こんなわたしでもいいですか?

五月七日 外

文字の大きさ
69 / 73
2学期スタート!

2学期スタート!③

しおりを挟む
「やっぱりパーっとした方がいいよね。……って飛翔?ねえ飛翔聞いてる?」
「ああ、ごめん……何の話だっけ?」
「だから、栞が文化委員長になったからお祝いのパーティーしようって話!」
「まあ、やったらいいんじゃないか?」
「もう~!今は会場をどこにするかって話でしょう?飛翔君は何だかいつにもましてボーっとしてるし……」
「わりいわりい。ちょっと考え事をな……」

 栞の人生相談みたいなものから、はや一週間。あれから文化委員長の選挙があったのだが、栞以外に立候補者がいなかったこともあり、本当に栞が文化委員長になった。
 そこで昴が栞のお祝いパーティーをしよう!と言い出し、いつものファミレスに集まった俺と昴と由依の三人(栞にはサプライズでしたいらしく、今日は呼んでいない)なのだが、俺は少し気になることがあってあまり話に集中できていなかった。

「ふ~ん、飛翔君が考え事を……何を考えてたの?」

 由依は、少し心配そうに俺に聞いてきた。由依は案外勘が鋭いから俺の考え事があまりいいことじゃないことに気づいているようだ。最近、大魔王とのラブラブエピソードしか喋らなかった由依とは別人のようである。……本当、誰得なんでしょうね?大魔王が優しかったとか、美味しいスイーツを食べに行ったとか……何か思い出しただけで、腹痛くなってきた……
 それはそうと、考え事の他にもう一つ気になることがある。それは、俺の目の前に座ってる人物なのだが。

「俺の考え事の前に、昴はさっきから何してるんだ?」
「ん?これ?これは、栞から教えてもらったジュースを作ってるんだよ。確か……ピリッと辛くて、ほんの少し甘い青春ジュース」

 ……栞のやつは、昴に何を教えてるんだ?というか、本当にこれジュースなのか?人が口に入れていいような色をしてないし、何かグラスのそこの方にブニョブニョ沈殿物が溜まってるんだけど……

「まあ、何でもいいけど食べ物で遊ぶなよ」
「遊んでないよ。ちゃんと美味しいんだから……もしかして、飛翔も飲みたいの?」
「絶対に飲みたくない!」
「美味しいのに……ゆいゆいは飲む?」
「わ、わたしも遠慮しとく……す、すばるんも止めといた方が」

 俺と由依が立て続けに断ると、由依のありがたい忠告も無視して昴はジュースを一息で飲み干した。

「だ、大丈夫か……?」
「ふん!ちゃんとおいし……ゲフッ!」
「「あっ!」」

 昴が何か言いかけていたが、顔を真っ青にして机に突っ伏したかと思うとそのまま動かなくなった。

「し、死んだのか?」
「いや、いくらすばるんでも流石にジュース飲んだくらいで死なないでしょ?た、たぶん」

 一応、昴の体を揺すってみると反応は無いが息もしていたし、何なら寝てるんじゃね?みたいな感じになったので、昴は放っておいて話を進めることにした。

「それで、何の話してたっけ?」
「えっと、飛翔君の考え事?」
「あっ、それだ!……それで、俺が考えてたことなんだが、最近栞の様子が変じゃないか?」
「変?変態じゃなくて?」

 ……由依にまで変態扱いされているとは、流石は栞だな。

「いや、栞が変態なのは世界不変の真実なんだが……って、そうじゃなくて何か栞の様子が変だったというか……」
「そうなの?わたしはいつも通りに見えたけど……」
「う~ん、俺の考えすぎかな」
「ちょっと文化祭の準備で疲れてるのかな?けっこう忙しそうだし。けど、もし何かあっても栞なら私たちに相談してくれるよ」
「まあ、そうだよな」

 そこで、栞に関する話は終わったのだが、俺の中ではまだモヤモヤしていた。というのも、ついこの間……


『おっ、飛翔!いいとこにいたぜ!』
『うん?ああ、山ピーじゃねえか。どうしたんだ?』
『飛翔にはまだ結果教えてなかったよな。はいこれ!』
『おっ、おお。ってなんだこれ?』
  
 山ピーからよく分からん紙をもらったのだが、結果って何の結果だろうか?

『あれだよ。夏休み前の可愛い子アンケートの結果!飛翔に教えるのすっかり忘れてたからさ~!あと、くれぐれも女子にはバレないようにな!じゃあな~』
『おいちょっとまてよ!……って、全然聞いてくれないなぁ』

 山ピーは、忙しいのか物凄いスピードで何処かへいってしまった。まあ、完全に忘れていたが、アンケートの結果も気になるので紙を開いて見てみた。
 予想外というかなんというか、堂々の一位には栞の名があった……


 ……なんてこともあり、俺は何だかモヤモヤしていたのだ。確かに栞は、見た目(だけ)はいいのだがアンケートをみる限り、みんな栞の中身までみていないというか、見た目だけで勝手に栞に対してイメージを押し付けているというか、文化委員長の噂についても今にして思えば、周りのやつの勝手なイメージの押し付けに思えてしかたがない。……栞は、変態だけど、本当は恥ずかしがり屋で、けど、一生懸命で、友達思いな奴で……
 たぶん、由依も昴も栞の中身まで好きで友達なのだ。けど、他のやつらは栞の見てくれだけで判断しているというか……いや、考えすぎか。
 廊下で栞とすれ違ったときに、あいつが疲れているように見えたからちょっと、心配してるだけだろう。
 それに由依の言うとおり、栞ならもし、何かあっても俺たちに相談するだろうしな……
 今度こそ、俺の中でも栞に関することはけりがついたので、きちんとパーティーについて考える。

「なあ、パーティーなら俺の家でやらないか?」
「いいかも」
「賛成!」

 
 まだ、文化祭が始まったわけでもないのに、俺達三人は、栞の文化委員長就任記念パーティーについて楽しく計画をたてていた。


    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。

藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。 どうして、こんなことになってしまったんだろう……。 私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。 そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した…… はずだった。 目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全11話で完結になります。

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

処理中です...