生贄から始まるアラフォー男の異世界転生。

紺野たくみ

文字の大きさ
8 / 28
第1章 幼年期からの始まり

その3 雨の龍神さま、カエルになる

しおりを挟む

                3

 おれの目の前には、人間ほどもある巨大なカエルがいた。

 表皮の体色はウルトラマリンブルー。
 世界で一番大きいカエルは、ゴライアスというやつだったかな。
 それでもネコや新生児くらいの大きさのはず……って、なんでおれは自分自身についての記憶もないくせに役に立ちそうもない知識はハンパに持っているんだ!?

 真っ青なカエルは、言った。
『はてさて。ボケナス従者。おまえは《名付け》の才があるようじゃの』
 にやりと笑っているのが伝わってくる。

『正確には《名開かし》と言うべきか。わし自身でさえ気づかなかったことじゃが、どうやらこのボディが持っている変身機能で、竜や人間以外にも変身可能だったようじゃわい』

「もしかして、おれが言ったことがきっかけ?」

『そうじゃ。面白き童よ』
 そして次にカエルは飛び上がり、空中で一回転して降りてくると、再び、青い髪をした美形青年の姿になった。
 真っ青な髪かぁ。
 人間にはいなかったけど、鳥なら青い鳥とかいたし、ありか?

『では我が住処に行こう。ときに、童よ。名前はなんという』

「ティトゥ」

『ふむ。その名は身についておらぬな。今日限りで捨てよ。依童(よりわら)、人身御供、呼び方は違えど、おぬしは、仮の身体を現世に置き去りにするのだ』

「え?」

『我が亜空間に住まうためには、いったん死なねばならぬ』

「ちょっ……待て、なんで」

『その亡骸は現し世(うつしよ)の岸辺に流れ着き、肉親達はそれをもって弔い、神の従者となったことを祝う《祀り(まつり)》を行う。さすれば、おぬしの生家は相当に地位が上がるであろうな』

「それ、親孝行になるかな?」
 ぽつりと呟いたのを、青竜は聞き逃がさなかった。

『なるとも』
 真面目な顔で言って。おれの頭に手を乗せ、髪をぐりぐりする。

『では、おまえの新しき名は……そうじゃの。コマラパというのが良い。セノーテに近い真水の湧く泉のある場所の名だ』

「こまらぱ?」
 おれは貰った名前を繰り返し、つぶやいた。意味はわからなかったが。

        ※

 こうして、セノーテの底を通って青竜の管理する亜空間にたどり着いた、おれは。
 青竜……カエルレウム・ドラコー(caeruleum draco)の従者になった。

 ついて行って驚いたことがある。
 結構な数の子供たちが保護されていたのだ。

「青竜さま! それだれ~?」
「ぼくたちのせいりゅうおうさまになれなれしいぞ!」
「龍神さまは、あたしの!」
 みんな五歳か六歳。男も女もいる。

『新しい従者だ。みんな、仲良くしてやるように』
 
「あんたさっき、おれのこと久しぶりに来た従者って言ってなかったっけ」

『むろん、間違ってはいない。ここでもっとも幼い者でも、生贄となってから百年は過ぎている』

「な! だって、おれより小せえガキばっかりだ。幼稚園かと思ったぞ!」

『ここにいる間は、時間の流れが外に比べて緩やかなのだ。里心がついた者があれば帰還できるようにしてやろうと申し出たが、みな、断った。生贄に差し出した村、しかも戻ったところで見知った顔はいない、とな……』

 おれは、ごくりと息を呑んだ。
 その言葉は、そのまま、おれの将来の姿と重なったからだ。
 しかし、青竜は、笑って、おれの危惧を打ち消した。

『おぬしは現世に縛られてはおらぬ。現在の記憶がないのが幸いにな。ここで、知識を学び、外界に打って出るも、一興であろうぞ……望むならば、わしの知識を全て授けよう』

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...