第二次天安門事件

第二次天安門事件 後編

　8月23日、ヘリコプターでの負傷者移送作戦を続行したものの、未帰還機は8機となり、残りのヘリは16機となった。
解放軍の空爆によって、デモ隊は158万人もなった。そのとき、天安門の方から建物が崩れる様な音がした。
「天安門崩壊だー！民主化の象徴だー！」」
「習近平を極刑に処せ！！」
天安門の崩壊により、デモ隊の士気は最高値に達した。
　その時だった。おびただしい数の人民解放陸軍によるガトリング砲70門が炸裂し、その他と合い絡まって23日中に29万ものデモ隊の死者が出た。この時に現場にいた40代の北京大学の教授は語る。
「天安門が崩れ、周りが歓喜に包まれたのもつかの間だった。直後に周りが見えなくなるほどの発砲時の煙と周りの悲鳴が聞こえないほどの発砲音がした。自分の周りの4人ほども胸板を打ち抜かれ、亡くなった。発砲が無くなった後のそこはまさに地獄絵図であった。」
．．．実際にこの時の死者はこの一連の事件の中で最も多かった。
　8月24日、人民解放空軍のヘリコプターがすべて撤退し、ヘリコプターでの負傷者移送作戦が中止となった。
　人民解放軍は自国軍のみでのデモの鎮圧は長期化し、国内の混乱による国の体制の崩壊を感じ、国際連合総会にて国連平和維持活動（通称:PKO）の派遣を求めるも、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、イラン、イラク、ベトナム、メキシコの10カ国は派遣を拒否し、常任理事国の拒否権発動によって否決となったものの、北朝鮮、韓国、シリアは独自の支援を表明した。また、中国の常任理事国の刺客を一時的に停止する議決においては全会一致で可決した。これにより、翌25日より中国の常任理事国の資格は国内の混乱が収まるまで一時的に停止となった。
　中国国内では共産党幹部内でアメリカへの亡命者や活動家500人のパリへの亡命などが起きた。500人の中にはデモ隊のリーダー格もいた。
　8月25日、シリアを除く中国、韓国、北朝鮮の連合軍はデモ隊員に対し、化学兵器である「サリン」の使用を行なった。
　これにより、デモ隊の死者数は79600人となり、負傷者を除くデモ隊の総数は80万人ほどとなった。
　また、この日には北京と上海を除くさ全ての都市が人民解放軍により鎮圧された。同時に香港は領土宣言をしている地域に深センと広州を追加した。
　国連総会では香港の主張を認めることを決定した。同時に中華人民共和国の常任理事国解任を総会での多数決により採択した。
　この日から、中国は全世界からの非難を受けても政権を変えないとして、世界各地の運動家による「対中国連合」が結成され中国人の追放活動が始まった。
　中国の味方は殆どいなくなったのである。
　8月26日、デモ隊の活動は崩壊しつつあった。
　リーダー格の亡命が明らかとなり、中国公安庁による活動家市民の逮捕が加速した。この日の逮捕者が2500人に及ぶなど、デモの鎮圧が目前に迫っていた。
　しかし、人民解放軍は反社会体制派を殺害していった為、死者も増加した。この時の死者は65000人になる。デモ隊の総数は73万人とデモ開始時の20%にまでになったのである。
　一方の国連ではサリン使用による虐殺行為に対し、輸入出を一切制限する経済制裁を採択し、中国を孤立化させた。そのままでは中国経済が破綻することは陽の目を見るより明らかであったのだが、国連は無視し、中華人民共和国への他国民の入国を一切禁じた。
　日本ではサリン使用によってオウム事件のことがクローズアップされ、オウム真理教の宗派「アレフ」と「ひかりの輪」は民間人による激しい弾圧に晒され、社会問題ともなっていた。
　このように全世界を巻き込む凄まじいデモであったが、間も無く終焉を迎えようとしていた。
　8月27日、この日デモ隊は崩壊した。総逮捕者は約26000名となり、死者256万8369人、負傷者94万6543人（無関係の民間人含む）、亡命者数7230名となった。中国当局は正しい死傷者数、亡命者数、逮捕者数を把握していたにも関わらず、全世界に対して何一つ発表しなかった。

　こうして世界最大の民主化活動、「第二次天安門事件」は終わったのである。