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「お役目のためです。もちろん」
しおりを挟む「ところでレイズ殿下? 王位には興味がないのだとばかり思っておりましたのに……よろしいのですか?」
城をでて家に帰るアリーシャを送るという言葉に、ありがたく頷いて、アリーシャはレイズと隣り合って城の庭を歩いていた。
「ああ、別にいいんだ。王位に興味がなかったというより、あいつが王になるのがわかってるのに勝負する気はなかっただけだから。それに、王位を得たいと思った時には、君がすでにアルスの婚約者だったから」
「はい?」
言ってる意味がわからずにアリーシャは首をかしげる。
「この国では王妃にも多くの権限が与えられる。だから王になるなら王妃は才覚ある人物であってほしい。君のような」
「はぁ……」
曖昧に答えると、レイズはククッと肩を震わせて笑った。
「君は存外鈍いんだな」
レイズはふわりと笑ってアリーシャを見下ろした。自然と2人の脚がとまる。
首を傾げるアリーシャの長い髪を一房掬って、そこに口づけをしたレイズが笑った。
「君が妻じゃないと嫌だ。って言ってるんだよ」
唖然とするアリーシャを置いて、再びレイズが歩き始める。
その後ろ姿を眺めながら、レイズが口づけをした髪を撫でて、アリーシャは顔を赤くした。
恋とか愛とかどうでもいい。
ただ、こんなこと言われ慣れてないからだ。そうに違いない。
アリーシャは1人自分に言い聞かせる。
顔を上げれば、立ち止まって待っているレイズの姿が見えた。
思えば、役目とアルスのことばかりで、今まで男性にこのような扱いをされたことがないのだ。初心な自分を自覚して、そしてアルスとは違う意味で振り回されそうな予感がして、アリーシャは唇を弾き結んだ。
頬はやはり、すこし熱を持っていた。
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