。だがこの国には、二つの共同墓地が存在する。
一つは南東の外れにある軍事用慰霊地。軍に順次する兵士が戦死した場合、こちらの墓で弔われる。
もう一つは南西の外れにある住民用慰霊地。皇国の住民の内、軍に関わりのない者が死んだ場合は、こちらで永遠の眠りにつく。
二人が向かうは前者。だから二人は、暑さに耐えながら国の南東を目指した。
歩き始めてから暫くして、ポラリアの歩みが遅くなる。
「……大丈夫か?」
「ごめんなさい。……少しだけ休憩を」
それに気づいたラインハルトは声をかけ、手に持ったバスケットから飲み物が入った水筒を手渡した。
「有難うございます」
「……」
ラインハルトはもともと、人付き合いが上手い方ではない。だが今同行しているポラリアという人間は、ラインハルトが特に苦手とする部類に当てはまる人物であった。
今にも倒れてしまいそうな弱弱しい言動。そして直視も憚られる程に美しい。
常日頃、神経の太い無骨な戦士としか会話しない彼にとって、ポラリアとの会話はどれも新鮮な物であり、また対応に困る物でもあった。
ポラリアは相当体が弱いらしく、短い時間しか歩くことが出来ない。だから二人は、適度に休憩を挟みながら路地を歩き続けた。それを数度繰り返し、二人は漸く墓地に辿り着く。
視界の両側を占領していた壁が無くなり、突如として開けた視界に、夥しい量の墓標が写った。
「これは……」
その数約八千。彼らは、皇国が建国されて以来、国の為に命を投げ出してきた兵士たちである。
初めて訪れた共同墓地。そこを埋め尽くす墓標の数に、ラインハルトは圧倒された。
だが勘違いをしてはいけない。この墓標の数は、皇国が平和である象徴なのだ。皇国が出来てからこれまで、百十余年の月日が経っている。その全ての期間で犠牲になった国兵の数が、僅か八千余りなのだ。他国に起きた同死者数に比べれば、この数は極端に少ない。これは、平和を願い、平和であろうとした皇国の、一つの成果でもあった。
立ち並ぶ墓石の間を通り抜け、ポラリアは愛した男の墓標へと向かう。作りはどれも似たようなもので、ラインハルトには見分けがつかない。だがポラリアは位置を覚えているらしく、一切迷う素振りを見せない。
やがて一つの墓石の前で立ち止まると、後から付いてくるラインハルトへと振り向いた。
「お疲れ様です。ここがそうです」
「ここが?」
ラインハルトは周囲を見渡し、最後に眼前に佇む墓標を見る。
「ゴ……ディ……」
墓標に刻まれた掠れた文字を目で追って呟いた。すると、ポラリアが凛とした声で語る。
「ゴーディー・フロンズ。皇国の為に戦い、皇国の為に死んでいった、勇敢な兵士の名です」
それからポラリアは、墓前に花を添え、乾ききった墓石に水をかけると、手を合わせて祈りを捧げた。
「…………」
彼女が何を思っているのか、それはラインハルトに分からない。
だが彼女の纏う空気が、少しだけ悲しみを湛えたように感じられた。
暫しの沈黙を経て、ポラリアは静かに立ち上がる。それから墓標に視線を落としたまま、ラインハルトへと語り掛けた。
「有難うございました、ラインハルトさん。おかげで今年も、あの人に会うことが出来ました」
背中を向けたまま、彼女は手で頬のあたりを触れる。その際、ラインハルトは幼き頃に失った、父と母を思い出していた。
当時のラインハルトはまだ幼く、周囲の者らにもあらゆる面で余裕が無かった。だから彼の父と母は、死してなお弔われることはなく、墓のような物も作られなかったのだ。それを鑑みれば、墓があるだけ幸せなのかもしれない。そう思ったラインハルトは、ポラリアに向けてこう語った。
「……墓参りが出来る奴も、墓参りをされる奴も、どちらも幸せ者だ」
それを聞いたポラリアは、振り向くとラインハルトの顔を見て切なそうに笑う。
「……そうですね」
それから先、二人の間に会話は無く、揃って帰りの身支度を始めた。
墓地を後にする最中、ポラリアはラインハルトに語り掛けた。
「ラインハルトさんは、皇国の軍に仕える兵士だと聞きました」
「ああ」
相変わらず背を向けたままだが、弱弱しい筈の彼女の声は、不思議とラインハルトの耳によく届いた。
「貴方はこの国が……いえ、この世界が平和になって、本当に良かったと思っていますか?」
その問いかけに、ラインハルトは直ぐに返事が出来なかった。
そもそも彼は、世界が平和になって良かったとは思っていない。なにせ平和になったせいで、彼が英雄になる道は途絶え、師と共に戦場を駆けるというささやかな願いも、叶わなくなってしまったのだ。だが彼は、それを口にすることが出来なかった。皇国の兵士という立場上の問題もある。だがそれに加え彼は、別の気配を感じていたのだ。もし本音をありのまま言ってしまえば最後、目の前にいる女性は、儚く消え去ってしまう、そんな気がしたのだ。
ラインハルトは、ポラリアに傷心を与えぬよう、言葉を探す。だが彼が言葉を見つける前に、彼女が言葉を続けた。
「ふふふ、ラインハルトさんは優しい方なんですね。……私は、平和にならなければ良かったと思っています」
ポラリアが放つ思いもよらぬ言葉に、ラインハルトは困惑した。
皇国に暮らす人々は、今の平和な世界を喜んでいた。安全な旅、安定した治安。経済も順調に成長を遂げ、悪戯に命が奪われることも無くなった。皆、それを望んでいた筈であり、喜んでいた筈である。
だが、今目の前にいる女性は、平和を望んでいないと語った。それはラインハルトの思いと等しい物であり、すなわち、狂人の考えでもある。
ポラリアは続けた。
「あの人は、世界を平和にする為に戦い、死んでいったのだと思います。だから今の世界を見て、あの人は多分喜ぶんでしょう。でも……人々は平和を知ったせいで、かつてあった戦いを忘れつつあります。尤も、それを攻めることなど私にはできません。苦しいこと、嫌なことは、誰も思い出したくありませんもの」
日傘が僅かに動き、彼女が俯いたことが分かった。
前触れも無く、彼女が振り向く。
日傘に隠れ、口から上は見えない。だが彼女の視線が、遠くにある『あの人の墓石』を見つめていることだけは判った。
「何か忘れ物でも?」
ポラリアが何をしようとしているのか、理解できないラインハルトは、そう尋ねるしかできない。
すると彼女は手をあげ、墓地の方を指さし再び口を開いた。
「私は悲しいのです。平和な国に生きる人たちは、かつてあった戦いだけに在らず、国の為に戦った者達を、平和の為に死んでいった者達を、そして……私の愛した人すらも、忘れてしまったんですから」
ラインハルトは指の先を見る。そこで漸く彼は、彼女が伝えようとしていたことを理解できた。
国の繁栄を指し示すように、今も町の中は大きく発展を遂げている。道は綺麗に舗装され、建物も美しい造形で改築が成され、道行く人は幸せに顔を綻ばし、市場では新たな技術の開発が、日夜進んでいる。
だが、ラインハルトが見ている先はどうだろうか。墓標と墓標を繋ぐ道は荒れに荒れ、石に刻まれた名は風化しつつある。供え物も、二人が供えた物だけしか見えない。
ポラリアは言った。
「かつて、世界が平和になる前は、こんなんじゃなかったんです。人々は死んでいった者たちを尊び、心の底から感謝していました。あの人の兄弟も、毎日のように墓前に来て手を合わせていたんです。でも、協定が結ばれてから一年が経ち、二年が経ち、三年も経つ頃には、墓前に来る人もいなくなってしまいました」
その結果が、荒れ果てた共同墓地であると、ポラリアは語った。
ラインハルトは無人の墓地を見て思う。十数年前までは、あの墓標の前で、何千、何万という人間が、死者を思って手を合わせていたのだろうと。彼自身その光景を見てはいないが、想像の中にあるその光景と、今見ている光景を照らし合わせ、諸行無常の儚さを感じた。
「……忘れられた……英霊たちか」
「分かっているんです。皆、忘れたわけじゃないことは。きっと忙しくて、偶々来れないだけなんです。唯……これは私の我儘。平和になる前のあの時に戻れば、またあの人の墓前で手を合わせて泣いてくれる人が現れるんじゃないかって……そう思ったんです」
気が付けばポラリアは、踵を返し歩き始めていた。それに気づいたラインハルトも、彼女を追って帰路につく。
空高く上っていた太陽は傾き始め、僅かに涼しくなり始めていた。
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