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第1話/
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「今日もかっこよかったよな!騎士団!」
「ああ!魔法しか使ってなかったけど威力やばかったしな!」
やっぱり、今日の話題は騎士団でもちきりになっている。何しろ騎士団は民族関係なく、誰もが憧れる団体なのだから。
(やっぱり、かっこいいな騎士団!)
と、心の中で思っていると、
「アレン!おはよう!」
と、声を掛けられた。
こんな僕に声を掛ける女子はこの学園で一人しかいない。
「おはよう、ミーナさん」
もう、さん付けはやめてってば!と言う赤い髪の幼なじみは、ケルディ・ミーナさん。彼女は名門のケルディ家の一人娘だ。
「そういえば今日、騎士「おいおいwミーナ、アレンなんかに話しかけてもあんま面白くねぇだろ?w」………うるさい黙ってて」
ミーナさんが目を細め睨んでいるが、当の本人は嘲笑うようだった。
確かに僕に話しかけてくれる人はミーナさんだけかもしれない。なぜなら、僕には才能がないからだ。
魔法も、力も全くダメ。小さい頃はぎりぎり赤点は回避出来たものの、13歳を超えてからは周りのレベルも上がり、実力テストでは最悪のDランクがお約束だった。
「何も出来ないこいつの隣にいたって、なんもいい事なんかないぜ?」
「私は、アレンと話したいからここに居るだけ、とりあえずどっか行きなよ!」
ミーナさんが拳を振り上げると、
「キャー!化け物女にころされるー!」
そういい、廊下に出て行った。
「やだよね~。ああいう人。」
「そ、そうだね…」
"化け物女"それはミーナさんにとってタブーな言葉だ。
何故かは知らないけれど、前にその言葉を言った人に殴りかかっていった事があった。
…今は笑顔だが、きっと拳には相当な力が込められているんだろう。
その拳が僕の方に向かわない事を願うよ。
「さぁ、みんな席につけ~!」
先生が入ってきた瞬間、会話の声が途切れ代わりに椅子や机を動かす音がうるさくなっていた。
「席に座っていたのは……なんだよアレン1人だけじゃないか!ちゃんと時間は確認しておけよ?」
先生…これは不可抗力なんです。
ぼっちの僕は机から出ることはないんです。……ハハッ☆
「じゃ、みんな早く帰るんだそー!」
時は過ぎ、下校時間。
もちろん僕は帰宅部だから先生の言葉通りに真っ直ぐ自宅に帰る。
魔法が使えない僕が文化部類に入っても、あんまり上手くできない。かと言って、運動部類に入っても力がないから足を引っ張る。
なら、何が残されているかと言うと、帰宅部なんだよ。
帰宅部なんですよ!
「はぁ」
「ただいま~」
きっと今日も母さん達は帰ってきてないんだろう。
化け物討伐に出かけたきり、帰って来ていない。
化け物討伐から帰ってきてないなら、結果は大体分かってしまう。
僕の両親はきっと化け物の腹の中だ。
きっとっていうのは、まだ知らされていないからだ。
僕はまだ未熟な者だから、周りは知らせるのはもう少し後と思っているのだろう。
………ここまで帰ってこないと、流石の馬鹿でも気づくだろうに。
「…今日の宿題はなんだっけ?」
暗い気持ちを誤魔化すように僕は鞄の中を探った。
宿題が書いてあるメモ帳を見つけると、すぐに取り出した。
「えっと、カリャリダチョウの姿を描く(模写を使う)……まじか」
普通の人ならいつもより楽で嬉しいだろうが、僕は全く魔法が使えないので模写が出来ない。
「…とりあえず、カリャリダチョウが描いてある物を探して写そう」
そう思ったらすぐ、財布を鞄に入れ、制服から着替えて、外に出た。
「意外とないもんだな…疲れた」
商店街を探してみても全く見つからなかった。
1人で途方に暮れていると、
"ドガーン"
突然爆発音がして振り向くと、
「ギャハハハハ!!いくら騎士団でも、1人だけだと弱いな!」
今朝の奴が瓦礫の上に立っていた。
「このまま暴れて、この街をぶっ潰してやる!」
そう叫ぶと、奴はありとあらゆる建物を壊し始めた。
あちこちで悲鳴が広がる。
周りの建物が大きな音をたてて崩れ落ちてくる。
どこからか子供の泣き声がする。
助けてと誰かが叫んでいる。
…騎士団は?
こんな非常事態に騎士団は全く来ていない。
一瞬だけだが、瓦礫の下に血溜まりがあるのが見えた。
…騎士団は?
なにをしているんだ?
「騎士団…騎士団!早く助けに来てくれー!」
「騎士団はどこよ!早く来て頂戴!」
「アイツを止めてくれ!騎士団!」
人々がそう叫んでいる間、俺は未だに血溜まりから目を離せなかった。
…あれは死んでいるのか?
誰も助けなかったせいで。
どうしよう…
どうすればいい?
周りと同じように騎士団が来るのを待つのが最善なのか?
…きっとそれが正しいんだ。
変にアイツを止めるより、騎士団が来てくれる方がいいに決まっている。
だって騎士団はこの国の…最強の団体なのだから。
「お……ねが…い…」
思わず声がした方を向くと、
瓦礫の中の手が僕の足を掴んでこういった。
「だれで…も……いい…か…ら……この…こ…を……」
「…この子?」
瓦礫の手はそれっきり話さなくなった。
僕は怖くなって後ずさった。
そして気づいた。
彼女が赤ん坊を抱えている事を。
彼女はこの赤ん坊を救って欲しかったのだろう。
……見捨てられる訳が無い。
僕は痛む手を使いながら瓦礫を起こし、赤ん坊だけでもと、手を伸ばしたが、赤ん坊には下半身がなかった。
見ると、彼女の方も同様にお腹辺りから下がなかった。
「……………酷い」
頭が痛い。吐き気がする。でもそれ以前に許せない。
アイツは関係ない人を殺したんだ。
まだ、小さい赤ん坊も、赤ん坊との生活を夢見た彼女を。
そう思うと僕の足は、自然にアイツの方へと向かっていた。
「ギャハハハハ!!」
アイツは、さっきと同じように笑いながら建物を壊している。
瓦礫が雨のように降ってくるが、今はどうでも良かった。
…アイツを殴る拳さえあれば。
「…あ?お前なんだよ?」
僕はアイツの前に立つと、拳を構えた。
魔法も力もないが、何故か今は心の底からアイツをぶっ飛ばせる自信が湧いてきていた。
「邪魔なんだよ。どけぇ!」
アイツが飛びかかってくるが、僕は怖くなかった。
そしてアイツの腹に1発本気のパンチを食らわせた。
"ドゴーン"
大きな音がした後、何故か急に眠くなった。
瞼が重くなってくる…
ふわりとした感覚の中で、唯一見えたのは建物にめり込むアイツの姿だった。
「ああ!魔法しか使ってなかったけど威力やばかったしな!」
やっぱり、今日の話題は騎士団でもちきりになっている。何しろ騎士団は民族関係なく、誰もが憧れる団体なのだから。
(やっぱり、かっこいいな騎士団!)
と、心の中で思っていると、
「アレン!おはよう!」
と、声を掛けられた。
こんな僕に声を掛ける女子はこの学園で一人しかいない。
「おはよう、ミーナさん」
もう、さん付けはやめてってば!と言う赤い髪の幼なじみは、ケルディ・ミーナさん。彼女は名門のケルディ家の一人娘だ。
「そういえば今日、騎士「おいおいwミーナ、アレンなんかに話しかけてもあんま面白くねぇだろ?w」………うるさい黙ってて」
ミーナさんが目を細め睨んでいるが、当の本人は嘲笑うようだった。
確かに僕に話しかけてくれる人はミーナさんだけかもしれない。なぜなら、僕には才能がないからだ。
魔法も、力も全くダメ。小さい頃はぎりぎり赤点は回避出来たものの、13歳を超えてからは周りのレベルも上がり、実力テストでは最悪のDランクがお約束だった。
「何も出来ないこいつの隣にいたって、なんもいい事なんかないぜ?」
「私は、アレンと話したいからここに居るだけ、とりあえずどっか行きなよ!」
ミーナさんが拳を振り上げると、
「キャー!化け物女にころされるー!」
そういい、廊下に出て行った。
「やだよね~。ああいう人。」
「そ、そうだね…」
"化け物女"それはミーナさんにとってタブーな言葉だ。
何故かは知らないけれど、前にその言葉を言った人に殴りかかっていった事があった。
…今は笑顔だが、きっと拳には相当な力が込められているんだろう。
その拳が僕の方に向かわない事を願うよ。
「さぁ、みんな席につけ~!」
先生が入ってきた瞬間、会話の声が途切れ代わりに椅子や机を動かす音がうるさくなっていた。
「席に座っていたのは……なんだよアレン1人だけじゃないか!ちゃんと時間は確認しておけよ?」
先生…これは不可抗力なんです。
ぼっちの僕は机から出ることはないんです。……ハハッ☆
「じゃ、みんな早く帰るんだそー!」
時は過ぎ、下校時間。
もちろん僕は帰宅部だから先生の言葉通りに真っ直ぐ自宅に帰る。
魔法が使えない僕が文化部類に入っても、あんまり上手くできない。かと言って、運動部類に入っても力がないから足を引っ張る。
なら、何が残されているかと言うと、帰宅部なんだよ。
帰宅部なんですよ!
「はぁ」
「ただいま~」
きっと今日も母さん達は帰ってきてないんだろう。
化け物討伐に出かけたきり、帰って来ていない。
化け物討伐から帰ってきてないなら、結果は大体分かってしまう。
僕の両親はきっと化け物の腹の中だ。
きっとっていうのは、まだ知らされていないからだ。
僕はまだ未熟な者だから、周りは知らせるのはもう少し後と思っているのだろう。
………ここまで帰ってこないと、流石の馬鹿でも気づくだろうに。
「…今日の宿題はなんだっけ?」
暗い気持ちを誤魔化すように僕は鞄の中を探った。
宿題が書いてあるメモ帳を見つけると、すぐに取り出した。
「えっと、カリャリダチョウの姿を描く(模写を使う)……まじか」
普通の人ならいつもより楽で嬉しいだろうが、僕は全く魔法が使えないので模写が出来ない。
「…とりあえず、カリャリダチョウが描いてある物を探して写そう」
そう思ったらすぐ、財布を鞄に入れ、制服から着替えて、外に出た。
「意外とないもんだな…疲れた」
商店街を探してみても全く見つからなかった。
1人で途方に暮れていると、
"ドガーン"
突然爆発音がして振り向くと、
「ギャハハハハ!!いくら騎士団でも、1人だけだと弱いな!」
今朝の奴が瓦礫の上に立っていた。
「このまま暴れて、この街をぶっ潰してやる!」
そう叫ぶと、奴はありとあらゆる建物を壊し始めた。
あちこちで悲鳴が広がる。
周りの建物が大きな音をたてて崩れ落ちてくる。
どこからか子供の泣き声がする。
助けてと誰かが叫んでいる。
…騎士団は?
こんな非常事態に騎士団は全く来ていない。
一瞬だけだが、瓦礫の下に血溜まりがあるのが見えた。
…騎士団は?
なにをしているんだ?
「騎士団…騎士団!早く助けに来てくれー!」
「騎士団はどこよ!早く来て頂戴!」
「アイツを止めてくれ!騎士団!」
人々がそう叫んでいる間、俺は未だに血溜まりから目を離せなかった。
…あれは死んでいるのか?
誰も助けなかったせいで。
どうしよう…
どうすればいい?
周りと同じように騎士団が来るのを待つのが最善なのか?
…きっとそれが正しいんだ。
変にアイツを止めるより、騎士団が来てくれる方がいいに決まっている。
だって騎士団はこの国の…最強の団体なのだから。
「お……ねが…い…」
思わず声がした方を向くと、
瓦礫の中の手が僕の足を掴んでこういった。
「だれで…も……いい…か…ら……この…こ…を……」
「…この子?」
瓦礫の手はそれっきり話さなくなった。
僕は怖くなって後ずさった。
そして気づいた。
彼女が赤ん坊を抱えている事を。
彼女はこの赤ん坊を救って欲しかったのだろう。
……見捨てられる訳が無い。
僕は痛む手を使いながら瓦礫を起こし、赤ん坊だけでもと、手を伸ばしたが、赤ん坊には下半身がなかった。
見ると、彼女の方も同様にお腹辺りから下がなかった。
「……………酷い」
頭が痛い。吐き気がする。でもそれ以前に許せない。
アイツは関係ない人を殺したんだ。
まだ、小さい赤ん坊も、赤ん坊との生活を夢見た彼女を。
そう思うと僕の足は、自然にアイツの方へと向かっていた。
「ギャハハハハ!!」
アイツは、さっきと同じように笑いながら建物を壊している。
瓦礫が雨のように降ってくるが、今はどうでも良かった。
…アイツを殴る拳さえあれば。
「…あ?お前なんだよ?」
僕はアイツの前に立つと、拳を構えた。
魔法も力もないが、何故か今は心の底からアイツをぶっ飛ばせる自信が湧いてきていた。
「邪魔なんだよ。どけぇ!」
アイツが飛びかかってくるが、僕は怖くなかった。
そしてアイツの腹に1発本気のパンチを食らわせた。
"ドゴーン"
大きな音がした後、何故か急に眠くなった。
瞼が重くなってくる…
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