デイジーの受難

ルルオカ

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デイジーの十字架

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現場監督がとんずらこいて、大分、経っても、バックステージにスタッフがなだれこんでくることはなかった。

アイドルにとび蹴り天誅をされたブロークンハートな現場監督は、まだ仕事復帰できないでいるのだろう。

まあ、元々、下心大有りで人払いをさせたのだろうし、スタッフが窺いにくるまで、まだ時間がありそうだった。
と見て、僕と要人さんは肩を並べて、のんびりと歩きながら談笑をした。

「そういえば、なんで、この仕事、欲しかったの?
デイジーのファンだった、とかには見えないけど」

「実は子供がさ、前林くんのファンなんだよ。
ほら、前林くん、子供向け番組に、カピバラの着ぐるみ姿で、出演しているでしょ。

動きにくそうなカピバラの着ぐるみ姿で、キレッキレのダンスを踊るのに、惚れたんだって。
それから、デイジーのライブDVDも見るようになって」

「え、なに?子供を喜ばしたくて、ライブの仕事をしたかったてこと?」

「そうだよー。
でも、今、デイジーのライブの仕事したがる人は多いから。売り込んでもだめ。

知り合いに頼んでもだめ。
知り合いの知り合いに口利きしてもらってもだめ。

と思ったら、たまたま現場監督に声をかけてもらったっていうから、この業界は分からないよね」

「ていうか、要人さんの子供がキューピットだったんじゃないの?」

「はは、そうかもね」

「じゃあ、お礼しなきゃ」

「お礼なんて、前林くんに会えるのがご褒美のようなものだよ。
それに、俺にとってもご褒美だから」

「要人さんにも?」

「わあ!お父さん、マエバの友達なの!
って、喜ばれて尊敬されて、俺の株がぐんと上がるから」

「・・・・もしかして、子供がいなかったら、要人さん、僕のこと好きにならなかったかもしれない?」

「どうかな。まあ、そう考えると、人ってほんと、因果なものだよね」





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