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十八
しおりを挟む「というわけで、一件落着になった」
停学処分が明けて、菓子箱を手に、あらためて友人宅にお礼に赴き、事の顛末を洗いざらい打ち明けた。
最後まで、興味深そうに耳を傾けていた友人だが、「一件落着」でしめると、目をぱちくりとしてから「そりゃあ、気になっていたけど」と苦笑をした。
「別にお前がクラスで騒ぎを起こしたことで、俺は迷惑したわけじゃないし。
むしろ、お前を助けられなかったことを悪いと思っていたんだ。
俺を巻きこんだ詫びにって思ってんなら、その必要はないから、気にするなよ」
「いや、詫びじゃなくて礼だ。
お前は俺に腹を割って話してくれた。
おかげで、俺は目覚めることができた。
だから、きちんと話しておきたかったんだ」
「真面目か」と顔を背ける友人は、照れくさいらしい。
俺だって、台所のテーブルに菓子箱を置いて「娘さんください」と頭を下げにきたような調子でいるのが、どうも、こそがしい。
が、笑い話にも、有耶無耶にもしたくなく、背筋を伸ばしたまま、頬の力みも緩めなかった。
ちらりと見て、またすぐに目を伏せた友人は「じゃあ」と視線を払うように、手を振りながら応酬してきた。
「お前がこれから、急にセーラー服を着て登校してくることも、あるかもしれないんだな」
むず痒さををどうにかしたく、あえて野暮なことを口にしたのだろう。
と分かっていても、前なら「冗談でも言うな!」と血相を変えて、胸倉を掴んだろうものを、今は、そこまで感情がざわつかない。
「かもな!」と笑いとばすのは、さすがに難しいとはいえ「そうだな」とぶっきらぼうに頭を掻いてみせた。
アダルトビデオの音声を聞かされて起きたとたん、渾身の平手打ちを食らわせたほど、前は神経症だった俺だ。
比べて、随分、態度を軟化させたのに「見違えた」とばかりに、しげしげと見てくる友人。
極まりが悪くて、こめかみをひきつらせながらも、目を逸らさないでいたら、いよいよ感じ入ったように頬杖をついて「前に、俺言ったよな」と告げられた。
「お前を、いい奴だなって。
お前は否定したけど、やっぱ、いい奴だよ」
よしてくれと、眉ををしかめつつ、今回は否定しなかった。
俺がいい奴なのかは分からない。
ただ、少なくとも、義男の傍にいる限りは、いい奴でありたいと思っているのに違いはなかった。
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