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セーラー服が着られない!
一
しおりを挟むケイちゃんは、たまに姿を消すことがある。
学校の授業をさぼるのはしょっちゅう。
放課後は部活もバイトもしないで、何をしているのやら、いつも夜遅くに帰宅している。
だけではなく、夜中に自室から外にでていこうとしたのを、目撃したこともある。
とはいえ、とくに喧嘩したり、警察沙汰になったり、外で問題を起しているでもない。
親は仕事人間とあって、気にかけていないし、不良のように、さぼり魔で、放課後や夜にほっつき歩いている割には、教室で浮いてなく、笑ってふざける友人がいれば、素行もいい。
学校の単位は落とさないし、成績も優秀。
幼馴染の俺にとっては、「何かあったら、すぐに言えよ」と何かと目をかけてくれる、気風のいい兄貴分な存在だ。
が、「じゃあ、放課後どこに行っているか気になるから、教えて」と請うても、「それだけは、駄目なんだ」と眉尻を下げて、首を振る。
「やばいことには、なっていないんだね?」と聞けば、真顔になって肯くからに、曲がったことが嫌いなケイちゃんを、信じるしかなかった。
その件以外は、開けっぴろげな性分をしているから、隠し事や秘密はなさそうだったし。
ただ、学園祭になって、新たな謎が浮き彫りになった。
学校では必ず、部活に所属しなければならない。
といって、放課後は用があるケイちゃんは、部活動ができなかったので、人数合わせのクイズ研究部に、名前だけ置いていた。
そのクイズ研究部が、学園祭で女装して「出張突撃クイズ」をすることになったらしい。
学園祭最中、行く先々で生徒に突然、クイズをだし、部員の一人と、どちらが先に回答できるか、競っていくというもの。
必ずしも女装が要るような企画ではないものを、これには訳がある。
部長が彼女を奪われたとかで、その仕返しをするのが、真の目的だ。
「出張突撃クイズ」を復讐相手に仕掛け、わざと勝たせる。
褒美として、両頬を女装部員がチューをする。
それを撮り、女装部員を、他校生の女子に見えるよう加工した画像を拡散。
見かけた元彼女を怒らせるという、手はずだとか。
画像を加工するにも、元がそれなりに良くないといけないと、考えたらしく、「学園祭くらい、協力しろ」と幽霊部員のケイちゃんに、セーラー服を押しつけてきたとのこと。
対して「セーラー服は着られない!」と断固拒否したらしい。
他の格好ならいいが、セーラー服だけはだめというのに、「また、なんで?」と不思議がられて、その件は噂になっていた。
周りから好奇の目で見られても、ケイちゃんは拒みつづけ、クイズ研究部もむきになって、「着ないと除名するぞ!」とセーラー服を掲げて追いかけつづけた。
学園祭当日になっても、その攻防をしていたものの、例によって、ケイちゃんが姿を消した。
それでも、諦めきれないクイズ研究部は「幼馴染が責任を取れ!」とセーラー服を、俺に押しつけてきた。
筋違いな訴えだったけど、ちょうど時間が空いていたし、抵抗はなかったし。
訳あって不在のケイちゃんの、すこしでも手助けをしたかったら、渡されたセーラー服を身につけ、かつらを被ろうとした。そのとき。
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