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Historia Ⅳ
人狼(27)
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シンは黙りこくっている百地が偽住所を使ったその理由を鋭く説いた。
すると、へたり込んで俯いたまま動かない百地の側へシンが迫ってきた途端、突然シンが彼女の首元に巻いているスカーフをいきなり掴んで振り解いた。
振り解かれた時、百地は小さな悲鳴を出して慌てて首元を手で隠し蹲った。
シンは容赦なく彼女の手を掴んで引き剝がしたらなんと、百地の首が毛むくじゃらになっていた。首元には白銀色の毛並み生えている。狼人間の毛だ。
「これは一体・・・」
狼の毛を生えた百地の姿を見て阿津瀬は驚きを隠せなかった。
「強化変身薬の副作用だ。薬の効力が強すぎるのと人体に大きな負担がかかっているからあんな姿に」
ユータは電話で狼人間強化変身薬の恐ろしさをシンから聞いていた。
違法魔法薬の一つである狼人間変身薬はその効力がとても強力で自分の意思で変身はできるが時間が経てば薬の効力が身体を浸食してコントロールが効かず勝手に変身してしまう。そして終いには──
「このままだと彼女は意識を無くして理性を失うどころか自我を保てなくなってもう二度と元の姿には戻れなくなる。そして人間としての感情が失う殺戮マシーンになる」
ユータの口からとんでもない発言を口にして阿津瀬は愕然とした。
もちろんユータも相棒から狼人間強化変身薬の正体を知らされた時は驚いたと同時に恐怖を覚えた。理性を失うだけでなく自我と意識、そして感情を無くしてしまい二度と人の姿に戻れなくなる。彼女は今、人間を捨て無差別に人を襲う最凶の殺戮兵器に変貌しようとしているのだ。
ユータが話しているのを耳にしたのか百地は両手で首を抑えながら顔面蒼白な顔を浮かべて恐怖を感じた。
百地の頭の中は過去の映像が投影されていた。
尾上と永嶺が同性愛者だと知った時、百地はショックが大きく沈んでいた。
せっかく偽りではない本物の恋が芽生えたというのにまるで好きな人を尾上に搔っ攫われたかのような気分だ。狙っていた獲物を横取りされたみたいで何だか悔しい気持ちがあって尾上が永嶺にイチャついているのが不満で仕方がなかった。考える度に不機嫌になる。百地は生まれて初めて『嫉妬』を覚えたのだ。
二人を見かける度に嫌にモヤモヤしていて仕事に支障をきたしそうなので何とか二人の関係を終わらせて永嶺を自分一人の物にしたいと思うようになった。
永嶺みたいな爽やかイケメンはそう簡単にはいない。今まで騙して付き合っていた男達は男前ばかりだがその中でも永嶺はナンバー1にあたる。尾上から聞けば他の女性からもかなり人気だと聞いていた。他の雌共なんかより自分の方が一番可愛いとかなり自信を持っていたがプリティーな自分より同性の尾上に負けたことが納得いかなかった。
お得意のあざと可愛さと色気で気を引こうと思った。ひとつだけ大きな障害がある。
尾上葵だ。彼がいる限り永嶺麗央は決して百地の手のひらには乗らない。
自分の得意技を披露する前にまずは邪魔な尾上をどうするかが一番の課題だった。
そんなある日、百地はたまたまSNSで変わった広告を見つけた。その広告には『みなさんの夢をなんでもお手伝いします』と記された案内サイトだった。
恋愛・仕事・健康・金運など様々な願望を叶えてくれるという変わったサイトだ。
百地はバカバカしいと思い初めは無視しようとしたが夜の試着室で永嶺と尾上がキスしていた姿がどうしても頭から離れられなかった。
広告には‶みなさんの夢を何でもお手伝いします〟と‶様々な願望〟と書いてあったので尾上を永嶺から手を引かせる方法を知っているかもと思いサイトを開いたのだ。
そのサイトは今まで見たこともない変わった品物が揃っていて興味を持ち始めた。チャット機能もあったので百地は尾上が永嶺に近づけさせないよう防ぐ方法はないか訊ねてみるとおすすめの商品リストをピックアップしてくれたのだ。
普通の薬局やネット通販では見慣れない不思議な商品がリストに揃っていてその中でも彼女の目に留まったのは『W.E.T.P』正式名 狼人間強化変身薬という代物だ。
これを飲むと本物の狼男また狼女に変身する。と書いてあった。
まさかとは思った。しかし、尾上を我が愛する永嶺から遠ざける方法を訊ねたその答えが狼人間強化変身薬を含んだリストをチャットが選出し薦めたのだ。
金額は高かったが自分の可愛さと色気に騙されたバカな男達から拝借した金がまだ残っていたので面白半分に購入したのだ。しかも、購入方法が不思議で名前は英語表記で入力するようにとか住所や電話番号、メアドの入力は不要だと案内されたのだ。
それから一週間も経たない内に待っていた商品が届いたのだ。住所も知らないのにどうやって届いたのかよりも本当に狼人間に変身できるか商品が届いても半信半疑だった。
箱の中から深緑色の液体が入った小さなカプセルが顔を出した時、怪しさ満々で何だか危険なようにも見えた。高いお金を払ってまで手に入れたのはいいが、本当に変身するのかまだ疑心を抱いていた。そして、今更だが狼人間強化変身薬を購入したのは失敗だったのではと思うようになり結局、飲まずにそのまま放置したのだった。
しかし、尾上と永嶺の関係がだんだん良い方向に進んでいる気がしてどうしても永嶺に好きですと自分の気持ちを言えなかった。
幼馴染だからか永嶺も尾上に対してとても嬉しそうに良い関係を築いているようにも見えた。あの試着室でのキスシーンの時よりいっそ仲良くなっている気もした。
そして、狼人間強化変身薬を購入してから数日が経ったある日。
尾上が利き手に虹色のミサンガを外していたのに気づいたのだ。本人に聞いてみると恋人から貰ったと聞いたのだ。その恋人というのは言うまでもない。永嶺麗央だ。
チャンスを待っている間にも二人は更に愛情を深めていたようだ。
そして、彼のミサンガを見て百地はハッとしたのだ。
もしかすると二人は結ばれたのではと。それに気づいた百地は尾上に対して強い嫉妬心を抱くと共に二人の関係に羨ましさもあった。
あのミサンガを見た時、百地は今まで経験したこともない嫉妬と焦りを感じた。
早く尾上を何とかしないと永嶺がこっちに振り向いてくれない。二人の関係を終わらせる方法を考えてもみたがいいアイデアが浮かばない。
早く永嶺に告白して彼を自分のものにしなくちゃとチャンスを窺っていたから考える暇もなかった。なんの計画も立てずこんなにも焦りを感じたのは生まれて初めてだ。恋に初心な彼女にとってさすがに困惑したであろう。すると、彼女の目にとまったのは数日前に放置したまま触っていない狼人間強化変身薬だ。
チャットでは尾上と永嶺の関係を邪魔するのに最適だと教えてくれたが本当に狼人間に変身できるかどうかまだ疑っていた。しかし、このままでは永嶺はいずれ尾上のものになってしまう。悩んでいる暇もなければ一か八か飲むしかないと思った百地は意を決してカプセルを手に取り一気に飲んだ。変わった味でまずい。まるで長い間放置したまま腐らせた果物を食べたような奇怪で吐き気がするぐらいの味だったのでしばらくの間、その腐った味が喉に残っていて辛かった。そして、説明書に書いてあった変身方法を思い出す。
狼人間に変身するには頭の中で満月のイメージを思い浮かべるだけ。百地は満月のイメージを思い浮かべると身体が痒くなってきた。そして、みるみると身体が熱くなり息苦しく感じて頭のてっぺんから足のつま先まで違和感を覚えながら悶えていた。
そして、鏡を見たらびっくり。本当に狼人間になったのだ。元の姿に戻るには満月が雲に隠れるイメージを浮かべば人の姿に戻るのだ。効果の効き目は一年と説明書には書いてあったが今更、狼人間強化変身薬を購入したのは間違っていたかもと後悔していた。
本当に狼人間に変身したのはいいけどこれでどうやって尾上が永嶺との交際を諦めてもらえるか問題だ。
二人の同性愛を認めたくなかった百地は何かいい作戦はないか思考を巡らそうとしたが考えるが面倒くさくなりこうなったら直接会って話をするしか方法がなかったみたいだ。
そして、尾上と百地の一対一の対話が実施された。
尾上の連絡先は事前に知っていたので百地は帰宅していた尾上を家から出して集合場所の近くの公園まで来させた。
誰もいない夜の公園で会えた百地は言った。尾上はゲイで永嶺と交際していたことを。そして、試着室で見たキスシーンも覗いたことも。
最初は自分が同性愛者で永嶺とキスを交わしたことを仕事仲間に見られていたことに一瞬動揺していた尾上だが勇気をもって仲間である百地にカミングアウトした。
カミングアウトされても百地は何も思わなかったが今、自分が抱いている気持ちを本人の前ではっきりと言った。自分も永嶺の事が好きで何度も告白するチャンスを待っていたこと。そして自分は同性愛を認めていない事、今すぐ永嶺と別れるよう促したのだ。
しかし、尾上の心は揺らぐごとなく真剣かつ真っ直ぐな目で百地の意見を強く拒否した。
彼は既に永嶺と共に生涯を全うする覚悟ができており彼の決意は固かった。
百地はお得意の特技で何とか永嶺との関係を引き剥がそうとするが尾上には全く通用しなかった。百地は可愛い見た目の割にはなかなか執念深い女なのだ。
しかし、彼女の期待に応えず尾上は自宅へ帰ろうとした。
たくさんの男達を誘惑し巧みにハニートラップを仕掛けお得意のあざと可愛さと色気で騙し続けてきた百地がまさかの敗北。元詐欺師としてのプライドを傷つけられた百地は帰っていく尾上の背中を見て心の奥底から悔しがっていた。腹の中が怒りと嫉妬で煮えくり返り思い通りにはいかなくなったが、狙った獲物は必ず最後まで仕留めるのが詐欺師 百地りり(本名・千守呂美)の流儀だったので諦めるわけにはいかなかった。
しかし、何を言おうと尾上の心情は決して変わらない。何かいい作戦はないかと思ったその時、百地は気づいた。今の自分は狼人間だと。空は曇り覆われ月は隠れていたがイメージするだけで変身できる。そして、なぜチャットが狼人間強化変身薬を勧めたのかその理由が分かった。
狼人間になって尾上葵を消せばいいということだ。
邪魔者を排除するには狼人間の姿で消せばいいんだと気づいた百地は頭の中で満月をイメージして狼の姿に変身した。
すると、へたり込んで俯いたまま動かない百地の側へシンが迫ってきた途端、突然シンが彼女の首元に巻いているスカーフをいきなり掴んで振り解いた。
振り解かれた時、百地は小さな悲鳴を出して慌てて首元を手で隠し蹲った。
シンは容赦なく彼女の手を掴んで引き剝がしたらなんと、百地の首が毛むくじゃらになっていた。首元には白銀色の毛並み生えている。狼人間の毛だ。
「これは一体・・・」
狼の毛を生えた百地の姿を見て阿津瀬は驚きを隠せなかった。
「強化変身薬の副作用だ。薬の効力が強すぎるのと人体に大きな負担がかかっているからあんな姿に」
ユータは電話で狼人間強化変身薬の恐ろしさをシンから聞いていた。
違法魔法薬の一つである狼人間変身薬はその効力がとても強力で自分の意思で変身はできるが時間が経てば薬の効力が身体を浸食してコントロールが効かず勝手に変身してしまう。そして終いには──
「このままだと彼女は意識を無くして理性を失うどころか自我を保てなくなってもう二度と元の姿には戻れなくなる。そして人間としての感情が失う殺戮マシーンになる」
ユータの口からとんでもない発言を口にして阿津瀬は愕然とした。
もちろんユータも相棒から狼人間強化変身薬の正体を知らされた時は驚いたと同時に恐怖を覚えた。理性を失うだけでなく自我と意識、そして感情を無くしてしまい二度と人の姿に戻れなくなる。彼女は今、人間を捨て無差別に人を襲う最凶の殺戮兵器に変貌しようとしているのだ。
ユータが話しているのを耳にしたのか百地は両手で首を抑えながら顔面蒼白な顔を浮かべて恐怖を感じた。
百地の頭の中は過去の映像が投影されていた。
尾上と永嶺が同性愛者だと知った時、百地はショックが大きく沈んでいた。
せっかく偽りではない本物の恋が芽生えたというのにまるで好きな人を尾上に搔っ攫われたかのような気分だ。狙っていた獲物を横取りされたみたいで何だか悔しい気持ちがあって尾上が永嶺にイチャついているのが不満で仕方がなかった。考える度に不機嫌になる。百地は生まれて初めて『嫉妬』を覚えたのだ。
二人を見かける度に嫌にモヤモヤしていて仕事に支障をきたしそうなので何とか二人の関係を終わらせて永嶺を自分一人の物にしたいと思うようになった。
永嶺みたいな爽やかイケメンはそう簡単にはいない。今まで騙して付き合っていた男達は男前ばかりだがその中でも永嶺はナンバー1にあたる。尾上から聞けば他の女性からもかなり人気だと聞いていた。他の雌共なんかより自分の方が一番可愛いとかなり自信を持っていたがプリティーな自分より同性の尾上に負けたことが納得いかなかった。
お得意のあざと可愛さと色気で気を引こうと思った。ひとつだけ大きな障害がある。
尾上葵だ。彼がいる限り永嶺麗央は決して百地の手のひらには乗らない。
自分の得意技を披露する前にまずは邪魔な尾上をどうするかが一番の課題だった。
そんなある日、百地はたまたまSNSで変わった広告を見つけた。その広告には『みなさんの夢をなんでもお手伝いします』と記された案内サイトだった。
恋愛・仕事・健康・金運など様々な願望を叶えてくれるという変わったサイトだ。
百地はバカバカしいと思い初めは無視しようとしたが夜の試着室で永嶺と尾上がキスしていた姿がどうしても頭から離れられなかった。
広告には‶みなさんの夢を何でもお手伝いします〟と‶様々な願望〟と書いてあったので尾上を永嶺から手を引かせる方法を知っているかもと思いサイトを開いたのだ。
そのサイトは今まで見たこともない変わった品物が揃っていて興味を持ち始めた。チャット機能もあったので百地は尾上が永嶺に近づけさせないよう防ぐ方法はないか訊ねてみるとおすすめの商品リストをピックアップしてくれたのだ。
普通の薬局やネット通販では見慣れない不思議な商品がリストに揃っていてその中でも彼女の目に留まったのは『W.E.T.P』正式名 狼人間強化変身薬という代物だ。
これを飲むと本物の狼男また狼女に変身する。と書いてあった。
まさかとは思った。しかし、尾上を我が愛する永嶺から遠ざける方法を訊ねたその答えが狼人間強化変身薬を含んだリストをチャットが選出し薦めたのだ。
金額は高かったが自分の可愛さと色気に騙されたバカな男達から拝借した金がまだ残っていたので面白半分に購入したのだ。しかも、購入方法が不思議で名前は英語表記で入力するようにとか住所や電話番号、メアドの入力は不要だと案内されたのだ。
それから一週間も経たない内に待っていた商品が届いたのだ。住所も知らないのにどうやって届いたのかよりも本当に狼人間に変身できるか商品が届いても半信半疑だった。
箱の中から深緑色の液体が入った小さなカプセルが顔を出した時、怪しさ満々で何だか危険なようにも見えた。高いお金を払ってまで手に入れたのはいいが、本当に変身するのかまだ疑心を抱いていた。そして、今更だが狼人間強化変身薬を購入したのは失敗だったのではと思うようになり結局、飲まずにそのまま放置したのだった。
しかし、尾上と永嶺の関係がだんだん良い方向に進んでいる気がしてどうしても永嶺に好きですと自分の気持ちを言えなかった。
幼馴染だからか永嶺も尾上に対してとても嬉しそうに良い関係を築いているようにも見えた。あの試着室でのキスシーンの時よりいっそ仲良くなっている気もした。
そして、狼人間強化変身薬を購入してから数日が経ったある日。
尾上が利き手に虹色のミサンガを外していたのに気づいたのだ。本人に聞いてみると恋人から貰ったと聞いたのだ。その恋人というのは言うまでもない。永嶺麗央だ。
チャンスを待っている間にも二人は更に愛情を深めていたようだ。
そして、彼のミサンガを見て百地はハッとしたのだ。
もしかすると二人は結ばれたのではと。それに気づいた百地は尾上に対して強い嫉妬心を抱くと共に二人の関係に羨ましさもあった。
あのミサンガを見た時、百地は今まで経験したこともない嫉妬と焦りを感じた。
早く尾上を何とかしないと永嶺がこっちに振り向いてくれない。二人の関係を終わらせる方法を考えてもみたがいいアイデアが浮かばない。
早く永嶺に告白して彼を自分のものにしなくちゃとチャンスを窺っていたから考える暇もなかった。なんの計画も立てずこんなにも焦りを感じたのは生まれて初めてだ。恋に初心な彼女にとってさすがに困惑したであろう。すると、彼女の目にとまったのは数日前に放置したまま触っていない狼人間強化変身薬だ。
チャットでは尾上と永嶺の関係を邪魔するのに最適だと教えてくれたが本当に狼人間に変身できるかどうかまだ疑っていた。しかし、このままでは永嶺はいずれ尾上のものになってしまう。悩んでいる暇もなければ一か八か飲むしかないと思った百地は意を決してカプセルを手に取り一気に飲んだ。変わった味でまずい。まるで長い間放置したまま腐らせた果物を食べたような奇怪で吐き気がするぐらいの味だったのでしばらくの間、その腐った味が喉に残っていて辛かった。そして、説明書に書いてあった変身方法を思い出す。
狼人間に変身するには頭の中で満月のイメージを思い浮かべるだけ。百地は満月のイメージを思い浮かべると身体が痒くなってきた。そして、みるみると身体が熱くなり息苦しく感じて頭のてっぺんから足のつま先まで違和感を覚えながら悶えていた。
そして、鏡を見たらびっくり。本当に狼人間になったのだ。元の姿に戻るには満月が雲に隠れるイメージを浮かべば人の姿に戻るのだ。効果の効き目は一年と説明書には書いてあったが今更、狼人間強化変身薬を購入したのは間違っていたかもと後悔していた。
本当に狼人間に変身したのはいいけどこれでどうやって尾上が永嶺との交際を諦めてもらえるか問題だ。
二人の同性愛を認めたくなかった百地は何かいい作戦はないか思考を巡らそうとしたが考えるが面倒くさくなりこうなったら直接会って話をするしか方法がなかったみたいだ。
そして、尾上と百地の一対一の対話が実施された。
尾上の連絡先は事前に知っていたので百地は帰宅していた尾上を家から出して集合場所の近くの公園まで来させた。
誰もいない夜の公園で会えた百地は言った。尾上はゲイで永嶺と交際していたことを。そして、試着室で見たキスシーンも覗いたことも。
最初は自分が同性愛者で永嶺とキスを交わしたことを仕事仲間に見られていたことに一瞬動揺していた尾上だが勇気をもって仲間である百地にカミングアウトした。
カミングアウトされても百地は何も思わなかったが今、自分が抱いている気持ちを本人の前ではっきりと言った。自分も永嶺の事が好きで何度も告白するチャンスを待っていたこと。そして自分は同性愛を認めていない事、今すぐ永嶺と別れるよう促したのだ。
しかし、尾上の心は揺らぐごとなく真剣かつ真っ直ぐな目で百地の意見を強く拒否した。
彼は既に永嶺と共に生涯を全うする覚悟ができており彼の決意は固かった。
百地はお得意の特技で何とか永嶺との関係を引き剥がそうとするが尾上には全く通用しなかった。百地は可愛い見た目の割にはなかなか執念深い女なのだ。
しかし、彼女の期待に応えず尾上は自宅へ帰ろうとした。
たくさんの男達を誘惑し巧みにハニートラップを仕掛けお得意のあざと可愛さと色気で騙し続けてきた百地がまさかの敗北。元詐欺師としてのプライドを傷つけられた百地は帰っていく尾上の背中を見て心の奥底から悔しがっていた。腹の中が怒りと嫉妬で煮えくり返り思い通りにはいかなくなったが、狙った獲物は必ず最後まで仕留めるのが詐欺師 百地りり(本名・千守呂美)の流儀だったので諦めるわけにはいかなかった。
しかし、何を言おうと尾上の心情は決して変わらない。何かいい作戦はないかと思ったその時、百地は気づいた。今の自分は狼人間だと。空は曇り覆われ月は隠れていたがイメージするだけで変身できる。そして、なぜチャットが狼人間強化変身薬を勧めたのかその理由が分かった。
狼人間になって尾上葵を消せばいいということだ。
邪魔者を排除するには狼人間の姿で消せばいいんだと気づいた百地は頭の中で満月をイメージして狼の姿に変身した。
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