強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!

悠月 風華

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第一章 最強聖女の復讐

第6話 クシオンside「幸せな時間」

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元婚約者ルミエールに婚約破棄と
国外追放を言い渡してから2日が経った。
俺は王太子としての公務に追われつつも、
愛しいエメラルダスとの時間を周りの目も
気に暮れず過ごせる日常が何よりも愛おしくなった。

「殿下ぁ~お時間ありますかぁ?」

「エメラルダスじゃないか。何かあったのかい?」

ひょこっと執務室の扉の向こうから顔を出す
愛しい婚約者の姿が
公務で疲れた俺の心を癒してくれる。

「用もなく殿下に会いに来てはいけないの?」

「そんなことないよ。さぁ、こっちにおいで」

書類を確認するために長細い公務机に
手に持っていた書類を投げ出し、
椅子から立ち上がり、ソファのある方へと
エメラルダスを案内した。

「いつも忙しいのに……わたくしと
時間を作ってくださるだなんて……!
とっても嬉しい!」

「ハハッ、エメラルダスは何を言ってるんだい?
そんなこと婚約者として当たり前だろう?」

愛らしく頬を赤く染めて、俺の隣に腰かけた
エメラルダスが飛びついてくる。
その小さな身体をそっと抱きしめて、疲れを癒す。

「妃教育の方はどうだい?」

「あっ、そうなんです!!
妃教育の先生がいっつも厳しくて!
あれはダメ、これはダメ!しまいには
『ルミエール様の方が優秀でした』って
言ってくるんです!」

なんだと……?!
アモル公爵夫人がそんなことを
エメラルダスに言っていたのかッ!!
とはいえ、アモル公爵夫人は
母上の妃教育もしていた方だ。
そう簡単に辞めさせられる訳もない……。

しかも、アモル公爵夫人の評判は
この国でトップクラス。
彼女ほど、俺の王太子妃──王妃になる者に
教育を施すに値する教師はいない。

「エメラルダス、今の妃教育を乗り越えてくれれば
後は王妃になるだけだ。
少しだけ辛抱してくれないか?」

「分かりました……」

悲しげな表情をさせてしまった……。
期待に応えられずに申し訳ない気持ちが心を浸す。

けれど、その苦悩の先には俺に相応しい
美しく、聡明で、優しい王妃となる。
そして、俺もまた国王となり
この国の最高権力者となる。
あぁ、その日が待ち遠しい……。

早くエメラルダスと婚約式を挙げて、
『次期王太子妃』ではなく
『王太子妃』となってもらい、
生涯俺を愛してくれれば……。

そんなこれからの幸福な日々を思い浮かべながら、
愛しい婚約者との甘々は時間を過ごす喜びに
俺の心は今まで以上に満たされていた。

───俺が国王として即位することも、
エメラルダスが王妃となることも、
叶わないことを知らずに。
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