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異世界行ったら、魔王の城の中でした。
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ほんの少し特別な放課後
ほとんどの人にとって、今日は何でもないいつもの一日で、俺にとってもそんな何でもない一日として終わるはずだった……
けれど、とある理由により今日は、ほんの少しだけ特別な一日となった。
「う~ん。まとめ買いって、家に持って帰るのが大変だな……」
今日が特別な一日になった理由。それは、ラノベをまとめ買いしたからだ。
昼飯のパンを一個減らしたりポテチとコーラの黄金コンビを我慢したり、俺の数え切れない努力と今朝の母さんの気まぐれによって生まれた支給金(お小遣い)によって、夢のまとめ買いをしたのだ。今日を特別と言わなくて、一体いつを特別な日と言えばいいのだろう。あっ、普通に誕生日は特別でした。
……と、そんな悲しい高校生の事情はさて置いて。
夢のまとめ買いをした帰り道、信号待ちをしていると、突然足元が光始めたのだった。
足元を見てみると、魔方陣のような紋様が俺を中心に描かれ、その魔方陣から青白い光が放たれていた。
「これはっ!まさかの異世界転生か!?いや、死んでないから異世界転移か!?それとも異世界召喚か!?どっちにしてもキターーー!!!」
あまりにもお約束な展開、というか俺が買ったラノベと全く同じ展開で、つい 恥ずかしいことを口走っていた。
少しだけ冷静になろう。
俺の買った教科書(ラノベ)と同じ展開なら、この後は気が付くと主人公は異世界の街にいて、情報を集めようと冒険者ギルドに行く。そこで、主人公の隠されていた能力がどうのこうので、チート能力やらとんでもない魔力を持っていることが判明。
そして、主人公の愉快な無双ライフが始まる……
とまあ、大体こんな感じだった気がする。
信じられないが、今まさに俺は異世界へと旅立とうとしているのだ。ウキウキと異世界生活を待っていると、青白い光が強まり視界も歪んできた。
そして、一瞬フワリと浮くような感覚がすると、そこで俺の意識は途絶えた。
(……ん?何か暗くないか?……)
気が付くと、薄暗い場所にいた。もしかしたらこの世界は今、夜なのかもしれない。
とりあえず、明るい方へと歩き始めると2、3歩といったところで壁にぶつかってしまった。
「いって……壁にぶつかるとか、俺ドジだなぁ」
「人間よ。わたしは壁などではないぞ」
俺の独り言に壁が返事をしてきた。
壁から発せられた声は低く、体の芯を揺さぶるような強い声だった。
「壁が喋るって、どんな異世界だよ。俺行くとこ間違えてない?」
「だから、わたしは壁などでは……」
再び、俺の独り言に壁が返事をしてきた。
どうせなら、喋る壁がどんなものか見てやろうと思い、ジィッと壁を眺めてみる。
次第に目が慣れ初め、壁の全容が見えてきた。
……岩のようなゴツゴツした黒い表面、壁の上の部分には銀色に輝く大きな2本の角のような装飾、黒い大きな翼、太く長い尻尾……は?
「……そうか、灯りが無かったな」
壁?のそんな言葉が聞こえると、青白い炎がボッボッと音をたてて浮かび上がる。
そして、炎の明かりによって俺が壁だと思っていたものの全容が見えてきた。
……岩のようなゴツゴツした黒い肌、銀色に輝く大きな2本の角、黒い大きな翼、太く長い尻尾……
その姿はまさに
「ま、ままま魔王だーーー!!!」
異世界は異世界でも、俺は魔王の城へと転移してしまったようだ。
ほとんどの人にとって、今日は何でもないいつもの一日で、俺にとってもそんな何でもない一日として終わるはずだった……
けれど、とある理由により今日は、ほんの少しだけ特別な一日となった。
「う~ん。まとめ買いって、家に持って帰るのが大変だな……」
今日が特別な一日になった理由。それは、ラノベをまとめ買いしたからだ。
昼飯のパンを一個減らしたりポテチとコーラの黄金コンビを我慢したり、俺の数え切れない努力と今朝の母さんの気まぐれによって生まれた支給金(お小遣い)によって、夢のまとめ買いをしたのだ。今日を特別と言わなくて、一体いつを特別な日と言えばいいのだろう。あっ、普通に誕生日は特別でした。
……と、そんな悲しい高校生の事情はさて置いて。
夢のまとめ買いをした帰り道、信号待ちをしていると、突然足元が光始めたのだった。
足元を見てみると、魔方陣のような紋様が俺を中心に描かれ、その魔方陣から青白い光が放たれていた。
「これはっ!まさかの異世界転生か!?いや、死んでないから異世界転移か!?それとも異世界召喚か!?どっちにしてもキターーー!!!」
あまりにもお約束な展開、というか俺が買ったラノベと全く同じ展開で、つい 恥ずかしいことを口走っていた。
少しだけ冷静になろう。
俺の買った教科書(ラノベ)と同じ展開なら、この後は気が付くと主人公は異世界の街にいて、情報を集めようと冒険者ギルドに行く。そこで、主人公の隠されていた能力がどうのこうので、チート能力やらとんでもない魔力を持っていることが判明。
そして、主人公の愉快な無双ライフが始まる……
とまあ、大体こんな感じだった気がする。
信じられないが、今まさに俺は異世界へと旅立とうとしているのだ。ウキウキと異世界生活を待っていると、青白い光が強まり視界も歪んできた。
そして、一瞬フワリと浮くような感覚がすると、そこで俺の意識は途絶えた。
(……ん?何か暗くないか?……)
気が付くと、薄暗い場所にいた。もしかしたらこの世界は今、夜なのかもしれない。
とりあえず、明るい方へと歩き始めると2、3歩といったところで壁にぶつかってしまった。
「いって……壁にぶつかるとか、俺ドジだなぁ」
「人間よ。わたしは壁などではないぞ」
俺の独り言に壁が返事をしてきた。
壁から発せられた声は低く、体の芯を揺さぶるような強い声だった。
「壁が喋るって、どんな異世界だよ。俺行くとこ間違えてない?」
「だから、わたしは壁などでは……」
再び、俺の独り言に壁が返事をしてきた。
どうせなら、喋る壁がどんなものか見てやろうと思い、ジィッと壁を眺めてみる。
次第に目が慣れ初め、壁の全容が見えてきた。
……岩のようなゴツゴツした黒い表面、壁の上の部分には銀色に輝く大きな2本の角のような装飾、黒い大きな翼、太く長い尻尾……は?
「……そうか、灯りが無かったな」
壁?のそんな言葉が聞こえると、青白い炎がボッボッと音をたてて浮かび上がる。
そして、炎の明かりによって俺が壁だと思っていたものの全容が見えてきた。
……岩のようなゴツゴツした黒い肌、銀色に輝く大きな2本の角、黒い大きな翼、太く長い尻尾……
その姿はまさに
「ま、ままま魔王だーーー!!!」
異世界は異世界でも、俺は魔王の城へと転移してしまったようだ。
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