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最終話
さようなら 調布
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天童悪鬼丸との戦いが終わり翼を連れて無事、現世に帰って来てから二週間が経った。
調布市は今も変わらず高気温で夏が続いている。しかし、8月がそろそろ終わる頃になっていた。
辰巳と翼はあの後、元の体に戻り復活したのだ。辰巳は高徳和尚の離体浮遊の儀式で魂になったが、翼は天童悪鬼丸の仕業で魂と攫われたせいで緊急入院した為、三日間だけ短期入院した。退院後、今はもうケロッとしていて元気に夏休みを過ごしていた。それから、一週間経ったある日、辰巳のスマホから翼の母親である姉 恵から連絡が着たのだ。家庭裁判で戦っていた旦那とは決着がついたとの連絡だった。そして、父親か母親のどちらと一緒に暮すか息子である翼が決める為、翼は辰巳と一緒に家庭裁判所へ行った。
翼と辰巳が家庭裁判所へ行ってから四日後。
もうすぐ、翼が通っている小学校が始まるという事で翼は自分が持って来ていた荷物を整理しながら片付けていた。翼の夏休みはもうそろそろ終わり調布市と辰巳とは今日でお別れをするのだ。翼が初めて調布に来てから不思議な事がたくさんあった。急に見えない世界が見えて妖怪や幽霊が見えるし、一つ目小僧や花子さん達と友達になったり、商品祭へ行って楽しんだり、天童悪鬼丸の部下に攫われあの世へ連れて行かれたり、辰巳と天童悪鬼丸から逃げたり、今年の夏休みはいろんな事が起こり過ぎて大変だった。でも、彼なりに楽しかったみたいだ。それに、辰巳と出掛けたり、一緒にご飯を食べたり、夏休みの宿題を見てくれたり教えてくれたりして調布に来て良かったと翼は思っていた。翼は夏休みで過ごした思い出を胸の中にしまいながらもまた、調布に来たいと思うようにもなった。辰巳と一緒にいる時間はとても楽しかったはず。きっと、辰巳も翼と一緒に過ごした時間が楽しかったに違いない。辰巳は、翼が片付け終わるまでテーブルの椅子に座って待っていた。テレビには、お昼のバラエティー番組が流れていて今は番組コーナーが映っている。翼の親は、昼の13時には迎えに来るとの連絡が着ていたので翼は自分の荷物をリュックやトランクケースに入れていた。トランクケースとリュックには、たった一ヶ月の夏休み間だけの思い出が詰まっている。翼はその思い出をリュックとトランクケースに詰め込んでいる。
片付けが終わった翼はリュックを背負いトランクケースを持って辰巳の家を出た。辰巳と一緒に親と迎えに来る集合場所へと向かい始めた。集合場所へ行く時は、車ではなく歩きで行くのだ。外はまだ暑く太陽の光も強い。でも、空は青くて雲一つもない快晴日和だった。翼はトランクケースを引きながら見納めとなる調布市の光景を見た。翼が歩道を歩いていると、辰巳と一緒に夜の学校へ行き蛙男を懲らしめた記憶を思い出す。そして、布多天神社や天神通り商店街へ行く時もよくこの歩道を通った。そして、昼にも関わらず妖怪の姿も見える。ここ調布市は妖気や霊気が満ちている町と見えない世界が見える人達がそう呼んでいる。または、映画の町としても知られている。次はいつ、ここ調布へ遊びに行けるかまだ分からない。でも、去年の夏辺りには遊びに行きたいと翼は思った。
もうすぐ、目的地に着く。二人は目的地を目指して歩いている途中、翼はある場所を見た。それは、天神通り商店街だった。翼は天神通り商店街を見て辰巳に声をかけた。
「叔父さん。駅へ行く前に布多天神社へ寄ってもいい?」
翼は調布を離れる前に布多天神社へ行きたいと思ったのだ。
「いいよ。」
辰巳は頷き二人は天神通り商店街へ通じる横断歩道を渡った。
二人は布多天神社に着いた。
布多天神社の石鳥居を潜った時、セミの鳴き声はあちこち聞こえてはいたが、中には地面に転がって全く動かないセミもいた。
翼は布多天神社の前でリュックを下ろし中から財布を出して100円玉を取った。
「叔父さんもお参りしよう」
そう誘われた辰巳はズボンポケットからコインケースを取り出し100円玉を手に取った。そして、二人は100円玉を賽銭箱へ投げ入れ一礼二拍手しお願い事をした。願い事を終えると一礼した。
「叔父さん。何て、お願いしたの?」
お参りを終えた翼が笑顔で何をお願いしたのか辰巳に訊いた。
「内緒。翼くんは?」
逆に辰巳は翼にどんなお願いをしたのか訊くと翼は微笑んで「ないしょ」と言った。お互いどんなお願いをしたのか、全く教えはしなかったが布多天神社でお願いした内容は自分の心の中にしまう事にしていた。
「あの石鳥居を潜ると布多天夜市がやっていて、ここに来ると商品祭へ行ける五芒星の立て札があったんだよね」
翼は商品祭と布多天夜市がここで行っていた事を思い返して言った。商品祭と布多天夜市の話をしていた翼は笑っていた。
「そして、ここで一つ目小僧くんにも会った」
次に翼が思い返したのは、一つ目小僧だ。最初は深大寺の参道で出会い次の日に布多天神社にあるベンチで会ったのだ。一つ目小僧は人間の少女 花咲陽菜に一目惚れしたきっかけで翼と友達になった。最後に一つ目小僧と再会したのもここ布多天神社である。翼が自分の家がある埼玉の熊谷へ帰る事になったと聞いた時、一つ目小僧は寂しい表情をして残念がってはいたが、またいつか会おうと約束した。
「叔父さん」
「ん?」
翼は辰巳の方を見た。
「ぼく、今回の夏休みは楽しかった。叔父さんと蛙男退治しに夜の学校へ行ったり、深大寺へ行って一緒にお蕎麦食べたり、一緒に夏休みの自由研究やったりして・・。天童悪鬼丸に攫われた時は、めちゃくちゃ大変だったけど、ぼくにとっていい思い出になったよ。この夏休みの間、ぼくを叔父さん家に泊まらせてくれてありがとう」
翼は感謝の意を込めて辰巳にお礼を言った。辰巳が翼を預ける事を引き受けてくれなかったら今回みたいな夏休みは過ごせなかったはず。辰巳は翼からの感謝の言葉を聞いて嬉しかった。そして、辰巳は笑顔で「おう」と返事をした。
布多天神社でお参りを終えた二人は調布駅がある広場に着いた。調布駅の地下鉄駅で翼の親と待ち合わせをしているのだ。
二人は調布駅地下改札への階段を降りた。辰巳は思いトランクケースを持って階段を降りたのだ。階段を降り終えると辰巳はトランクケースを翼に返し改札口の方を見た。改札口には、スマホを弄っている母親の姿が見えた。
「姉ちゃん」
辰巳は姉の恵に声をかけた。すると、恵は辰巳の声に気付きこちらを見た。
「よっ」
恵は片手を挙げて挨拶をした。
翼は自分の母親の方へ近づくと恵は翼の方を見た。
「翼。随分待たせてごめんね。お母さんがいなくて寂しかったでしょ?」
恵は家庭裁判で離婚の手続きが長く翼を寂しい思いをさせた事を申し訳なく思っていた。しかし、翼は首を振った。
「ううん。全然。1ミリも寂しくなかった」
「そう・・・・」
恵は翼が寂しかったとか言って自分の胸に飛び込むのではないかと期待していた。しかし、翼は全く表情を変えず母親がいなかった事に全く淋しさを感じなかった事を本人の前で即答した。それを知った恵は少し残念がっていた。
「むしろ、叔父さん家でずっと住みたいぐらい楽しかった」
翼が付け加えて言うと恵は「そっか」と苦笑いをした。
四日前の家庭裁判の時、翼は父親ではなく母親を選んだのだ。その理由は、自分の家がある熊谷を離れたくなかったからだ。選ばれなかった父親の方は、恵と翼と暮らした熊谷を離れ故郷へ帰る事になっていた。母親を選んだ理由は単純だったが住み慣れた熊谷で母親二人と暮らし続ける事が翼にとって都合が良いと考えていたのだろう。
恵は辰巳に訊いた。
「辰巳。ありがとね。翼を預けてくれて」
「うん。こっちも翼くんと一緒に過ごして楽しかったよ」
辰巳は微笑みながら言った。恵は辰巳の微笑んでいる顔を見て安心したのか辰巳に翼を預けて正解だったと思った。最初は恵と父親を嫌厭していて会いたくないと強く言っていた翼だが前とは違って今は笑っている姿が見える。
「さて、そろそろ行こうか」
恵は翼の方を見て言った。
「うん」
翼は頷いた。
恵と翼は改札口を通る前に辰巳に最後の挨拶をした。
「辰巳。一ヶ月間、息子がお世話になったね。ありがとう」
辰巳は頷いた。
「うん。また、何か困った時とかあったら、いつでも連絡して」
「わかった。」
恵と話しを終えた辰巳は翼の方を見た。そして、自分の手を翼の頭に優しく置いた。
「翼くん。また、来年の夏休みか冬休み、遊びにおいで。いつでも待っているから」
「うん」
「それと、ちゃんとお母さんの言うことを聞いて良い子になるんだぞ」
「うん」
翼が返事をした後、辰巳は翼の頭を軽くポンポンした。辰巳が翼に頭をポンポンした後、恵が「行こう」と翼に話しかけた。翼は頷き辰巳に手を振った。
「ばいばい」
「じゃあね」
辰巳も翼に手を振った。そして、翼は恵と一緒に改札口を通り地下鉄の駅ホームへと歩いた。辰巳は両手で腰を付けながら二人を見送っていると翼がこちらを振り向き満面な笑みでまた手を振った。辰巳は再び手を振っている翼に自分も手を振り返した。翼が手を振った後、今度こそ恵と一緒に地下鉄の駅ホームへと降りて行ったのだ。
二人を見送った辰巳は後ろへ振り向いて歩き始め地上への階段を上った。
調布市は今も変わらず高気温で夏が続いている。しかし、8月がそろそろ終わる頃になっていた。
辰巳と翼はあの後、元の体に戻り復活したのだ。辰巳は高徳和尚の離体浮遊の儀式で魂になったが、翼は天童悪鬼丸の仕業で魂と攫われたせいで緊急入院した為、三日間だけ短期入院した。退院後、今はもうケロッとしていて元気に夏休みを過ごしていた。それから、一週間経ったある日、辰巳のスマホから翼の母親である姉 恵から連絡が着たのだ。家庭裁判で戦っていた旦那とは決着がついたとの連絡だった。そして、父親か母親のどちらと一緒に暮すか息子である翼が決める為、翼は辰巳と一緒に家庭裁判所へ行った。
翼と辰巳が家庭裁判所へ行ってから四日後。
もうすぐ、翼が通っている小学校が始まるという事で翼は自分が持って来ていた荷物を整理しながら片付けていた。翼の夏休みはもうそろそろ終わり調布市と辰巳とは今日でお別れをするのだ。翼が初めて調布に来てから不思議な事がたくさんあった。急に見えない世界が見えて妖怪や幽霊が見えるし、一つ目小僧や花子さん達と友達になったり、商品祭へ行って楽しんだり、天童悪鬼丸の部下に攫われあの世へ連れて行かれたり、辰巳と天童悪鬼丸から逃げたり、今年の夏休みはいろんな事が起こり過ぎて大変だった。でも、彼なりに楽しかったみたいだ。それに、辰巳と出掛けたり、一緒にご飯を食べたり、夏休みの宿題を見てくれたり教えてくれたりして調布に来て良かったと翼は思っていた。翼は夏休みで過ごした思い出を胸の中にしまいながらもまた、調布に来たいと思うようにもなった。辰巳と一緒にいる時間はとても楽しかったはず。きっと、辰巳も翼と一緒に過ごした時間が楽しかったに違いない。辰巳は、翼が片付け終わるまでテーブルの椅子に座って待っていた。テレビには、お昼のバラエティー番組が流れていて今は番組コーナーが映っている。翼の親は、昼の13時には迎えに来るとの連絡が着ていたので翼は自分の荷物をリュックやトランクケースに入れていた。トランクケースとリュックには、たった一ヶ月の夏休み間だけの思い出が詰まっている。翼はその思い出をリュックとトランクケースに詰め込んでいる。
片付けが終わった翼はリュックを背負いトランクケースを持って辰巳の家を出た。辰巳と一緒に親と迎えに来る集合場所へと向かい始めた。集合場所へ行く時は、車ではなく歩きで行くのだ。外はまだ暑く太陽の光も強い。でも、空は青くて雲一つもない快晴日和だった。翼はトランクケースを引きながら見納めとなる調布市の光景を見た。翼が歩道を歩いていると、辰巳と一緒に夜の学校へ行き蛙男を懲らしめた記憶を思い出す。そして、布多天神社や天神通り商店街へ行く時もよくこの歩道を通った。そして、昼にも関わらず妖怪の姿も見える。ここ調布市は妖気や霊気が満ちている町と見えない世界が見える人達がそう呼んでいる。または、映画の町としても知られている。次はいつ、ここ調布へ遊びに行けるかまだ分からない。でも、去年の夏辺りには遊びに行きたいと翼は思った。
もうすぐ、目的地に着く。二人は目的地を目指して歩いている途中、翼はある場所を見た。それは、天神通り商店街だった。翼は天神通り商店街を見て辰巳に声をかけた。
「叔父さん。駅へ行く前に布多天神社へ寄ってもいい?」
翼は調布を離れる前に布多天神社へ行きたいと思ったのだ。
「いいよ。」
辰巳は頷き二人は天神通り商店街へ通じる横断歩道を渡った。
二人は布多天神社に着いた。
布多天神社の石鳥居を潜った時、セミの鳴き声はあちこち聞こえてはいたが、中には地面に転がって全く動かないセミもいた。
翼は布多天神社の前でリュックを下ろし中から財布を出して100円玉を取った。
「叔父さんもお参りしよう」
そう誘われた辰巳はズボンポケットからコインケースを取り出し100円玉を手に取った。そして、二人は100円玉を賽銭箱へ投げ入れ一礼二拍手しお願い事をした。願い事を終えると一礼した。
「叔父さん。何て、お願いしたの?」
お参りを終えた翼が笑顔で何をお願いしたのか辰巳に訊いた。
「内緒。翼くんは?」
逆に辰巳は翼にどんなお願いをしたのか訊くと翼は微笑んで「ないしょ」と言った。お互いどんなお願いをしたのか、全く教えはしなかったが布多天神社でお願いした内容は自分の心の中にしまう事にしていた。
「あの石鳥居を潜ると布多天夜市がやっていて、ここに来ると商品祭へ行ける五芒星の立て札があったんだよね」
翼は商品祭と布多天夜市がここで行っていた事を思い返して言った。商品祭と布多天夜市の話をしていた翼は笑っていた。
「そして、ここで一つ目小僧くんにも会った」
次に翼が思い返したのは、一つ目小僧だ。最初は深大寺の参道で出会い次の日に布多天神社にあるベンチで会ったのだ。一つ目小僧は人間の少女 花咲陽菜に一目惚れしたきっかけで翼と友達になった。最後に一つ目小僧と再会したのもここ布多天神社である。翼が自分の家がある埼玉の熊谷へ帰る事になったと聞いた時、一つ目小僧は寂しい表情をして残念がってはいたが、またいつか会おうと約束した。
「叔父さん」
「ん?」
翼は辰巳の方を見た。
「ぼく、今回の夏休みは楽しかった。叔父さんと蛙男退治しに夜の学校へ行ったり、深大寺へ行って一緒にお蕎麦食べたり、一緒に夏休みの自由研究やったりして・・。天童悪鬼丸に攫われた時は、めちゃくちゃ大変だったけど、ぼくにとっていい思い出になったよ。この夏休みの間、ぼくを叔父さん家に泊まらせてくれてありがとう」
翼は感謝の意を込めて辰巳にお礼を言った。辰巳が翼を預ける事を引き受けてくれなかったら今回みたいな夏休みは過ごせなかったはず。辰巳は翼からの感謝の言葉を聞いて嬉しかった。そして、辰巳は笑顔で「おう」と返事をした。
布多天神社でお参りを終えた二人は調布駅がある広場に着いた。調布駅の地下鉄駅で翼の親と待ち合わせをしているのだ。
二人は調布駅地下改札への階段を降りた。辰巳は思いトランクケースを持って階段を降りたのだ。階段を降り終えると辰巳はトランクケースを翼に返し改札口の方を見た。改札口には、スマホを弄っている母親の姿が見えた。
「姉ちゃん」
辰巳は姉の恵に声をかけた。すると、恵は辰巳の声に気付きこちらを見た。
「よっ」
恵は片手を挙げて挨拶をした。
翼は自分の母親の方へ近づくと恵は翼の方を見た。
「翼。随分待たせてごめんね。お母さんがいなくて寂しかったでしょ?」
恵は家庭裁判で離婚の手続きが長く翼を寂しい思いをさせた事を申し訳なく思っていた。しかし、翼は首を振った。
「ううん。全然。1ミリも寂しくなかった」
「そう・・・・」
恵は翼が寂しかったとか言って自分の胸に飛び込むのではないかと期待していた。しかし、翼は全く表情を変えず母親がいなかった事に全く淋しさを感じなかった事を本人の前で即答した。それを知った恵は少し残念がっていた。
「むしろ、叔父さん家でずっと住みたいぐらい楽しかった」
翼が付け加えて言うと恵は「そっか」と苦笑いをした。
四日前の家庭裁判の時、翼は父親ではなく母親を選んだのだ。その理由は、自分の家がある熊谷を離れたくなかったからだ。選ばれなかった父親の方は、恵と翼と暮らした熊谷を離れ故郷へ帰る事になっていた。母親を選んだ理由は単純だったが住み慣れた熊谷で母親二人と暮らし続ける事が翼にとって都合が良いと考えていたのだろう。
恵は辰巳に訊いた。
「辰巳。ありがとね。翼を預けてくれて」
「うん。こっちも翼くんと一緒に過ごして楽しかったよ」
辰巳は微笑みながら言った。恵は辰巳の微笑んでいる顔を見て安心したのか辰巳に翼を預けて正解だったと思った。最初は恵と父親を嫌厭していて会いたくないと強く言っていた翼だが前とは違って今は笑っている姿が見える。
「さて、そろそろ行こうか」
恵は翼の方を見て言った。
「うん」
翼は頷いた。
恵と翼は改札口を通る前に辰巳に最後の挨拶をした。
「辰巳。一ヶ月間、息子がお世話になったね。ありがとう」
辰巳は頷いた。
「うん。また、何か困った時とかあったら、いつでも連絡して」
「わかった。」
恵と話しを終えた辰巳は翼の方を見た。そして、自分の手を翼の頭に優しく置いた。
「翼くん。また、来年の夏休みか冬休み、遊びにおいで。いつでも待っているから」
「うん」
「それと、ちゃんとお母さんの言うことを聞いて良い子になるんだぞ」
「うん」
翼が返事をした後、辰巳は翼の頭を軽くポンポンした。辰巳が翼に頭をポンポンした後、恵が「行こう」と翼に話しかけた。翼は頷き辰巳に手を振った。
「ばいばい」
「じゃあね」
辰巳も翼に手を振った。そして、翼は恵と一緒に改札口を通り地下鉄の駅ホームへと歩いた。辰巳は両手で腰を付けながら二人を見送っていると翼がこちらを振り向き満面な笑みでまた手を振った。辰巳は再び手を振っている翼に自分も手を振り返した。翼が手を振った後、今度こそ恵と一緒に地下鉄の駅ホームへと降りて行ったのだ。
二人を見送った辰巳は後ろへ振り向いて歩き始め地上への階段を上った。
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