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「へえ! そうなんだね。そういえばあんまりエアリ族について聞いた事がなかったけどどういう感じなの?」
「ふむ。普通だ」
「普通?」
「人間界とそう変わらないと思う。ただ高層ビルのような物は好まないからそういう建物は多くないだろう」
「ふうん。仕事があるから、住むのは難しそうだけど観光はしてみたいかなあ」
「そうか?」
「うん」
「あまり気が進まないが……」
「なんで?」
「『なんで』って、風芽、三つ目爺に襲われたのを忘れたのか?」
「あ……」
いやな思い出が頭に浮かび頬や背中に冷や汗が流れた。
「異世界には三つ目爺だけじゃなく、色んな生き物がいるんだ。風芽を危ない目に遭わせたくないからな。だからあまり気は進まない…」
「そっか。じゃあ、エアリ族の住処だけでも機会があったらいいかな?」
「……」
右手に箸を持ったままフリーズして思案しているヴィフレアをよそに僕は残りの天ぷらを食う。……美味い!
「……まあ、機会があれば…な……」
一瞬、眉宇に翳を作ったヴィフレアはまた瞬時に穏やかな表情に戻り、今度は刺身に舌鼓を打っていた。
「……美味しい」
「うん、刺身も美味しいよね」
天ぷらを食べた後に、一通りそれぞれの皿の品を一周した。
「この炊き合わせも美味しかったよ」
「ふむ。どれ――」
――そうして僕らはイチャイチャお喋りしながら食事を済ませた。
*****
「ふむ。普通だ」
「普通?」
「人間界とそう変わらないと思う。ただ高層ビルのような物は好まないからそういう建物は多くないだろう」
「ふうん。仕事があるから、住むのは難しそうだけど観光はしてみたいかなあ」
「そうか?」
「うん」
「あまり気が進まないが……」
「なんで?」
「『なんで』って、風芽、三つ目爺に襲われたのを忘れたのか?」
「あ……」
いやな思い出が頭に浮かび頬や背中に冷や汗が流れた。
「異世界には三つ目爺だけじゃなく、色んな生き物がいるんだ。風芽を危ない目に遭わせたくないからな。だからあまり気は進まない…」
「そっか。じゃあ、エアリ族の住処だけでも機会があったらいいかな?」
「……」
右手に箸を持ったままフリーズして思案しているヴィフレアをよそに僕は残りの天ぷらを食う。……美味い!
「……まあ、機会があれば…な……」
一瞬、眉宇に翳を作ったヴィフレアはまた瞬時に穏やかな表情に戻り、今度は刺身に舌鼓を打っていた。
「……美味しい」
「うん、刺身も美味しいよね」
天ぷらを食べた後に、一通りそれぞれの皿の品を一周した。
「この炊き合わせも美味しかったよ」
「ふむ。どれ――」
――そうして僕らはイチャイチャお喋りしながら食事を済ませた。
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