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第三話
一つ目小僧の恋愛話(3)
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二人は布多天神社から離れ陽菜の家の前に立っていた。陽菜の家は一軒家で左側には庭があり右側には車を停めているエフルージュベーガグランがあった。陽菜はこの家に住んでいるのだ。陽菜の家までは何度も彼女を見守りながら付いて来て様子を見ている一つ目小僧に道を案内してもらった。でも、心配なのがただ一つある。それは、陽菜の父親の不倫が原因でまずい空気なっていること。そんな状況の中、翼がインターホンを鳴らしてもいいのか迷っていた。しかし、このまま諦めたり後回しをしたら一つ目小僧の友達になるというチャンスを逃して会うのが難しくなる。もしくは、完全に離婚して陽菜が調布から引っ越してしまう事だってある。このままでは、本当に一つ目小僧にとって良いチャンスを逃しもう二度と彼女と再会する事はないだろう。翼は一つ目小僧と頷きインターホンを鳴らした。きっと、お母さんかお父さんがいるはず。でも、離婚話をしているので、あまり良くない状況の中、来ても良かったのか翼には少し迷いがあった。でも、ここは、迷っている暇はない。陽菜が引っ越される前に何としてでも一つ目小僧と友達になってあげたい。例え、一つ目小僧の姿が見えなくても翼は一つ目小僧の為に最後まで協力する事を決めているのだから。
インターホンを鳴らした後、翼と一つ目小僧は玄関前で誰か来るのを待っていた。すると、声が聞こえた。その声は女性だった。
「どちら様ですか?」
きっと、翼の姿をインターホンのカメラ映像で見ているみたいだ。
「こんにちは。一昨日、深大寺でお会いました山崎辰巳の甥の小山翼です」
「一昨日会った山崎先生の甥っ子さんですね。ちょっと待っていてくださいね」
そう言い陽菜の母親の声はしなくなった。きっと、通話を切ったのだ。すると、玄関のドアの方からガチャッという鍵を開ける音が聞こえ玄関のドアが開いた。開いたドアから陽菜の母親の姿が見えた。
「こんにちは。花咲さんのお母さん」
翼が笑顔で挨拶すると陽菜のお母さんは笑顔で翼に挨拶をした。
「こんにちは。翼くん。よく、私達の家がここだって分かったわね」
「お、叔父さんが教えてくれたんです」
翼は作り笑いをしながら言った。一つ目小僧から話を聞いたなんて言っても絶対に信じてはくれないだろう。
「あの、陽菜さんはいますか?」
すると、陽菜の母親は笑顔で言った。でも、陽菜の母親の笑顔はどことなく、おかしかった。まるで、わざと笑って誤魔化しているみたいだ。きっと、離婚の事で無理に作り笑いをしているのであろう。
「あっ、陽菜?陽菜は出掛けているわ」
「どこへ行ったんですか?」
「さぁ。知らないわ。ごめんなさいね」
それを聞いた翼は納得したかのように言った。
「いえ。大丈夫です。ぼく、陽菜さんを捜しに行きます」
「ごめんなさいね」
翼は陽菜の母親にお辞儀をして一つ目小僧と走り去った。陽菜の母親は翼の背中を見て笑顔が消え悲しそうな顔になっていた。
翼は腕を組みながら歩いていた。額には汗が流れ太陽の強い光を浴びていた。そのうえ、一つ目小僧は一滴も汗を流していない。妖怪なので夏は平気なのだろうか。翼は歩きながら日差しの下で陽菜はどこにいるのか考えていたが、全く見当はつかなく参っていた。
「一体、花咲さんはどこへ行ったんだ?」
翼は一つ目小僧に訊いた。
「一つ目小僧くん。花咲さんが行きそうな所、知ってる?花咲さんの事、見守っていたんだろ?」
すると、一つ目小僧は迷うことなく言った。
「大体は見当ついている」
「ホント?」
翼は期待をしていた。
「多分、あそこだ。ぼくに付いて来て」
「うん」
翼は一つ目小僧を信じ陽菜がいる所へ向かった。一つ目小僧は翼を引き連れながら自分が思った所へ目指して歩いた。そして、自分の予想が合っている事を祈っていた。長く陽菜を見守ってから彼女が行きそうな所は大体予想はしていた。きっと、一つ目小僧の予想こそが彼女を見つける〝カギ〟となっているのだ。
空は赤くなり夕暮れ時になっていた。
青空に浮かんでいた太陽は沈み、空一面は赤く染まりもうすぐ夜になろうとしていた。調布市になる鬼太郎ひろばにある一反木綿のベンチに座っている陽菜は一人寂しそうに広場で遊んでいた親子が帰って行く姿を見ていた。親と手を繋ぐ子、楽しくお喋りする子、友達と一緒に帰る子、そんな子供達の中、陽菜は一人だけ残っていた。陽菜は寂しそうな顔をしながら俯いていた。そして、彼女の頭から次々と記憶が蘇る。その記憶は、不倫した父親に向かって罵倒し物を投げつけている母親の姿が。陽菜はそんな光景を目の当たりしていて、嫌と言う程、頭の中に染みついていた。そんな記憶が蘇ると陽菜は両手で頭を抑え一反木綿のベンチに乗りながら蹲(うずくま)り声を押し殺しながら泣き始めた。夢であってほしい。そう強く思った。あんなに家に帰りたくないうえ、締め付けるような悲しみを味わった事はない。そう思い一人で頭を抱え蹲(うずくま)り泣き続けていた。そんな中、鬼太郎ひろばにあるゲゲゲハウスの滑り台近くに翼と一つ目小僧の姿が見えていた。一人で蹲(うずくま)る陽菜を見かねた翼は一つ目小僧を見て陽菜の方に指を指した。すると、一つ目小僧は小さく首を振った。そして、一つ目小僧は翼に向かって指を指し先に行けとジェスチャーした。そして、ゆっくり口を動かして「後で行く」と小声で伝えた。
どうやら、一つ目小僧は緊張しているみたいだ。翼は鼻息を洩らし先に陽菜の方へ行った。一つ目小僧はゲゲゲハウスの影に隠れながら様子を見ていた。
「花咲さん」
蹲(うずくま)っていた陽菜はゆっくりと顔を上げた。目を赤くして涙を流しながら陽菜の目の前には翼がいたのだ。翼が目の前にいて気付いたのか陽菜は声を出した。
「あなたは、確か、一昨日の・・・」
翼は頷いた。
「うん。山崎辰巳の甥っ子、翼だよ。・・・・泣いてるの?」
陽菜は自分の腕で涙を拭き笑った顔で心配している翼に言った。
「ちょっとね。でも、もう大丈夫よ」
陽菜は笑った。きっと、無理に笑っている。彼女の母親もわざと誤魔化して笑っていたので、陽菜はきっと、翼に心配させないようわざと笑っているフリをしているのだ。翼は彼女がわざと笑っている事はもう既に分かっていたのだ。
「隣に座ってもいいかな?」
翼は隣座ってもいいのか訊くと陽菜は頷いた。翼は陽菜の隣に座った。
「こんな所にゲゲゲの鬼太郎の広場があったとは知らなかったなぁ。花咲さんはよくここに来るの?」
翼に訊かれ陽菜は頷いた。
「うん。たまにだけどね」
陽菜が答えた後、静かになった。二人は何も話さずただ黙りこくりながら座っていた。翼は鬼太郎ひろばの周りを見渡していた。陽菜は下を見ていた。
二人が黙り始めてから10分経過した頃、翼は口を開いた。
「お昼ぐらいの時、君の家に行ったんだ」
それを聞き陽菜は反応し翼の方を見た。
「君の両親、離婚するんだって?」
それを聞いた陽菜は自分と自分の両親しか知らない事を翼が知っているのを見て驚いた。
「な、なんで、君が知ってるの?もしかして、お母さんが?」
翼は首を振った。
「いや。違うよ」
「じゃあ、誰から?」
「君を見守っていた人からだよ」
「えっ?」
「実は、ぼく、君を捜していたんだ。どうしても合わせたい人、いや、妖怪かな?」
陽菜は翼の言葉を聞いて何を言っているか分からなかった。
「よう・・かい?」
翼は頷いた。
「その妖怪は君のことをずっと見守っていたんだ。花咲さんが学校へ行く時も家にいる時も出掛ける時も。大丈夫。その妖怪は悪い奴じゃないんだ」
陽菜は何を言っているのか分からない表情をしていた。
「まぁ、信じられないよね。この世に妖怪なんている訳ないもんな。でも、僕はその妖怪の姿が見えるんだ」
「もしかして、見えない世界のこと・・・?」
それを聞いた翼は反応した。
「知っているのかい?」
「前に山崎先生から聞いた事があるの。「僕は、見えない世界が見えるんだ」って・・。妖怪も幽霊も見えるって・・」
「そう。ぼくも妖怪と幽霊が見えるんだ。ぼくと会って君を見守っていた妖怪は、君と友達になりたくて一緒に君を捜していたんだ。出ておいで!」
翼はゲゲゲハウスの影に隠れている一つ目小僧に声をかけた。陽菜は翼が呼んだゲゲゲハウスの方を見た。
すると、身を隠していた一つ目小僧が姿を見せた。翼は陽菜の反応を見た。
「どうだい?見えるかい?ぼく達の目の前に一つ目小僧っていう妖怪がいる。彼こそが、君を見守っていた妖怪だよ」
一つ目小僧は頬を赤くしながら二人の方へ向かった。二人の目の前に着いた一つ目小僧は被っていた笠を外した。これで、一つ目小僧の目的が果たされる。後は、一つ目小僧と友達になってくれるかどうか、彼女の答えを聞くだけだ。
「一つ目小僧くんは、前から君と友達になりたがっていたんだ。君の両親が離婚する事をぼくに教えてくれたのも一つ目小僧くんなんだ。やり方は、ストーカーみたいな事をしていたけど、毎日、君を見守り続けていたんだ。君が引っ越す前に一つ目小僧くんに一目会わせたくて彼と一緒に花咲さんの事を捜していたのさ」
一つ目小僧は、頬を赤く染めながら目の前にいる陽菜に言った。
「ひ、陽菜ちゃん。初めまして。ぼ、ぼぼ、ぼく、一つ目小僧と言います。君の事は、前から見ていたんだ。ど、どうしても、君と友達になりたくて翼に協力してもらい、こ、こうして君と会えたんだ」
一つ目小僧の声は少し緊張しているのか声がぎこちなかった。でも、こうして陽菜と真正面で会える事ができて心の奥底から喜んでいた。翼は緊張している一つ目小僧を見て笑いそうになったが、笑ったら頑張っている一つ目小僧に悪い気もしていた。でも、これで陽菜からOKを貰えば一件落着になる。
すると、陽菜が口を動かし始めた。
「あの・・小山くん」
「ん?」
陽菜は翼の方を見た。
「どこに、一つ目小僧くんがいるの?」
「えっ?」
それを聞いた翼は言った。
「どこって、ぼく達の目の間に・・・・」
陽菜はもう一度、目の前を見た。目の前に一つ目小僧がいるのは確かだ。翼はちゃんと見えている。ちゃんと、一つ目小僧が陽菜に話している所はちゃんと見えているし声も聞こえる。でも、陽菜の言葉に翼は嫌な予感がした。
「目の前にいるって言われても・・・目の前にはいないよ?」
それを聞いた翼と一つ目小僧は一瞬、体が固まった。笑顔だった表情から呆気にとられる表情をしていた。なんと、陽菜は一つ目小僧の姿が見ていなかったのだ。陽菜から見ると翼は独り言を言っている姿しか見えていなかったのだ。もしかすると、陽菜は一つ目小僧の姿は見えないかもしれないと思っていたのだが、まさか、本当に陽菜は一つ目小僧の姿が見えないと知り呆気にとられていた。それどころか、呆気にとられるより一つ目小僧の方がショックが大きいはずだ。覚悟はしていたとはいえ、本当に自分の姿が見えないと知った一つ目小僧は言葉を失っていた。
「本当にわたしの目の前に一つ目小僧くんがいるの?」
陽菜は確認するかのように訊かれたので翼は頷いた。
「そうだよ」
それしか答えられなかった。一つ目小僧の姿が見えない以上、何を言っても彼女には通じない。一つ目小僧には悪いが、現実を受け止めるしかない。世の中には、見えない世界が見える人と見えない人がいるのだから、仕方がない事だ。
「やっぱり、見えない」
陽菜は呟いた。それを聞いて翼と一つ目小僧は息詰まった。特に、翼の方が一番息詰まる。見えない世界が見える翼が全く見えない世界が見えない陽菜に対して目の前に一つ目小僧がいるとか、陽菜の両親が離婚する事になっている話は一つ目小僧から聞いたとか言ったので、もしかすると、彼女は自分をからかっているのではないかと思っているに違いない。そして、翼の事を変な人だと見られているに違いないし、嘘をついた事を怒っているのかもしれない。そう思うと翼は自分が恥ずかしくなった。だって、一つ目小僧が見えない陽菜におかしな事を話したのだから。翼は陽菜に何て言われるか怖くなった。一つ目小僧は笠を被ると真っ先に走り去ってしまった。翼は走り去った一つ目小僧を止めようとしたが、止められなかった。また、彼女にまた余計に変な子だと思われてしまうから。翼は彼女になんと話せばいいのか分からなく混乱していた。もう、彼女に合わせる顔がないと翼は恥ずかしさと彼女が何と発言するかの怖さを持ちながら陽菜が出す言葉を待っていた。陽菜がどんな言葉を出すのかそれが分かるまで、翼の体は動けなかった。聞きたくない。でも、聞きたい。そんなあやふやな思いが募り陽菜と別れる事はできなかった。
「・・・・見たかったなぁ」
「えっ?」
陽菜の一言に翼は反応した。
見たかった。確かにそう聞こえた。
「山崎先生も小山くんも見えない世界が見えるなんて、羨ましいよ。わたしは全然見えない」
「そんなに、羨ましいの?」
陽菜は笑みを浮かべながら頷いた。
「うん。だって、見えない世界が見えたら妖怪や幽霊はもちろん、見えない世界だけしか体験できない冒険だってあるはずだもん。だから、見えない世界が見える山崎先生と小山くんが羨ましい」
意外な言葉だった。てっきり、翼の事を変な子扱いされ怒らせたのではと思っていたが、彼女から怒りと疑う様子が全くなかった。
「それに、わたし。こう見えても妖怪や幽霊はいるって信じているのよ。小山くんは、妖怪と幽霊がこの世にいるって信じていたから見えたんでしょ?」
「い、いや・・ぼくは別に・・・」
翼の時は、急に見えない世界の妖怪と幽霊が見えたのだ。最初は決して妖怪と幽霊は信じていなかった。
「その一つ目小僧くん・・。わたしのお母さんがお父さんと離婚する事を知ってたんだ・・・」
陽菜は顔を見上げながら言った。空はもう暗くなり始めた。
「お母さんが離婚する理由は、お父さんが別の女の人と不倫したの。それで、離婚する事にしたんだって」
「・・・知ってる。一つ目小僧くんから聞いた」
翼は陽菜の両親が離婚する理由は一つ目小僧から聞いた事を教えた。
「そうなんだ。じゃあ、わたしがいつ引っ越すことも知ってる?」
翼は首を振った。
「わたし、この夏休みが終わったら、お母さんの故郷へ引っ越すの」
陽菜は笑みを浮かべながら翼を見て言った。離婚なのになぜ笑みを浮かべられるのか翼には理解できなかった。でも、変な目で見られていないし怒ってはいないのでホッとした。
「お父さんが不倫なんかしちゃったから、仕方がないけどね。悪いのは、お父さんだもん」
「夏休みが終わるまで、お父さんはいるの?」
「うん」
「なんか、お父さんの方が気まずい感じになるね」
「でしょ?」
陽菜は笑った。でも、どことなく悲しそうな面影も見えた。
「それに、わたしが話してもなんにも聞いてはくれない。仕方がないよね。わたし、まだ子供だし、大人の話に割り込むことはできないから・・・・」
それを聞いた翼は少し怒りが混みあがっていた。
「子供にも意見を言う権利はあるよ・・。大人は勝手で勝手に話を進めるクソなんだ・・。ぼく達子供に言いたい事があるのに、それを黙らすかのように言わせてくれない・・・。大人は勝手でぼく達子供の気持ちを理解していないんだ・・。大人なんて、そういうものさ」
あまりにも大人の悪口を言う翼に陽菜は驚いた。
「小山くん。なんか、すごいことを言ってるけど・・・?」
翼は険しい表情で陽菜に言った。
「当たり前だ。大人は勝手だ。子供の話をろくに聞こうとしない。勝手な生き物なんだ。大人なんて」
翼が手を強く握って怒りをこみあげていた。怒りの声を聞いて翼に何かあったのかと陽菜は思った。
「小山くんの身に何かあったの?」
それを聞かれ翼はため息をして話した。
「実は、ぼくがこの調布に来て叔父さんと一緒にいるのは、うちのバカ両親が家庭裁判を受けているからなんだ。その家庭裁判が終わって決着がつくまで、ぼくは叔父さんに預かってもらっているんだ。だから、ぼくは、お母さんとお父さんに嫌厭をしているんだ。電話やLINEするぐらいなら、叔父さんと一緒に住んだ方がマシだ」
「そうなんだ・・。大変ね」
「君だって」
「ふふ。でも、小山くんには山崎先生がいるでしょ?山崎先生は大人だから嫌じゃないの?」
「別に嫌じゃないよ。あんな親と比べれば叔父さんの方が一番良い。ぼく、叔父さんのこと、好きだから」
「そうなんだ。なんか、羨ましい。小山くんが山崎先生と一緒にいるなんて」
「そうかい?」
「そうよ」
二人は笑い合った。陽菜は一反木綿のベンチから降りた。
「さて、そろそろ帰らなくちゃ。お母さんが心配している。」
「そっか。君のお母さんにどこへ行くのか教えてないんだよね?」
「うん。本当は家に帰りたくないけど、自分が帰れる場所は家(うち)しかないから」
(帰れる場所・・・。)
翼は心の中で呟いた。翼の帰れる場所は、辰巳の家。でも、それは預けてもらっている身だから違うのだ。本当の帰れる場所は、家がある熊谷の方だ。しかし、翼は熊谷にある自分の家は好きではない。なぜなら、あそこは両親が喧嘩をしている所でもあり重い空気が充満しているからだ。あんな所へ帰ったらまた息苦しい生活に逆戻りになってしまう。翼は強制的に帰れる場所は辰巳の家だと塗り替えた。辰巳の家はそんなに重い空気はしないし喧嘩もなく暗い暮らしはない。自分の両親と離れて良かったと思うぐらいだ。
「よかったら、君の家まで送ってあげるよ」
「いいよ。一人で帰れるから」
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう」
陽菜は頷いた。翼は一反木綿のベンチを降りて陽菜と一緒に鬼太郎ひろばを出た。
そして、翼は途中まで一緒に帰った陽菜と別れ、走り去った一つ目小僧が布多天神社にいるか捜してみたが、一つ目小僧の姿は全くなかった。翼は家に帰った後、辰巳に今日の出来事を話した。もちろん、陽菜が夏休み明けに引っ越す事は、辰巳には話さなかった。なぜ、話さなかったのか。きっと、陽菜自身が学校に話す機会があるので、違う学校に通っている翼には言う資格は無かったのだ。
インターホンを鳴らした後、翼と一つ目小僧は玄関前で誰か来るのを待っていた。すると、声が聞こえた。その声は女性だった。
「どちら様ですか?」
きっと、翼の姿をインターホンのカメラ映像で見ているみたいだ。
「こんにちは。一昨日、深大寺でお会いました山崎辰巳の甥の小山翼です」
「一昨日会った山崎先生の甥っ子さんですね。ちょっと待っていてくださいね」
そう言い陽菜の母親の声はしなくなった。きっと、通話を切ったのだ。すると、玄関のドアの方からガチャッという鍵を開ける音が聞こえ玄関のドアが開いた。開いたドアから陽菜の母親の姿が見えた。
「こんにちは。花咲さんのお母さん」
翼が笑顔で挨拶すると陽菜のお母さんは笑顔で翼に挨拶をした。
「こんにちは。翼くん。よく、私達の家がここだって分かったわね」
「お、叔父さんが教えてくれたんです」
翼は作り笑いをしながら言った。一つ目小僧から話を聞いたなんて言っても絶対に信じてはくれないだろう。
「あの、陽菜さんはいますか?」
すると、陽菜の母親は笑顔で言った。でも、陽菜の母親の笑顔はどことなく、おかしかった。まるで、わざと笑って誤魔化しているみたいだ。きっと、離婚の事で無理に作り笑いをしているのであろう。
「あっ、陽菜?陽菜は出掛けているわ」
「どこへ行ったんですか?」
「さぁ。知らないわ。ごめんなさいね」
それを聞いた翼は納得したかのように言った。
「いえ。大丈夫です。ぼく、陽菜さんを捜しに行きます」
「ごめんなさいね」
翼は陽菜の母親にお辞儀をして一つ目小僧と走り去った。陽菜の母親は翼の背中を見て笑顔が消え悲しそうな顔になっていた。
翼は腕を組みながら歩いていた。額には汗が流れ太陽の強い光を浴びていた。そのうえ、一つ目小僧は一滴も汗を流していない。妖怪なので夏は平気なのだろうか。翼は歩きながら日差しの下で陽菜はどこにいるのか考えていたが、全く見当はつかなく参っていた。
「一体、花咲さんはどこへ行ったんだ?」
翼は一つ目小僧に訊いた。
「一つ目小僧くん。花咲さんが行きそうな所、知ってる?花咲さんの事、見守っていたんだろ?」
すると、一つ目小僧は迷うことなく言った。
「大体は見当ついている」
「ホント?」
翼は期待をしていた。
「多分、あそこだ。ぼくに付いて来て」
「うん」
翼は一つ目小僧を信じ陽菜がいる所へ向かった。一つ目小僧は翼を引き連れながら自分が思った所へ目指して歩いた。そして、自分の予想が合っている事を祈っていた。長く陽菜を見守ってから彼女が行きそうな所は大体予想はしていた。きっと、一つ目小僧の予想こそが彼女を見つける〝カギ〟となっているのだ。
空は赤くなり夕暮れ時になっていた。
青空に浮かんでいた太陽は沈み、空一面は赤く染まりもうすぐ夜になろうとしていた。調布市になる鬼太郎ひろばにある一反木綿のベンチに座っている陽菜は一人寂しそうに広場で遊んでいた親子が帰って行く姿を見ていた。親と手を繋ぐ子、楽しくお喋りする子、友達と一緒に帰る子、そんな子供達の中、陽菜は一人だけ残っていた。陽菜は寂しそうな顔をしながら俯いていた。そして、彼女の頭から次々と記憶が蘇る。その記憶は、不倫した父親に向かって罵倒し物を投げつけている母親の姿が。陽菜はそんな光景を目の当たりしていて、嫌と言う程、頭の中に染みついていた。そんな記憶が蘇ると陽菜は両手で頭を抑え一反木綿のベンチに乗りながら蹲(うずくま)り声を押し殺しながら泣き始めた。夢であってほしい。そう強く思った。あんなに家に帰りたくないうえ、締め付けるような悲しみを味わった事はない。そう思い一人で頭を抱え蹲(うずくま)り泣き続けていた。そんな中、鬼太郎ひろばにあるゲゲゲハウスの滑り台近くに翼と一つ目小僧の姿が見えていた。一人で蹲(うずくま)る陽菜を見かねた翼は一つ目小僧を見て陽菜の方に指を指した。すると、一つ目小僧は小さく首を振った。そして、一つ目小僧は翼に向かって指を指し先に行けとジェスチャーした。そして、ゆっくり口を動かして「後で行く」と小声で伝えた。
どうやら、一つ目小僧は緊張しているみたいだ。翼は鼻息を洩らし先に陽菜の方へ行った。一つ目小僧はゲゲゲハウスの影に隠れながら様子を見ていた。
「花咲さん」
蹲(うずくま)っていた陽菜はゆっくりと顔を上げた。目を赤くして涙を流しながら陽菜の目の前には翼がいたのだ。翼が目の前にいて気付いたのか陽菜は声を出した。
「あなたは、確か、一昨日の・・・」
翼は頷いた。
「うん。山崎辰巳の甥っ子、翼だよ。・・・・泣いてるの?」
陽菜は自分の腕で涙を拭き笑った顔で心配している翼に言った。
「ちょっとね。でも、もう大丈夫よ」
陽菜は笑った。きっと、無理に笑っている。彼女の母親もわざと誤魔化して笑っていたので、陽菜はきっと、翼に心配させないようわざと笑っているフリをしているのだ。翼は彼女がわざと笑っている事はもう既に分かっていたのだ。
「隣に座ってもいいかな?」
翼は隣座ってもいいのか訊くと陽菜は頷いた。翼は陽菜の隣に座った。
「こんな所にゲゲゲの鬼太郎の広場があったとは知らなかったなぁ。花咲さんはよくここに来るの?」
翼に訊かれ陽菜は頷いた。
「うん。たまにだけどね」
陽菜が答えた後、静かになった。二人は何も話さずただ黙りこくりながら座っていた。翼は鬼太郎ひろばの周りを見渡していた。陽菜は下を見ていた。
二人が黙り始めてから10分経過した頃、翼は口を開いた。
「お昼ぐらいの時、君の家に行ったんだ」
それを聞き陽菜は反応し翼の方を見た。
「君の両親、離婚するんだって?」
それを聞いた陽菜は自分と自分の両親しか知らない事を翼が知っているのを見て驚いた。
「な、なんで、君が知ってるの?もしかして、お母さんが?」
翼は首を振った。
「いや。違うよ」
「じゃあ、誰から?」
「君を見守っていた人からだよ」
「えっ?」
「実は、ぼく、君を捜していたんだ。どうしても合わせたい人、いや、妖怪かな?」
陽菜は翼の言葉を聞いて何を言っているか分からなかった。
「よう・・かい?」
翼は頷いた。
「その妖怪は君のことをずっと見守っていたんだ。花咲さんが学校へ行く時も家にいる時も出掛ける時も。大丈夫。その妖怪は悪い奴じゃないんだ」
陽菜は何を言っているのか分からない表情をしていた。
「まぁ、信じられないよね。この世に妖怪なんている訳ないもんな。でも、僕はその妖怪の姿が見えるんだ」
「もしかして、見えない世界のこと・・・?」
それを聞いた翼は反応した。
「知っているのかい?」
「前に山崎先生から聞いた事があるの。「僕は、見えない世界が見えるんだ」って・・。妖怪も幽霊も見えるって・・」
「そう。ぼくも妖怪と幽霊が見えるんだ。ぼくと会って君を見守っていた妖怪は、君と友達になりたくて一緒に君を捜していたんだ。出ておいで!」
翼はゲゲゲハウスの影に隠れている一つ目小僧に声をかけた。陽菜は翼が呼んだゲゲゲハウスの方を見た。
すると、身を隠していた一つ目小僧が姿を見せた。翼は陽菜の反応を見た。
「どうだい?見えるかい?ぼく達の目の前に一つ目小僧っていう妖怪がいる。彼こそが、君を見守っていた妖怪だよ」
一つ目小僧は頬を赤くしながら二人の方へ向かった。二人の目の前に着いた一つ目小僧は被っていた笠を外した。これで、一つ目小僧の目的が果たされる。後は、一つ目小僧と友達になってくれるかどうか、彼女の答えを聞くだけだ。
「一つ目小僧くんは、前から君と友達になりたがっていたんだ。君の両親が離婚する事をぼくに教えてくれたのも一つ目小僧くんなんだ。やり方は、ストーカーみたいな事をしていたけど、毎日、君を見守り続けていたんだ。君が引っ越す前に一つ目小僧くんに一目会わせたくて彼と一緒に花咲さんの事を捜していたのさ」
一つ目小僧は、頬を赤く染めながら目の前にいる陽菜に言った。
「ひ、陽菜ちゃん。初めまして。ぼ、ぼぼ、ぼく、一つ目小僧と言います。君の事は、前から見ていたんだ。ど、どうしても、君と友達になりたくて翼に協力してもらい、こ、こうして君と会えたんだ」
一つ目小僧の声は少し緊張しているのか声がぎこちなかった。でも、こうして陽菜と真正面で会える事ができて心の奥底から喜んでいた。翼は緊張している一つ目小僧を見て笑いそうになったが、笑ったら頑張っている一つ目小僧に悪い気もしていた。でも、これで陽菜からOKを貰えば一件落着になる。
すると、陽菜が口を動かし始めた。
「あの・・小山くん」
「ん?」
陽菜は翼の方を見た。
「どこに、一つ目小僧くんがいるの?」
「えっ?」
それを聞いた翼は言った。
「どこって、ぼく達の目の間に・・・・」
陽菜はもう一度、目の前を見た。目の前に一つ目小僧がいるのは確かだ。翼はちゃんと見えている。ちゃんと、一つ目小僧が陽菜に話している所はちゃんと見えているし声も聞こえる。でも、陽菜の言葉に翼は嫌な予感がした。
「目の前にいるって言われても・・・目の前にはいないよ?」
それを聞いた翼と一つ目小僧は一瞬、体が固まった。笑顔だった表情から呆気にとられる表情をしていた。なんと、陽菜は一つ目小僧の姿が見ていなかったのだ。陽菜から見ると翼は独り言を言っている姿しか見えていなかったのだ。もしかすると、陽菜は一つ目小僧の姿は見えないかもしれないと思っていたのだが、まさか、本当に陽菜は一つ目小僧の姿が見えないと知り呆気にとられていた。それどころか、呆気にとられるより一つ目小僧の方がショックが大きいはずだ。覚悟はしていたとはいえ、本当に自分の姿が見えないと知った一つ目小僧は言葉を失っていた。
「本当にわたしの目の前に一つ目小僧くんがいるの?」
陽菜は確認するかのように訊かれたので翼は頷いた。
「そうだよ」
それしか答えられなかった。一つ目小僧の姿が見えない以上、何を言っても彼女には通じない。一つ目小僧には悪いが、現実を受け止めるしかない。世の中には、見えない世界が見える人と見えない人がいるのだから、仕方がない事だ。
「やっぱり、見えない」
陽菜は呟いた。それを聞いて翼と一つ目小僧は息詰まった。特に、翼の方が一番息詰まる。見えない世界が見える翼が全く見えない世界が見えない陽菜に対して目の前に一つ目小僧がいるとか、陽菜の両親が離婚する事になっている話は一つ目小僧から聞いたとか言ったので、もしかすると、彼女は自分をからかっているのではないかと思っているに違いない。そして、翼の事を変な人だと見られているに違いないし、嘘をついた事を怒っているのかもしれない。そう思うと翼は自分が恥ずかしくなった。だって、一つ目小僧が見えない陽菜におかしな事を話したのだから。翼は陽菜に何て言われるか怖くなった。一つ目小僧は笠を被ると真っ先に走り去ってしまった。翼は走り去った一つ目小僧を止めようとしたが、止められなかった。また、彼女にまた余計に変な子だと思われてしまうから。翼は彼女になんと話せばいいのか分からなく混乱していた。もう、彼女に合わせる顔がないと翼は恥ずかしさと彼女が何と発言するかの怖さを持ちながら陽菜が出す言葉を待っていた。陽菜がどんな言葉を出すのかそれが分かるまで、翼の体は動けなかった。聞きたくない。でも、聞きたい。そんなあやふやな思いが募り陽菜と別れる事はできなかった。
「・・・・見たかったなぁ」
「えっ?」
陽菜の一言に翼は反応した。
見たかった。確かにそう聞こえた。
「山崎先生も小山くんも見えない世界が見えるなんて、羨ましいよ。わたしは全然見えない」
「そんなに、羨ましいの?」
陽菜は笑みを浮かべながら頷いた。
「うん。だって、見えない世界が見えたら妖怪や幽霊はもちろん、見えない世界だけしか体験できない冒険だってあるはずだもん。だから、見えない世界が見える山崎先生と小山くんが羨ましい」
意外な言葉だった。てっきり、翼の事を変な子扱いされ怒らせたのではと思っていたが、彼女から怒りと疑う様子が全くなかった。
「それに、わたし。こう見えても妖怪や幽霊はいるって信じているのよ。小山くんは、妖怪と幽霊がこの世にいるって信じていたから見えたんでしょ?」
「い、いや・・ぼくは別に・・・」
翼の時は、急に見えない世界の妖怪と幽霊が見えたのだ。最初は決して妖怪と幽霊は信じていなかった。
「その一つ目小僧くん・・。わたしのお母さんがお父さんと離婚する事を知ってたんだ・・・」
陽菜は顔を見上げながら言った。空はもう暗くなり始めた。
「お母さんが離婚する理由は、お父さんが別の女の人と不倫したの。それで、離婚する事にしたんだって」
「・・・知ってる。一つ目小僧くんから聞いた」
翼は陽菜の両親が離婚する理由は一つ目小僧から聞いた事を教えた。
「そうなんだ。じゃあ、わたしがいつ引っ越すことも知ってる?」
翼は首を振った。
「わたし、この夏休みが終わったら、お母さんの故郷へ引っ越すの」
陽菜は笑みを浮かべながら翼を見て言った。離婚なのになぜ笑みを浮かべられるのか翼には理解できなかった。でも、変な目で見られていないし怒ってはいないのでホッとした。
「お父さんが不倫なんかしちゃったから、仕方がないけどね。悪いのは、お父さんだもん」
「夏休みが終わるまで、お父さんはいるの?」
「うん」
「なんか、お父さんの方が気まずい感じになるね」
「でしょ?」
陽菜は笑った。でも、どことなく悲しそうな面影も見えた。
「それに、わたしが話してもなんにも聞いてはくれない。仕方がないよね。わたし、まだ子供だし、大人の話に割り込むことはできないから・・・・」
それを聞いた翼は少し怒りが混みあがっていた。
「子供にも意見を言う権利はあるよ・・。大人は勝手で勝手に話を進めるクソなんだ・・。ぼく達子供に言いたい事があるのに、それを黙らすかのように言わせてくれない・・・。大人は勝手でぼく達子供の気持ちを理解していないんだ・・。大人なんて、そういうものさ」
あまりにも大人の悪口を言う翼に陽菜は驚いた。
「小山くん。なんか、すごいことを言ってるけど・・・?」
翼は険しい表情で陽菜に言った。
「当たり前だ。大人は勝手だ。子供の話をろくに聞こうとしない。勝手な生き物なんだ。大人なんて」
翼が手を強く握って怒りをこみあげていた。怒りの声を聞いて翼に何かあったのかと陽菜は思った。
「小山くんの身に何かあったの?」
それを聞かれ翼はため息をして話した。
「実は、ぼくがこの調布に来て叔父さんと一緒にいるのは、うちのバカ両親が家庭裁判を受けているからなんだ。その家庭裁判が終わって決着がつくまで、ぼくは叔父さんに預かってもらっているんだ。だから、ぼくは、お母さんとお父さんに嫌厭をしているんだ。電話やLINEするぐらいなら、叔父さんと一緒に住んだ方がマシだ」
「そうなんだ・・。大変ね」
「君だって」
「ふふ。でも、小山くんには山崎先生がいるでしょ?山崎先生は大人だから嫌じゃないの?」
「別に嫌じゃないよ。あんな親と比べれば叔父さんの方が一番良い。ぼく、叔父さんのこと、好きだから」
「そうなんだ。なんか、羨ましい。小山くんが山崎先生と一緒にいるなんて」
「そうかい?」
「そうよ」
二人は笑い合った。陽菜は一反木綿のベンチから降りた。
「さて、そろそろ帰らなくちゃ。お母さんが心配している。」
「そっか。君のお母さんにどこへ行くのか教えてないんだよね?」
「うん。本当は家に帰りたくないけど、自分が帰れる場所は家(うち)しかないから」
(帰れる場所・・・。)
翼は心の中で呟いた。翼の帰れる場所は、辰巳の家。でも、それは預けてもらっている身だから違うのだ。本当の帰れる場所は、家がある熊谷の方だ。しかし、翼は熊谷にある自分の家は好きではない。なぜなら、あそこは両親が喧嘩をしている所でもあり重い空気が充満しているからだ。あんな所へ帰ったらまた息苦しい生活に逆戻りになってしまう。翼は強制的に帰れる場所は辰巳の家だと塗り替えた。辰巳の家はそんなに重い空気はしないし喧嘩もなく暗い暮らしはない。自分の両親と離れて良かったと思うぐらいだ。
「よかったら、君の家まで送ってあげるよ」
「いいよ。一人で帰れるから」
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう」
陽菜は頷いた。翼は一反木綿のベンチを降りて陽菜と一緒に鬼太郎ひろばを出た。
そして、翼は途中まで一緒に帰った陽菜と別れ、走り去った一つ目小僧が布多天神社にいるか捜してみたが、一つ目小僧の姿は全くなかった。翼は家に帰った後、辰巳に今日の出来事を話した。もちろん、陽菜が夏休み明けに引っ越す事は、辰巳には話さなかった。なぜ、話さなかったのか。きっと、陽菜自身が学校に話す機会があるので、違う学校に通っている翼には言う資格は無かったのだ。
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