アレンの冒険日記!

ラピット

文字の大きさ
2 / 2

第1話/

しおりを挟む
「今日もかっこよかったよな!騎士団!」
「ああ!魔法しか使ってなかったけど威力やばかったしな!」

やっぱり、今日の話題は騎士団でもちきりになっている。何しろ騎士団は民族関係なく、誰もが憧れる団体なのだから。

(やっぱり、かっこいいな騎士団!)
と、心の中で思っていると、
「アレン!おはよう!」
と、声を掛けられた。

こんな僕に声を掛ける女子はこの学園で一人しかいない。
「おはよう、ミーナさん」

もう、さん付けはやめてってば!と言う赤い髪の幼なじみは、ケルディ・ミーナさん。彼女は名門のケルディ家の一人娘だ。

「そういえば今日、騎士「おいおいwミーナ、アレンなんかに話しかけてもあんま面白くねぇだろ?w」………うるさい黙ってて」

ミーナさんが目を細め睨んでいるが、当の本人は嘲笑うようだった。
確かに僕に話しかけてくれる人はミーナさんだけかもしれない。なぜなら、僕には才能がないからだ。
魔法も、力も全くダメ。小さい頃はぎりぎり赤点は回避出来たものの、13歳を超えてからは周りのレベルも上がり、実力テストでは最悪のDランクがお約束だった。

「何も出来ないこいつの隣にいたって、なんもいい事なんかないぜ?」
「私は、アレンと話したいからここに居るだけ、とりあえずどっか行きなよ!」
ミーナさんが拳を振り上げると、
「キャー!化け物女にころされるー!」
そういい、廊下に出て行った。
「やだよね~。ああいう人。」
「そ、そうだね…」
"化け物女"それはミーナさんにとってタブーな言葉だ。
何故かは知らないけれど、前にその言葉を言った人に殴りかかっていった事があった。
…今は笑顔だが、きっと拳には相当な力が込められているんだろう。
その拳が僕の方に向かわない事を願うよ。

「さぁ、みんな席につけ~!」
先生が入ってきた瞬間、会話の声が途切れ代わりに椅子や机を動かす音がうるさくなっていた。
「席に座っていたのは……なんだよアレン1人だけじゃないか!ちゃんと時間は確認しておけよ?」
先生…これは不可抗力なんです。
ぼっちの僕は机から出ることはないんです。……ハハッ☆

「じゃ、みんな早く帰るんだそー!」
時は過ぎ、下校時間。
もちろん僕は帰宅部だから先生の言葉通りに真っ直ぐ自宅に帰る。
魔法が使えない僕が文化部類に入っても、あんまり上手くできない。かと言って、運動部類に入っても力がないから足を引っ張る。
なら、何が残されているかと言うと、帰宅部なんだよ。
帰宅部なんですよ!
「はぁ」

「ただいま~」
きっと今日も母さん達は帰ってきてないんだろう。
化け物討伐に出かけたきり、帰って来ていない。
化け物討伐から帰ってきてないなら、結果は大体分かってしまう。
僕の両親はきっと化け物の腹の中だ。
きっとっていうのは、まだ知らされていないからだ。
僕はまだ未熟な者だから、周りは知らせるのはもう少し後と思っているのだろう。
………ここまで帰ってこないと、流石の馬鹿でも気づくだろうに。
「…今日の宿題はなんだっけ?」
暗い気持ちを誤魔化すように僕は鞄の中を探った。
宿題が書いてあるメモ帳を見つけると、すぐに取り出した。
「えっと、カリャリダチョウの姿を描く(模写を使う)……まじか」
普通の人ならいつもより楽で嬉しいだろうが、僕は全く魔法が使えないので模写が出来ない。
「…とりあえず、カリャリダチョウが描いてある物を探して写そう」
そう思ったらすぐ、財布を鞄に入れ、制服から着替えて、外に出た。

「意外とないもんだな…疲れた」
商店街を探してみても全く見つからなかった。
1人で途方に暮れていると、

"ドガーン"

突然爆発音がして振り向くと、
「ギャハハハハ!!いくら騎士団でも、1人だけだと弱いな!」
今朝の奴が瓦礫の上に立っていた。
「このまま暴れて、この街をぶっ潰してやる!」
そう叫ぶと、奴はありとあらゆる建物を壊し始めた。
あちこちで悲鳴が広がる。
周りの建物が大きな音をたてて崩れ落ちてくる。
どこからか子供の泣き声がする。
助けてと誰かが叫んでいる。
…騎士団は?
こんな非常事態に騎士団は全く来ていない。
一瞬だけだが、瓦礫の下に血溜まりがあるのが見えた。
…騎士団は?
なにをしているんだ?
「騎士団…騎士団!早く助けに来てくれー!」
「騎士団はどこよ!早く来て頂戴!」
「アイツを止めてくれ!騎士団!」
人々がそう叫んでいる間、俺は未だに血溜まりから目を離せなかった。
…あれは死んでいるのか?
誰も助けなかったせいで。
どうしよう…
どうすればいい?
周りと同じように騎士団が来るのを待つのが最善なのか?
…きっとそれが正しいんだ。
変にアイツを止めるより、騎士団が来てくれる方がいいに決まっている。
だって騎士団はこの国の…最強の団体なのだから。

「お……ねが…い…」
思わず声がした方を向くと、
瓦礫の中の手が僕の足を掴んでこういった。
「だれで…も……いい…か…ら……この…こ…を……」
「…この子?」
瓦礫の手はそれっきり話さなくなった。
僕は怖くなって後ずさった。
そして気づいた。

彼女が赤ん坊を抱えている事を。

彼女はこの赤ん坊を救って欲しかったのだろう。
……見捨てられる訳が無い。
僕は痛む手を使いながら瓦礫を起こし、赤ん坊だけでもと、手を伸ばしたが、赤ん坊には下半身がなかった。
見ると、彼女の方も同様にお腹辺りから下がなかった。
「……………酷い」
頭が痛い。吐き気がする。でもそれ以前に許せない。
アイツは関係ない人を殺したんだ。
まだ、小さい赤ん坊も、赤ん坊との生活を夢見た彼女を。
そう思うと僕の足は、自然にアイツの方へと向かっていた。

「ギャハハハハ!!」
アイツは、さっきと同じように笑いながら建物を壊している。
瓦礫が雨のように降ってくるが、今はどうでも良かった。
…アイツを殴る拳さえあれば。

「…あ?お前なんだよ?」
僕はアイツの前に立つと、拳を構えた。
魔法も力もないが、何故か今は心の底からアイツをぶっ飛ばせる自信が湧いてきていた。
「邪魔なんだよ。どけぇ!」
アイツが飛びかかってくるが、僕は怖くなかった。
そしてアイツの腹に1発本気のパンチを食らわせた。

"ドゴーン"

大きな音がした後、何故か急に眠くなった。
瞼が重くなってくる…
ふわりとした感覚の中で、唯一見えたのは建物にめり込むアイツの姿だった。




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

処理中です...