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給食のお兄さんに俺たちは恋をする
しおりを挟む俺が通う学校は、高校にして珍しく給食がある。
山奥にある全寮制で、近くにコンビニもスーパーもないため、朝昼夜がっつりだ。
で、これまた珍しくイケメンの栄養士がいて、通称「給食のお兄さん」。
俺らより五つ年上と若いながら給食室の責任者。
ふだんの給食からして、食べ盛りの俺たちを満足させるもの。
さらに「お腹空いた」といえば、残りの食材でささっと軽食をつくってくれるし。
家庭が恋しいこともあり、食べながら、ついろいろと話すのを、にこにこして聞いてくれるし。
中性的な顔立ちと雰囲気だからか、女子より男子のほうが慕い、給食室にしょっちゅう顔をだしては、おねだりしたり甘えたり。
「給食のお兄さん、愛しているう!」「ああ、給食のお兄さんと結婚したい!」と照れ隠しに半ば冗談で感謝の思いを伝えていたのだが。
引っこみ思案の俺は、そういった軽口を叩けず。
でも、給食のお兄さんともっと距離を縮めたく、手紙を書いて渡すことに。
「わあ!うれしい!」と満面の笑みを見られて、ほっとしたものを、めでたしめでたしでは済まず。
だれかに目撃されたらしく、その夜、寮に休憩室につれていかれ、男子たちにとり囲まれた。
「ぬけがけは許さない!」「給食のお兄さんはみんなのものだ!」とつまるところ嫉妬から、俺を糾弾したのだが、だんだん険悪に。
「俺の軽食はみんなより豪華だし!」との発言を皮切りに「お、俺はジュースをもらったぞ!」「いちばん大盛りなのは俺だ!」と喧々諤々。
「給食のお兄さんに贔屓されているのは俺だ!」と主張しあい、白熱するあまり取っ組みあいの喧嘩も勃発。
あまりに騒々しいから、ほかの生徒が報告をしたようで、宿直の教師が「うるさーい!」と乱入。
全員を正座させ事情を聞いたら、なんと給食のお兄さんを呼びだして。
本人の目のまえで「いいか!おまえらが、こいつを巡って争うと、迷惑をするのはこいつなんだからな!」と説教されれば「はい・・・」とうなだれて反省せざるをえず。
さらに追い打ちをかけるように「大体な!」と教師が宣言したことには。
「こいつは俺の嫁になる予定だから!争うだけ無駄だ!」
ぽかんとする俺らのまえで「ちょ、それは幼いころ、俺を女の子だと思って求婚したってだけだろ!」「そんとき、うなずいただろうが!」といちゃつく二人。
以降、長い長い俺らと教師の仁義なき戦いが繰りひろげられることになる。
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